舌の色はピンク
DiaryINDEX|past|will
快晴。 前日の雨模様から一転、 こんなにも晴れてくれるかというピーカンで気持ちいい。 飯も食わずに家を出てチャリで新居へ。 クリーニング後初めて入ったが、かなりいい。 天気もいいから庭からの陽が部屋を美しく見せている。 つつがなくバルサンを焚き、 両隣とお向かいさんに挨拶をした。 庭に面している方のお宅は人の良さそうなおばあさんで、 快く挨拶できた。 キッチン側のお隣さんは建て売り住宅の若夫婦。 なんか異様にきょどりながらも一家総出で挨拶してくれた。 夫婦と小学生の息子二人。 騒がしかったらすいませんとのこと。 こちらこそ何かあったら言ってくださいとにこやかに挨拶した。 向かいの大きな家は二世帯住宅のようでインターフォンも二つあり迷ったが 新しい方を押した。 こちらも老齢のおばあさん。 やや耳が遠いようだが、にこやかに挨拶できた。
1時間待機しなければならないのでチャリでぶらぶら西荻へ。 どこかで軽食を済ませたかったが 11時を前にして開いている店も少ない。 しかたなくドトールへ。 パストラミビーフのサンドを食べた。 新居に戻りバルサンを回収。 思いのほか虫の死骸が見えずホッとした。 各窓を開け換気をして家を出た。
帰り際阿佐ヶ谷のパン屋で妻へのカレーパンとウィンナードッグを買った。 帰ってみると妻がベランダを見ている。 既にカーテンを取り外しているから これまで隠されていた隣の家の壁がよく見える。 「蜂の巣つくってる」 見ると、ひとところにハチがうじゃうじゃ集まって、 黒い固まりを形成していた。 たしかに蜂の巣だ。 妻が言うには、遠目で判別しづらいがミツバチではなさそうだ、 もしスズメバチだったら危険だから知らせておいた方がいいかもとのこと。 「なるほど、僕らはもういいけど、次にこの部屋に済む住人のためにも…」 「そういうこと」
その役目は僕が買って出た。 これまでほとんどまともに会話もしてきたことのないお隣さんの家を訪ね、 伝えてみると夫の方が玄関まで出てきた。 向こうは常識的な謝辞を述べ、こちらも最低限のやり取りで済ませた。
予定通り13時半に業者はきた。 隣近所にボックスティッシュを配っていた。 今日一日トラックを目の前に止めてしまうことになるので ご容赦うんぬんという挨拶をしていた。 妻ははじめ30分だけ付き合って、 それから一足先に、タクシーで新居へ向かった。 作業員5名は 昨日の手際がなんだったんだってくらい 尋常じゃないスピードで作業が進めていった。 まさにプロの手並みという印象で気持ちいい。 負けじと僕は拭き掃除をしていた。 ずっと拭き掃除をしていた。 この分なら、引越し後の清掃は最低限で済むだろう。 16時頃、ほとんど部屋は空っぽになった。 空っぽになってみると、 内見で初めてこの部屋を訪れて 「めっちゃいい部屋ジャーン」 と高揚した記憶が湧きに湧き、 感極まって涙ぐんでしまった。 悲喜こもごも、いろいろな時間をこの部屋で過ごした。 お世話になった。 お世話になりました。
引越し業者の発車は遅れた。 トラック1台に、ギリギリ荷物が入り切らないとのことで、 一度荷物を降ろして再度組み上げるパズルを完成させたときには、 「やったー!」 という声が一同からあがった。
業者の発車とともに、僕は自転車で向かった。 おおよそ5kmくらいの距離。 車はなんだかんだで、目的地までのルートを調べたり、 その他雑多な時間をくうだろうから、 まずこちらの方が早いだろうと踏んでいた。 実際、僕のほうがずっと早く着いた。 妻と妻の友人はこの部屋を堪能しきっていたようだ。 「いま外は西日キレイだけど、ここには差さないんだね」 「いや、ついさっきまでこの床の間に差してたよ、すごかった」 「まじかよずるいな」 日が暮れつつあったからとりあえず居間に照明をつけた。 暗い黄色が壁を浸して、抜群に色がいい。 雰囲気がいい。 いい…。
十分ほど遅れて引越し業者が到着。 それからさらに重数分待って、作業が始まった。 真っ先に、和室の居室を妻用の書斎にするために、 フローリングマットを敷く。 妻の友人に手伝ってもらい、10分ほどでつつがなく完了した。 友人はここで帰ることに。 三人がかりでなければさぞ苦労したろうから、 手伝ってもらえてどれだけ助かったことか。 いずれ恩は返すとして、今日のところはおさらばした。
作業員たちは養生を済ませると やはりテキパキと動き回り、 大物家具も照明設置もダンボール詰みも ジャカジャカ進んでいった。 僕は並行して荷解きを始めた。 妻は休みながら、 作業員たちにこれはどこかと問われるたび指示を与えていた。
冷蔵庫は設置できなかった! 懸念していた、庭先を通す運搬が どうにも作業員二人ではできそうにないとのこと。 じゃあ自分が手伝うから三人で…と粘ってみたものの お客様に手伝わせないよう強く言い聞かせられているらしい。 なにしろ重い荷物だから、万一のことがあってはいけないと。 納得したから諦めた。 明日の配送は時間が確保できず、 結局火曜日まで待たなければならない。 しかも3300円の上乗せ。 ウッウッ
荷運びの作業は20時過ぎに完了した。 漫画ダンボール多すぎて全部屋に山積みされることになった。
その後ネットスーパーの品物が届くが 冷凍うどんと冷凍ブロッコリーは冷蔵庫がないから廃棄。 牛乳も常温放置は危ないから廃棄…。 ウッウッ
せめてうどん消費しようと、 夕飯はぶっかけにすることにした。 生姜もない、天かすもない、ネギもない。 本当にただ麺を麺つゆに浸しただけの、 ぶっかけの極致。 それでも腹が減っていたから美味かった。
洗いものしてたらヤモリがでた。 空っぽのゴミ箱の裏側から。 指一本くらいの隊長か。 キュッキュとすばしこい動きが可愛かった。 妻が写真を撮ってから袋につつんで、庭に逃した。 虫を食べてくれるみたいだけど さすがに寝そべってる最中に出てこられたりしたらびびるし 誤ってつぶしたくもない。 庭を根城にしてくれると正直助かる。
心配していたテレビの配線はうまくいった。 レコーダー、PS4も正常に機能している。 録画のテストも問題なかった。
後はひたすら荷解きと格闘。 しかし荷物があふれかえっている分、 何から手を付けてもとりあえず仕事が進んでいく、 という状況はなかなか面白い。 ちょっとても手を動かすだけで結果につながる。 効率を考えるまでもない。 ゲーム的にはボーナスステージみたいな感覚だ。
風呂は溜めずにシャワーにした。 今回買った風呂マットは、 ふざけてんのかと思えるような製品、畳のマットだ。 しかし不都合はない。なかなか良かった。 シャワーも快適だった。噴出の勢いがいい。 この風呂場に鏡はないが、とくには困らない。
今日の分の作業を終えて部屋の電気を消していったら 居間が暗くてびっくりした。 目の前が木々生い茂る庭だから光が差さない。 照明をつけないと真っ暗だ。真っ暗というより闇だ。
寝る前に一応ゴミの収集場を覗いてみたところ、空。 前の住まいだったら前日23時をすぎれば ポツポツゴミ袋が置かれていたが、 この地域の住民は折り目正しいようだ。 以前とは違って 一人暮らし住民ほとんどいないような場所柄だしな。
就寝は1時半になった。 竜宮城の引っ越しという話を妻には聞かせた。
大雨。 ごうごういってる。
鍵を受け取りに行く予定を明日にしたから今日は余裕がある。 業者が13時に来る予定に向けて 荷物をまとめなおし あれこれ掃除をした。
最後の昼飯アラビアータをつくって 処分しそびれていた漫画を売りに行った。 DORAMAであいさつできた。 接客の終わりに50円チケットをくれたから、 いえ結構です、引っ越しちゃうんでもうお店来る機会ないんですよ、 と自然な流れを組めた。 「長年お世話になりました。 いい店だと思います、これからも頑張ってください」 そう伝えることはできた。 会話したことはないにせよ幾度となく顔見合わせてる店員さんだし 店への思いをちょっとでも伝えられてよかった。
帰ってみてみると業者さんの一員が30分早く待ち構えていた。 てっきり男性4人ほどで作業するのかと思われきや 梱包作業については女性2人。 大丈夫か…? 小柄でおっとりしてそうな二人だ。 いやしかしこう見えてプロの手並みでビックリさせてくれるのでは… など心配したり期待したりしたけれども 実際は順当に 丁寧だがゆっくりめ という作業風景。 やはり3時間程度と見積もられていた作業時間は明らかに短く 途中で聞いてみたところトータル6時間はかかりそうとの見込み。 そりゃそうだ!
リサイクル業者の方は男二人で 愛想も何もなく あっという間に運び出し あっという間に去っていった。
冷蔵庫の中身はほとんど処分したが 一部の調味料とバターなどは うなるほどある保冷材を詰めた保冷バッグに入れた。 いたみやすいものはないからこれで十分だろう。
15時ごろ、雨があがってきていたので急遽、 やはり鍵を今日受け取りに行ってしまうことにした。 家を出たのは15時半。 30分かけて下北沢へ。 無事10分ほどで手続きを終え、鍵を得た。 また30分かけて高円寺へと戻り、 夕飯につかうケチャップを買うためユータカラヤに寄った。 今度こそ例の店員さんに挨拶できないかという目論みをもって。 無事できた。 お忙しいところすいませんと声をかけ、 長年こちらのお店にはお世話になりました、 引っ越しをするのでもう来る機会がなくなってしまうのですが、 最後に挨拶をしたくて…。 本当に、いつも素晴らしい接客で、いつもいつも感謝しています。 尊敬しています。 最後にそれだけ伝えたかったんです。 今後も頑張ってください。 …と、思いのたけを伝えた。 突然で向こうは面食らったろうけど、 謙遜しながらニコニコ謝辞を述べてくれた。 よかった。
ただまあなんだな… やっぱりつうかなんつうか あれだな 三分の一も伝わらないってやつだな。 もっと伝えたかった。 しかし相対して口を開くと 小学生の感想文みたいな言葉しか出てこない…
帰宅してみると果たして梱包作業は進んでいた。 が作業開始から4時間を迎えなお 作業1室目にあたる書斎が片づけきれていない… あほほど漫画あるからな… そして我が家には寝室にもたくさん本と漫画がある…あとCD…
19時半ごろ、 とりあえずキッチンだけ片づけてもらい、オムライスを作った。 最後のばんさんにはコレと決めていた。 この家に引っ越した当初も、たしか最初の自炊はオムライスだったはずだ。 だがコンソメがない。 コショウがない。 それでもかなり美味い代物に仕上がった。 よかった。
結局20時20分までで切り上げていった。 残りは翌日にまわすらしい。 かなり謝られたが仕方ない。 というより現場作業員の労がすさまじい。頭が下がる思い。
夜半、妻の最後の喫煙に付き合った。 思えば出会った日から喫煙時間をともにして、 デートの度に 初めての街へ降り立ったらまずは然るべき場所で煙草を吸い、 その場所を征服したつもりになっていたものだ。 僕は禁煙(特別な日だけ吸う)して6年になるが 妻の禁煙は僕よりずっと意味が深い。 本人も不安がっている。
最後の最後は一人で吸う時間を確保させた。 ベランダで、夜風と夜空に紫煙を透かせていた。
曇り。午後は雨。 大量の可燃ごみを捨てて気持ちいい。 天気予報が不安だ。 やはり明日18日は台風の影響で大雨らしい…。
出勤は午前中のみ。 テキパキやることやって憂いなく退勤。
不動産屋に連絡をして、鍵の受取について相談した。 18日に受け取り予定のところを19日朝に。 問題なく承知してもらったが、 始業が10時、朝礼があるから対応は10時10分からになるとのこと。 ネットには9時半からとあるのに…まぁしかたない。
妻への弁当は生姜焼き、 僕は高円寺でラーメンを食べた。 高円寺で名残り惜しい店はほとんどなく このお店にしても思い入れがあるわけじゃないんだけども 魚介ダシに目覚めさせてくれたのはデカイ。 ていうか魚介ダシのラーメン食べたくなったらまた来るのかもな。
世話になったスーパー、 ユータカラヤで一人だけ挨拶したい店員さんがいるのだが あいにく不在。 この方はスーパー店員としての能力がぶっちぎってて スーパースーパー店員で尊敬している。 まず早い。 手さばきが尋常じゃない。 手の速さのみならず判断の早さも神がかってるから トータルの作業時間が他の店員の2倍近く早い。 このスーパーは今どきクレジットすら対応しておらず 昨今のセルフ要素のあるレジなどで鍛えられてないスーパー店員とは違う。 その中にあってこのお方はぶっちぎりで早いのだ。 よその尋常のスーパーと比べたら4倍以上早いと思う。 愛想も気持ちいい。 いつもニコニコしていて、挨拶とちょっとした世間話などを すさまじい手さばきを披露しながらさも自然に行う。 ミスもしない。 かっこいいのだ。 僕はときたらいつも済まして会話ひとつしないから、 せめて最後に絶賛と感謝を述べたかったが機会をもてず。 ウーン惜しい…
DORAMAも最後になるかと思い一応行った。 しかし何も買うものがなかった。 当然挨拶はない。
7年住んできて店々とは全くお別れ感を演じられなかった。 明日もあるけど…大雨がどうなるか次第か。
部屋は掃除機をかけ、明日の梱包に向けてあれこれまとめた。 生姜のあまりを使って ジンジャーエールのシロップを作った。 明日までにつかいきる。
妻が荷物が多いから液に迎えに来てくれという。 ここへも何度となく迎えにきた。 不運が重なり真冬に30分待ったこともある。 最後となる今日は時間通りにやってきた。 彼女の方は、ちょうど勤務地が変わる都合上 世話になってきた会社近くの喫茶店店主との別れの挨拶を しっかりこなしてきたそうだ。 カップを安値で買ってきたとのこと。 ちょっとうらやましいと思った。
夕飯はピザ。ドミノピザ。誕生日だから。 美味かった…けど期待していたほどじゃなかった。 昼のラーメンのせいだろうか。 でも食べまくった。 ジンジャーエール美味かったし。 食べすぎたせいで腹いっぱいで動けない。 その後も体怠くてろくに動けなかった。 かるくだが頭痛もする。 そういえば今日はカフェインをとっていない。
もう明日にまわしてしまおう、そうしよう…
2021年09月16日(木) |
引っ越し準備ゴミ捨て |
晴れっぽい曇り。 庚申通り商店街を抜けて純情通り商店街を進むこの出勤も 残すところは明日のみ。
弁当はナシゴレン。 木曜だけど僕も弁当にした。 明日午後休とってあって外で食べるつもりだから。
一年ぶりの煙草で 会社の喫煙所にも行ってみたところ 久しぶりに口をきく同僚というのが何人かおり 話の流れで引っ越しうんぬんの近況を語り またその流れで好きな街はありますか 本当は住んでみたい街とか と何人かに尋ねてみるも はかばかしい答えは得られられない。 街に興味がない人って少なくないんだよな。
あと禁煙の話をした。 僕が禁煙できているのは、 ひとえに自己像イメージを優勢に保とうとしているおかげだ。 よく 煙草吸うのは所詮かっこつけのためだから っていうけど、 それよりよっぽど 禁煙に失敗してるやつはダサい てのがあると思う。 この見方のおかげでやってこれてる部分は大きい。 僕は20歳の誕生日に吸い始めて 30歳の誕生日にやめた。 それから毎年、ずっと禁煙しながら誕生日の時期には吸っている。 この自己像の物語化は、自分の中でヨシなことだ。
仕事でもそう。 仕事できる、ミスしない、指導が行き届いている、 段取りが上手い、指示が的確…といったイメージがヨシなことだから 自己像をそれに寄せているところがある。 世間的には自己像をイメージすることのの危うさが説かれがちだけれど 僕にとっては強みになってる。 まあたしかに追い詰められることもあるけれど…。
駅にて定期券払い戻し。 一度精算して、 今度は西荻からとする定期券を購入。
ユータカラヤ。 ここも明日と明後日来たら終わりだ。 なんて感慨深いんだろう。 はからずも、人生で一番通った店となってる。
定期券の払い戻しに手こずった。 そもそもみどりの窓口が一人対応だったので 前客の手続きに時間がかかることかかること。 10分以上待ってようやく。 相談してみたところスムーズにいかない。 払い戻しじゃない手続きをした方が得ですとかなんとか…。 僕の後にもまた何人も並んでたから もう手間取らすまいと駅員の言う通りにした。 でも結局3分くらい…体感5分くらいかかった。
夕飯、鶏ももニラポン酢。
引っ越し準備、明日が最後の可燃ゴミだからと がっつりゴミにまとめた。 長年世話になったラグもキッチンマットも…。 あれもこれも捨てまくった。 いそがしい。
書斎のドアに貼ってあった黒板風の紙を剥がした。 チョークで絵が描けるものだから かつて僕はこれに鈴木其一の絵を模写して 二人とも気に入っていた。 しかし、さようならだ。 ベリベリ剥がして捨てた。その動画は撮った。
0時を迎え、誕生日に。 36になった。 「もうアラフォーだよ」 「おっさんじゃん…。おかしい。ハタチだったじゃん」 「きみなんか女子高生だったじゃん」 「ウッ!」 36歳の抱負を尋ねられ、正直に答えるかやや悩んだが、 マンションの話を書き始めたいと白状した。 マンション、街、インターネット、祭り、居場所、理想郷、楽園。 これが書けさえすれば僕はもう満足という、いわば本丸だ。 ここ数ヶ月で書いた短編も、割拠も、 そのための習作にすぎない。 大きな取り組みだから、書き始めるくらいを目標としておく。
晴れ。 午後雨が降るかもだけど 妻が在宅だからと 洗濯物は強気に外干しして出勤した。
弁当はチンジャオロース。 二日目のチンジャオロースは毎回、 フライパンで温める際に酒をドバッと入れてる。 水分ないと焦げちゃうし、 なんとなく殺菌の効果を期待して…。 いやしかし美味かった。 弁当で一番好きかもってくらい美味い。
明日朝回収される粗大ゴミのシールは合計18枚分になる。 帰宅して飯作ってそれから書いて貼って外に出して… の労力ばかになんないから せめて休憩時間中に会社でシールの記入だけでも済ませようと コンビニでシール買おうとしてハタと立ち止まった。 区が違うからだめだ! 気づけてよかった。
引越し業者から電話がかかってきて、 18日の梱包作業は正午辺りから3時間程度を見込んでいるとのこと。 3時間で終わるかァ!? うちの物量…本と漫画とDIY用品と雑貨は相当あるぞ… プロのお手並み拝見というところか。
夕飯はカレーうどん。 あまりのカレーを小鍋に入れて 適当に水足してちょっと麺つゆ入れて、 長ネギどっさり入れて温める。 茹でた麺、生姜の千切りでできあがり。 うまーい。
今日でソファともお別れ。 7年ほど前にここへ越してきて、 間に合わせのつもりで 破格の値段だったから買った2人がけのソファだが、 かなり気に入っていた。 サイズ感も座り心地も寝心地も申し分ない。 でも今や汚れちまってるしへこんでもきてる。 名残惜しいがさようならだ。
ラブレターが完全無反応でつらかった。 別に毎度のことみたいなもんだし それでいいってつもりでやってるのだけど 完全無反応だけはやりきれない。 なにもかもどうでもよくなるな。
いや自分にしてみても この人おもしろい文章書くなあ と惚れ込んでいる相手が キチンとタイトルを付けた文章をアップしてても ページ開いて読んで…とまではあまりしないし そもそもアマチュアの創作を読もうという気持ちが 全然ないのだけど。 カクヨムみたいなお膳立てされた場で 読んでくださあいなんてする気にもなれないし。 ま、いいか。 自分さえその価値をわかってればいい。 孤高だ孤高。くそったれめ。
夜、妻と粗大ゴミを玄関前に運び出し、 ソファとの別れを惜しむつもりで腰掛けてみると、 ハマッた………。 玄関横の自転車置き場にあたるスペースに ぴったり置かれたソファ、 野外で部屋用ソファに腰掛けると こんなにも格別の心地よさが得られるとは。 秋の始まりらしい涼しい夜風も虫の鳴き声も、 ご近所のテレビ音もうっすら聞こえる会話も、 五感のすべてでこの時間を味わいきった。 夜分につき人通りもないし。 禁煙する妻に付き合って吸ってる煙草も美味いこと。 座るというより横たわるようにして夜空を見上げ、 たまに目をつむって憩いの境地に浸った。 最後の最後でこれだけ究極の快楽を提供してくれるなんて、 おまえ、最高のソファだったよ…
曇り。 弁当はカレー。 カレー専用のスープジャーにて。 美味い美味すぎる。
夕飯はチンジャオロース。 最後の日々にはふさわしい。
くたくたにくたびれて帰ってきたが引っ越し準備も進めてるし 飯も作ったしで偉い。 最近僕がしゅくしゅくと家事したり雑事してると 妻が唐突に 「王族か!」 と意味不明のツッコミをいれてくるのを いやどっちかつうと奴隷だろ でも意味不明で面白いと笑っていたのだが 「偉いね」 という意味合いに変換できると気づき二人で笑った。 妻も意味なく言ってたらしい。
——————————————————
『ラブレター』(後半)
さて、私の妻、愛人、運命の女たちに襲撃された貴女のお部屋はその後、私の恋人たちまでをも加えた一同の秘密の住処になったと聞いています。貴女がたは秘匿してきたつもりでしょうが、私だってこれでなかなか、ユニークな消息筋に通じているのです。その部屋には扉が一つもなく、ただいくつかの間仕切りと、あとはお粗末な寝台が二十も三十も並んでいる。貴女がたは疲れを癒したくなるとここへ訪れ、夢の中で見るような部屋の中で夢を見る。夜に来れば昼のような明るさの、昼に来れば夜のようなあやしさのその部屋で、どこまでも夢と現実の境を曖昧にして、憩いの拠点としているのでしょう。 ここで貴女がたは一種独特の、格別の間柄を築いているようです。全員が全員と均分に縁を結んでいるわけでもないが、それぞれ、それなりに親しい仲を達成しながら、気まぐれにその仲を転換し、移譲し、好意を転がして、昨日誰かに途中までした話の続きを、今日は他の誰かに聞かせる、そんな奇術によって幻想めいた平等を成就している…。というのは私の胡乱な絵空事に過ぎませんが、どうでしょうか、当たらずとも遠からず、貴女がたはあの部屋で、似たような秩序のもと、名前を失いのけていったのではありませんか。
ところで、なぜ襲撃計画の現場が…二年前恋人たちが集められた居場所が、他ならぬ貴女の部屋であったと私に知りうるのか。泥棒師の話を思い出してください。一度ある泥棒に入られた部屋は、この泥棒師の極意にかかれば、どんな泥棒であったか見抜かれてしまうのです。まさに、貴女の部屋は過去に一度、泥棒に入られましたね。かつて貴女が決して人目に触れぬようベッドの床板裏に隠していた双眼鏡を盗んだのは私です。三年か五年か、あるいは十年ほど前の出来事だったかもしれません。とにかく、それは私が長らく探し求めていた双眼鏡でした。以後私はこの双眼鏡を覗き込む度に、過去このレンズがいかなる景色を映していたか、しみじみ思い馳せました。しかし、持ち主にまでは気を払いませんでした。 あの日、二十五人が辿り着いた現場がその部屋であると気づいたときには、恥ずかしながら仰天しました。震え上がりました。ヒッと息を吸ったついでに喉そのものを呑み込んでしまいそうになるほど…。コレクションを揃えるために窃盗に近い真似を働いた経験は二度三度ありますが、空き巣に及んだのは一度限りです。どんな因果がこんがらがってあの部屋が現場となったものやら、得体の知れない運命の影法師にからくられたつもりで、すっかり錯乱しました。 錯乱しながらも観察は続けていました。この双眼鏡は世にも奇々怪々の代物、天下に誇る特級品です。見た目に派手なところはなく、装飾もところどころ僅かに凹凸が凝らしてある程度で、それが却って全体を安っぽく見せ、昆虫が天敵から身を守ろうとするように、うまく擬態を果たしていました。この双眼鏡の精妙はレンズに込められていました。レンズの周縁から中央に向けてうっすらと、色とりどりの模様が描かれています。この色合いの微妙な濃淡や、今にも消え入りそうな細線の些細なうねりと、それらのあることで初めて効果が発揮される程度に屈曲した平面が光度を幽かにまやかして、覗き込んだ人間の視覚を通じ裏道の働きかけをします。ある箇所からは微小のストレスを与え、ある箇所からは副交感神経を刺激し…といったいくつかの効能が編み込まれ、有り体に言ってしまえば、感情が倍加する、感度が激化する仕掛けとなっているのです。人によって、脳科学とも、認知神経学とも、催眠術とも、呪術ともとれる細工が施されているのです。この双眼鏡で絵画を見れば、えもいわれぬ弩級の感動がドッと押し寄せてきます。雨あがりの街を見れば、ネオンを透かして詩の十や二十が字ともなく音ともなく明滅します。試してはいませんが、これで生きもの最期など看取ろうものなら、ともに死んでしまうかかもしれません。 恐るべき女たちがはしゃいでいる一夜目をその双眼鏡で見ていた私は、あふれっぱなしの涙に溺れていました。彼女たちの騒ぐ姿は生命そのもので、常日頃から彼女たちの肉体に潜む美を抽出していたつもりの私でしたが、しかしこれほどまでの美しさにありついた覚えはなく、その魂の発散に酔いしれる思いでした。視界は初めて入る海のなかに等しく、人影だけは捉えたものの、輪郭の定まらない像がぼんやり浮かんで左右するばかりで、挙動まではうかがえませんでした。それだけ頼りない視界でも目を離す寸秒が惜しく、しかし像の結ばれた姿も見届けたいもどかしい気持ちとどうにか折り合って、ようやく目と目当ての間にハンカチを差し込み水分をぬぐってみると、ベッドの上に女たちが寝転んでいる情景が見えてきました。するとやにわに、そのうちの一人、泥棒師の女が、ベッドの裏、例の床板裏に手を伸ばしたのです。私は直感しました。彼女はこの部屋に立ち入ってすぐ、昔私が及んだ犯行に勘付いたのです。そして部屋中あちこちに埋め込まれた声をヒアリングして、いともたやすく盗まれた物品のあった座標を見出した…。 もしかすると彼女は犯人が誰かまで特定しえたのかもしれません。しかしあの日から今日にいたるまで、私は摘発されず、詳細は省きますが、私を前にした彼女の細やかな仕草一つとっても、従来と変わるところはまるでありませんでした。彼女こそ貴女なのかもしれないと勘ぐってみたりもしましたが、それこそ下衆な勘ぐりというやつで、私が彼女に摘発されない以上、私にも一定の節度が課せられているのです。 節度を保った範疇で不思議がってはいます。あの部屋が襲撃の現場に偶然選ばれたとは到底思えません。私は三十二人のうちの誰かがあの部屋の住人であったとにらんでします。何も犯人捜しをしようというのではないのです。節度を抜きにしても、そんな、探偵小説の真似事をするつもりはありません。あんなものは、いうなれば個人情報のコラージュだ。容疑者の時点では容疑者と見なされた全員が犯人の霊性を潜在させているのです。容疑者さえ絞れないとしたなら全人類が犯人かもしれない対象となる。誰しもが犯人である可能性を秘めている。それは可能性を閉じない、拓けた未来です。過去そのものである個人の情報を収穫して、誰かが何者にもなりうる可能性を絶やしてしまうなど、まさしく冒とくではありませんか。 価値を認めるから個人の情報は際限なく細分化され加増していく。価値がないのなら、個人の情報は取り沙汰されるはずもありません。当たり前のことです。今や尋常の私は、尋常の考えを好むのです。 果たして恋は情報でしょうか。私は貴女個人に恋しているのか。貴女の情報に恋しているのか。もし宇宙が空っぽならば、座標など打ちようもありません。惑星がある、衛星がある。星たちは自分の名前を知らないが、各々を相互に観測して、互いのリレーションだけを大事に大事にしている。
たしかに、私には双眼鏡の持ち主であった人物の声が聞こえるのです。 前の持ち主は私をはるかに凌ぐ泣き虫だ。双眼鏡を身に構えればいつも感激に打ち震え、構えの維持もままならず膝上に落としたりもしている。これは右手だけで支える横着に親しんでいたためで、左手はといえば、なにか油分の多い…ジャンクフードかなにかをつまんでいる。菓子なりつまみなりを平らげながらむせび泣く外法の愛嬌! 「いいえ、たしかに菓子を食べてはいましたが、しかしそれは、はじめから感激しようと意気込んで双眼鏡を構えるわけではなく、その時間が日常のひと時とともにあったからで、これはこれで、自分なりに誠実な運用をしていた証なのです」そんな声も聞こえてきます。そのくせ手入れは欠かしがちなものだから、涙が乾燥しきったあとの塩分が結晶化されたままになったりしている。涙の結晶は、当事者からどんな契機から流された涙かで形状が変異するとは、よく知られた話です。私はまた別の特殊な双眼鏡を駆使して、当該結晶を観察しました。一見すると不規則なパターン模様でしかありませんが、ある一点をまじまじ注視し続けてみると、無数の粒模様に輪郭と光が浮かびだし、まるで涙が敷き詰められているように感じられるのでした。 涙のなかに生まれる涙。その小宇宙の創造主が、私を取り巻く女たちの誰かである事実が、私には嬉しかった。歓喜にあふれました。 あの瞬間、私は恋を知りました。
余人であれば、すでに実っているともえいるこの恋は、持て余されもするでしょう。私は貴女と恋仲でありながら、それでいてなお、秘中の恋に焦がれているのです。ところが尋常化した私はそう難しく考えはしない。貴女が三十二人のうちの誰か知れない限りは、三十二人の誰もが貴女であるのです。この仕組みを完成させるために私は貴女へラブレターを書くことにしました。今から二年前のことです。この二年前とはいつのことでしょうか。決意から二年経ったのち今ひと息でこの手紙を書きあげているのか、それとも、私が恋を知った直後から書き始め、二年かけて今その文を書き終わろうとしているのか。なにしろ、読んでいる貴女からすればこの手紙の時間は静止しているけれども、書いている私からすれば時間は刻々過ぎているのです。すなわち、手紙は時空を超えるものです。ラブレターは恋の手紙ですから、この恋も時空を超越してくれることでしょう。 ひとつ種明かしをします。この手紙は少しずつ書きあげました。この二年間恐るべき女たちと過ごしてきた何百回という場面のさなかで、彼女たちいずれかのすぐ横で書いてきました。こうしている今もです。読まれない工夫はしてきたつもりですが、誰かには読まれていたかもしれません。誰かが誰かはわかりません。わからない限り、全員に読まれたようなものです。 だからこの手紙に宛名はありません。 宛名なくしては手紙は手紙たりえませんが、送り届けるくらいのことはできます。 今度は屋上からでなく、私も橋の下から川を渡り、溌らつと駆け抜けて、あの部屋に向かうとします。 この愛おしい季節におあつらえの冷たい小雨に濡れて、走っていきます。
——————————————————
しかしまあなんだな、 何千タイトルもの少女漫画を読んできて、 二十年間エロゲをプレイし続けてきて、 それで書きあがったハーレムものがこれか。
晴れ。やや暑い。 今週は天気が悪そうだ。 朝もはよから洗濯をした。
電車内で目の前に座ってる優男が 装着しているウレタンマスクをずーっと触ってて気持ち悪かった。 位置がしっくりこないのか延々調整している。 3秒くらいウジウジいじったら、10秒と間を開けずまたウジウジと…。 なんだこいつ…。 身体的事由にも思えず、 単に身だしなみの一環と手癖みたいな感じで触り続けてから 嫌悪感がとめどなかった。 その手で絶対何にも触れるなよと思った。
出勤前に郵便局へ立ち寄り郵便物転送の手続きをした。 印鑑を押す項目があり、確認してみるとサインで構わないとのこと。 何もかもサインで間に合うようになってくれたらいい。 あと印鑑がない場合は、って、書いておいてほしい。
今日は弁当作ってない。 引越しを前に妻が近所の蕎麦屋に行っておきたいとねだり、 ちょうど在宅の日取りであったので今日行かせることにした。 僕は中華で済ませた。 普段より安めの、500円の餃子定食。 ご飯はなんか山盛りにされたけれど、残した。
夕飯はカレー。2日目のカレー。
昨日書き上げた小品、ここに残しておく。
——————————————————
『ラブレター』
冬枯れにひさぐ街の隙間に小ぶりの椿がそっと艶を供えている姿を見かけ、愛おしい季節の到来に感じ入っております。 大椿という伝説上の巨木をご存知でしょうか。『荘子』に語られているこの木は、八千年を春とし、八千年を秋とし、三万二千年が人間の一年にあたるそうです。人間の生命の尺度をはるかに凌駕するこの大椿が花を咲かせた姿などめったに立ち会えるものではありません。そこから、珍しい出来事を椿事と言いならわすようになったそうです。
こうして私からお手紙を差し上げる椿事、さぞや不思議がられておられることでしょう。 私が貴女を見初めてから早二年の月日が経ちました。その間に私もつい、年を重ねてしまったようです。気を張ってさえいればいつまでも若くいられたものを、貴女を見初めた瞬間に、あの気もその気も緩んでしまい、どうやら私は、時が進めばそれだけ老いる、尋常の人間になってしまった。恋は人を狂わせるかのような噂ばかり聞きますが、とんでもない。恋は人を尋常にします。尋常になり果てた私は手紙だって書きます。まだ書いているさなかですから送り届けまではしていませんが、書き上げ次第、どうしたことか、送り届けもするでしょう。 これはラブレターです。渾身のラブレターです。ところどころラブレターの領分をはみ出しているよう見受けられるやもしれません。なにしろ、およそ人さまへと充てた書面になしうる意味合いのことごとくをこの手紙に表してみようというのです。私の全生命を込めてしたためているのですから、そのくらいの挑戦はさせてやってください。 人生のすべてを賭けて、貴女に私の恋を伝えてみたいと、この野暮天は勇み立っているのです。
さて、貴女はきっと、この黒々ときらめくインクのよく染みた世にも美しい手紙を手に取るやいなや、その重み、玄妙さ、神々しさ、ただごとでなさにハッとして、片手間にとりかかるはずであったつまらない雑事を片付けてから、ただこれだけに集中して、それは謹厳実直に、入学したての諸学生のような面持ちで、じっくり文面をお読みになってくださっていることでしょう。そのスバラしい気合をいったんほどいてもらいます。目を瞑り、なるべく時間をかけて…いえ、遠慮はいらない、この世の時間を止めるような深呼吸をしてください。そうして目を開けたらすぐ、右手を御覧ください。右手というのは、右腕の先っぽにくっついてる割れた塊ではなく、いま貴女のいる空間の右側という意味です。そこから上へ視線をそっと、…誰にもばれないようひそやかに、ゆっくりゆっくり、そっと流してみてください。いかがですか。いえ、そこに何があるか、何が見えたかなど知ったことではありません。私は時間のおぼつかなさ、空間のたよりなさを体感してもらいたかったに過ぎない。いかがでしたか。恐怖しましたか。その恐怖の実感を覚えていてください。その恐怖の裏にひそむ秘密こそ、私がこの二年間大事にしてきた××なのです。この××については、まだ名付けられてはいませんが、この手紙を読み終わる頃には、貴女が至適の名をあてがってくれるものと期待しています。 ところで…これだけは了解していただきたいのです。私は貴女に恋しております、が…くれぐれも、その恋を理解しようなどとは、ましてや理解し得るなどとは、自惚れないことです。私の恋は、言うなれば衛星のようなもので、惑星の都合におもねらず、ただ勝手にまわっているのです。つかず離れず、ただ勝手にまわっているのです。月は地球に懸想しているでしょうか。まさか、恋い慕っていないはずはない。月は気まぐれに地球上に降り立ち、気ままに走り、転び、その地表をなでまわし、ねぶり、その海面にたゆたっては、しゃぶりつくします。ところが、果たして地球の方は月をどれだけ知悉していることでしょうか。なぜ月が自分の周りをまわり続けているのやら、まったく地球は預かり知らないのです。 人類に達成しうる恋愛とはおおよそそのような構造にあります。 地球は衛星を一つだけしか配偶しませんが、火星には二つ、木星や土星にいたってはおよそ八十もの衛星をはべらせているようです。おさかんなことだ。私も負けていられません。
ご存じの通り、私には七人の恋人と五人の妻、十七の愛人、そして三人の運命の女がいます。 彼女たちは総じて嫉妬深く、且つは物分りがよく、私の口先のいちいちに深く頷きながら、まったく私のことなどどうでもよい、路傍の石に過ぎないかのごとき袖にする、思わせぶりな素振りを見せて、そのくせいつ何時も、どうにか私の気を惹けないものか、昼も夜もなく隙をうかがっています。貴女はもしかすると、彼女たち全員の素性はご存じないかもしれませんね。三十二人の恐るべき女たち…。よくも集めに集めたものをと、アッパレな所業に我ながら感心します。雨を怖がる女。彩度の薄い女。足音を使って笑う女。橋を渡りたがらない女。竜舌蘭しか食べない女。まぶたを鳴らさずにはいられない女。狸の親子を飼う女。天狗を知る女。足先を尻尾に見立てている女。嫌がらせ代行を生業とする女。視界に気に食わない色を見出しては自前の塗料で塗り替える女…。このあたりにしておきましょう。こんなあげつらいをしてみたところで紹介にはなりませんし、ましてや、うっかり、貴女への礼を失しかねない。要点を絞ります。彼女たちには疑い得ない、確固とした、共通の性情があります。もれなく全員が、心から私を愛しているのです。そしてまた、もれなく全員を、私は愛しております。ですが困ったことに、長らく私は恋を知りませんでした。よくある話です。私はその人間ばなれした愛の深さと大きさで、昼間には山林を弾みながらくぐり抜ける清風のように、夜中には星々を飛沫で撃ち落とす荒波のように、ときに強く、ときに寂しく、一人一人の胸中に巣食いました。ところが誰にどんな愛を試みようとも、恋の熱線が私をつらぬきはしなかったのです。 私の恋は貴女だけに実現しました。 他の誰でもなく、私は貴女だけに恋しています。 他の女を愛しながら、抱きながら、口説きながら、噛み、頬張り、味わいながら、私はなお、貴女一人にだけ、とろけるような恋物語を捧げたい。
ただ、彼女たちは揃いも揃って聡明ですから、私の恋心の不在はきっと、とうの昔から気取られていたことでしょう。また私は私で、人心の機微に敏いところがあり、それだけに、私のうわべの恋心の不在は感知されようとも、その奥底に芽吹いたばかりの恋心の真相だけは必ず隠し通してみせると、この二年間苦心したものです。 思えば二年前はまだ呑気していました。私も尋常ではなかった時分ですし、彼女たち全員を相手どってなお、ほとんど等分の愛を分配しているつもりでいました。ですが、相対と絶対、主観と客観、惑星と衛星といった二項には必ず認識のズレが生じるもので、彼女たちからすれば、平等な愛を実感できた日などなかったのでしょう。とはいえ何度彼女たちとの日々をやり直したとしても、結局私は同じように彼女たちを平等に愛したつもりになって、そうしてあの日、愛人の一人が言い放った言葉に、何度でも辿り着くのです。 「他の連中はいい。でも、恋人面してる女たちは許せない」 とうとう漏れてしまった一言でした。妬気が口に出された事実だけが大事なのであって、意味内容の充満している言葉には思えませんでしたが、周囲の女たちからは、そうだそうだ、とハ長調の声が上がりました。その場に居合わせた私は黙っていました。正直にいいます。怖かったのです。決して私に意見など求めてくれるなと祈るばかりで、ただ黙って、事勿れよろしくジッと俯いてしました。 愛人の一人に泥棒師がいます。 泥棒の業界とは不思議なもので、一流の腕があるからといって、有名にはなりえません。馬鹿らしいほど当たり前の話ですが、お縄となった者から名が知られていきます。達人ほど無名であるわけです。一方で、どの世界でもそういうものですが、その道を究めれば究めるほど、独自の術、技、癖が発展していきます。すなわち、素性が暴かれないながらも、その手口から、あぁあの泥棒かと同定されていくのです。彼女は一度どこぞの泥棒に入られた家ばかりをねらって盗みを働いていました。一度泥棒に入られた家というのは、それまでと生活様式が一変してしまいます。防犯設備の手入れ、貴重品の隠し場所、金庫の種類、扉の留め具の調子、鍵周りの埃の具合、家具の配置、動線に由来するトータルデザイン…。かつてどのような泥棒がどのように侵入しどのような犯行に及んだかは、以後の生活静態および生活動態へ、確実に反映されます。彼女にはその有様を鑑賞する趣味がありました。どの世界でもそういうものですが、その道を究めれば、成果物から声が聞こえるようになるものです。刀鍛冶はよその刀鍛冶が手掛けた刀一振りを見れば、その刃紋がいかなる哲学に裏付けられて焼き入れされたものか、即座に感得するものです。これはプログラマーがソースコードを見ても、パティシエがケーキを見ても、教育者が家庭の子供を見ても、同じことです。当の彼女も泥棒としては一流ですから、以前その家に入った泥棒がどのような判断を犯行中に下していったか、すっかり整えられ直された部屋からですら、手に取るようにわかるのでした。彼女はそうした部屋で顔も素性も知らぬ仲間の声を聞くのが好きでした。そして対話するように、あたかも平安貴族が恋の歌に返歌するように、自らの泥棒術を披露してきました。 話を戻します。恐るべき女たちから私の恋人を除く二十五人が、私の恋人七人に害をなそうという企てを立て始めたのは、まだ藪椿も花を咲かせない冬のはじまり、二年とちょっとばかし前のことでしたね。妻の一人に、時代が時代なら一端のフィクサーにも化けたであろう興行師がいます。この女の手練手管で、ふだんバラバラに生活していた恋人七人はひとところに集められました。二十五人は襲撃の準備を整えて、街の寝静まった静かな夜、目的地へと向かいました。 知っての通り私は古今東西の双眼鏡集めだけが趣味のつまらない男です。収集癖にもいろいろありますが、私は積極的に実用していくタイプで、独学ながら超望遠の技術もありました。その夜、私はまるで狙撃手さながら、彼女たちの動向を観測するに最適の立地を選定し、人払いしおおせたビルの屋上に陣取って、とっておきの双眼鏡を構えていました。白状します。とても、わくわくしていました。しかしそれ以上に二十五人の足取りは弾んでいて、双眼鏡越しの狭い視界のどこを眺めてみても、文字通り浮足立つ調子なのです。ある妻は足音で笑い、ある愛人はまぶたで音頭をつづみます。ある運命の女は不意の小雨を怖がって、橋の下に駆け込みました。その姿を見たある愛人は、橋の上を渡らず済んで嬉しかったのでしょう、ぱたぱた走り寄って、そのまま川を渡っていきました。川渡りに続くべきか二十四人が戸惑っている間隙を縫って、ある妻のふところから飛び出した狸がそれを追っていきまいた。砂れきと土くれの合間に置き捨てられた鉢植えが倒れ、暗闇に横たわる緑を竜舌蘭と見紛ったある愛人が這いつくばり、ためらわず葉をもぎとりました。すぐ横では、ある妻が鈍色の橋脚をそれとほとんど変わりない色味で勢いよく塗りたくり、あたりへ飛び跳ねる塗料のしぶきを余さず浴びようとするある運命の女の手足の敏捷は異界の踊りめいて、ますます彩度を低めていました。ある愛人が天狗を呼ぶための笛を短く鳴らしてみせると、停滞しかかっていた一同は感電したように大きく飛び跳ねて、着地したそばから溌らつと駆け抜けていきました。出遅れたものたちは手を取り合って、あわてずのんびり歩いていきました。のんびりでもやはり弾んだ足取りでした。 どう見ても、ピクニックか遠足にでも繰り出しているありさまなのです。 この襲撃は失敗すると私は見通しました。実際、あえなく失敗しました。彼女たちのあまりに明るい調子もさることながら、まったく、準備が不足していたのです。遅刻しないこと、忘れ物しないこと、こまめな点検をこころがけること…優等生になるためとばかり思われていた能力は、あろうことか、凶行の計画にも不可欠なのでした。これは盲点でした。二十五人と七人はこのあまりにもお生憎な始末に大笑いして、肩を組み写真を撮って、歌い、踊り、いきおいパーティーへとしゃれこみ、飲み、食べ、眠くなったものから眠り、目が覚めたものから起き、延々おおいに乱痴気を楽しんで、誰も宴を終えようとはしませんでした。
——————————————————
例によってenpitsuは文字数制限が厳しいから 後半は明日のっける。
今にも降り出しそうな曇り。
卵がないことに気づいて 恒例の休日トーストを諦め チャチャッとフレンチトーストをこしらえた。 フレンチトーストこそ卵液じゃろがいって怒られそうだけど 以前牛乳に浸すだけでも美味しかったから。 実際今日も美味かった。 バター多めにしちゃえばな。そりゃあな。 ただ浸す時間が本来なら一晩、最低でも30分は欲しいところ、 今回1分しかかけなかったから焼き上がりの具合はさすがに悪かった。
掃除。 カラーボックスを粗大ごみとして処分。 CDの山、山、山。これ全部段ボール詰めっぱなしになんのかな…。 コンポ、一応持ってくけど使う予定ない。
昼飯はぶっかけ。 万能ねぎなし。 でもうまし。
都市のドラマトゥルギーのメモ作成だけガンバッテから家を出た。 自転車で荻窪へ。 荻窪駅のルミネで挨拶品のゼリーを買った。 両隣と向かいの三軒分で三箱。 あと3COINSで、珪藻土のスポンジ台買った。 新居の電気メーター撮影はとどこおりなかった。 ただ位置が高かったから撮るのに苦労した。コレとどこおりか。 帰り道で迷った。 杉並区は道が悪い。 西荻の一区画はキレイな碁盤上で理想的だけど 荻窪阿佐ヶ谷のあたりは非常に入り組んでいて それでいて案内もあまりない、どころか 今日は案内に嘘をつかれかなり遠回りを強いられた。 むかむかしてたところへ 不運が重なり カゴから買った物品が落ちたと思ったら ピンポイントで珪藻土の。 割れた。 使い物にならない。
帰宅してみると 妻が自部屋のブラインドの取り外しに手間取っていた。 カーテンレールを取っ払って取り付けた代物で、 大変おしゃれなのだが なにぶん窓枠ピッタリのつくりで寸法は変えようがない。 はなっから引っ越しとともに処分する運命だった。 あぁでもないこうでもないと苦戦しつつ 最終的には妻が取り外した。
夕飯はカレー。 牛スネ肉を赤ワインでとことん煮込む。3時間くらい。 玉ねぎは3個分をみじん切りにしてあめ色に。 よく、弱火でじっくり20分とか見かけるけど いつも中火寄りで50分くらいかかる。 美味いからいいんだけども。 マッシュルームと、今日はニンジンも加えた。 具はそれだけ。 あとはスパイス数種炒めて加えた。 マンゴージュースも。 美味しい…。からうま。 なんか水分多めになっちゃったから 久しぶりに牛乳入れなかった。
ダーウィン。 夜に鳴く虫特集。 今年はとくにめいっぱい鳴いてくれてる虫どもが、 毎夜を快く彩ってくれてる。 番組では、この鳴き声はカンタン、この鳴き声はマツムシ、 とメジャーな鳴き声の何種類かの正体を教えてくれた。 非常に興味は満たされたが、数日もすればあえなく忘れることだろう。
雷電将軍がみるみる強くなっていく。 操作感が気持ちいい。 ダメージ量よりも ダメージ与えてる感のがもはや大事。
恋文書き終わった。 めちゃめちゃ気持ちいい…。 終盤は頭狂うかと思われたけど どうにか論法のしっちゃかめっちゃかを実現できたと思う。 正常な手続きを踏んで正常さだけで異常に到着する。 論理的に成立しているように見せて実は破綻しているのに どこがおかしいのかよくわからず 全体を通して成立させてしまう。 意味がわからないかしょがあるが 説明が抜けているわけではなく 説明をしきったうえでなおわからない…。 論法の手妻。 自分好みのものが仕上がった! タイトルはラブレターにした。 全文で1万字弱。 天使の話とほとんど同じ。 自分の体感的にちょうどいいボリュームだな。
曇りときどき雨。 雨といっても 降ってるんだか降ってないんだかの 息も絶え絶えな雨。 洗濯物は外干しにした。
昼飯は大葉のジェノヴェーゼ風パスタ。 冷蔵庫の中身を空っぽにしていってるさなか 生ハム買っても余らすから 中途半端に残ってたベーコンでつくった。 美味かった。
引っ越しに伴い 電気契約を東京電気から東京ガスに切り替えるのだが 引っ越し先の計器の情報を把握していないらしく、 この場合こちらで計器の写真を撮影する必要があるとのこと。 あわよくば不動産屋か管理会社に用意してもらえないか相談するべく 担当営業へ電話してみたが彼自身が数日多忙とのことで こっちで撮りに行くことになった。 ちょっと面倒だな。
高円寺駅前のコトゴトヘ。 たいへん繁盛していた。 掘り出し物市というイベント中で、 たしかに割安な製品が並んではいた。 しかしいずれにも食指が動かず。 新生活の生活用品および 引っ越し先隣近所の挨拶品でも買えないか目論んでいたが 結局なんも買わんかった。 そっから新高円寺方面へ足を延ばして 雑貨屋マルトへ。 相変わらずの異空間。 ここでも何も買わんかった。 この店は内装と品物が混然一体をなして異空間に化けている。 品物だけ手に取ってみるとその魔法が解けるようだ。
ネットスーパー初利用。 情報を比較していってみたところ Amazonフレッシュの評価が高いのだが 僕はAmazonが大きらいなので 楽天西友スーパーにした。 楽天も敵っちゃあ敵なのだが 本質的には憎む対象ではないから今回は利用する。 がお届け指定が4日後までだった。 引っ越し後即届くように、木曜日にまた手続きをすることになる。
夕飯はアジ。 大振りの立派なアジをおろしてなめろうにした。 高野豆腐、たくあん、味噌汁と合わせてザ・和食。 ご飯が進むって幸せだ。
恋文がラスト以外書きあがった。 ラストはまた論法の話となるから難しい。 他のとこは今回、割と好き勝手書けてただ面白かったのだけど。 論法のところは、常識と非常識、 理論と屁理屈を織り交ぜながら 整合性を確保しつつ狂わせていく微妙な加工が要されるので… 頭も使うし時間も使う。 ややこしー。
そんな記述をしているときばかりはシングルタスクになる。 だいたいなんでもマルチでこなせる自信はあるんだけども。 物語を書くにはまずダイブして…ふかく潜り込まないといけない。 そこに今日は妻がやってきて、ガチャさせろという。 原神のピップアップ、雷電将軍は残り10日を切っているが もう間に合いそうにない事情を伝えると、課金をほのめかす。 これまでは月額制微課金でちまちまやってきたが、 今回のそれは単発の課金となるから尻込みした。 しかし妻も強情で、私が金を出すから引いてしまえという。 僕もここまできたらキャラはほしいところだから要求を呑み、 3700円のうち1000円だけ妻に支払わせて20余連引かせた。 果たして、最後の引きで当ててくれた。 嬉しかったがキャラを動かすのもそこそこに、原稿に戻った。 やはりあの課金はよくない。順序が逆になる。 ゲームして得られる報酬で楽しんでいきたい。 ただ原神は当初の予定を大幅に超えて楽しめており、 都合9ヵ月にわたってプレイできているから、 製作側に金を還元するという機会としてはちょうどよかったのかも。
あぁあと、目当てのキャラが引けた瞬間の画像、 Twitterに挙げる人なんかいるようだけど、 ちょっと気持ちはわかった。 いや画像保存すらしようとは思わんけど。 金かけた分経過と結果を物語化したくなるのだな。
妻と夜散歩した。 深夜でどこにも入らないからノーマスク。 川べりをただ歩くだけ。 十数匹の鴨が並んでいるのをのんびり見たりした。 途中でどこからかネズミが現れ、明後日の方向へ走っていった。
この川べりを妻と何度歩いたことだろう…。 まぁそれ以上に一人で自転車走らせた機会のが断然多いわけだけど。 夕暮れの空がキレイに見える絶好のスポットだった。
帰宅を一度逃して遠回りをして、一度は花火をしたこともある公園に立ち寄った。 ハクビシンらしき四足獣を見かけたが、あえなく見失ってしまった。 でもハクビシンぽく見えなかった、タヌキぽかったと妻は言った。
夜風が気持ちよく、虫の鳴き声も気持ちよく、 気持ちいいづくしの良い散歩だった。 新居でもそんな時間を過ごせたらと願う。
2021年09月10日(金) |
奪われた青春を返せ? |
晴れ。 ほどよく涼しい。晩夏と初秋の間。なんていうんだろ。
弁当はナシゴレン。具はなし。 冷蔵庫の中身は順調に減ってってる。 目玉焼きを添えた。 昨日の筑前煮も少しだけ。
コロナの影響で学生生活を満喫できていない若者世代が 不憫で不憫で仕方ない。 その一方で、 コロナに奪われた私たちの青春を返せ、 みたいなフレーズに違和感を覚えもする。 文句の宛先についてはとりあえずいいとして、 ここで気になるのは、 “本来あったはずの”という感覚だ。 その”本来”を保証する根拠などないはずであるのに、 平和な時代にあっては 予想できる明日とか未来が常に所与のものと扱われて、 自己の努力とはかけ離れた扱いを受けている。 この感覚は幼稚そのもの。 どうにか克服しておかないと、 「先生」とか「学校」とか「会社」とか「政府」とかにも 無限性を適用させてしまう。 無尽蔵に与えられることが当たり前で、 与えられなければ即座に悪感情が湧き、 後から理屈を合成させていくという…。 もうさいあく。
今日の日記あまり書くことがないなぁと思ったときに、 そういえばニュースでこんな話見たな、 それにだったら意見があるぞ… と記述できてしまうことは多い。 有象無象がSNSでコメンテーター化していくわけだな。 自身に依拠する話題がないやつはニュース大好きだ。 話題、話題、話題。 話題が不当に価値化されている。
夕飯は中トロのブツと筑前煮。 醤油がなくなった。 買うべきか、否か…。むつかしい…。 でも買っとくか…。 替えがきかないからな。しかたねー。
引っ越し前日と当日のスケジュール立てている。 かなり忙しそうだ。
|