舌の色はピンク
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発熱の確認のため額へ他者の手をあてがうあの芸、 感じとれる熱は能動者と受動者の相対的な温度差に過ぎず 一方の絶対値なんて計れようはずもないのに あれでいったい何を明らかにできるというのか。 真実究明の意欲が足りないんじゃないか。 怠慢。諦念。横着。 でなければ思い上がりだ。 自分の手が厳正に恒温維持できているとでも盲信しているのか。 まさかな。 寒ければ手は冷える。そんなこと君にもわかってる。 いいんだよ。素直になろう。 君の手は君の生きる日常のなかで、 食べたり怒ったり恋したり歌ったり、花を摘んだり、 誰かを傷つけたり夕闇に怯えたり星に願いを託したり、 そんな何気ない息遣いひとつで、冷えもすれば温まりもする。 嘘をつかなくていい。君は真実に生きろ。 君の手だけが偽物なんだ。わかったね。さあ切り落とせ。 血の温もりより他に真実は求めるな。まだ間に合うぞ。私は間に合った!
もう何度も寒いって口に出して言っちゃってる。 それも自分が最も忌み嫌うシチュエーションで。
例えば夏の方がありがちなケース、 熱い陽射しからようやく逃れ 冷房のよくきいた屋内に入り込むやいなや 人は「ハァーあっつい」とか言う。 あたりまえみたいに言う。 あれが嫌なんです。 どれだけ体が火照ってるかしらんけど ようやく涼める環境へ身を置けたのだろ、 その瞬間に暑いとかいうな、 涼めてる主にも失礼だし、 なんというか過去のことをいうな。 いまこの瞬間に目を向けろ。 「ハァーすずしい」って言え。 そう思うんです。
が、忌みながら自身も今冬同じことをしている。 布団に入るや、風呂に浸かるや、ストーブにあたるや、 「うー寒っ」 この一言が脊髄から高速で這い出る。 滑稽だ。知能の低さをにじませる。 もっともっと律さねばならない。 ちのうのひくさをかくすために。
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最近よく目にするガムだかなんだかのキャッチコピー、
「息はほぼ、顔」
この一文が見せつけて憚らない、 鼻息の荒さと面の皮の厚さといったら…。 こっちのため息と赤面が到底抑えられない。 恥ずかしい。 こうしてここで取り沙汰するのすら恥ずかしい。 息苦しい。 正面から顔向けできない。
当たらなかった。 一撃もかすらなかった。
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「さあ、いよいよ発表だ。」 画面を開く。ドキドキする。 今日は、この前買った宝くじの当選発表の日だ。 ぼくは、(当たってるわけないさ)と思っていたのに、すごくドキドキしていた。 もしも当たっていたら……。宝くじの引換券を見つめる。券が震えてる! と思ったら、ふるえているのは、僕の手だった。 もしも当たっていたら、お母さんに大きな家をプレゼントしてあげたいな、と思う。ぼくの家は昔から小さかったし、お母さんは、そんな家で僕を育ててくれたからだ。だから、当てて、お母さんを嬉しい気持ちにさせてあげたい。今思うと、宝くじは、そのために買ったのかもしれない。そんなことを考えていると、当選番号発表のページが読み込まれた。 「あちゃー、ダメだった。」 当たるはずないのに、やっぱり悔しかった。どうして当たらなかったのだろう? きっと、それは、誰にもわからない。涙がにじんでくる。なにが宝くじだ。なにが家をプレゼントだ。手始めに目についた大きな家を燃やしてやった。おれは昔から火が大好きなんだ。お次は母校に点火。焼き尽くせ。手当たり次第火を放つ。街が業火に覆われる。飽き足りない。空母だ、空母をもってこい…。この国を怒りの炎で真っ黒に焦がして、連中に思い知らせてやるんだ。大丈夫おれならできる。いま生きているこの日常に勝る奇跡はないのだと、命と引き換えに、骨身に沁みるまで、みっちり教えてやるんだ……
宝くじを買った。はじめて。 先日のビンゴの当たりに味をしめたわけではない。 同僚の興に応じて持ち前の酔狂を発揮したまでのことで、 決して先日のそれは関係ない。
だからちっとも当たるとは思ってない。 かといって当たらないとも思ってない。 どうでもいいのだ、どうでも。 当たるとか当たらないとか。 あ、そんなもん買ってたっけ。くらいのもんなのだ。 くらいのもんとしている奴が当たるものなのだ…
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朝のワイドショーの番組名はどうかしてる。 ワイドショー自体その存在自体が 後ろ指差されて然るべきなのは言うまでもないとして、 せめて番組名くらいは自粛して欲しい。 ハイ人が刺されました、「スッキリ!」 ハイ地震が起きました、「とくダネ!」 あたまわいてる。
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あんまり外が寒いから 寒い と口に出すのを禁じることにした。 もともと意味がわからないと思っていた。 寒い。だからなんだよっていう。 言ってみたところで寒さは変わらないし 聞いた人間にどうすることもできないし。 やめた。 あと外が寒いだけじゃなくて屋内も存分寒い。 あと口にしないだけでココなんかでは寒いって打ちまくる。
2014年11月23日(日) |
妖怪ウォッチとはなんぞや |
これだけ世間賑わせ大流行中の妖怪ウォッチ、 その実態をろくに知らない。 だけど小学生を中心に青天井の人気であることは聞いている。 そんな20代はたぶん多い。
見知らぬなんらかのグッズだとかを目にしたときに あれ妖怪ウォッチネタなんじゃねーの? と思ってしまう。 知らないから。 とにかくなんでもかんでも妖怪ウォッチ関連に見えてしまう。 他の流行りものならなんとなくは見当がついたりする。 だけど今ばっかりは初めて触れるものすべてが 妖怪ウォッチ関連なんじゃないかと疑ってしまう。 街歩きして生垣に見覚えない花をみとめても あれ妖怪ウォッチネタなんじゃねーの? と思ってしまう。 疑心暗妖怪ウォッチ。 いつか理解が及ぶまでこの胸に巣食う闇が晴れることはない。 これこそが時計じかけの妖怪そのものだ。
2014年11月22日(土) |
陽気にあてられた一日 |
友人いかれぽんちの結婚式に出向く。 ウェデイングケーキを新婦から あーんされて口に収められきれず 落ちてそのままにされた残骸が本日のベストショット。
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二次会のビンゴ大会でオマール海老をあてた。 こういう機会にちゃんと景品あてたのは初めてだった。 運の運用の仕方を心得た気がした。 やりかたがわかった。 宝くじもたぶん当てられる。 当てられるのが確実。 確実すぎて当たったようなものだからもはや買う必要ない。
2014年11月20日(木) |
電車に乗る権利がない |
電車の電光掲示で遅延情報が流れてきて ふと視線送らせると 「鹿との衝突により遅延」 という一文だけ見えた。
ずいぶん直接的にものをいう。 鹿との接触事故の増加については聞いている、 だからって、ぼかさないんだな。 いつもの曖昧な言い回しで責任の所在不確かに濁したりしないんだな。 鹿には人権ないもんな。 配慮するだけ無駄だもんな。 人でなし。
これが兎だったら同じく兎との衝突によりと知らせるのか。 ゴリラだったら。河童だったら。ミュータントだったら。 答えの気にならない疑問ばかりが頭を巡る。 鹿は生きているのか? その電車は何両編成だい?
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それはそれとして 今日また電車のアナウンスのハメ技に見舞われた。 電車内と電車外の陣差を活用した彼ら一流の得意技だ。 乗り換えの案内で 乗車中の客に向かって 「2番線の電車は〜駅行き、乗り換えのお客様は3番線へ」 などと平気でいう。 乗車中の客は今停車中のこの電車が何番線に停まってるかなんて ろくすっぽ把握してないものなのに。 頑張らないと見えないよホームのそれは。 駅名の件と同じ。車内アナウンスだけにたちが悪い。 みんな気になってるはずだろうにどう思ってるのだろ。 いちいち気にしちゃいけないんだろうか。 それならばこうして嘆いている限り電車に乗る才能はない。 電車に乗る権利がない。
しばらく前に風邪はもうひかないと決めた。
決めたので、もうひくことはない。風邪は。二度と。 なぜなら決めてしまったことなので。 引きたくても引けないなぜならすでに決まったことだから。
そうして先週は喉が痛かった。 喉の痛みが去った昨日は頭痛がひどかった。 頭痛の治った今日は鼻水すすってる。
こうなると明日は発熱だけするのだろう。 僕がもう風邪を引かないものだから、 それらしい諸症状を小分けに発症させてきてるわけだ。 浅知恵も甚だしい。魂胆見え見え。 悪寒、嘔吐感、くしゃみ、咳、関節痛、 揃いも揃って行列なしてるんだろ。 僕の体調という狭き門に立ち並んで、各々プラカード持って。 列の最後尾が死亡なんだろ。見えてる見えてる。 やれやれなので今夜限りで閉門しておく。 これで安心。 図らずも今日限りで死亡しないことまでが決まってしまった。
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寒い。寒いです。 11月の寒さじゃない。 月の寒さ。 天体的極寒。息の仕方もわからない。
2014年11月15日(土) |
どくぼうがお好きでしょ |
うべなるかな、男子なれば誰しも一度は独房生活を夢見よう。 あるいは女子とても一致の憧れやもしれぬ。しかして当方たるは人間の端くれ、両の性は経ておらぬ。壮語戒め畢竟男子の夢について語るものである。
ところでこの時代この国家においては社会構造の基盤これすなわち資本主義である。乱暴にいって、需要と供給の仕組みを歯車に機能する運転装置である。 あるところに需要のやつが立っている。するとやにわに四方八方から供給どもが電光石火、大挙押し寄せ組んず解れつ揉みくちゃにする。息も絶えだえ瀕するまでは掴んで離さぬ有様である。これぞ諸君ら多勢が愛してやまぬ厚顔ふてぶてしき了解にして、かつは少数の諸君が覆すに能わず定着しきりせしめた不文律である。普く諸活動の前提である。条件である。全人圧倒の摂理である。 さればだ諸君! 独房生活への希求についてはすでに述べた。未だめくらまされるはその応答である。 あぁ、応答せよ! 楽器楽譜楽人が揃っていてだ。ただそれだけで兆されてあろう、奏でられるが定めとは。その音楽は呼吸に等しく無為自然の現象と呼ぶに当方いささかの躊躇いももたぬ。応答せよ! りんごは地に落ちて己が規範を世に示すのだ。
……独房生活への希求、否、訴求をだ……この社会は回収せねばならぬ…… 無論個人が軽率には実現しうる。例のいたる所業から縒って手繰って、然るべき裁きを拝受して。しかして体制に背を向けては夢見が悪い。夢見心地がための夢である。履き違えては男子の名折れ、見るも見下げためしいとなりし哀れさよ。 どうやらようやく霞が晴れてきた。暗雲退け希望の月明かりに照らされて、今ここに威風堂々供給の影がたちあがってくる。
すなわちビジネスモデルを組む。いわば経営型独房宿泊施設を構えてもらう。相思相愛、求める立場に答える力場。いわんや逢瀬場、穏便で円満で、念願成就の落としどころに相応しい。ほっ、とする。「きみは去れ。ぼくは住む」どこやらか号令が聞こえてきやしないか。
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独房ホテルがあったらいいと思うんです。 1泊や2泊なら泊まってみたいという人たくさんいる気がする。 受付でチェックシート渡されて、 看守の厳しさとか食事をこれだけ質素にとか、 ベッドのかたさだとか選べる仕様。 ただし初回はぬるい環境しか選べない。 通いつめてポイント貯めてゴールド会員にもなれば 本物さながらのサービス(厳しさ)を堪能できるという。
あまりに辛くなったら「リタイアでーす!」と叫べばいい。 すぐさま手厚く介抱され、懐抱され、解放してくれる。 ただし周りの宿泊客は陰険な笑い声あげるだろうし、 しゃれにならないほど舐められて、 もう次回の来店が見込めないほど傷つけられるリスクもある。
適性さえあれば1ヵ月コースをふんぱつしてもいいだろう。 模範囚と認められたら5000円のキャッシュバックもつく。 これを達成できるか否か、プラチナ会員への分かれ道だ。 プラチナ会員ともなれば、これはもう、ヤバイ。 拘禁。 猿轡嵌められてブロンズ会員の洋式便所の下水溝に放置される。 食事は下水に浸される。 猿轡には2cmほど隙間が設けられていて、そこからすするしかない。 しかも狭い。 構内は広いけれども配管が邪魔して体を動かすだけの空間がない。 そして寒い。臭い。不衛生だ。まともな人間なら1日で廃人になる。 とはいえそこはプラチナ会員。これぐらいじゃ音は上げません。 期日迎えたら笑顔でシャバに帰り、風呂に浸かって飯食って、幸福噛み締め、 明日からまた始まるサラリーマン生活への活力とするのです。
もちろん懸念もあって、いちばん怖いのが 客もいくところまでいっちゃうと 本物の独房、刑務所暮らしへの興味が高まるだろうから、 彼らが実際の犯罪に手を染めないかということ。 それで刑務所に送られてね。 「なんだ、ぬるいもんだ! これじゃせいぜいあの店のシルバー会員コース程度じゃないか。 ふん、飯もきちんと出るし、醍醐味がなくっていけない」 っつって。 でも3日4日経った頃に思い始めるわけだ。 ……これ、ずっと、ずぅーっと続くのか…… 半狂乱になってね。 とうとう叫び始める。 「リタイアです! リタイアー! リーターイーアでーす!」 なぜだろう隣人の笑い声すら聞こえない。 耳に入るは誰かの泣き声ばかりです。
2014年11月13日(木) |
写真、思い出、逃避としてのそれ |
スマホで撮ったやつ。 正確にはスマホみたいなiPodで撮ったやつ。
宮島は弥山山頂にて。あとでわかったことには上にいる白人たち、向こうからの修学旅行生だった。
3点のオブジェクトが思い思いに傍若無人の佇まいで、それぞれに干渉せず、 なお一枚のフレームに収められてしまっている滑稽さ。笑っちゃう。
我が寝室のボス。口癖は「ゆるさん」。あまり彼を怒らせないほうがいい。
おとぎ話の主人公たちは役目終えたのち全員行く末同じくこの場で殺される。
クシシュトフ・キェシロフスキみたいな彩像捉えられそうだと意気込んで 何枚も撮った。撮ったがあぁはならない。こちらのせいではない。フスキがわるい。
ドパァ。上と同じ観覧車。
クリームの海。
ほとんどイラスト。
雨に濡れたコンクリート。今にもあの特有の匂いが漂ってきそうでしょう。無臭でした。
無人に見えるでしょう。すぐ背後に200か300かってぐらいの人間が所狭しひしめいてる。
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写真整理たのしかった。 至ってしちめんどうくさく、 見向きもしないで放って置けるこのテの運動を 誰に求められたわけでもないのに今回成就できたのは ひとえにそれが逃避だから。
ひと月ほど前友達から頼まれ安請け合いした 結婚式とかいうイベントのウェルカムボードの作成なるものの 締切に背を向けて逃げたいから。 頭から追い出したいから。 何も考えたくないから。 何もないから。 何もない。 何だよ。
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