雨が静かに降っている。 小鳥がベランダで羽を休めている。 どこかのジャスミンが風に香りを乗せている。 遠くの工事の音が響いている。 風の中に雨の中にさまざまなことが潜んでいて わたしたちのもとへ届けられる。 歌声も笑い声も鳥のさえずりも鼻の香りも 工事の粉塵も工場の煙も見えない毒も 逆巻きながら 漂いながら 地表を充たしていて おもいきり吸い込んでみたり 鼻をきかせてみたり 耳をすませてみたり… 五感を総動員しても わたしには何もわからない。 風が吹いて 雨が降り続いているだけ。 荷物が届いて開いてみると わたしの腕ほどのズッキーニ ヤングコーン トマト そら豆… ズッキーニの季節だ… 心理検死官ジョー・ベケット (集英社文庫) 著者 メグ・ガーディナー著 山田 久美子訳 サンフランシスコが舞台のミステリー。物語中、何度か大きな地震が起こる。 主人公は二十数年前のサンフランシスコの大地震で崩れた橋に家族と載っていた自動車を押しつぶされ危ういところをなんとか救助された経験の持ち主。 トラウマで閉所恐怖症になった。 ストーリーの中でも何度か大きな地震に見舞われる。命を救う人救われる人、たとえ助かっても災害はそれぞれに傷を遺す。 主人公はおばあさんが日本人、協力して事件解決に奔走するサンフランシスコ市警の女性刑事は中国系で名前はエイミー・タング…はて、どこかで聞いたような…と既視感に襲われていると、あとがきの説明で納得。 十年ほど前になるかベストセラーとなったジョイラッククラブ」の著者・エイミー・タンにちなんでいるのだそう。 「ジョイラッククラブ」は大戦中に中国から亡命してきた女性たちとその娘、孫に続く三代の人々の暮らしを軽妙に綴った小説だった。 「ワイルドスワン」の重量感はなかったけれど、強さと希望と明るさを持った女性たちが登場する読者に勇気を分けてもらえるような物語だった。
ベッドにごそごそと侵入してくるものがいる。 あ… 犬だ… しかも 結構大きい犬だ… あんた だれ? 尋ねるわたしに犬派応えた。 My name is Jhon.Nakajima… ネイティブな発音 低めのよく響く魅力的な声だ。 で、ジョンだと しかもナカジマだし… 犬派ベッドの中で体を動かしながら自分のテリトリーを少しでも確保しようと束の間努力し そのあとは眠っていた。 ベッドの持ち主であるあたしのほうが犬を起こさないように気を遣って緊張して寝ていた… これは 何のこっちゃ。 これも予知夢だろうか… 午後 腹痛… なんもする気が起きない。
新じゃが 新たまねぎ たけのこ 今年は泣きたいほどに香りがよく、そしてうまい。 なすの味噌汁 ほのかに初夏のにおい。 きざんだねぎたっぷりの玉子焼きとで朝食。
******** 世の終わりに初めてわたしたちは決定的なある開眼に至るであろう。 すなわち、人間と国家の命運が時の権力者。為政者のさまざまな活動とか 不可抗力と見える各種の出来事によって築かれ展開しているのではなく むしろ世間的には無名の人々が静かに沈黙のうちに着実に行っているとりなしの祈りによって形作られてきていることに気付くのである。 --東洋の瞑想とキリスト者の祈り 著者 アントニー・デ・メロ著より
人は知らずに祈って暮らしているのかもしれない。 仕事に集中している時 だれかの無事を願うとき。 市井に暮らしルーティーンで社会を回しているたくさんの無名の人。 祈りのようなその暮らしが地球にとりなしを続けている。
|