俳優ユースケ・サンタマリア氏を個人的趣味で鑑賞...いえもと(改名しました)

こちらでは、ユースケ氏の出演作品の中から、後世に残したいとまで気に入った作品&ここまでこのドラマを食い入るように観てるのって私だけだろうと思ったドラマを、筆者が勝手に必要以上に評価させて頂いています。ネタバレ有です。
ドラマのあらすじを知りたくない方にはお勧めできません。
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時田のオデコ。in「少年メリケンサック」 - 2009年02月19日(木)

「少年メリケンサック」2009年2月 監督・脚本は宮藤官九郎。

いやー、映画が嗅覚をもカバーするかもしれない未来にはこの作品は観たくない(嗅ぎたくない)。

某所のレビューではそんなに好評でもなかったみたいだけど
筋の整合性はともかく置いといて、
とにかく、変なキャラ(誰かのパロディを更に濃く煮詰めたようなの)がいっぱい出てきて
想像もつかなかった役者さんの意外な姿が
無尽蔵にフラッシュのように来る。
それはもう笑って傍観するしかないんだけれど、
その中でも
ユースケ氏の演じる時田への憧れ(?いや憧れじゃないだろう)を語っていくコーナーです。
公開中なので、ネタをあまりばらさないように気をつけながら。

※時系列で行けば本当は「20世紀少年 第二章」から観て感想を書くべきかと思ったんだけど
でも第一章を観てないし、原作もまだ読んでないし、
この状態で第二章を観に行ってはいけないという気がして。
身辺が落ち着いたら原作の基礎からキチンと積み上げて満を持してからビデオ等で鑑賞したほうがいいのかなと。
サダキヨの陰鬱そうな目つきがすごく気になるけど。
それでジレンマに苦しみかけたけど。
あちらはオデコでも怖そうな元少年だしー。

オデコが出るとお笑いに拍車がかかるという特徴がある。
氏は。やはり眉毛の威力もあるだろう。
それは「今、何待ち?」
(注・かつて宮藤官九郎が手がけた深夜のショートドラマ+トーク番組。ユースケ氏が西荻トシキとして主人公を演じつつ毎回豪華キャストと絡んだ)
の時も感じていたが。

びっちりと、作り込んだようなファッション。
それから、目がヤラシイ。のに、栗田かんな(宮崎あおい)に対してとっても爽やかな(且つ、熱い)戦友なのだ。
彼女に対して、女を全然意識してない。
声の抑揚の緩急が、かんなのテンションに乗って小気味よく押したり引いたりして揺さぶられ、
キモかわいく
視聴者から呆れたような笑いを誘い出す。
そうやって、かんなを追い詰め持ち上げ叩きつけ押し出し、
仲良し上司と部下なのが微笑ましい。

突っ走っているようでいて3割がたは冷静。
冷静なようでいて心の底でも突っ走っちゃってる。

手のかかるヤツ、世話の焼けるやつ、は放っておけない。
放っておけないコドモオトナが、ざっと約4名は登場し
そのお母さんに、否応なく不本意ながら、かんなが成れば
そのまたさらに彼女のお父さんでありながら自分のコドモのころを良く覚えてる時田。

観ていくうちに少なからず驚いたのは。
時田というキャラの裏歴史設定が、前半の内にポロっと判明するけれども
ええっそうなの?と一瞬訝っても「ああ、なるほどな。だからこの味なのか」と自然に思わされるところ。
(具体的に言いたいけど言えないや。公開中だから)

メリケンサックの動画を映したディスプレイを閉じたり開いたりしてるときの
目を見開いたりつぶったりしてる様子なんか最高。
もっと時田のお喋りを聴いていたかったな。
喋らせたら上映時間は2倍3倍に膨らんで、おそらくタイトルも変わっていただろうか。「幻の“近親憎悪”〜俺達の時代〜」だとかに。

いかにも嘘くさく芝居がかった言い回しも随所に見られるのが楽しい。
例えばカミシモ着てても背中側に回ると裸だったりするような
インチキっぽさもあって。
やっぱりユースケ氏の
肩を聳やかせつつバーンとでっかく何かを宣言しまくるような口調と
ふっと自分の靴下の穴を覗いたような情けなく決まり悪そなつぶやきとが
眉毛の上の、オデコの皺の微かなさざ波と相まって
大波小波みたいに交互に押し寄せてくるからこそ
かんな(と視聴者)を落ち着かなくさせて
メリケンサックの世界に滑り込ませられるんだと思いました。








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弁当という言語が通じていたのなら嬉しい。 - 2008年09月02日(火)

「R246 STORY」より「弁当夫婦」2008年8月23日より公開。
(夏休みが終わったのでやっと初めて、さっき観られた)

25分ずつ、六つの短編が、それぞれ普段は映画監督じゃないアーティストによる監督作品で。
その中のひとつ。ユースケ氏、初の監督作品。
男(ユースケ・サンタマリア)&女(永作博美)の極日常的恋愛っぽくないけど恋愛ドラマ。

※お弁当を題材にしたのってすごく良かったね。
その場で作ってその場で食べる料理よりも、お弁当は、
時間差を考慮した・一層の想像力と思いやりが必要なのだから。
食べてもらうまでの時間や食べてもらう人の心身状況を鑑み、
持ち運びやすく、崩れにくく、食べやすい形状で、夏でも傷みにくく、冷めても温まっても美味しく、決められた時間内に食べ切れる適度な量で、
フタを開けた時の視覚効果も忘れず。
かなりの気を使うのがお弁当作り。愛に裏打ちされた高度なイマジネーションが要求される。
時間的にすれ違うパートナーに対する愛情表現を詰め込めるモノとして、弁当、これほど打ってつけのアイテムがあろうか?※

(以下、ややネタばれ有り。)

朝早くから女が、手際よく、慣れた手つきで、色とりどりの食材を使って、あんなに品数の多い、手の込んだお弁当を作る。
きっと上手い。美味しいに違いない絶対に。
鍋一つでできちゃうとか、下ごしらえ済のをレンジでチンとかじゃなくて、
ちゃんとたっぷりお湯を沸かしたり、
朝から揚げ物とか、巻き簾とか、もー、シンジランナイ。
で、男が起きてくるころには何食わぬ顔して、台所はきれいに片付き、
煙草くゆらして「仕事のできそうな女」仕様に変わっている彼女。
私はお弁当作り大変なのよーって顔は一切しないで。
でも物理的に(調理器具の片付けから自分の身支度だけでも)相当の所要時間がかかってる筈の朝。
何時出社だ?2時間前には遅くとも起きてるんでしょう?
そんな苦労を口にすることもなく、
全ては自分の作る豪華なお弁当にあらゆる何かを語らせてる(つもり?)。

彼女の勤め先のギャラリーから彼の仕事場(移動式カフェ)をいつも見おろす。何を思う、彼女。
さて彼のお仕事も、道行く人に美味しいコーヒー+αのホッと一息を提供して、いったい何年なのか。楽しんでやってる風。
彼目線で見てるとこっちにもその仕事に対する何か愛情愛着が伝わる。
きっと彼女は彼と彼の仕事をよく分かってて、全部好きなんだろうけど、取り組む世界はお互い違う、違うけど大事なんだろうね。

それなのにランチタイムの二人の(特に彼の)そっけなさ。
女はちゃんとイタダキマスをしてるのに男は何、無言ですか。黙々と食べる。
あんなに手間かけて愛込めて作られたお弁当に反応して欲しいよ。なんかどこか彼女に対して素直になってないのか?照れ屋なのか?
空気のように流されるランチタイム。
彼女も、そんな彼の無愛想に怒るわけでもなく、淡々としてる。
そうか、もう儀式か?絶対二人で公園でお昼を食べる。これを毎日同じ様に続けることに意味があるのか。そうか。
じゃあ、あの品数の多さ、わざわざ手間のかかるメニュー、それって、もう、意地?
いや、意地とも違うだろう、
・・・とか、二人の間のこれまでの年月に対して
想像を掻き立てられるシチュエーションと間合い。

今夜メシ要らないって言われた夜の永作博美、すごく色気あった。煙草の時ってそんな女なんだわ。煙の映し方が良いし。
けど何故、あれほど栄養バランス優れた料理を作るのに煙草?気にかかるが、
もしかして彼女なりの武装の為の小道具って気もする。

この作品で彼女の複雑な面が・魅力がよく伝わってきて私が男ならやっぱり結婚したいかも。
多分そんな女の魅力を表現したいと思ってユースケ氏は良い仕事したのかな。
つまりやっぱりある意味永作さん(のようなひと)を好きなんでしょう。

彼女が話を切り出した後の公園で彼女と彼は初めてまともな笑顔をさりげなく繰り出す。
それまでの二人の表情は読めそうで読めない難しさだったけど。だからこっちは不安に駆られたけど。

そして。
男は彼女の手元と成り行きを、何ともいえない顔で見つめてる。見守ってる。
このとき私も確信した。通じていたんだって。
彼女が彼を解かっていただけじゃなくて、
彼も彼女のことを解かっていたんだなと。言ってなかっただけで。
大体、彼、あの例のモノを常に携帯していたってことが物語る。
(取り寄せる時間はなかった筈)
だから「いつも持ち歩いてるの?」って彼女に突っ込み入れた彼に対しても
私が心の中で「自分こそっ!」と突っ込み入れつつ、
ようやく何か安心させて頂けました。心配させちゃって、もう。
だからって明日から二人の間の表面上の何が変わるわけでもなさそうだが。内面の何かが大きく変わるんでしょう。






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