俳優ユースケ・サンタマリア氏を個人的趣味で鑑賞...いえもと(改名しました)

こちらでは、ユースケ氏の出演作品の中から、後世に残したいとまで気に入った作品&ここまでこのドラマを食い入るように観てるのって私だけだろうと思ったドラマを、筆者が勝手に必要以上に評価させて頂いています。ネタバレ有です。
ドラマのあらすじを知りたくない方にはお勧めできません。
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「先生はえらいッ!」日本テレビ せっかくユースケ氏が良かったから - 2008年04月14日(月)

「先生はえらいッ!」日本テレビ2時間ドラマ 2008年4月12日
最近日テレは教育モノが好きなのか。

役者さんはそれぞれに良かったのですが(ユースケ氏については詳細後述)、

ドラマ自体のつくりは私はあまり好きではないです。
学ぶ側の主体性の大切さを気付かせる先生と、それに気付いて成長し教師を尊敬する生徒たち・・・、というテーマ自体は、誠実で良かったけど。
中学生たちが今時にしては純朴過ぎるのも、まあそれもかわいくて好きだけど、ちょっと現実離れした感じもする。
ストーリーテンポが、特に終盤は、時間稼ぎというか、念押しがしつこい。もう答え充分わかったから先に進めて欲しいと思う部分があった。
道徳の教材ビデオっぽいというか、ゆとり教育時代の小学生にも要旨が分かり易いように噛んで含めるかのような、
繰り返しの説明が多くて、
脚本の人に言いたい、そんなにしてもらわなくたってこっちは充分もう解るからと。
あと、演出がちょっとベタな気がするけど、それはワザと狙ったのかも?
ウザケン先生や保健室の先生や、あと、母親役の榊原郁恵さんなど、役者(大人)さん達の演技の巧さがあったから、チャンネルを変えずにいられた。

まあ、それは置いときまして。

ユースケ氏の演技には惹きつけられていました。
無愛想に突き放したような風でいても、何処かベースに容力を感じさせる声質と話し方。
「憎み切れないキャラ」が得意科目なのかな。
特に、病室での。
命の途絶える悔しさとか死の恐怖とかもきっと含んでいるであろう内面の感情は、渋く抑えつつ、涙など見せずに、
生徒に接するクールな温かさの塩梅、丁度良かったし。
自分の病状を告白して語っているシーンでの、間合いと表情の滲ませかたはすごくうまい。堪能しました。
たとえ誰にも表面的な人気評価はされなくてもいいけれど・自らの信念が生む教育がきっと生徒の中で実を結ぶ・・・という期待と予感を一縷の希望として、
間もなく来る別離に対する悲しみと釣り合せているような、短時間の間にその様々な感情の重層を見せてくれる、不思議な顔つきと
声の抑揚が良かった。

※ユースケ氏が今まで演じているキャラを分類しようとすると難しい、
大雑把には、
情けないけど情はある系・癒し包容力系・実直一途系・インテリ系・冷静クール系・間抜けでお馬鹿系・大風呂敷トラブルメーカー系・人を食ったような変人系・などなどが
それぞれ違う配合率で入り混じっているけれど、
どの人物も一見、観たことあるようで似たようでも、今までとは絶対に違う人物違う性格なのが、
ひたすら凄いなーーと思う。




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貧乏男子 その2 みんな卒業おめでとう。 - 2008年03月12日(水)

全9話 観終わった。

浅瀬と深淵を混ぜ混ぜしたような、複雑な心のチラ見せで、ユースケ氏のオムオムは存在感と吸引力がしっかり有り、
スルテンちゃんとの対比も際立たせて、見逃せない空気を発してた。
本音がどこにあるのかいつも謎で、決して心の奥底は見せないようにしながらも、
何だかんだ言ってオムオムなりのやり方でスルテンちゃんを手元に繋ぎとめてきたようだけど
(そうすることで揺らがされたり刺激されたり癒されたりもしたかったろうけど)、

第8話終盤、
スルテンの愛は一層パワーを増し、めげずへこたれず、
曾ての敵(ちゃ&テル)にまでも及び、このオムオムさえも包もうとするのだ、って、そんな答え
(救済に至る、欲していた答え?)を、
オムオムは、既に殆んど得られたと直感したのではないかしら。
あの時の、久しく出したことなかった荒げた口調の、
直後に抱き締められての真顔(何かの境壁絶崖で立ちすくんでから開き治り安息したような、宙を見つめる目)。
その瞬間に、求めてた答えの9割方は既に得られ、だから鳥籠の鍵を外してやりたくなったんじゃないかしら。

第9話に続く最後のゲームは、オムオムなりに、答えの残り1割を補完しようとしつつ、
スルテン(と自分自身)への、解放の儀式であり、はなむけのつもり、だったかも…。
その餞別が、真の無償の友情を証す封筒貼りの課題とは考えたもんです。

お金をばら撒かずとも、しっかりそこに在る、ささやかだけど確かな友情!ってものを、
オムオムも見たし、故意か無意識か、スルテンにもしっかりと見せた。

今の自分(悲劇の後の)が作り上げたポリシーも、意地があるので自己肯定したいけど、
どこかスルテンとも重なる過去の自分(悲劇の前の)のこともどこかで認めてやりたい、自己(&他者)肯定もしたい、
そんな「どっちも欲しい」オムオムのないものねだり的表情が、ユースケ氏のあの、どちらともとれる顔に出てた。
土下座の謝罪を聞く前に踵を返して颯爽と消える、あのオトナっぷりを見せておいて、

でも、籠の鳥を放してあげたのにどこか繋がっていたいという気持ちを、
スルテンに掬ってもらっ(一万円残され)たことに乗っかり、
ちょっと駄々こねて「もっと話そうよー」と縋ってるあたりのコドモっぽい可愛らしさ。
つまりオムオムにとってスルテンは第二ステージに旅立たせてくれた故郷の母親のように見える。

スルテンもメガネもナンシーも白石ちゃんも(そして多分、オムオムも)それぞれの変化と出発。
ご卒業おめでとうございます。

※そして3月12日、ユースケ・サンタマリア氏のお誕生日。おめでとうございます。



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