俳優ユースケ・サンタマリア氏を個人的趣味で鑑賞...いえもと(改名しました)

こちらでは、ユースケ氏の出演作品の中から、後世に残したいとまで気に入った作品&ここまでこのドラマを食い入るように観てるのって私だけだろうと思ったドラマを、筆者が勝手に必要以上に評価させて頂いています。ネタバレ有です。
ドラマのあらすじを知りたくない方にはお勧めできません。
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目次
 

 

「ウェディングプランナー〜スウィートデリバリー」フジテレビ その1 心臓にやさしいドラマ - 2005年10月08日(土)

「ウェディングプランナー〜スウィートデリバリー」(フジテレビ)2002年春

初回放送時のクールでは私はまだユースケ氏の魅力に気づいてなかったので、「サトラレ」(テレビ朝日系。オダギリジョー主演)を観るのに忙しかった。
「サトラレ」はDVDも買ったし、これと「ウェディングプランナー」を比較するなら、正直言って「サトラレ」に軍配を上げる。

しかしっ。このときに録画もしていなかったことが、後々こんなに後悔をもたらすとは、夢にも思わず。
なぜならレンタルにもセルにもなってないドラマだから。どこを探してもビデオもDVDもない。こんなことがあっていいのか。
出演者はユースケ氏、飯島直子さん、木村佳乃さん、妻夫木聡くん、阿部寛さん、神木隆之介くんなどなど、豪華なメンバーだし、
主題曲はケミストリーだし・・・・。どうしてビデオがないのか不思議でしょうがない。
3年近くも飢餓感に苛まれていた私の前に、最近やっと「再放送」という救いの手が差し伸べられた。
(だけど再放送ってCMの関係でしばしばシーンカットされてるので、放送当時のノーカット版を是非観たい)

その1 心臓にやさしいドラマ

感触が、テンポのいい「漫画」みたいだ。それも、力を抜いて笑って読める漫画。
(一応、コミックが原作だけど、それとは別物の作品に仕上がっているようだ)
どの登場人物も、なんだか憎めなくって可愛くって、でも、感情移入しすぎずに、汗もそれほどかかずに、心拍数を上げすぎることも無く、観ていられる。
随所に笑えるセリフ・芝居・展開がたくさんあって、免疫力も上がる。恋のすれ違いも、胸を苦しくして息が詰まることもないので、楽しく観ていられる。脳溢血で倒れることもなさそうだ。
じゃあ笑ってばかりかというと、そんなことはない。基本は毎回、結婚エピソードが一話完結で、これが観ていてほろっとくる。いろんなカップルの愛を応援するのは楽しい。
それにからんで、主人公の結婚観も、だんだん揺さぶられ、進化していく。恋だの愛だの信じられなかったトオルも、スウィートブライダル社に感化されて、いつしかスタッフはさりげなく友情で結ばれていく。そんな随所にほろっとくる。
ほろっとくるんだけれど、集計すると明らかに、笑って観ている時間が多い。いや集計まではしていないけれど。


どのキャラも良い。それぞれ笑わせてくる。
特に、大森トオル(ユースケ氏)の妹(石橋けい)が絶品。トオルの家の食卓で交わされる会話の妙。お見合いの席で他人の振りをする妹と父親の小芝居がもう一度観たくなる。なんだっけ、ボクシングジムのオーナーとその愛人っていう設定?よくそんなの兄の見合いに備えて考えておけるものだ。
メンタルクリニックの女性カウンセラー(高橋ひとみ)も、異常さが際立って最高。来ている相談者も、なぜ頭の薄い男ばかりなのか可笑しい。
怪しい空気の中で、しまいにはトオルは老舗和菓子屋の勉(温水洋一)に抱きついて「好きだ!大好きだー!」と叫ぶハメになるのだ。
フローリストの小此木純(阿部寛)も、彼と最後は結ばれてしまう美咲(木村佳乃)も、コメディアンだ。カッコイイはずなのに、あたふたするとすごく面白い。(この阿部寛のコメディ路線は、共演の妻夫木くんと「できちゃった結婚」でも生きている)
でも、なんといってもトオルと加奈子(飯島直子)の毎度毎度の喧嘩腰の仲良しぶり。小学生が好きな子をいじめたくなるあれかもしれない。
あの、マナマナ〜〜♪のBGMがぴったりはまる。何かと張り合う二人。そんな加奈子は、トオルに女の影があると、とたんにコワい顔でバトル。分かり易い。
いいカップルだなあ。トオルと加奈子。あんなに反発して噛みつきあっていたのに、その反面、ちゃんと相手の良さを認めて行って、最後は結婚までしてしまうんだから、ドラマって魔法のようだ。

もう、とにかく気楽に観られる。ユースケ氏がどんなにうるさくっても、かっこ悪くっても、手のかかる息子ほど可愛いように、可愛いのだ。



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「ホームドラマ!」TBS 秋庭智彦の演技 - 2005年10月07日(金)

「ホームドラマ!」TBS 2004年春 タイ観光バスの事故で大切な人を失った遺族同士老若男女。寄せ集まって「家族」を作り上げる。

※岡田惠和さんが脚本。いしだあゆみさんも出演。「お母さん」の役を上手にこなしている。智彦の息子役で、佐藤和也君も出ている。という点で「アル花」との縁を感じる。

ここに集う「家族」たちはそれぞれに性格も立場も違ってて、でも「大切な人を事故で亡くした」ということでつながっている。
一緒に住むのは傷を舐めあうためではなくて、「前に進むため」なんだ、と大家族的な同居を勧める、やや「うざい」あんちゃん・もとい、井坂将吾と、
彼とは対照的なちょっとクールな秋庭智彦、
「家族ごっこ」なんて嫌だ・自分の家族は死んだ妻と息子だけだ、と最後まで抵抗するあたり、「ひとつ屋根の下」の福山雅治ちい兄ちゃんを思い出す。局も脚本も違うけど・・・・。
でも始めの頃の智彦の気持ちはなんとなく私にも想像はつく。完全な理解はできないけど。
今、夫や子供が、もし死んでしまったら、なんて考えてみる。考えたくもないけれど。そのとき自分がどうなるのかはその立場になってみないと、本当にはわからないけれど、
ある程度イメージはできる。多分私なら、もう自分独り生きていくこと自体がしんどいことになりそうだ。後を追って死にそうだ、でもそれは、やってはいけないこと。 頭ではそう思う。何の意味があって自分独り生き残ったのかを考えれば、生かされた以上、嫌でも何でも、生きなければならないだろう。頭ではそう思う。でも実際その境遇に出くわしたら、そんなふうに、しゃんとして歩ける自信はないかも。

生きる意味。何をよすがに、どう生きていくのか。なぜ生きるのか。
あんなに大事に思っていた故人との思い出を抱えつつも、それと矛盾することなしに新しい人間関係の中でどう暮らせるのか。
簡単に答えは出ないし、きっと答えは一つでもないだろう。でもそのヒントの中の一つは、このドラマにあるように思う。

さて、ここではユースケ氏の演じる秋庭智彦に注目して、印象に残るシーンを挙げてみた。
☆第1話 ニュースでバス事故を知って現地の診療所に駆けつけるも、遺体となってしまった妻と息子を発見した智彦
遺体を包んだ袋(息子の野球帽が載っている)の上からしっかり抱きついて「お父さんが来たから、もう大丈夫だよ」と震える声でささやくところ。
かなり悲しい場面だけれど、それに溺れ過ぎることなく、ちゃんと絶妙なボリュームの感情表現で、かえって真に迫ってくる。
☆第3話 仕事でミスをして強制的に休暇を取らされ、仕事をさせてくれと上司に訴えたけれど聞き入れられなくて堪忍袋も切れる智彦
「なんで家族がいる時に休みくれなくて、いなくなったら、休め、なんだよ。何にもすることねえよ。休んで何しろって言うんだ!」
家族の為にと頑張って働いてきた、その仕事のせいで、子供の参観日にも運動会にも行けなかった皮肉さに対して、痛烈な後悔。
我に返って一すじ涙を流してそれを指でそっとぬぐいながら「辞めてやる・・・。」ここでいったん静かな口調になってから、「もう俺には、失うものなんて無いしな!」ものすごく悲痛な叫びだ。ここの一連の表情・しゃべり・間合い・が、私には何度観ても飽きない。

※ちょっと話が逸れるけれど、「あなたの隣に誰かいる」(フジテレビ・2003年秋)で、娘・鈴のことを「自分の子供だ」と言ってきた沢村数馬に対して「鈴は俺の子だ!俺と梓の子だ!」と泣かんばかりに叫ぶユースケ欧太郎の姿を思い出した。しかしここでの智彦は、それよりも更に虚しさを含んだ叫びで、とてもすてき。その弱った感じは、妻が浮気相手とホテルにいるのを突きとめてしまった欧太郎が「俺を見るな・・・」と言い捨ててぽろぽろと落涙しながら逃げ去った感じとも、似て非なるものだ。だいぶ話が逸れました。「あな隣」については、ユースケ氏の演技は見所満載だけど、ストーリーに幾つか腹立たしいところがあるので、後世に残したいとまでは行きませんで。では「ホームドラマ!」に戻ります※

☆第10話 亡き妻・香にそっくりの、喫茶店の女性・桃子に恋してしまって、でも、死んでしまった香のこともあって相当複雑な心境で、この件について将吾が快くは思っていないだろうと、帰宅してから食卓で「そういうこと思ったんだろう、嫌な気持ちになったんだろう?」と智彦が将吾にくってかかるシーン☆同じく第10話 もやもやした自分の矛盾、そしてそれでも桃子を妻とは別の女性として捉えて好きになっていること、などを居酒屋で将吾に打ち明けてさっぱりする智彦☆さらに第10話 休日、「家族」のみんなの応援もあって、私服でおしゃれして喫茶店に行き桃子と会うが、告白以前に「ご相談があるんですけど」「家を建てるので」「私、結婚するんです。」と衝撃の事実を知らされ、人知れず失恋した瞬間に、智彦が左手の結婚指輪(外していなかった)を指でなぞって、その左手をぎゅっと握り締めたシーン
つかの間の恋が敗れたその時、妻との大切な思い出をぎゅっと握って確かめたのだろうか。いろいろ感じさせられるシーンだ。その後の「もうね、サービスしちゃいますよ」と無理に明るく桃子にしゃべる智彦の強がり方が、哀しくて可愛い。  この第10話は智彦のストーリーなので、よくよく味わって繰り返し観たものだ。

智彦は、将吾と比べれば、冷静なキャラのようだけれど、ふっきれて大家族生活に馴染んでからは、お笑いも担当するようなホッとする役どころだ。
しかし、常に現実的な視点を忘れずに家族たちにアドヴァイスを入れる、良き「長男」。
・・・実は、これって、実際のユースケ氏の素顔にかなり近いのでは?と想像もできる。
ユースケ氏の普段の「地」は、きっとそんなにウルサくしゃべりまくったりはしていないだろうと思う。そう思い浮かべながら観ると、また興味深いドラマだ。


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