俳優ユースケ・サンタマリア氏を個人的趣味で鑑賞...いえもと(改名しました)

こちらでは、ユースケ氏の出演作品の中から、後世に残したいとまで気に入った作品&ここまでこのドラマを食い入るように観てるのって私だけだろうと思ったドラマを、筆者が勝手に必要以上に評価させて頂いています。ネタバレ有です。
ドラマのあらすじを知りたくない方にはお勧めできません。
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目次
 

 

「アルジャーノンに花束を」フジテレビ その4 ハルのお気に入りシーン - 2005年10月04日(火)

その4 特に保存したいシーン

ユースケ氏のシーンだけに絞っても、どのシーンも見所満載だけれど、あえて絞りに絞って特記すると、次の六つ。

☆第1話オープニング 
去ってゆく母の背中を見つめて立っている子供時代のハル(佐藤和也)に続いて、大きくなったハル(ユースケ氏)が同じ風情で母を待って立っているシーン。
最初の登場シーンなので、とても印象的。もやーっと夢の中で生きているかのような顔で、でもかすかな期待ももって、今日も同じ姿勢で、いつまでも来ないお母さんを待っている、絶妙な感じ。佐藤和也くんというのも、いいキャスティング。いしだあゆみも、ユースケ氏の母役にぴったり。どことなくルックスも似た要素あるし。

☆第3話 パン屋に訪ねてきて恭子と話していたエリナ先生が泣いている様子を見て、恭子に「あんたが元気ないからだよ。」と聞いたので、おもむろに粉を被って真っ白になってエリナを笑わせようとするハル。
子供って、お母さんに面白いことをやってみせるとき、これから自分がやることに既にもう自分が笑ってしまっているものだ。そんな雰囲気。純粋だなあ。

☆第5話 エリナの家で、手術成功を祝う会
今まで味わったことのなかった、高度なおしゃべりの楽しみに、改めてその奇跡的な自分の立場に気づいて、感極まって泣いてしまうシーン。
想像だけでよくあのような演技ができるなあと感心する。本当にその立場に立った人間が実際どうなるのかというより、それがリアルだと感じさせる。
いろいろな思いが去来していたことだろう。頭の良い人間にしかわからない冗談に笑える現在の自分の、その前の境遇の哀れさも考えると、それもまた泣けてしまうんだろう。こんな世界を知らずにいたという事実にも、やりきれないほど泣けてしまうんだろう。

☆第7話 学会に向かう途中で偶然蓮見冬美に遭遇 
実の妹だと気づいて内心驚き、でも一緒にいるエリナの立場や、何も知らない妹の身の上、更に母の幸せなど、あらゆる方面に気遣い、これ以上無いくらいスマートに対処するハル。
その表情が、これきり会えないかもしれない実の妹への思いなど複雑な心情をあらわしつつ、とてもかっこいい。
ちょっと数日前までは、建部教授に対して、あれほど意地っぱりな態度をとっていたのに、この一皮向けた感じはいったい・・・。
どうやったらユースケ氏がここまでかっこよく見えるというのかに、びっくりしたシーン。

☆第9話 花伊市の床屋で髪を切ってもらいながら、自分が実の息子であることを名乗れないでいるシーン
妹に対してもそうだったけれど、この父親に対する態度も、なんともいえない切なさを漂わせる。まだ親の愛を感じられていた遠い昔への、ハルの届かぬ思いなんかも感じさせられる。

☆同じく第9話 花伊市の川辺でのエリナとのキスシーン
同情とか愛情とか、恋愛とか男女とか、そういうことがもう判別できないくらい、ハルに対して愛を感じてしまったエリナが、そんな弱さをさらけ出して泣きじゃくるわけだけれど、その彼女の矛盾とか苦しみさえ、包み込んで受け入れてしまうまでにハルは成長したんだなあー。よくここまで成長した。偉い。
思わず駆け寄っていって横から抱き寄せるハルは、第6話での抱きつき方とは明らかに違う。
第6話のほうは、子供がお母さんに抱きつくようなものだったけれど、ここでは間違いなく、彼女を守る彼として抱きしめているのがわかる。
キスシーンも、ハルの一瞬ためらうような、でもエリナを大事に思っていることがよくわかるようなもので、その後の台詞もまた泣かせる。
「大丈夫ですよ、僕はきっと忘れてしまうから」←なんとかエリナの悩みを軽くしてあげたいという優しさが感じられてすばらしい。ついさっきまでは、いろいろな思い出を忘れたくない、と語っていたというのに。

☆第11話(最終話) 晴彦との会話
知能が元以下になってしまったハルに向かって、「わからなくてもいいから聞いてくれ」と、エリナとの結婚の決意を語る晴彦、それを聞きながら、わかったんだかわからないんだかわからない顔で、でもすごく優しい表情で聞いているハル。
この二人の心を思うと、もうそれだけで号泣したくなるのは私だけだろうか。
エリナ先生が笑うと、僕も嬉しい、僕が笑うとエリナ先生も嬉しい、そしてエリナ先生が笑えるように幸せにして欲しいと、晴彦に望んでいる、ハルの心の綺麗さが、
かつては晴彦に対して嫉妬して苦しんでいたあのハルと同一人物なのかと思うと、よけいに悲しくもあり、それがわかるだけに、晴彦も涙うるうるしているのだろう。ハルのためにも、エリナと晴彦はどうか末永くお幸せにと願わずにはいられない。

このドラマは家宝にしたいとまで思っている。もちろんDVD6巻セットで。
DVDには特典映像としてクランクアップインタビュー付。ここでのユースケ氏の涙が実に感動を呼ぶのであった。




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「アルジャーノンに花束を」フジテレビ その3 よくぞユースケ氏をキャスティング - 2005年10月03日(月)

その3 ユースケ氏というキャストの良さ

ここで、主人公の「ハル」に、よくぞユースケ・サンタマリア氏を起用したものだと、キャストを考えた人に感謝したい。
「ハル」は、実年齢設定は30歳前後。でも頭は幼児〜大人。
子供っぽいところ・生意気なところ・大人っぽいところ・馬鹿っぽいところ・繊細で切れそうなところ、すべて内包していなければならない。
人の心の成長過程を、青いところも熟成したところも。イヤなところも優しいところも。虹のように順繰りに繰り出さなければならない。
そんな役を自然に、演じていないように演じきる役者でなければならない。
さらに言えば、ルックスも、見ようによっては理知的な、ある種のかっこよさ、でも基本的に、ほよーんとした癒し系の、かっこ悪い感じもなければならない。
気性の素直さも、虚無的なひねくれも、全部矛盾なく見せなきゃならない。
さあ、難しい。

それをユースケ氏がちゃんとクリアしている。もって生まれた素材と、それを引き出す演技で、クリアしているに違いない。
つまり俳優としてのユースケ氏には、そういう奥深い多面性があるということだ。どこらへんが素材で、どのあたりが演技力なのか、はっきりとした線引きはわからないが。

細いながらも可愛らしくスタイリッシュな目の形や、福笑いのような眉毛の動かし方も、いろいろな表情を醸し出すのに役立っている。前髪が眉にかかるかどうかでも、ファニーな雰囲気で行くのか、ちょっと男っぽく低温に抑えるのか、調節ができる。
口元とか相当面白い顔でありながら、実は角度によっては口角がきゅっと上がって見えることから、次のような効果をもたらす。
・・・あら、この人、情けない男かと思ったら、包容力もあってすてきな笑顔だし、あんがい出来た大人?ただものではないな?と思わせるのだ。
そうなると、この人の演じる役柄に、俄然興味が集中してくる。いったいどういう人間なんだろうと。
意外性を見せ付けられると弱い、私のようなファンには、これがかなり効いてしまう。
つまり、最初っから二枚目で、頭よさそうな、そんな人はつまらない。
かといって、最初から最後までどこをとってもみっともない三枚目なのもがっかりだし、
どこかで「あらっ」と思わせて欲しい、そのほうが夢がかきたてられるし将来が明るいから。

それから声だ。ざらつきのある、高すぎず低すぎない声がポイント。品も保ちながら、馬鹿っぽい台詞も似合ってくる。
泣くシーンなど、本当に悲しそうな、共感しやすい泣き声だ。抑揚のつけ方も、パターンをうまくはずすことで、かえって感情が表に出てくる。
マウスのアルジャーノンが死んだときの台詞、最初の「友達だったのに・・・。」と、「友達だったのにい・・。」のしゃべりかたを比べると、なるほど深いなーと思える。

もちろん、演出や、メイク、カメラの角度なども大変大変重要だ。その点、これはユースケ氏の味をしっかり出せるように作られたドラマだと思う。




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