微分積分とキモイおっさん

『微分積分は頑丈な学問だ。』

予備校教師のこの一言で僕は数学が好きになった。
それまで、赤点スレスレだった点数はクラスで1番になった。

学校の教師は僕を呼び出してカンニングをしたのではないのかと、目の前で数学の問題を解かせた。もちろん僕は全問に正答した。

福音のごときその言葉を聞いたのは台風の夜だった。

予備校に行くと定期テスト前で台風という事もあり生徒は僕一人だった。

先生は教卓ではなく生徒の座る椅子を使い、僕と机を向かい合せて授業を始めた。
幾何学模様のシャツを着た、キモイおっさんだった。

『微分積分は頑丈な学問だ。だからちょっとやそっと無茶したところで理論は崩れないんだ。』

そう言うと、きょとんとした僕を前にして先生は微分の計算を始めた。

僕はこの日に一生分の数学を教わった気がする。頭の中に雷が走ってその日は眠れなかった。教科書には書いてない事だったけど今までで一番数学を理解できた。

大事な事は簡単な事だった、教科書に書かれている事は難しくてどうでもいい事だった。

それを理解してからは、数学の問題集が大好きになった。
ゲームソフトを買うように本屋に走っていっては、問題集を大事そうに抱えて帰ってきた。親は気が狂ったのかと本気で心配していたぐらいだ。

そして、次の定期テストで98点をとった。クラスの平均点は47点でダントツの1番だった。

あれから6年以上たつが、僕はまだこれ以上インパクトのある言葉に出会っていない。

次に僕が福音を聞くのはいつになるのだろうか。
2005年01月05日(水)

☆ささみチーズカツ☆

僕が通い詰めている食堂には定番メニューが存在する。

『ささみチーズカツ』260円がそれだ。

ささみの上にチーズを乗せ、それに衣を付けて揚げる。シンプルだがコレがうまい。

揚げたてをほおばるとチーズがトロッととろけだし、ジューシーなささみと絶妙なハーモニー。うまい。いつ食べてもうまい。

僕はコレを食べ続けている。他のメニューは頼まない。
5年半食べ続けている。継続は力なり。。
2005年01月04日(火)

実験!実験!実験!!!(゚∀゚)

実験をしている。

実験とはステレオタイプな作業に塩こしょうを振りかけたような行為だ。

必要とされるのは忍耐力で、いかに同じ作業を数をこなしてやるか。ただそれだけ。
毎朝歯を磨く行為とさほど違いは無い。

気がつけば実験!実験!実験!!!(゚∀゚) とつぶやきながら3年半もやっている。
もはや軽い麻薬のように、今日も出かけていっては実験をしている。
2005年01月03日(月)

☆岡村靖幸☆

岡村靖幸が好きだ。変態だから。

高校の冬に『ピーチクリスマス』のPVをみて惚れてしまった。『あの〜、24日に僕とあのその〜』という気の弱い男性の言葉に共感してしまった。以来、彼のCDとDVDをバカの一つ覚えのように買い続けている。

『変態は真実を語る』。

本当の事は自分の目で見た事だけで、いったいどれだけの人間が伝聞でない自己経験から人に物事を伝えているのだろうか?頭のキレる学者が本から得た知識を振りかざしたところで、靖幸の経験論には太刀打ちできない。変態の言葉はリアリティの固まりであり、そして偉大である。

何かを本当に理解したいならばその分野で変態になればいい、自分の感性に正直に感じたままを理解すればいい。人の意見は参考でしかないのだと。

そうでなければホンモノは理解できない。

他人の意見に同意して大勢に認められるか、それとも自分の感性を主張して変態となるか。どちらか選べと言われればあなたはどちらを選びますか?
2005年01月02日(日)

ストイックなくるま

『mrs』という車があります。

一言で言うなら『使えない車』。
・2シーターで人が乗らない。
・EGがミッドシップなのでトランクが存在しない。
・車高が低いのでコンビニの出入り口でエアロを擦る。
etc

普通の神経をしている人間ならば間違ってもこのような車を選ばない(新車販売台数は月100台程度のありえない少なさを維持している)。

普通の男ならば、男友達を連れてカラオケに行ったり、彼女を助手席に乗せて優雅にデートをしたり、気ままにドライブをしたりしなければならないのです。

間違ってもこのような車が候補に挙がってはならない。

そんな車選びにおいてまず最初にはじかれてしまいそうな車に僕はかれこれ3年半も乗っている。雨の日も風邪の日も晴れの日も、ただストイックに、修行僧のように。

もちろんこんな車を選ぶのにはそれなりのイキサツがあったのだが(コレについてはいつか書きます)。僕が普通の神経でないのは火を見るより明か。

この車に乗るならば2シーターで必要十分!!いや、助手席に散乱した荷物によって1シーターとなり下がっても『まだ広い!!』と豪気に言い放ちましょう。

『使えない車』改め『ストイックなくるま』。さぁ、今年もストイックに生きていこうか。
2005年01月01日(土)

●自動販売機●

自動販売機と相性が悪い。コレはもうガキの頃からだ。

自動販売機の『当たり』という機能に制限時間がある事を知らず、『当たり』の余韻にひたるあまりに逃してしまった事が2度ある。後でボタンを連打したところで何の反応もない。早くしないお前が悪いのだといわんばかりだ。泣き寝入りである。

体育館横にいきつけの自動販売機がある。今の時期は毎朝そこで温かい『おしるこ』を買って、ゆったりと優雅に飲むのが日課だ。

いつものように110円(10円安い設定なのだ)をコイン投入口にねじこみ『おしるこ』のボタンを押す。
ガタンゴツと音を立て、飛び出すスチール缶。取り出して手に取る。いつもと変わらぬ日常。

しかし、今日は何か違和感を感じる。はてと少し考えて気づいた。そこには『BLACK COFEE』の文字が.......。パッケージでは黒人のミュージシャンがトランペットを誇らしげに吹き鳴らしているではないか。

しばし混乱......。押し間違えたか......。いや、ありえない!!

品揃えの中に『BLACK COFEE』はそもそも存在しないのだから。よりによって『おしるこ』を欲する人間に『BLACK COFEE』を授けるとは、ありえないと思いつつ、自動販売機に表示された電話番号にコールする。こんなとき携帯電話は偉大だ。

電話口にでたおねぇさんは平謝りだ。
『申し訳ありません。ただちに係のものを向かわせますので』
『あー、急ぎではないので適当でw』

夕方に到着した自動販売機のおじさんは『いれまちがえちゃった、がひゃひゃひゃ。わるいなぁ。』と言った後110円を渡し去っていった。

今日は遅いおしるこタイムとなりました。
2004年12月31日(金)

☆えく寝坊をする☆

寝坊をする。目覚まし時計は役に立たない。

AM8:00 一番手のデジタル電波時計が鳴り響く。マイルドな音質である。

僕の無意識による目覚ましパンチにより、床に転がり落ちた彼はボクサーがマウスピースを吐き出すがごとく単三電池を二本空中に吐き出した。

AM8:20 二番手のアナログ式コンビニ時計が鳴り響く。

時間が経過するにツレ電子音がけたたましくなる。 1度目の停止ボタンを押す。しばし休息。

AM8:25 アナログ式コンビニ時計が息を吹き返す。2度目の停止ボタンを押す。またしばしの休息。

AM8:30 アナログ式コンビニ時計が再び息を吹き返すと同時に3番手の最強最大音量の本命時計が音を発する。

うるさい。

ご機嫌斜めな僕は2番手を手に取り3番手の最強時計に投げつける。

『ぐわぁしやぁ〜ん。りんりん..りん......りん..............ri』。

さぁ、寝るぞ。敵はすべてやっつけた。
2004年12月30日(木)

☆三者懇談☆

ガキの頃三者懇談で教師に言われた言葉がある。

『こいつはどうしようもない奴だ、このままではろくな人間にはならない。』

確かに僕はどうしようもない奴だった。
勉強はしなかったし、見たいテレビがあると言って授業の途中に家に帰ったりもした。先生にたてついてばかりいた。

僕は不良ではなかったけれど、教師達は並の不良よりも僕のことが気に入らなかった。たちの悪い生徒だった。

僕と教師達との会話はいつも押し問答になった。
『なぜ、学校にこない。』
『学校で勉強する意味が分からない。別になりたい物もないし、勉強する気が起こらない。』
『みんな勉強をしている、勉強していないのはおまえだけだ。』
『目標もなく勉強するバカが多いだけ。』
『バカはおまえだ!!!!』

結論なんて出てこなかったし、僕の真意を汲み取って教授してくれるような本当の先生にも出会えなかった。僕は孤独で、いろんな悩みを抱え込みながら助けを求めていたのだけど。

そんなこんなで三者懇談となると教師達はここぞとばかりに僕を責め立てた。親の前でならたてつく事もないだろうといった考えからだった。

そして三者懇談の日、担任の教師が文頭の言葉を口にした。

『こいつはどうしようもない奴だ、このままではろくな人間にはならない。』

しばし沈黙............。

『どうしようもないのは、あなただ。僕はあなたのことを信じられないし。何も話したいとは思わない。』と僕が言った。

教師は『ほらね』と言った顔をして、母親の方に目をやっている。
母親は黙っている。

教師はすこし怪訝な顔をして、時計を気にしながらこれで終わりにしようと言った。
ベルトコンベアーの流れ作業のように僕達は出て行き、そして次の親子が入ってくる。

教室から笑い声が聞こえる。僕の後ろの出席番号は優等生だ。

僕は学校の教師が嫌いになった。

それから10年後、いろいろな事が重なって僕は教師の立場になった。
気がつけば嫌いなはずの教師の立場に自分がなっていた。おかしなものだ。

初めて教室に入り生徒達の前で僕は話し始めた。

『僕は先生が嫌いです。だから、僕は先生になりました。』
2004年12月29日(水)

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