2014年09月25日(木) |
アクションを作るプロフェッショナル |
ちょっと前になりますが、19日(金)にWOWOWで、
谷垣アクション監督のドキュメンタリーがオンエアされていました。
「ノンフィクションW 日本のアクションを変える男 谷垣健治 〜香港の現場から映画「るろうに剣心」へ〜」
すっごく面白かったです。
谷垣さんとそのアクションチーム8人の精鋭たちなくして、
あの素晴らしいアクションは生まれなかったのだ、ということがよくわかりました。
ですが、谷垣さんが存分にその力を出し切れる環境を作ったのは、大友監督その人だと。
(と、伊勢谷友介さんが蒼紫のお姿のままおっしゃってましたわ。)
「アクションを作る」という専門職は、日本ではまだなかなか活躍の場がないらしいのですが、
大友監督という理解者と出会ったことで谷垣さんは初めて、
香港で培った経験や技術を最大限に発揮する機会を得られたようでした。
すべてのアクションシーンは、谷垣さんとそのアクション部が前もって作り上げ、実演し、
ビデオコンテ(アクションのテスト映像)にしておくのですって。
普段は表には出ないその映像が本邦初公開されてましたが、
あたりまえだけどそのクオリティの高さが凄まじい。
佐藤健くん
「剣心を演じませんか?の話が来たとき、剣心をやらせてもらえるのは光栄だな、と思いながらも、
(原作のあのアクションは実写では)無理だろう、と、思った。
でも、アクション部の映像を見て「動きが剣心だ」と。
とにかく動きが速くて、だけどちゃんと生身の人間がやっていて、今まで見たこともない、
想像したこともないアクションだった。で、これは行けそうだ、と。」
でもまさか、健くんはじめ出演者の誰もが、
そんなアクションのほとんどすべてを、実際に役者たちでやりとげるなんて、
想像していなかったんじゃないかしらん。
難しいところはCG、危ないところはスタントマン、って、普通は考えるだろうし。
でもアクション部は、それを役者たちができるようになるまで指導し、
役者たちも、何か月も前からトレーニングと練習を重ね、
結局、役者みずからがそのほとんどをスタントなしでやりとげてしまったという。
アクション部も凄いけど役者さんたちも本当にすごいわ。
谷垣さん
「スタントマンというと、高いところから飛び降りてる人、というイメージが日本ではあるけど、
そういうことじゃない。
(アクションを作り上げるのは)高度に頭脳と肉体を使う創作活動だ、ということが
わかってもらえればいいな、と思う。」
アクションってどうしても、普通の芝居よりも若干下に見られがちな気がします。
複雑な感情表現や心理表現を必要としない、と思われたりもするだろうし。
役者さんが実際には演じずに、スタントマンが多くを担う分野、っていうせいもあるかもしれない。
でも、アスリート的な高等技術はやっぱり見ごたえがあるし、
それを役者本人が実際にやっているというのはさらに凄いし、
そして何より、それは大友監督と谷垣さんのタッグによるところが本当に大きいと思うのだけど、
アクションそのものがお芝居になっていて、激しい動きから喜怒哀楽がひしひしと伝わってくる感じが、
従来の「アクション映画」ではない、と実感させてくれるところです。
たけるん、藤原竜也氏、伊勢谷友介氏、らがトレーニングウェアを着て練習している様子や、
実際の撮影現場での緻密な打ち合わせの様子や撮影風景まで、
裏側がたくさん観れて最高に面白かったです。
もちろん、師匠の場面もありましてよ。
再放送がWOWOWプライムで29日(月)25時からですので、観れる環境の方は是非。
そうそう、23日の大ヒット御礼舞台挨拶「伝説の御礼編」の様子も
動画と記事に上がってました。
ましゃ師匠のメッセージ全文が聴けます。
たけるんの言葉もすごくステキです。
動画はこちら。
記事はこちら。
今日はたけるんと大友監督で、
都内の9劇場で「大ヒット御礼舞台挨拶 『伝説の御礼編』」を決行されていたのですね。
ましゃ師匠からのメッセージもあったようですよ。
映画『るろうに剣心』公式アカウントで読めます。
さて、昨日の続き。
大友監督は「そして父になる」の映画も大好きで何回も観たそう。
大友 「『そして父になる』はいろいろなものをそぎ落として、シンプルな気持ちだけを見せていましたが、
るろ剣はアクションで内面を見せていくやり方なので、とても好対照なアプローチ。
僕としては、『そして父になる』の次に、福山さんがるろ剣に来てくれて、
大暴れしてくれてるっていうのがすごくよかったなって。
残酷なまでに強かったり怖かったりという福山さんは、龍馬でも見せてないじゃないですか」
福山 「そうですね。やさしい方向でしたからね、龍馬さんは」
大友 「はい。だからワクワクしましたね」
福山 「竹林は、一見足場がよさそうにみえて、実はすごく足場が悪い。
竹の切株がいっぱいあるんですよ」
大友 「そうなんですよー。やばいですよあそこ」
福山 「やりにくい。でもそのやりにくさが必死さを生み、
必死さが想像できなかったものを引き出したりする」
大友 「そう思います、ほんとに。
そこは残念ながら、楽な方を選ぼうとした瞬間に、風向きが変わっちゃったりする。
(←「間違っちゃったりする」にも聞こえる)
だから茨の道を歩まなきゃいけないんですよ、我々は」
福山 「大友さんが何度も観に行ってくれた『そして父になる』も、僕にとっては茨の道で、
お芝居をやったことがない子供たちに追い込まれた。
るろ剣も、いい意味ですごく大変でした。あんな大変になるとは思わなかった。
出演者みんな言ってると思いますけど」
大友 「でもやっぱり、それゆえの良さは滲み出てるしね。嘘じゃないものが撮れているという」
福山 「不器用な男たちの生き様が描かれているのが『るろうに剣心』。
このことが、実写化されたことですごく浮き彫りになったな、という感じでしたよね」
大友 「そうですね。生身の人が演じると、複雑な感情が見えてきますから。
でもやっぱり、うまくいってない人たちってかわいいですよね。
チャーミングですよね、それぞれの人物たちが。
そこに超然として出てくる比古さんも、剣心見送って、
『死ぬなよ』って言ってひとりぼっちになった背中とか、
ああこの人もいろんなもの背負ってるな、ってことを、現場ですごく感じたんですよね。
比古さんも、原作では無敵の比古だったけど、実写化したら人間になったというか」
福山 「それにしても健くんは、本当にがんばりましたね。
相当なプレッシャーもあったんじゃないですか?」
大友 「あしかけ4年、このプロジェクトを背負って、一歩間違えれば怪我するし。
でも21歳22歳くらいから25歳くらいって、振り返ってみると
男が一番変わる時期かもしれませんね」
福山 「そうですね」
大友 「福山さんがまさに、龍馬を演じながらいろいろな意味で変わっていったように、
一緒に龍馬と生きていったように、
健くんは健くんで、剣心と一緒にぶっとく成長してきたな、という感じが僕はしていて、
僕もすごく嬉しいです。それを記録している感覚になって」
福山 「映画でありながら、俳優・佐藤健の成長物語も同時に記録できてるという感じですよね」
大友 「はい。そこが今回もまたね、楽しかったですよ。次々に龍馬伝チームが集まってくるし」
福山 「集まりますよ! 次に何かやってもたぶんまた集まってきますよ」
最後にましゃの男性限定のライブのお話が出た時には、
大友 「俺行きてぇそれ!」
スピンオフや続編を望む声もあるという話には、
大友 「(師匠のスピンオフで)無敵の清十郎見せてやりましょうよ! でっかいのと戦おう!」
とか、本当にエネルギッシュな大友監督。
さすが茨の道をあえて選ぶ人は違いますな。
そしてその茨の道を、一緒に歩む覚悟のあるスタッフや役者たちがわらわらと集まってきて、
こういうものができあがる。
さ、今週は是非2回目を観に行きませう。
2014年09月22日(月) |
ましゃ×大友監督@たまラジ |
20日(土)のたまラジにるろ剣の大友監督登場。
ましゃ師匠とのトークが楽しいこと。
るろ剣実写映画を3部作でやりませんか? というお話が大友監督のもとに来たのは、
「龍馬伝」の撮影も終盤(2010年の秋)にさしかかった頃だったそう。
原作を読んだら少女漫画っぽかったので、「俺(大友監督)からは一番遠いなぁ」と思ったと。
でも、龍馬さんが「みんなぁが笑って暮らせる世の中を作るがじゃ」と言ってた先の明治時代の話で、
「龍馬伝」とのつながりを感じたのと、日本の漫画、しかもサムライもの、さらにアクションもの、というのは、
海外での認知度も高いというのはずっと前から感じていたこともあり、
「俺がやるのはこれなのかな」と、自然と思っていったのだそう。
そして2011年から、この3部作を完成させるのにかかった期間は4年間。
たけるんがたまラジに来たときに、「続編があったら福山さんに是非やってほしい役がある」と、
主役自らオファーしたことについては、
大友 「比古は剣心の師匠だし、剣心をあそこまで高めちやうと、なかなか(比古を)できる人いませんよ。
僕は健が福山さんに直接オファーしてたの、オンエアで聞いてましたけど、
俺、『行け行け!』言ってましたから。『そこで「イエス」を引き出せ!』と。
だって他にいないから。他にいないって時にね、誰を思い浮かべてるかと言ったら、もう。」
大友監督は原作者の和月さんと一緒に試写を観たそうですが、
ましゃの比古師匠を、和月さんは本当に喜んでいたそう。
大友 「ほんと喜んでたよ。興奮しちゃってて試写のあともしばらく帰らなかったくらい。
ものすごく喜んでました。ほんっとに喜んでました」
比古を演じるにあたってましゃは、
福山 「るろうに剣心に出てくる人はすべて、基本的に、人生うまくいってない人しか出てない。
時代に翻弄されうまくいってない自分の人生を、どうやって自分の理想や
自分の思う幸せにたどりつけるのか、って、あがいてる人たちの物語。
比古は大人ゆえに、そこからちょっと引いて、山に籠っちゃってる。その感じと、
あともう一つ大事にしたいなと思ったのは、剣心というものを生み出してしまった責任、
これをいかにとるのか、という、そのふたつ」
「龍馬伝」以来のましゃとの再会に大友監督は、
大友 「福山さんと現場で一緒するのは3年ぶりでした。久しぶりに志賀の山奥で撮って、
僕本当に興奮してましたから。比古って自分のルールがある人じゃないですか。
他の連中が刀で表現せざるを得ない哀しい人たちなんだけど、比古って自分でお酒を作り、
自分で作った器で呑んだり、その完結の仕方って、山に籠ってはいるけど
すごく豊かな人だなと、僕は思った。
一子相伝の飛天御剣流は、あまりに強いが故に、外に出ちゃったら必ず誰かに利用され、
誰かに加担するようなことに巻き込まれていく。それを防ぐために、自分で前向きにポジティブに
あの世界に籠っているあり方が、すごく魅力的なんです。
そのポジティブな大きさをちゃんと表現するって、実は難しいことだと思っていて。
そこがね、福山さんにやっていただいたおかげで、
剣心に与えるものや、久しぶりに会う自分の子供みたいな剣心への愛情も感じたので、
そのへんのデリケートな感じがすごく伝わったのでね。」
福山 「比古は、人斬りになっちゃった剣心に、自分で引導をわたさなきゃ、というのと、
もしそれができなかったら、俺自身も死ななきゃ、という、ふたつの気持ちがあったと思うんです」
大友 「俺、だから、怖い福山雅治ってすごい好きだったの」
福山 「はっはっはっは」
大友 「(剣心相手に)久しぶりに刀取り出してやるじゃないですか。竹林のシーンとか。
ああいう怖い福山さんがすごい好きだった。あと、俺がすごくこだわってたセリフがひとつあって、
『明治という時代は甘くはないぞ』って、剣心が出ていく時に言うんだけど、
俺、これはね、龍馬をやった福山さんだからこそ。
サラっと言ってるけど、あれにちゃんと重みを感じれたのは、俺的にはしてやったりというか、
俺はすごいホクホクだったの。誰もわかんないけど、俺ひとりで大興奮してた」
このセリフは確かに、福山龍馬さんが大好きだった者にはすごく感慨深いものがありました。
その実現のために奔走したけど、結局「明治」を見ることはできなかった龍馬さん。
いま、その明治を生きている比古師匠の後ろに、龍馬さんの存在を感じないわけないですから。
龍馬さんが生きていたら、どんな生き方になっていたのかな、と、思わずにはいられませんでした。
福山 「何をOKにするか、何を使うかがわからないのが大友組の素晴らしいところ怖いところで。
剣心との殺陣のシーンでちょっとアクシデントがあったんですけど、
僕がちょっとミスったんです。
健は当然そうは言わないんで、『そんなことはつきものですから』って。
でも、そのアクシデントがあったものが、最終的にはOKテイクとして使われてた」
大友 「だってすげぇんだもん」
福山 「使ったんだー、これー、と思って」
大友 「大暴れしてるんですよ比古が。それがすごく良かったんですよねー」
写真集には、剣心の左の白目が赤くなっちゃってるショットが1枚あるのですが、
きっとこのときかもしれませんね。刀の鞘が当たってしまったらしい。竹林のシーンですね。
師匠の殺陣には師匠ならではのクセを入れたのだけれど、
その中にはブルース・リーへのオマージュ的なこともあるのだそう。
大友 「師匠のそういうクセが、師匠としての余裕に見えてよかった。
剣心は余裕がないし、心情的にも追い込まれているし、
かつて師匠にさんざんやられて鍛えられてるから、小さいころの記憶、関係性は
そのまま引きずるじゃないですか。
比古さんとの関係では、剣心はいつまでたっても弟子というか。
だからふたりが向き合った時に、一挙に師匠と弟子になっていく。
で、その弟子が弱っている時に、比古がね、その弱みに乗じて攻め込んでく感じがね(笑)・・・」
福山 「楽しいんですよ。ほれほれ〜って」
大友 「それが比古のキャラクターとしてよく見えるという。気持ちよく蹴っ飛ばしてたもんなー」
長いので続きはまた後日。
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