2013年10月02日(水) |
そして父になる@映画の日 |
次のレディースデイには「謝罪の王様」を観たいのですが、
その前にもう一度「そして父になる」が観たくて、「映画の日」の昨日は再び映画館へ。
いやー、激混み。
映画館自体も大盛況でしたが、上映15分くらい前にチケットに並んだら、
「そして父になる」は目の前でどんどん席が埋まっていき、この回は無理かも、とあきらめかけたほど。
それでもどうにか入れましたが、前方の数列以外は見事な満席でした。
舞台やコンサートでもないのに、自分のまわり前後左右びっちり人に囲まれて映画鑑賞なんてね。
で、2回目もやはり、ましゃのカッコよさだけでなく、母親たちのステキさだけでなく、
リリーさんの天才っぷりだけでなく、子ども達の可愛さだけでなく、いろいろ感じるところがあって
また涙してきたわけですが。
慶多の撮った写真を見つけて良多が涙するところ、
是枝監督はこのシーンをカットなさろうとしていたのですよね。
それをましゃをはじめキャスト陣が「このシーンはあった方がいい」と提案して、戻すことになったと。
このシーンこそが良多にはっきり父性を呼び覚ましたように思えたので、もしこのシーンがなかったら
どうして良多は慶多に会いに行こうと思えたのか、想像できませぬ。
琉晴が流れ星に「家に帰りたい」と願ったのを聞いただけでは、「慶多もそう思ってるかも」とは
思っても、それ以上に良多自身が自分から慶多に会いに行きたいと思えただろうかと。
あの写真のシーンは本当に素晴らしいですね。
良多が慶多を見るまなざしには、自分ほど優秀でないことへのはがゆさや落胆など、
つねに評価が伴ってしまうのがあたりまえだったけど、
慶多が見ている自分は、いつだってただの「お父さん」。何の値踏みもない。
寝てるお父さん。背中の大きなお父さん。はだしの足が大きなお父さん。笑顔のお父さん。
父親が息子に向けるべきまなざしを、だけど向けていなかったまなざしを、
息子からまっすぐ向けられていたことに気づいた良多は、そこで初めて恥じて後悔したと思うのです。
自分は慶多の父だった、もっと父であるべきだった、ってね。
あの写真の数々からは、慶多から父親への全幅の信頼というか無償の愛を感じます。
あれに背中を押されなかったらもう何も良多を変えることはできない気がする。
かと言って良多がすぐ斎木父みたいになるわけないし、
というか、なられたらむしろイヤだけど。(リリーさんごめんなさい)
明日3日から始まる韓国・釜山国際映画祭にも出品されるのですよね。
是枝人気おそるべし。
2013年09月29日(日) |
さらば「あまちゃん」 |
「あまちゃん」、終わっちゃいましたね。
三代のマーメイドたちはもちろん、だれもが本当に魅力的でした。
登場人物はけっこうな人数がいたけれど、ひとりひとりの顔を思い浮かべてると、
それぞれのドラマがちゃんと思い起こされるほど、全員に存在感がありました。
だから、画面に誰がいてもいなくても、いつも面白かった。
ストーリー展開も小ネタのちりばめ方も、いつも予想のはるか上を行き続け、
もかかわらず、破綻することなく最終的には一番美しい形で結実させる神技。
何一つザツにほったらかしにされた人もエピソードもなかったし、
石ころと思っていたものも、最後にはすべて宝石だったことを知らされました。
最終回に至ってもなお、
この期におよんで勉さんがついにスポットライトを!?な、大ニュースが発生し、
だがしかしその栄誉を、師匠を差し置いて不肖の弟子・水口がかっさらい、
さらに潮騒のメモリーズ奇跡の復活の新聞第一面登場を阻止するという、
最後の一瞬まで勝負を捨てない、決して流して終わらない、この素晴らしい攻めの姿勢!
トンネルの中をアキとユイが跳ねるように楽しげに進んでいくラスト、素晴らしかったですね。
トンネルって、まだ見ぬ未来への不安を感じさせる象徴にもなるし、今現在の閉塞感を示したりもするし、
何より、ユイちゃんの希望を奪いトラウマをうえつけたすごく怖いものなのに。
でも、そんなトンネルの中をまぶしい光に向かって行くふたりの後ろ姿には、
明るさと若さと力強さがみなぎっていて、
きっと大丈夫、人生はわるくない、と思わせてくれるあたたかさがありました。
で、そのあたたかさにまんまと泣かされるのでした。
クドカンドラマの大団円では、こういうあたたかさを感じたことが一度ならずあったなぁ。
お見事としか!
観てきましたー。
「感動した! 号泣した!」という感じの作品ではなかったですが、
自然と涙があふれてくるシーンがいくつもありました。
是枝監督らしく、淡々としたシーンが続き、セリフもすごく少ないのだけど、
ふとした表情、ふとした仕草から、想いがすごく伝わってきます。
大人たちはもちろん、子どもたちからも。
ましゃ演じる野々宮良多は、わたしの印象では、それほどイヤなヤツではありませんでしたわ。
優秀なエリートがあのくらいの不遜さを持っているのは、想定内というか許容範囲内。
もっとたちの悪いのなんて、いっぱいいるもん。
本当にどうにもならないサイテーな奴だったら、こんな経験を通してだって、
父になるためのスタートラインに立つこともなかっただろうし。
母親たちが子どもたちに接する様子が、すごく良くてね。
わたし自身、ひとりっ子の母親というのもあって、みどり(尾野真千子)に一番感情移入
してしまいましたが。
あと、慶多がかわいいのはもちろんなのだが、斎木家の末っ子・大和の可愛さがもう!
ほとんど赤ちゃんに近いほぼ4頭身な体型で、まったく演技していないあの一挙一動が、
あの表情が、もう可愛くて可愛くてー。
わたしがリアルタイムで観た役者・福山は、龍馬さんと湯川先生(と、アマルフィとアンダルシアのスクープ屋)
だけで、もちろんそのどれも大好きですが、すべて個性的すぎるほど個性的。
良多は、あたりまえだけどそれらと比べたら一番普通の人で、
血の通った人として身近に感じられるのが、なんかすごくいいなー、と。
パンフの父と子のショットの数々もすごくステキ。
映画本編では観ていないショットもあるみたいです。
近いうちにもう一度行きませう。
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