2004年09月14日(火) |
ついに助産婦さんにたどりつきました。 |
これからの話がわかりやすくなるように、9月11日の日記を書き直しました。まずは、そちらをご覧ください。
仕事の昼休み中に、Mさんに電話をかけました。そして、何度もくりかえしてきた「妻が妊娠したのですが」という話を始めました。 「はじめまして。林ともうしまして、OさんにMさんを紹介していただいた者です」 「はい。林さんね。きいていますよ」 ああ、よかった。 「実は、妻が妊娠しまして、自宅で出産したいと考えているのですが、お願いできないでしょうか」 「おめでとうございます。私がやってあげられたら一番いいのですが、私は、ちょうど90になりまして、今は、指導とか相談はやっているのですが、お産はあまりやっていないのです。でも、知り合いの助産婦がたくさんいますから、その中から、一番いい人を紹介してあげます」 「はい。ぜひ、お願いします」 「それでは、奥様のお名前と年齢、連絡先を教えてください」 「はやしきょうこです」 「きょうこさんは、京都のきょうですか」 「いえ。恭賀新年のきょうです」 「ああ、恭賀新年のきょうですね」 ひとつずつ丁寧に言葉を区切り、何度か聞き返されながらも、必要な情報をお伝えしました。 「それでは、一番いい人に連絡をとって、お電話いたします。2、3日お待ちくださいますか」 「はい。よろしくお願いします」 すぐに妻にも電話をして、うまくいきそうだと伝えました。 それから、20分ほどして、ぼくの携帯電話にMさんから電話がかかってきました。 「今、みなさん、お盆休みなので、連絡がつかないので、4、5日待っていただけますか。必ず、一番いい人をご紹介いたしますから」 「はい。よろしくお願いします」 2、3日待つようにと言いつつも、すぐに連絡をつけようとしてくれたのです。ありがとうございます。 そして、なんと翌日、Jさんという方から電話がかかってきました。 「助産婦のJともうします。Mさんから話は聞きました」 「はい。ありがとうございます。妻が妊娠しまして、自宅で産みたいと考えていまして、お願いできる助産婦さんがいらっしゃらないかと探しているのです」 「はい。よろしいですよ」 やった。ついに、助産婦さんにたどりついたのです。 「奥さんの名前は、はやしやすこさん、とおっしゃる」 「いいえ、きょうこです」 「えっ、きょうこですか」 「はい。恭賀新年のきょうです」 「ああ。恭賀新年のきょうで、恭子ですね。やすこじゃないんですね」 「はい。恭子です」 どうやら、「恭子」とは伝わっていたものの、いつのまにか「やすこ」と読まれていたようだ。 「お年は、35歳ですね」 「いいえ、ちがいます。」 年齢も違っていた。 「初めてのご出産ですね」 「いえ、3人目です」 名前も年齢も子どもの数もすっかり違って伝わっていて、なんだかおかしくなってしまった。 「今、3か月でつわりに苦しんでいます」 「そうですか。おなかをすかせないほうがいいですね。病院へは行っていますか」 「つわりでですか」 「はい」 「いえ。行っていません」 「偉いねえ。今の人は、つわりがつらいと、病院へ行って薬をもらってきたりするのに」 なんて、優しい言葉だろうか。 「母子手帳はもらいましたか」 「いえ。まだ、どこにも診せていないのです」 「そうですか。私がおうかがいすると、4000円かかってしまいますから、区の保健センターへ行けば、210円で診てもらって、母子手帳ももらえますよ。そこに、私も行きましょう。それから、出産の料金は、産後1週間通いまして、18万円でけっこうですから」 「あのお、お医者さんがあまり好きではないものですから、もし、4000円をお支払いしてJさんに家まで来てもらって、妊娠の診断をしていただいて、それから区役所に行って、母子手帳をもらうことはできますか」 「はい。それでもいいですよ。妊娠証明書を書きますから」 やった。それでもいいのですね。 「では、おうちに戻られて、奥様とご相談されて、いつおうかがいしたらよいかお決めになってください」 「はい。わかりました。また、ご連絡いたします」
家に帰って、妻と相談して、つわりが落ち着いてからにしてもらおうということになった。その旨をJさんにも伝えました。妻も、ぼくもやっと、一安心しました。 Iさん→Oさん→Mさん→Jさんと、人のつながりによって助産婦さんに会えました。さっそく、IさんとOさんとMさんにお礼の電話をかけました。
以上が助産婦さんに出会うまでの顛末です。今日現在、つわりが続いているので、まだJさんにはお会いしていません。 ここからはリアルタイムの話です。 家に帰ると、南瓜が蒸し上げられていた。お昼に妻が自分で南瓜スープを作ったのだそうです。少し、具合がよかったのでしょう。夜ご飯も、子どもたちに南瓜スープを作ってあげて、と言われましたが、子どもたちの保育園でのおやつも南瓜だったそうなので、その南瓜は明日のおやつとして、パンブキンパイの材料にすることにしました。 夜ご飯の支度をしながら、簡単なパイ生地を作って、冷蔵庫で冷やし固めておきました。フードプロセッサーで小麦粉とバターと砂糖を切り混ぜ、冷水とともにスキッパーで刻みながら一つにまとめていきます。 子どもたちを寝かせてから、中身を作りました。南瓜の皮を取り除いてつぶし、卵黄、砂糖、バター、みかんジュースと混ぜて練ります。パイ生地をのばして型に入れ、この中身を入れて焼けばできるのですが、はや、0時になってしまい、力尽き、焼くのは明日の朝に延期しました。 ともあれ、妻の体調がよいのは何よりです。
翌朝、寝坊してしまってあせりましたが、出勤5分前に何とか焼きあがりました。妻は、あまり朝食を食べたくなさそうでしたが、 「パンブキンパイ焼けたよ」と言うと、 「食べる。食べる」と元気がよくなりました。行ってきます。
2004年09月13日(月) |
助産婦さん探しは口コミで |
妻は、今、活字を見る気力がないそうでこの日記をまだ、読んだことはありません。どんなことを書いたかをぼくが口頭で伝えていますが、「まだ助産婦さんにたどりついていない」と言うと、「それじゃあ、『自宅出産日記』にならない」と言われましたので、助産婦さんにたどりつくまでの話を書いてしまおうと思います。 口コミで助産婦さんを探そうと考えたとき、まず、まっさきに思いついたのが、I家の人々のことでした。Iさんたちは、農家です。札幌で、無・低農薬の野菜を中心とした直売所を畑の前に構えており、一家の生計はすべてその店によって立てている、というすごい農家です。野菜だけではなく、イチゴやメロンなどの果物、米、自家製粉の小麦粉、ソバ、しめ飾りなども販売しています。 ぼくが大学4年生のときに、農学部で卒業論文を書きました。「地場流通の今日的意義 〜札幌市の農家直売を事例として〜」とうテーマで、有人の直売所をたずね、農家の方にお話を聞かせていただき、お客さんにアンケートをとらせていただきました。スーパーで野菜を買っている人の回答と比較したところ、直売所のお客さんはおいしさ・新鮮さ・安全性を重視し、スーパーのお客さんは価格を重視しているという美しい結果が出ました。 そのときに、とてもお世話になったのが、I家の人々だったのです。その後も、ご飯をごちそうになったり、ぼくと妻がともに熱を出してしまったときに子どもを預っていただいたり、家庭教師をやらせていただいたりして、お世話になりっぱなしの人たちなのです。
店をやっていること、しかも安全志向の高いお客さんが多いことから考えると、自宅出産に携わっている助産婦さん、あるいは自宅出産をした人をご存知ではないかと考えたのです。そこで、電話をしてきいてみました。 「助産婦さんか、自宅出産をした人をご存知ではないですかとたずねると、電話の向こうでは、 「Oさんが自宅で産んだんじゃなかったっけ」と話をしている様子が聞こえました。 「確か、自宅出産した人がいるので、その人に確認してみますね」 そこで、待つことにしました。すぐに折り返し電話がかかってきました。 「Oさんというお客さんが自宅出産をしたそうです。でも、それは数年前の話で、助産婦さんは80いくつだったらしいんです。でも、その人の助手もいて、紹介してくれるかもしれないというので、Oさんに聞いてみてください」 と言い、Oさんの連絡先を教えてくれました。 早速、Oさんに電話しました。妻が病院での出産を嫌い、自宅での出産を望んでいる旨を伝えると、賛同してくれ、前回の助産婦さんに頼めないということについては、たいへん残念がってくれました。 「Mさんという助産婦さんに来ていただいたのですが、人間的にもたいへんすばらしい方でした。ただし、今年、たしか90歳で、ちょっとお願いできないと思います。二人組みになって来てくれたのですが、そのときに一緒に来てくれたもう一人の方が、その方も70代でしたが、来てくれるかもしれません。どちらにせよ、Mさんに言えば、どなたかを紹介してもらえるでしょう」 と言い、Mさんの連絡先を教えてくれました。 まだつづく
2004年09月12日(日) |
疲れやすい妊婦さんの買い物 |
4か月の第1週目。まだ、安定期とは言えません。でも、一日中家の中にいても、気が滅入るだろうと思い、週末は家族で買い物に出かけたりします。 今日は、「冷蔵庫で冷やすもの」を買いに出かけました。どうしてそんなものを買いに行ったかというと、大きな冷蔵庫を買って嬉しかったからです。
ぼくたちは今まで、大学を卒業して引っ越していった友達が置いていった一人暮らしサイズの冷蔵庫を家族四人で使っていました。これは、かなり詰め込んで使っていました。豚を飼っている友達から、つぶしたときに買うので、一度にたくさんの肉が届くのですが、特に豚骨が場所をとっていました。 一度にスープをとってしまうと使いきれないので、豚骨のまま冷凍しておきます。それが小さい冷凍室のほとんどを占めていました。そのため、氷など作ることはできず、氷枕や氷嚢を使いたい時には、コンビニエンスストアまで、水割りに使うような氷を買いに行っていました。 考えてみると、実家を出てから14年間、冷蔵庫を買ったことはなく、すべてもらいものを使っていました。けれど、もうすぐ5人家族になるのだし、大きい冷蔵庫が必要ではないか、という話になりました。それならば、ノンフロンのものをと思い、家電屋さんに行くと、驚くべき機能と省エネ性を兼ね備えた冷蔵庫たちが並んでいました。野菜をそのまま入れる、凍ったまま切れる冷凍、今のうちの冷蔵庫の4倍の容量なのに電気代は半分以下。ほんとうにそんなことがあるのでしょうか。 それらはすべて事実でした。ぼくたちは、お店のおじさんが強くすすめてくれた冷蔵庫を、ついに買ったのでした。それが届いて、嬉しくなって、みんな一つずつ冷蔵庫に冷やすものを買いに行こうということにしました。
デパートに行き、妻はケーキにしようかなと言っていましたが、その前に見たい本があるとのことで本屋に寄りました。それがいけなかったのです。妻は、疲れてしまって、まずは喫茶店で休むことにしました。休むと少し元気になりましたが、「お金をつかっちゃったから」と言って、 ケーキを買おうとはしませんでした。少し、食料品を買って、帰りがけに子どもたちは「冷蔵庫で冷やすもの」として、チョコレートとキャンディーとラムネ付きスタンプとアイスクリームを買いました。ぼくは、料理酒兼で冷酒を買おうと思いましたが、手ごろなのがなくやめました。
ここから妻が得た教訓。 1、買い物はひとつだけにしぼること。
2004年09月11日(土) |
インターネットで助産婦さんを探してみましたが |
ここからは、9月3日(金)の日記の続きです。
まず、インターネットで検索することにしました。キーワードは「札幌 自宅出産 助産婦」などでやってみました。すると、札幌で2、3箇所、出張分娩をしてくれる、助産婦さんや助産所が紹介されいてました。その中でも自分でホームページを開設されており、感じのよさそうなところにメールを書きました。 「はじめまして。妻が妊娠したらしいのですが、自宅出産をのぞんでいます。3人目の子どもで、1人目は助産所で、2人目は自宅で産みました。そちらでお願いすることはできるでしょうか」 それから2日間、返事を待ったのですが、届きませんでした。メールを見ていないのかもしれないと思い、電話をかけてみました。すると、助産婦さんが出ました。 「おととい、メールを書いた者なんですが」 「すみません。メールを見ていませんでした」 「妻が妊娠したらしく、自宅出産をしたいと考えているのですが、そちらでお願いすることはできますか」 「普通は、妊婦さんが電話をかけてくるのですが。ご本人は同意されているのですか」 そんなこと、あたりまえでしょう。妻が同意していないのに、ぼくが助産婦さんに電話をかけたりするわけがありません。と思いましたが 「はい。今回が3人目で、1人目は助産所で、2人目は自宅で産みました。今、つわりで気分が悪いので、私が電話をかけたのです」と言いました。 「それでは、だいたいのことはおわかりでしょうが、まず、妊婦さんはおいくつですか。予定日はいつですか。母子手帳はもらいましたか」といろいろ質問をされました。 「いえ。まだ、どこにも診せていないのです」 「そうですか。一度お会いしてお話をしましょう。ちょっと今、予定日の方がいらっしゃるのでお約束はできないので、こちらからメールをお書きしますが、よろしいですか」 「はい」 数日後、メールが届きました。 「まだどこにも診せていません。とありましたが、母子手帳をもらうための妊娠の確定は、助産院では出来ません。 一番初めは、病院で確定を受けて正常に妊娠が確定しているかが必要になります。どうしてかというと、自宅出産は正常に経過している場合のみ、私達開業の助産師が関われるからなのです。また、だいたいの予定日も推定できます。 どこの病院でもいいですが、妊娠の確定をして頂いてください。私のところの嘱託医もあります。要所要所で1.2度かかる可能性はありますので、初めからそこでもいいです。検査をして、それからお話をしましょう」
メールの内容を妻に伝えました。 「要所要所で嘱託医にかかるってどういうことだろう」と妻は言いました。 「うん。病院にかかりたくないから、こうやって、助産婦さんを探しているのに、どうしても嘱託医にかからなくちゃいけないのかな」 「私、嫌だよ。わがままなのかな」 「そんなことないよ、もう1つのインターネットにのっていたところに連絡をとってみるよ。それから、電話帳でも調べてみるよ」 「うん。もう、小樽にひっこそうか」 妻は、またまた、がっかりしてしまったようでした。 もう1人の助産所は、電話帳にのっていたのと同じ人で、やっぱり、そこでも嘱託医に何度かかかってもらう、とのことでした。そして、このときにわかったのですが、妊娠の確定には、エコーによる診断(超音波をおなかにあて、胎児を画像で確認します)が必要だということでした。そして、この助産所にはエコーの機械がないとのことでした。 考えてみると、一人目を産んだ助産所にはエコーの機械がありましたし、2人目は自宅出産でしたが、妊娠の確定時にはまだ、その助産所に通っていたのでした。 とりあえず、1人目の助産婦さんにメールを書き、「もう少し考えて見ます」との意を伝えました。
さて、こんなに助産婦さん探しが難航するとは思っていませんでした。妻が言いました。 「やっぱり、口コミだよ」 「そうだね。前の助産婦さんも、口コミでたどりついたんだもんね」 ぼくは、口コミのとっかかりとして、頼りになる人を知っていました。 つづく
2004年09月10日(金) |
『知って安心 お産の知恵袋―助産婦さんのアドバイス65話』 |
「読書日記」で、本書を紹介しましたが、とてもいいことが書いてあったので、こちらに抜き書きしておきます。 妻が先に読み、ぼくも読むといいよ、と言っていたのですが、たしかに読んでよかったと思います。今まで考えてきたことが、再確認できました。
「妊婦が自然分娩を望むのであれば、妊娠中の生活がとても大切になります。正常なお産をするには、妊娠中毒症などの予防がなによりも大切です。リスクの高い分だけ自己管理をしっかり行う。それができてお産にのぞむのでれば、私たち助産師はそのお手伝いをさせていただくわけです。」 自己管理のためには、夫の協力が重要です。一緒に体重を計り、食生活と運動の計画を立て、一緒に散歩をするなど、できることはたくさんあります。 基本的には、他人に頼らないお産をする、という緊張感が日々の生活を律し、結果としてそれがさらなる安産につながるのでしょう。
「私が考える安産の原則の第一は、『自分の身体の変化に敏感になって変調や異常に気がつくこと』です。身体を冷やさない、妊娠中毒にならない、逆子にしないなど、さまざまなことがいわれていますが、すべて『自分の身体の変化を自分で気づくこと』が安産への第一歩です。」 これは、上記の自己管理の精神面と言えるでしょう。
「自宅での出産のデメリットは、産婦が働きすぎるという点です。(中略)前もって『自宅に入院するつもりで働きすぎないように』といっておきます。(中略)メリットは、何よりも妊婦さんの精神的安定、快適さでしょう。」 このデメリットについては、驚かれる方がいるかもしれません。出産に異常があった場合のリスクが、自宅出産のデメリットではないのです。助産婦さんも専門家ですから、診察中に異常があれば医療機関へ行くことを進めるでしょうし、当日、安産を迎えられるための準備については、妊婦とその家族とたくさん話しあいます。 このデメリットは、産婦に働かせなければなくせることであり、これはすごいことです。なぜなら、家族の努力によって解決できるからです。そのためには、夫の育児休業中もあるていどの給与が国によって補償されるなどの仕組みができればいいのですが。今でも、頑張れば不可能ではありません。 メリットに関しては、そのとおりです。
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