Get on the bus and cause no fuss, get a grip on yourself, it don't cost much. I'm free to be whatever I whatever I choose (バスに乗って、静かに自制心を持って座っていることは、難しくない。私は、そうしたければ何にでもなれる自由があるんだ) *Whatever / Oasis (1994) の歌詞。
2009年07月15日(水)
Having read the book
CBSで、米最高裁判事候補のソトマイヨールが、質疑応答で上院議員にペリー・メイスンのあるエピソード名を訊かれて答えられなかったというニュースを流していた。・・・おお、欧米ってこれだから素敵。と、思ったが。 ニュースの最後で、キャスターのケイティ・コーリックが厳かにこう言う。"Senator Franken didn't know either, but we do. It was 'The Case of the Deadly Verdict.'" あ? 私はE・S・ガードナーのペリー・メイスン・シリーズは全部知っているが、そんなタイトルは初耳だ。 調べたらTVシリーズのみのエピソード。そもそもソトマイヨールがメイスンのファンだというのは、TV番組の話だそうで。・・・どうやらこの人達の世界では、「ペリー・メイスン=TV番組」が常識らしい。 思い起こせば20代の頃、父と二人で京都に行った時、父が観光タクシーの運転手に、「娘は『古都』に憧れて京都に来たんですよ」と言った。そしたら運転手が「あれ、よかったですよねえ」と映画の話を始めたので、「映画は観てないんですが」と言ったら、「は?」とぽかんとされた。・・・川端康成の作品ですらこうだもんなあ。(私は映画化されてたことを知らなかったよ)
See how they shine (今も素晴らしい) *Bridge Over Troubled Water / Simon & Garfunkel (1970) の歌詞。
2009年07月13日(月)
There's no end to it
"Word Power Made Easy"という本を読んでいるが、これが面白い。英語の本というのはやたらと前置きが多くてウンザリするが、この本はその前書きも面白い。語彙補強の本である。実は、大きな声では言えないが、私は大学受験勉強というのを全くしなかった為、普通そこで詰め込んでおく筈の語彙が弱い。なので、ネットで見つけたこの本を買ったのだが。 読み始めて、面白いのはいいのだが、本文自体が既に語彙レベルが高い気が。一応問題なく読めるけど。 そして一番最初に覚えさせられる単語が、altruist(利他主義者)、ambivert(内向性・外向性を併せ持つ人間)、misanthrope(人間嫌い)、misogynist(女嫌い)、misogamist(結婚嫌い)、ascetic(禁欲主義者)、など。 えらくレベルが高い気がしつつ、面白いので覚えてしまい、もう少し読み進んでからふと気づく。 ―――もしやこの本って、ネイティヴが難しい単語を覚える為の本なんじゃあ。 確認してみたら案の定。
一方、"Common American Phrases"という本も読んでいる。ノンネイティヴが一番弱い、日常の何気ないフレーズというやつだ。例えば"Can it!"が「静かにして」という意味になるとか。 難しい単語、平易な言い回し、新しい言葉、古臭くなった言葉、全て覚えなくちゃいけない。英語の勉強はきりがない。なので楽しい。
There's no end to it (きりがない) *The Moneygoround / Kinks (1970) の歌詞。
で、これは昨日の続きであるが。 素晴らしいコンサートだったけれど、観客にはちょっと苛つく部分もあった。サイモン&ガーファンクルのような広く大衆に好まれるアーティストには多いことだろうが。 私の周りだけ見ても、隣のオバハンはずっとパンフレットでばたばたとあおいでいるし(数回睨みつけてようやくやめさせた)、斜め後ろの男は始終ビニール袋からがさがさと何か取り出しては食っているし。まさしく野球場のスタンドに相応しい雰囲気。途中に一瞬映像が流れた時は、何を勘違いしたのかと思うほどの人数がトイレに立ったし。 しかし一番神経に障ったのは、アンコールの"The Sound Of Silence"で手拍子が入った時だ。あの繊細な曲で手拍子が出来るような粗雑な神経の人間があれだけ多くいたのは信じ難い。何となくためらう気配の混じる手拍子ではあったが、だったらやるな。迎合にもほどがある。
ちょうど前日にネットで、オアシスのリアム(愛してるわリアム)が、ロンドンのCoventry's Ricoh Stadiumで、やはり5万人の観客に向って「手拍子はやめろ」と怒鳴ったという記事を読んだばかり。どの曲かと思えば、去年の新譜の"Shock Of The Lightning"・・・あんなアップテンポの曲で怒るんだ?とも思ったが。 YouTubeでそのライヴの映像を出してみたところ、コンサート開始以来この曲に到るまでずっと観客が手拍子のしっぱなし。それでリアムがキレたんだろう。 私自身は、手拍子も一緒に歌うのも演奏妨害だと思っている。わざわざ聴きにきて、自分で演奏をかき消す意味がわからない。だからアーティストが自ら要請した時以外はしない。要請されるのも好きではない。皆でひとつになろうという考えが気持ち悪い。 該当部分の映像では、リアムが「俺らはオアシスで、シンプル・マインズじゃねえんだ」と怒っているが、それでもご覧の通り客は手拍子をやめない。やはり、聴いちゃいないのだ。
―――"Old Friend"だよ。こんなシンプルな曲で始めるんだ。凄いな。こんな何気ない短い曲でも、世界中が知ってるもんな。そのまま"Bookends"に行き、次が―――何故か雰囲気で絶対そうだと思ったとおり、"Hazy Shade Of Winter"へ。
声が出るとか、出ないとか。公演前からそこがやたらと問題視されていたが。 正直最初の数曲はそんなことも全く判断出来ず、アホのようにじーんとしていた。だって、"I Am A Rock"やって、次が私のベストソングの"America"だ。この2曲は歌詞なんか小学生で完コピしてんだぞ? "Don't talk of love"だなんて。「愛のことは語らないでくれ」なんて。日本語で言おうが英語で言おうが、かっこ悪いだろうが普通。それを絶対にそうは感じさせない重みが、ポール・サイモンの軽い声とギターにはあった。"I am shielded in my armor"という音は呪文のように魅力的で、とにかく一緒に歌いたかったし、意味も知りたかった。ひたすらそれだけで英語力をつけちゃったようなものだしなあ、私。 "America"の歌詞で、カップル(キャシーとポールなんだろう)はグレイハウンドのバスに乗る。だから私もそれだけの理由で、19歳の時に、サン・ディエゴで一人でグレイハウンドに乗った。キャシーたちが乗車したピッツバーグからはアメリカの端と端ほど離れているが、乗っているという事実だけで感極まっていた。隣に座った黒人にナンパされたが、殆ど返事も出来なかった。涙ぐんでいたのだ。
"My Litte Town"―――いいなあいいなあいいなあ。この歌のサビの歌詞は長いこと聞き取れなかった。だってまさか"Nothing but the dead and dying, back in my little town."と言っているなんて思わなかったからだ。こんな美しい明るいメロディで。てっきり故郷を愛する歌だと思っていたから。でもそうだと知った時は、逆に「逃れられない郷愁」を感じてじーんときたなあ。今もじーんと来るなあ。うん。うん。
"Bridge Over Troubled Water"―――私はずっとこの曲が好きじゃなかった。後味がしつこ過ぎると思っていたのだ。ところが今回、2番をポールが歌った。そうなると、もともと3番では二人の声が重なるのはわかっているだけに、その瞬間にもうぞくぞく来てしまった。
アンコール。"The Sound Of Silence"―――ここまでずっと、声を出さずに一緒に歌ってきたが。これだけは無理です。勿論歌詞は冠詞ひとつまで頭に入っているけど。これを歌うと泣いちまうのです。普段でも。 ―――つうか、泣いちまいました。 一ヶ所だけ一緒に口を動かす。ラスト直前。"And the signs said, the words of the prophets are written on the subway walls and tenement halls." ―――多分、子供心に私の中の「神さま」というもののイメージが、ここで出来上がったんだと思う。どこかそこらに、そのへんにふと現れる「啓示」のイメージが。
"The Boxer"―――ずーっといつやるんだろうと思っていました。有難うございます。 私がアートの歌声を一番認めているのはこの曲かもしれない。この曲はポールのソロで聴くと物足りなくて寂しいんだ。"Still the man hears what he wants to hear and disregards the rest"の最後の"the rest"が柔らかく上がってくれないと。