ぶらんこ
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ここ20年、いや15年くらいか。 自分という人間には何か欠けているものがある、ということに気付いた。 さらに、その欠陥は日常生活において支障を来すものではないのだが、いや実は支障を来していることに無頓着なだけ。ということに、気付いた。 たぶん迷惑をこうむっている人達もあったろうし、ただ単に、嫌な奴、と思って近付かない(近付かなくなった)人もあろう。
自分と他との違いにちょっとした戸惑いはある。が、だからと言ってもっと頓着せねばとも思わない。 どうせ意識的に固執しようとしても無駄だろう、それが出来るのであればそもそももっと「まとも」な大人になっていた筈なのだ。
この状態をなんと表現したら良いのだろうと考えてきたが、やはり「のーたりん」というのが最もふさわしいかと思う。
のーたりん、 考えなし、 ばかっくゎ、 ふるむんぐゎ、
そんなところか。
まともな大人になんかなりたくはない。 というのをこどもの頃から思って来たのだが、ここへ来てそれは確実に達成されたのだなぁ、とも思う。 たぶんどこか勘違いしてるだけの阿呆なのだろうが。
と、ネガティブなことを書き連ねているようだが、内心はちっともネガティブではありません。 まぁそこがのーたりんの良さ。 かもね。
第三者が主人公。 線が細くてどこか暗いイメージの女性。夫の横暴ぶりに離婚というよりも夫の元から逃げ出すことを計画している。
彼女はカルチャークラスに行くと言って出かけている。 逃亡するための荷物を取りに家へ戻ったら、夫が帰って来ていた。 彼女は怪しまれないように振る舞うのだが、夫は執拗に彼女のことを観察している。 (夫とおぼしき人物は、ずんぐりむっくりの中年。 彼はがまがえるのような風貌で、嫌な顔つきをしている。服装はぱっとしないスーツ)
どこかへ出かけるのか、と夫に訊かれ、ええ、ここへ行ってみようかと、と某パンフレットを見せながら答える彼女。 そこには、樹海の様子が映し出されていた。(この場面でわたしは、そんなことしたらバレてしまうのに!と、焦っている) 男は、パンフを手に取り、じっと眺めながら、ほぉ、なかなか良い場所じゃないか、と言っている。 それを見ながら彼女は静かに後ずさりをし、、、
いきなり樹海の中へとそのまま入って行った。
わたしは樹海の中側から彼女を見ている。彼女は樹海をどんどんと進む(つまりわたしの方へと進んでくる)。 樹々が深くなり、彼女の身体がやっと入るくらいだ。 外界の灯りが次第に遠くなり、彼女の夫が「おい!おい!!」と叫ぶ声も遠ざかり・・・ とうとう、樹海の深部へと入り込んだらしい。外界の様子はここからはもう何も見えない。 と、同時に、樹々の間隔も広くなり、彼女はほっと安堵しながら、その中を進む。
が、しばらすると、どうも何か巨大な建物のなかにいるような感覚に襲われる。 暗がりの中でよくよく見ると、太いパイプなどがある。 ふと、何かにぶつかった。と思ったら、彼女の頭よりも高い位置で誰かが動き・・・どうやらそれは浴槽のようだった。 誰かがお風呂に入っている?
彼女は息をのんで、じっと佇む。見つかったら夫のところへ戻されてしまうのではないか、と恐れている。
しかし、やはり見つかってしまう。 目が暗闇に慣れたのだろう、どうやらここにはもっと大勢の人がいるようだとわかる。
彼女はある女性に連れられ、更衣室へと案内された。 そこは巨大な施設になっていて、老弱男女、大勢の人達が暮らしている。 どのような団体なのかはわからないが、彼らは温厚で、彼女のことを暖かく迎えてくれている。 何かの基地なのかもしれない。よくわからない。
いつしか樹海に入ったことも、夫からの逃亡についても、彼女はあまり考えなくなってしまう。 そんなとき、新しい大勢の新参者とともに、彼女の娘もやってきた。 彼女は娘との再会に喜び(わたしはこのときまで彼女に娘がいることを知らなかった)、ここは安心できるところだから、と説明している。
・・・
富士樹海の中にそういう巨大な秘密基地があったなんて、、、と驚きながら、わたしは樹海の中を歩いている。 樹海の中へ入ると、そこは磁場が狂ってしまっているので迷って二度と外へは出られなくなるというが、 それは外界からも中の様子がまったくわかり得ない、ということなのだろうか、、と考えている。 現代の科学をもってしても、中でこのような施設があるということは隠されている?そんなことが可能なのか???
そんなとき、 「馬鹿野郎!おめぇがそんなことをしたら、すべてが狂ってしまうだろうが!」 と、腕を強く握られる。振り向くと、そこには犬夜叉が(!)
犬夜叉はいつもの赤い着物を着ていた。 かっこいいいいいいいいい、と惚れ惚れするわたし。
犬夜叉は、枝で地面に何やらシンボルのようなものを描きながら、 おめぇ、これでこの前のような地震が来たらどうするんだよ! と、もの凄い形相で怒っている。
地震・・・地震・・・地震・・・
地震があったっけか、、、と、考えるのだが、何も思い出せない。 ぼんやりと思い出せたのは、樹海での計画は、世界を救う鍵になるということだった。
しかし、犬夜叉に会えて、これでもうすべては安心、と、内心、非常に短絡的に喜んでいる。 そしてそれを表現してしまうのは、いくらなんでもこの場面では不謹慎だろう、と、努めて平静を装う。
島にいる。 バスに乗っている。向かっているのはうちの教会。 神父さんが一緒に乗り込んだ。なぜかFather Rだ。彼はもうすぐ定年退職される。
途中、携帯が鳴る。 幼馴染みのタイラからだった。 春にわたしの娘と山で花摘みをした話をしている。だいぶ前のことだったが、そうだった、そんな話を聞いたなー、と思い出す。
あのときバイト代としていくらか貰って・・で、今日その残りが届いたんだけど、とタイラが言う。 「それがね・・・150万だったのよ」
ARE YOU KIDDING ME!? 思わず大声で言ってしまう。英語だったものだから、周りの島っちゅたちがはやし立てる。 慌てて小声で聞き直す。本当のほんとうに?
タイラ曰く、前回分のなんたら分を教会に寄付したからそれを差し引いて、140万。 それを半分にして70万、ちゅうことになるけど、それでいいだろうか、と。
頭のなかがぐちゃぐちゃだ。70万、70万、、、もう雑念だらけ。 神父さん、ごめんなさい。わたしはそこから教会に寄付は出来ません、しません。 Father Rの後ろ姿を見ながらそんなことを思う。
タイラは(今大学に通っているらしい)、「わたしのは通学のバス賃に消えると思うー」と笑っている。
わたしはというと・・・ 今回の旅費をそこから出してもお釣りが来るな・・日本の銀行にそのまま預けるか、それとも、、、とめまぐるしく妄想中。 小学2年の娘には大金だ。親が管理するのが当然のこと。。。と自分に言い聞かせる。
タイラに、姉2に電話するよう話す。70万はとりあえず姉2に渡しておいて。 番号を確認しようと急いで自分のノートを開くのだが、その部分が濡れていて文字が滲んでしまっている。うー。 そうだ、姉3に電話して!姉3に電話してくれれば姉2にも通じるから!
わたしは姉3の番号を必至で思い出しながらタイラに伝えている。 頭のなかでは、70万、$7000、70万、$7000・・・と、繰り返している。
Oまま&パパがやってきた。 それまでどちらも実際に会ったことのない犬仲間だったが、今回初めて、一緒にLAまで行くことになった。 彼らはVWの大きなワゴンでやってきた。芥子色の車体にVWというシルバーのロゴが光っていてとてもお洒落な感じ。 なるほどやっぱり、と(なぜか)納得する。
我が家で一泊した後に、一緒に出かけることになった。 Oままは起きた後、テキパキとキッチンに立って朝食をこしらえ始める。 その間わたしは、うちも出かける準備をしないと、とやや焦りながら支度をする。 犬たちのためのベッドとかブランケットとか、、外は雨だからラグも持って行ったほうが良さそう、とか。 夫が同行するというので、ほっと安心。彼女たちの車に付いて行くにしても、LAまで車で行く自信がなかった。夫が一緒ならなんとかなるだろう。
朝食もままならないうち、Oパパが急かすような形で出かける時間になった。 荷物を運んでいるとき、Oままが、「あーこの子、おしっこしちゃってるー」と言った。 あ、Cosmoだ!!と、すぐに思う。夫にCosmoを連れ戻すように言うと、CosmoがVWのワゴンから出て来た。あぁ、、、 Oままが、「あーあ、びしょびしょ。うち、一度も失敗したことなかったのに」と漏らす。 ごめんなさい、、、平謝りに謝って、夫にCosmoのこと、ちゃんと面倒見てよ!と、ちょっと八つ当たり。
おしっこ漏らしたんじゃなくて、あいつ、マーキングしたのよ、きっとね。夫とそんなことを言い合いながら、心中穏やかでないわたし。
いよいよ出かける、というとき、Oまま&パパが車の中から「じゃぁ、後を付いて来てね!」と言ってにこやかに手を振る。 わたしはまだナイトガウンのままだ。まだ準備全然出来てないのに、、どうしよう、、、 しかしCosmoの粗相のことがあったので「わかった!」と明るく言って家のなかへ戻ろうとするのだが、足が、、、足が動かない。 両足が痺れてしまってどうしても動けないのだ。
ここここここで、また迷惑かけるわけには、、、そう思いながら、なんとか足を出そうとする。 のに、動けない。あああああ、、、
すると後方から「冗談、冗談」と笑い声。 それでふと、痺れが取れて、急いで家へと戻った。キッチンには夫がまだいて、何やら探している。 ストーブの上には料理しかけの白身の魚がいくつか。時間がなくてそのままになってしまったのかもしれない。 それにしてもOままは和食の朝食も作れるんだ(完成しなかったけど)、とやたら感心してしまう。
犬たちの準備をしながら、自分自身の支度がまだ全然出来ていないことに気付き、愕然とする。 が、夫に急かされ、とにかくなんでもいいからいくつか着替えを詰め込んだ。
気付くとわたしたちもVWワゴン車の中にいる。結構、広い。犬たち(4頭いた)はのんびりとくつろいでいる。
途中、山の上のほうで、誰かを降ろした。いつの間にか乗っていた女性。見たことあるが、誰だか思い出せない。 オクラホマのほうへ行くので、ここまで一緒に乗せたんだ、いつもしてるんだよ、とOパパが話す。 なんて心の広い夫婦なのだろう、と、感動する。 それから、なんでわたしたちまで同行しているんだろう、と急に疑問に思う。 ふと見ると、娘も一緒にいた。
なんか、犬だけじゃなく人間まで大迷惑の家族じゃないか、とやけに後ろめたい気持ちになった。
空襲が来る、と言う。 ひとり一丁ずつ武器を与えられる。わたしの隣の女性は小型銃。わたしは猟銃のような銃。弾は一発のみだ。
空襲時、武器を持って応戦せよ、という指令だった。これで生き延びることは難しいだろう。死の覚悟を決める。
戦闘機は銃をあちこちに発射させながら進んでいた。そこらじゅう、噴煙があがる。 一発しかない弾を使うべきかどうか、、、狙いを定めようとするのに、手が震えてどうにもならない。 当たるわけがない、と思っている。どうせ当たらない、そして死ぬ。 ならば当たらぬことなどどうでも良いじゃないか。弾がなくなろうがどうしようが、どうにもならないじゃないか。
いつの間にか空襲は終わったらしい。辺りには死体が転がっている。わたしは生き延びたのだ。
拡声器を持った市の職員が、生存者の確認をしている。 わたしたちのグループのところへもやってきた。チラシの束を手渡しながら、生存者の名前を帳簿に付けている。 なぜそんなことをするのだろう。不思議に思っていると、与えた武器の回収も同時に行っていることを知った。 弾を使っていなかったわたし。あの猟銃だけが頼りだ。
市職員が去った後、絶望的な気持ちになる。 死んでしまったほうが良かったのかもしれない。またこうしてひとりでいるなんて。
ふと、携帯電話があったことを思い出した。 そうだ、鞄の中に入れたままだった。まだ間に合うかもしれない。姉たちに連絡をしなくては。
鞄を開けると、貴重品が納められていた。ささやかだけれど、銀行口座の証明とか。あと、指輪。 もう随分前にはずしておいた指輪だったが、死ぬときには一緒に死にたい、と思った。 そっと指輪をはめると、指より大きくてごろごろ回る。でも、いいのだ。ひとりで死ぬのではない。 そんな気持ちになって少し気分が上向きになる。
姉3に電話をかける。出てくれ、頼む、と願いながら。 姉は驚いた様子で電話に出る。もしかしたら周囲に誰かいたのかもしれない。 最初は戸惑った、ぎこちない対応だったが、その後に「ずっと連絡しとったのよー」と言った。 こちらも、誰かに聞かれて携帯を取り上げられるのではないかという心配があり、手短かに話そうと努力する。 とにかく、言いたいことを言わねばならない。
明日、また空襲がある。自分は今度は死ぬと思う。口座の残金は、姉ちゃんたちが管理して娘のために使ってくれ。 これまでありがとう。本当にありがとう。もう一度会いたかった。
姉2にも電話をかけ、同じようなことを言う。 姉2は、ちょっと待って、今からでも遅くないから、こっちに来なさい。荷物をすべて持って。昼間のうちに。 何、バレやしないよ、大丈夫。こっちに来なさい。
あぁそう出来たら、、、と思う。心からそう思う。でも難しいだろう。 しかしどうだ。どうせもう死ぬのだ。なら、どう死んだっていいじゃないか。姉たちのところへ行ってみよう。それで殺されたらそれでいい。
最後に母にも電話をかける。
そっちに行くからね。待っててね。
・・・・
恐ろしい夢だった、、、本当に怖かった、、、、
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