ぶらんこ
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今このときを
大事にしよう
昨日は死んだ
明日はまだ先
生まれる一瞬
ただそれだけを
大事に
丁寧に
先週の木曜日。落雷のような流星を見た。
夜明け。 北の空。
何気なく見上げた空にピカッと青白い光が走り、それはすぐに橙色に膨らんだ。 かと思うと、光はまた白く輝きながら一本の線となり、ツーーーッと落ちていった。 そして、再び閃光の如く光り輝いた後、雲の中へと消えていった。
胸がどくどくっと鳴った。 飛行機が落ちたのかもしれない、とさえ、思った。それくらい、強い光だった。
けれども辺りは朝の静寂に包まれていた。 前を行くぷーは全然気付いていない。 遠くで鶏が鳴いた。 東の空に明るい星ふたつ。 黒い木陰。 何層にも見える雲が静かに薄く伸びていた。
昨夜。散歩の帰り道。 ぽっかりと月が上ってくるのを見た。 夕焼け空のあかね色のよな月。
十九夜。臥待月。 かなり欠け始めているのに、すごく大きく見える。
思いがけなかった。嬉しかった。心がとくん、とした。 なんだか得した気分。 誰かに伝えたかったけれど、辺りには誰もいない。 もちろん、ぷーは知らん顔。
・・・
『必要なすべてのものはあるべきところにあります。 ただ、ここに、たったひとつの稲妻を。 それだけをわたしは待っています。』
揺れる水面がやがて静まるように どうかこの心も わたしの平和を取り戻しますように。
非難することよりもっともっと大切なことがあるのではないか。 そんなことを言うのは甘い?
―ならばわたしは、甘ちゃんのままでいい。
生きるも
死んでいくも
いのちはそれぞれ
平等に尊いものだ。
笑うときには 大口あけて 怒るときには 本気で怒る 自分にうそがつけない私 そんな私を私は信じる 信じることに理由はいらない
地雷をふんで足をなくした 子どもの写真目をそらさずに 黙って涙を流したあなた そんなあなたを私は信じる 信じることでよみがえるいのち
葉末の露がきらめく朝に 何をみつめる小鹿のひとみ すべてのものが日々新しい そんな世界を私は信じる 信じることは生きるみなもと
詩:谷川 俊太郎
・・・
こころの学校で合唱コンクールがあり、出かけて行った。 先の詩は課題曲。 彼女はこの曲の指揮者を務めた。 壇上へ上るのを思わず忘れそうだったが、無事に大役を果たした。
うたは祈り。。。心からそう感じた。
歩くのがまだまだ困難だ。
「歩くのが」と言うより、「地に足をつけているのが」と言ったほうが正しいかもしれない。 街灯に両腕をまわし、わたしは街の様子を眺めていた。 近くでは、映画の撮影なのか、カメラや照明を持った人々がたくさんいた。 そのうち、あの空間の中央に、役者らしき人物が歩いてくるのが見えるのかもしれないな。 他の人々は、そんな様子を気にすることもなく、思い思いに街を歩いていた。 駆けている人もいた。 縁石に腰掛けている人もいた。
いろんな人(?)がいた。 変わった動物のような人(或いは宇宙人なのか?)もいた。 楽しそうにしている人、忙しそうにしている人、静かにしている人、いろいろだった。
空は、雲が灰色に垂れ込め、ずっしりと重い感じだった。 建物のあちこちに掲げられた旗が、小さな風を受けながらたなびいている。 どこの国なのだろう。旗は、赤と黒と緑のストライプに何やら絵が描かれていた。 建物は石で出来ていた。 道路も石が敷き詰められて出来たものだった。 あちこちに植物が植えられ、大きな木もある。 古い街なのだと思う。 懐かしいような気持ちにさえなった。
「あのさ、きみが思っているよりも、きみは上手く歩けてるよ。」 わたしの連れが優しく言った。 彼はわたしの半分くらいの背丈で、いつもわたしと一緒にいる。 いつからそうなったのか、自分ではよくわからない。 あまり気にしたこともなかった。彼に話しかけられ、あらためて彼の存在を思い出したようなものだ。
彼は人に近い姿だったが、眉毛がなかった。髪の毛もなかった。たぶん、体毛というものがないのだろう。 けれども、大きな黒い瞳が美しい子だったので、まつげはあったのかもしれない。 年齢はわからない。聞いたこともない。わたしよりも年上だろう。軽く100歳は超えているような気がする。 でも、背が随分低いので(それに綺麗な顔のせいか)わたしは彼のことを、ついつい子供のように思ってしまう。
「まだ『歩く』と言うには程遠いよ。」 わたしがそう答えると、 「それはきみの能力なんだから。きみはもっと自信を持つべきだね。」と彼は言う。 「『歩けない』能力?なんだか笑える。。。」 わたしが力なく笑うと、 「違うよ。きみの能力は『歩けない能力』じゃぁない。『飛ぶ能力』と言ったほうがいいね。」
飛ぶ???何を言ってるんだろう・・・。 そう思ったのに、わたしは次の瞬間、こんな言葉を口にしていた。 「『飛べる』じゃないでしょ。『跳べる』でしょう。大体にわたし、どこまでも飛んで行けたことなんかないじゃない。」
「どこまでも飛んで行けますよ。あなたがそう望めば。 いいですか。 あなたの能力は、「垂直抗力をコントロール出来る」というものです。それはあなた自身、ご存知な筈です。 この惑星の人たちで、それを出来る、いいえ、覚えているのは、残念ながら、わずかです。 実のところ、それを「覚えている」ということこそが『能力』と呼べるのかもしれませんが。」
なんで急に口調が変わってんのよ・・・。そう思って彼を見ると、
「あなたが変えたんです。 きみが変えたんだよ。 いいですか。どっちもわたしです。どっちだっていい。 どちらも、『あなたを通して話している』僕の言葉です。 あなたが感じるとおりの『僕』だ。」
わけがわからない、、、。
ショーウィンドウに自分の姿が映っていた。 相変わらず街灯にしがみついている。馬鹿みたいだ。 脚がやや細く見えた。腫れがいくらかひいたのかもしれない。 けれども、相変わらず両膝と両足関節が不恰好に腫れていた。 左のくるぶしには、大きな潰瘍が口を開けている。痛みがないので、余計に悪い。 なんでこんなことになったのだろう。ちゃんと洗浄しなくちゃ・・・皆が怖がっちゃう。。。 わたしは、ちょっと腕の力を緩めてみた。 大丈夫。 まだちゃんと立っている。
「ちょっと歩いてみる。」 わたしは彼にそう言って、意識的にゆっくりと歩いた。 地面から右足を離すと、すぐに体が浮く感じがしたが、まだ駄目・・と、それを抑えるように集中した。 右足、左足、右足、左足。。。 案外大丈夫そうだ。もうちょっと小股で自然に歩いてみるかな。 交互に足を出す、とか意識せずに?
と、いきなり体が浮いた。 ヤバい。 集中、集中。 あーーーもういい! ちょっと遠くまで行く!
わたしは上空まで高く跳んでみた。なんてことはない。やっぱり、まだまだ歩くのは困難だ。。。
「で?どこへ行きたかったか、きみは思い出したんだね?」 いつの間に、彼はわたしのすぐ横を飛んでいた。「飛んで」いた。 「うん。でも、あなたには言いたくない。秘密。」 すると彼は、にっこりと笑った。 「さっきも言ったとおりだよ。僕は『きみを通して』話してるんだ。 つまり、きみの行きたいところには、必ず、僕も、いる。」
ちょっと・・・そんなの、、、困る!
―と、いうところで目が醒めた。
なんという夢だ。現実があちこちに混在している。。。
なんだか、どっぷりと、疲れた、、、
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