小ネタ日記ex

※小ネタとか日記とか何やら適当に書いたり書かなかったりしているメモ帳みたいなもの。
※気が向いた時に書き込まれますが、根本的に校正とか読み直しとかをしないので、誤字脱字、日本語としておかしい箇所などは軽く見なかった振りをしてやって下さい。

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タイニープリンセス2(種/シン・アスカ)(長編下書き)。
2008年08月30日(土)

 いちねんよんかげつのときをへてつづきをこうかいです。
 タイニープリンセス2
 ※前回はこちらから。

 PCのCドライブリカバリに備えて、色々ファイルを整理していたところ書きかけが出てきたので、キリのいいところまで書きました。
 今後のあらすじとかは一応決まってるんですよ…一応。ヒーローはシンじゃないアスランだ!! というのがコンセプト(シンの位置=受難の主人公系)。

 そろそろ真面目に書く習慣を戻していかないと、書き方忘れが取り返しのつかないことになりそうだ…。






この夜の一瞬(笛/真田一馬)。
2008年08月24日(日)

 勝った人も、負けた人も、思い出は残る。








 また勝てなかったな。
 そんな呟きが聞こえ、今年二十代半ばを迎えた椿は反射的に振り返った。視線の先には、テレビの前であぐらを掻いて座っている同居人だ。
 真夏にしては涼しく、空調を入れずに開け放した窓からは、網戸越しの宵風が静かに流れる。穏やかな夜だった。

「何か言いました?」
「んーまた負けたなって」
「…オリンピック、ですか?」
「うん」

 真田一馬は懐かしむような目をテレビの中に向けていた。そこに映されているのは2008年北京オリンピックの閉会式だった。
 夜の闇と、照明の光が交錯する競技場。華やかな閉会式は次回開催のロンドンの紹介を行っている。
 キッチンの流しの前で真田の横顔を見つめた椿は、ふと四年前を思い出す。四年前のアテネ大会のとき、閉会式には真田がいた。真田の「勝てなかった」であり「負けた」のは、アテネ大会のときメダルを持って帰れなかった男子サッカーのことを踏まえた言葉なのだ。

「マジで勝ちに行くならさ、もっと―――

 オリンピック選手として、その道の一流選手として何か思うところあったらしい真田の言葉は、半ばで途切れる。
 彼は少し苦笑し、「まあいいか」で自己完結させた。
 真田一馬という人は、家であまり仕事に対する持論を語らない。それは椿が出会った頃からそうだった。話しても椿がそれに対応できるほどサッカーの知識がないということもあったのと、真田はあまり自分の気持ちを率直に語るほうではないからだろう。

「メダルの有無だけがオリンピックの楽しさじゃないんですから、いいじゃないですか」
「ま、観てる側はそうなんだろうけどさ」
「そこは、私と真田さんの違いですね」

 どうしたって図書館司書の椿に、あのピッチで戦う人の気持ちは理解できない。泥まみれ汗まみれになって、誰かを蹴落として勝ち上がるときの勝利の風景や、地に伏したときの悔しい敗北感を椿は知らない。
 真田は4年前に自分たちが負けたときの気持ちを思い出したのか、どこか寂しそうに北京の夜を観ている。
 思い出は、良い思い出と悪い思い出がある。そして、そのどちらでもないものも。
 真田にとって貴重な経験である五輪の記憶は、一体どちらなのだろう。

「勝ちたかったなぁ」

 俺は、負けたくなかった。懐かしさと傷みが垣間見える、負けず嫌いのフォワードの呟きを、椿は笑い飛ばせなかった。
 4年を経ても忘れない複雑な感情をうまく言葉に出来ないのか、真田は近くにあったクッションを引き寄せ、抱きしめるようにしてそこに顎を載せた。
 忘れたとは言わない、もう一度オリンピックに行きたいとも言わない。けれど真田の呟きには、期待を返せなかった職業人としてのプライドが垣間見えた。
 洗い物は後回しだ。即座に椿は決めると、そっと真田に近づく。

「一馬さん」

 ゆっくり真田の隣に足を崩して座り、椿はその広い肩に軽く体重を預けた。

「真田さんは、勝ったじゃないですか」

 ああそうだ、確か自分はあのときこう言ったはずだ。
 あなたは負けていない。メダルはとれなかったけれど、完敗でアテネを去ったわけじゃない。歴史の一つを白い星で刻んだはずだと電話越しで。
 同じ場所に立てない自分は彼の気持ちを完全に理解できない。だけど、その傷みにただ寄り添って、彼の味方でいることはできる。
 4年前もそうした。だから今もそうしたい。
 あのころは触れることをためらった彼の温度。今はそれを許される立場になった。

「…そうだったな」

 寄り添う椿の頭に、大きな手が乗せられる。近い距離でうれしそうに微笑む真田に、目を合わせて椿も笑った。
 また4年後、楽しみですね。
 4年後の日本サッカー、もっと強くしていかないとな。
 くすくすと笑う若い夫婦の声が、北京の歓声と夏の夜の匂いに混じった。


 また4年後、ロンドンで会いましょう。









*******************
 え? 真田シリーズ完結してないんじゃ? という突っ込みを無視して、北京オリンピックお疲れさまでしたー!! な小ネタ。

 ちなみに前回のアテネ五輪の真田さんちはこっち

 閉会式のライブ放送を観ていたら、そういえば4年前のアテネで真田を書いたわー、ということを思いだし、ちょっと続きっぽく。
 …今回も男子サッカーは何ていうかうにゃらもろ。
 んじゃまた4年後がんばろうぜ! みたいな。次の世代がんばれよ! な感じで。
 サッカーに関しては年齢制限ルールが取っ払われない限り、今のところ一生に一度しか出られないのが基本です。そこらへんが甲子園とか学校大会みたいな限定感があって、ドラマ性が高いですな。

 ところで早々に実家に帰ってきました。
 というのもおいてきた本の整理と、ここ数日の涼しさから早いとこ秋冬服を取りに行かねば、と思いまして(あと色々調達しに)。
 最初から家を出るときに、「うちのものでよければ何でも持って行っていい」という親の言葉に甘えて色々もらっていったのですが、今回さらに母があれ持ってけこれ持っていけとばかりに色々もらってきました。
 うちの食器類の基本は引き出物で構成されている。

 久々の猫にきゃーきゃー言ってきましたが、すごく目とか顔とかかゆくなりました。
 そーよねーあんまり認めなかったけど、ほんとは動物とかの毛のアレルギーあるのよねー…。
 引っ越してからもう目がかゆくないのって何のって…。




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