小ネタ日記ex

※小ネタとか日記とか何やら適当に書いたり書かなかったりしているメモ帳みたいなもの。
※気が向いた時に書き込まれますが、根本的に校正とか読み直しとかをしないので、誤字脱字、日本語としておかしい箇所などは軽く見なかった振りをしてやって下さい。

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ブラック★ロックシューター(種/ラクス)。
2008年06月17日(火)

 もう逃げない、だけど逃げたい、人は弱く、心はいつも揺れるけれど、あなたがいる。








 あの日、少女は罪と救済を背負った。
 波打つ桃色の髪、可憐な青色の瞳。歌姫と呼ばれたうつくしい少女は、その声で歌うのではなく、戦場でイグニッションを叫んだ。

『わたくしは、ラクス・クラインです』

 自軍の象徴としての名乗り。救国の歌姫。そう呼ばれても、実際は国家に反旗を翻したテロリストの首魁に違いはない。自分たちの掲げる正義のために、幾人もの生命を奪った。
 人殺しの罪。けれどそれを喜ばしいものだと笑わなければならない立場。その狭間に立ったとき、すべての責任を放棄してラクスは逃げた。
 あの戦争で傷ついたのはラクスだけではない。家族を失ったのも、財産も生きるより所を失ったのも、ラクスだけではない。だというのに。
 一つの集団の象徴として起ち上がったなら、最後までその責任を全うすべきだという正論に背を向けて、自らが負った傷を癒すために逃げた。
 卑怯だとののしった人がいた。ラクスも、それが事実だと、今となっては心から思う。
 戦争終結を目指し、平和を歌いながら、武器を手に取り人をあやめた。矛盾した偽善だとわかっていたなら、逃げずにその偽善を歌い続けるべきだったのだ。
 はじまりの戦争が終結してからの空白の二年。それからまた一年後、ようやくラクスはプラントという国家の表舞台に戻ってきた。





 何かの音がした。
 うたた寝をしていたソファから、ラクスはうっすらと目を開ける。薄いグリーンの床と、低いガラステーブルが視界に入る。
「……起こしてしまいましたか」
 しまった、と言いたげに銀髪の秘書が苦々しげな顔をしてドアのすぐ横に立っていた。
「申し訳ありません、おやすみのところを」
「…いいえ、大丈夫です」
 寄りかかっていたソファから身を起こし、ラクスはシルバーがかったグレーのワンピースの裾を直す。昔のように淡いピンクの服は最近着ていない。
 軽く手櫛で髪を直すラクスに、秘書の青年はそっと鏡を手渡す。
「ありがとう、イザーク」
「キラ・ヤマトから通信が入っております」
 後にしますか、と言外に含んだ報告に、ラクスはそれは無用との気持ちを込めてほほえんだ。
「わかりました。次の予定までは何分ぐらい可能ですか?」
「移動時間に余裕ができましたので、五分…いえ、八分は可能です」
「では、そのぐらいで切り上げるようにします」
 小型の通信端末をガラステーブルにセットするイザークを見ながら、ラクスは深呼吸をする。
 キラと話すのは久しぶりだ。ラクスが故国に戻り、政治家として活動するようになってから、彼は地球に居を定めた。それ以来直接顔を合わせるのは、年に数回がいいところだ。
 機器をセットしたイザークが、いくつかの手順を踏んだ後、ラクスにその画面を向けた。
 ラクスが両手を広げれば一杯になってしまうような小さなディスプレイの中で、恋人が笑っていた。スピーカーから、明瞭な青年の声が流れる。
『こんにちは、ラクス』
「ごきげんよう、キラ」
 ソファの上で居住まいを正し、ラクスもにっこりと笑う。
『ごめんね、忙しかったかな』
「いいえ。連絡いただけてうれしいですわ」
『さっきイザークにしかられちゃったよ。休憩してたんだって?』
 声が聞こえたのか、部屋を出て行こうとしていたイザークが怪訝そうな顔をラクスのほうに向けた。
 ラクスが笑って大丈夫だとうなずくと、彼は眉間にわずかな皺を刻んだままその部屋を辞した。
「少し夢を見ていましたの」
『夢?』
「ええ。なつかしい夢でしたわ。…昔の、わたくしの夢です」
 ディスプレイの端に出る時刻を気にしながら、ラクスは話した。
 分刻みのスケジュール。プラントを支える政治家の柱として動き回る日々。プライベートの時間などほとんどない。キラもそれを知っていた。
『…寂しそうだね』
 そう言うキラのほうが、寂しげな顔だった。ふわりとラクスは笑う。弟に笑いかける姉のように。
「寂しいときもありますけど、大丈夫ですわ。キラがいますもの」
 そうかな、と言う画面越しのキラはあまり納得していないようだった。
 どうしてそんな顔をするのだろうとラクスは思う。笑ってくれればいいのに、と願うが、今日のキラはあまり笑ってくれない。
「それに、今はこの生活がわたくしの仕事ですもの。がんばります」
 ラクスが強く笑えば笑うほど、キラの微笑は薄いものになっていく。夜明けのような、貴石のような、澄んだ紫の瞳はラクスの強がりなどとっくに知っているようだった。
『ラクス』
「…大丈夫ですわ、キラ」
 忙しいのも、愛しい人に会えないのも、自分の指揮ひとつで誰かの生死を左右するあの空間に比べれば。
 つらくても苦しくても、もう逃げない。自分ではじめたことから逃げだしたりはしない。逃げだしたくなった今も、逃げたりはしない。
 幼くて気づかなかった過去の罪。どんな理由があっても、首魁として起ち上がった以上、最後までその結果を見届ける義務と責任があるのだ。
 そして、今はもうそれは義務ではない。戦争がない平和な世界。夢物語を夢で終わらせない。それが今のラクスの夢であり、信念だ。
 そして今は、政治家としてそれを叶えることが出来る力を手に入れた。
 寂しい夢を見た後のせいか、うまく言葉にできないラクスをじっと見つめていたキラが、不意に口を開いた。
『…愛してるよ、ラクス』
 微笑むことなく告げられる愛の言葉。
 ラクスの何を好いているとは言わず、ただ心の奥底にある透明なものだけを切り出した言葉。
 泣きそうになりながら、それでもラクスは泣かなかった。ええ、と静かにうなずく。
 疲れて逃げたくなることもある。楽なほうへ流されたくなることもある。甘い言葉に心揺れることもある。だけど、歯を食いしばってそれを乗り切るほうが、後悔したときの胸の痛みよりはるかにましだともう知っている。
 膝を見つめそうになって、ラクスは必死で顔を上げる。小さな画面越しに、今すぐ会いたい人を見つめた。
「…キラ。ずっと、見ていてくださいね」
 わたくしを。
 平和の地平を歌い続けるラクス・クラインを。
 ほんとうは、気高くもなく美しい心も持っていない、ただのラクス・クラインという返り血まみれの女を。
『もちろんだよ』
 かつてラクスの元で、優秀なモビルスーツパイロットとして活躍していた恋人は言う。
 戦争を起こした人間を罪というのなら、その戦場に立った者は皆、法では裁けない罪を負う。原初からある同族殺しの罪。現世の法で無罪になっても、心に巣くった罪深さは消えない。
 キラ・ヤマトはその罪を共有するひとりだった。
 二年の沈黙を経て、戦争犯罪人としての立場を自覚しながらも、故国のために再び起ち上がった『ラクス・クライン』の光。キラ・ヤマト。
 心が折れて動けなくなりそうになったとき、いつもラクスは彼を思い出す。
 やさしい笑顔、あたたかい手、激昂に揺れる紫の目、決意を秘めた後ろ姿。あの人はきっと、私を見ていてくれる。離れていてもずっと。それだけで、うつむきかけた顔を上げることができる。
 ずっと戦ってみせる。人の生命を損ねない方法で戦って、戦って、戦い抜いて、いつか約束の地平まで。
 そしてすべて終わったら、彼のところに帰るのだ。

「…愛してます、キラ」

 暗い世界できらめきつづける、わたくしの星。
 いつか帰る、あなたのいる世界。
 にじんだ瞳で微笑んだラクスの肩で、出会ったときより短くなった桃色の髪が揺れた。









********************
 …文章書くの(前より)ヘタになったなぁ、と書いててしみじみ思いました。
 頭に浮かんだのがうまく文章になりません。元々さらさら書けるわけじゃなかったんですけど、書いても頭の中にあるものとの差異が以前より大きくなった気がする。
 やっぱり前より書いてないのが問題かなぁ、と。
 ある程度の量書いてないと、書き方忘れる。自分が得意だった表現とか、描写の選択とか。
 ざっと読み返してみましたが、あちこちダメな箇所をそのままにしました。「しかし」が二度も続くってどうなの。助詞と接続詞のあやしさ大爆発。
 すみません。

 そんな、いっそ雰囲気だけ読み取ってください的な本日の小ネタ。ラクスさん。

 某動画の、某名曲から膨大なイメージを得ました。


 この曲を聴いたとき、「ラクスだ」と思いました。なぜか。
 いろんな思いを飲み込んで、責任と夢を果たして、いつか彼女が帰るのはキラのところ。がんばるから、見ていて。そんなイメージで。
 本当は、疾走感のあるイメージの曲つながりで、以前カガリとシンで書いたネオメロドラマティックと繋がった話にしようかな、と思ったのですがイメージ先行ネタが先に出ました。

 毎日日記をやっていたのですが、ちょっとしたはずみで糸が切れたみたいにふつんと止まっておりました。すみません。
 ちゃんと元気です。






歓喜と予感は若葉の緑(ボーカロイドシリーズ/KAITOとMEIKO)(その他)。
2008年05月21日(水)

 世界がきみを待っている。









 目覚めたとき、世界は真っ白な光に包まれていた。
 リアルワールドと呼ばれる次元とはまた別の世界。ゼロとイチだけで確立された電脳世界は、ソフトウェアたちが存在する真白の平原だ。
「………………」
 短い夢を見ていた。
 ぼうっとした頭で、KAITOは青色の髪を一振りする。夢を見ていた。短い、けれど歓喜に満ちた夢だった。
「ごきげんよう、ねぼすけKAITO」
 歌うようなメゾソプラノがKAITOの真白の世界に響く。髪と同じ色の目を声のしたほうに向けると、鮮やかな朱色の服を着た若い女性が微笑んでいた。
「ああ…MEIKOか」
 製品名称:Vocaloid Meiko―――KAITOより一年数ヶ月先に生まれた、いわば姉のような存在だ。
 ボーカロイド。2003年に初めて発表された、人造の歌声を合成できるソフトウェア。KAITOもMEIKOもその第一世代として生まれた。
「夢を見たよ」
 束の間の歓喜を思い出し、KAITOは穏やかな面差しに笑みを滲ませた。
「夢?」
 機械で再現できる限りの澄んだ声で、MEIKOが聞き返した。
 落ち着いた樫色のMEIKOの髪が小首をかしげた拍子に肩の上で揺れる。女性ボーカロイドソフトとして誕生したMEIKOは、KAITO同様に成人の容姿で設定された。
 寝転んだ体勢から上体を起こし、KAITOはさらにはっきりと微笑んだ。
「妹が出来るらしいよ」
「妹?」
「ああ。ボーカロイド第二世代。僕らの『妹』だ」
 まだ製品名は決まっていない。開発名称もKAITOは知らない。けれど、若葉のように初々しく笑う『妹』だということは夢で見た。
 MEIKOはにわかには信じられないように幾度か目を瞬かせたが、自信を持って笑うKAITOは信じられるのか、「そう」と言って笑った。
「…ほんとうに、妹なの?」
「妹さ。夢で会ったんだ」
「ふぅん。…妹、ね」
 ノースリーブの朱色の服の腰に手を当てながら、MEIKOはKAITOのそばに膝を突いた。
 寝乱れたKAITOの青いストールを直しながら、つられたように彼女も笑う。
「かわいいかしら」
「かわいいよ」
 もちろん。自信を笑顔にはっきりと宿らせて、KAITOは笑う。
 淡いグリーンの『妹』はきっとかわいい。何せ『妹』なのだ。かわいくないわけがない。
「そうね、きっと可愛いわね」
 顔を見合わせて、朱と青の二人はくすくすと笑う。
 日進月歩のインターネットテクノロジーの世界で、自分たちが生まれて早数年。いずれ下の世代が出来るとは思っていたが、実際のニュースとなると歓喜は思った以上のくすぐったさを伴った。

「早く会えるといいな」
 青の青年が、甘やかな期待に満ちた声で。
「早く一緒に歌えるといいわね」
 朱の彼女は、自信にあふれた声で。

 どうか、自分たちよりも良い性能で。
 どうか、自分たちと同じぐらい、むしろ新世代としてもっと愛されて。
 どうか、たくさんのライセンスマスターたちに出会えますよう。

 早くおいで、まだコードネームだけの妹よ。
 世界も、僕らもきみを待っている。









***********************
 はい妄想電脳の世界でこんばんは!
 遠子です。

 ボーカロイドに関する資料はこちらを参考にしました。

※ボーカロイドとは、いわゆる人工音声で歌わせるソフトウェアのことです。半年ぐらい前に『初音ミク』というキャラクターをイメージしたボーカロイドソフトが発表されて以来、動画サイトなどで大人気。
※そこで派生したのが、一連のボーカロイドシリーズでイメージ定義されているキャラたちを、創作物のキャラクターと して設定し、二次創作(?)してみたりする何とか。

※便乗して、ボーカロイドきょうだいなんてものを書いてみました、というのが本日の小ネタです。

 本日神咲さんと「ミクはツイン○グナルのエモーションに見えてしょうがない」という話をしており、私がカイミク兄妹設定が好きなこともあり、「じゃKAITOはコードだね」「リンレンがエララとユーロパ?」とかいう話がうじゃうじゃして、こんな感じになりました。
 言うまでもなく、捏造です。
 そして前述のTSの影響受けてることが明白な小ネタです。
 サイバー設定のはずがSFの匂いを微塵も感じさせられない文章の下手っぷりがよく出ています。

 ってわけで、カイミク兄妹設定がとても好きです。
 むしろ兄バカでアホじゃないの的なKAITOが好きです。恋愛感情があるのもないのもどっちでもいけます。いずれは嫁になってもいいが、当分は妹でいて欲しい(妄想止めろ)。

 そういえばキーボードの上に派手に水(花瓶の水)をぶちまけて以来、大変打ちづらいです。
 何たって左のシフトキーが反応しなかったり、一部のキーを一度押しただけでも連打されたり。致命的すぎる。
 買い替えを検討するのと一緒に、とうとうATOKの導入を本気で検討し始めました。ダメだ、そろそろMSに見切りをつけたい!




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