小ネタ日記ex
※小ネタとか日記とか何やら適当に書いたり書かなかったりしているメモ帳みたいなもの。
※気が向いた時に書き込まれますが、根本的に校正とか読み直しとかをしないので、誤字脱字、日本語としておかしい箇所などは軽く見なかった振りをしてやって下さい。
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切り取りの日々(ルルーシュとスザク/コードギアス)(その他)。
2007年02月11日(日)
言葉の裏を考えずに言葉を交わす。
己が親友に最も似合う色を問われれば、ルルーシュ・ランベルージは迷いなく『白』と答える。
「…白? それはまた随分、買いかぶりすぎじゃないかなぁ?」
喉の奥からこみ上げる笑いを手で隠しながら、スザクは真顔で言った親友に向かって小首をかしげた。言った当人よりも、評されたほうが恥ずかしい。そんな思いを込めた仕草だった。
午後の日差しは透明度の高いガラスを通り抜けて二人に降り注ぐ。残り数十分の自習時間を堪能しながら、同じクラスの少年たちは生徒会室の窓枠に並んでもたれかかっていた。
ルルーシュは笑われたことが不愉快だったのか、その柳眉をひそめる。
「笑うな。似合う色を訊かれたから答えてやったんだ」
「うん、そうだね。ありがとう」
不遜な物腰と横柄な口ぶりのルルーシュに、スザクはまだ笑いながら礼を言った。
事の発端は、スザクの私服についてだった。軍の兵舎暮らしが長かったスザクは私服にそれほど頓着しないのが常だ。しかし最近入寮した学校寮は帝国良家の子女ばかりで、スザクのシンプルかつ廉価な私服は目立つらしいのだ。
妙に『スザクの平穏な学校生活』に心を砕いているルルーシュにとっては、その問題が気になっていたらしい。
「別に派手だとか高価だとかじゃなくていいから、仕立ての良いものを着ろ。そうすれば…」
「でも僕は学校が終われば軍に行くし、休日も勤務が多いから私服なんて数があったって不経済だよ」
「服は個人の戦闘服だ」
「それは僕にとって軍服に当たるよ、ルルーシュ」
スザクはにっこり笑う。この話はこれで終わり。その意味をルルーシュは正確に受け止め、紫の双眸を細めながら息を吐いた。
「じゃあ俺が買ってやる」
「――――!」
スザクは今度こそ吹き出した。
「あはははははは! 面白く成長したんだね、ルルーシュ!」
「笑うな! 俺は本気で言ってるんだ!」
「わかってるわかってる」
遠慮斟酌無く笑いながら、スザクは親友に向かってひらひらと手を振った。
「制服のボタンをつけてもらうことはあっても、服買ってもらう謂れはないから大丈夫だよ」
「あれはお前がボタン無しのワイシャツなんか着てるからだ! みっともない!」
ルルーシュの白皙の顔が照れか怒り、どちらかにわずかに染まっている。その顔を見ながら、スザクは穏やかに微笑む。怜悧な印象のルルーシュだが、内面は意外なほど激情家だ。
ルルーシュの声には力がある。他者を屈服させずにはいられない王者の声。それは彼の血筋が成せるものであり、彼個人の誇り高さのせいかもしれない。しかし、スザクはその声に膝を突いたことは一度もない。またルルーシュもそれを望んだことはないだろう。
ともだちだった。今までも、きっとこれからも。友は対等であるべきだ。
「みっともないって言うけどさ。見えないところに力を注ぐのって無意味じゃない?」
「身なりはきちんとすべきだ!」
「それでボタンつけとか纏り縫いとか覚えちゃって、あまつさえ妹のパジャマを仕立てちゃったり出来るようになったんだね。ルルーシュはすごいね」
心からの感嘆を込めてスザクは友を褒めた。親友が一瞬言葉に詰まったことも知らずに、
「シャーリーに言ったら目を丸くして感心してたよ」
「言ったのか…!」
「あれ、いけなかった? だってすごい特技じゃないか。裁縫なんて」
無邪気に爆弾を落とした。
スザクの意識の中に、親友の男子のプライドというものは思い切りよく抜け落ちていた。彼にとって自分に出来ないことが出来るルルーシュ=すごい、という計算式が成り立っている。
加えてそこに「自分のことを全部自分でやる皇子様は偉いなぁ」という意識が働いている。
「…お前…その、俺のことを何でもシャーリーに喋る癖はやめろ…」
「まあ、いいじゃない」
「良くない!」
「かっこつけちゃダメだよ?」
「うるさい!」
ルルーシュが吼えた。その声を聞きながら、スザクはまた笑う。
不遇の皇子。政争に翻弄された彼と彼の妹が、この地での他愛ない日々に一喜一憂している姿が、今のスザクにとって何よりの喜びだった。
そして自分にとっても。
「とりあえず、僕は私服はそこそこあれば大丈夫だよ。ルルーシュのフリルブラウスのお下がりもいらないし」
「もう着てない!」
どうか、この日々が続けば良い。
血の色に染まらず、一日でも長く。
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大変な殴り書きで申し訳ない。
ルルーシュとシャーリーが書きたい…! と思ったはずなのに、あら?
ルルとスザクのイメージをとても間違えた気がします。確信犯一歩手前の天然スザクさんと、生真面目ゆえに情熱的天然なルルーシュさん?
…キラとアスランの関係といい、こういうのが私は好きなんでしょうね…(ルル=アスラン、スザク=キラ)。
神咲さんに「あのねあのね、14話の後のルル→シャーリー(※一方通行)がいいの!」と言ったら、「ルルが可哀想すぎるよ」と言われました。いや私不憫なルルが好き。スザクにもシャーリーにも永遠の片思いしてるようなルルが好き(……)。
ルルとアスランは同じ不憫臭がする…!(間違いなく歪んだ愛)
でもルルシャーがキラフレみたいなことになるのだけはやめてぇ…!
あと本編のCMのときに、何の媒体であってもキラ様の白服姿を出すのはやめて欲しい。サンライズ爆○したくなるから(私はキラの白服だけはどうしても認められません)。
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冬の途中で(笛/渋沢と三上ヒロイン)(三上誕生日話)。
2007年01月22日(月)
冬の日差しは純度の高い水晶のようだった。
生徒会室の窓辺に作られた陽だまりに、少女がたたずんでいた。
ぼうっとしたその風情は、小春日和のような今日の陽気そのものだ。暖かいけれど季節にそぐわず、緩んだ印象しか残らない。
放課後の空いた時間を利用して彼女を探し当てた渋沢は、平素とはやや異なる友人の有様に数秒だけかける言葉を無くした。
「山口」
渋沢がひねり出せたのは、何の皮肉も嫌味も入っていない彼女の名前だった。
窓枠に手を触れていた彼女は視線を滑らせ、渋沢を見た瞬間に生気をその双眸に宿らせた。
「渋沢?」
「ちょっと、いいか?」
「どうぞ」
本当に用事があるときは、相手の都合など構わずに入室する渋沢だったが、今日の友人は気を使わずにはいられない雰囲気だった。
妙に緊張した面持ちで生徒会室のドアをくぐる渋沢に、彼女のほうが小さく笑った。
「何か用? 三上ならいないけど」
「あ、うん。それはわかってる」
「誕生日に都合よく練習休みだもの。どこか出かけたんでしょう?」
「…やっぱり覚えてる、よな?」
「一応ね」
会話をしているうちに普段の調子を取り戻したのか、窓辺の儚さを振り捨てて彼女は軽く腕を組んだ。
腕を組むというのは相手への警戒と、自分を守ろうという心理の現われだ。それを感じながら、渋沢は背筋を伸ばした彼女の様子を窺った。
「あーその、何だ、今日うちの部全員で休みだから、どこかに遊びに出ようって話になってるんだが」
「そうなの」
「その、山口も一緒にどうだ? いや、三上はいないんだが」
「面白い慰め方に見えるけど、あからさますぎて微妙なんだけど。三上は今の彼女と出かけたんでしょう?」
「まあ、端的に言えばそうなる」
どうやっても下手な慰めにしかならなかったことを自覚しながら、渋沢は出来るだけ優しく苦笑してみせた。
あまり似つかわしくない真似というのは渋沢にも自覚がある。別れた彼氏が別の女と誕生日を共に過ごしているこの時間を、彩がどう過ごしているのか気になってここに来た。彩本人にもそのぐらい推測しているのだろう。
どうも彩以上に調子が出ず、言葉が上滑りする渋沢に、むしろ彩のほうが同情しがちな視線を向けた。
「気にしてないから、大丈夫よ」
「…そうか」
気にしたとしてもそれを口に出す性格の女ではない。渋沢もそれは知っていたが、それでもあの窓辺の表情は本物だった。
「…どうせまたすぐに別れるさ」
「あのね、それ三上と今の子に失礼よ」
「今の子、ってあたりからして同じようなものだろう」
「そうね。…私も大概嫌な女になったものよね。いつまでも踏ん切りがつかなくてずるずると」
ばかみたい。
ぽつりと彩が呟いた。自嘲の響きは隠しようが無く、切なげでもあった。
冬の午後の日差しは暖かく、日当たりの良い四階の部屋を包む。生徒会役員でもない三上もこの部屋の日当たりの良さは気に入っているようで、よく用が無くともここを訪れている。その理由の半分以上は別れた彼女への未練であることは周囲のほとんどが知っていた。
失った恋の痛みを忘れるために新たな存在を求める三上と、捨てきれない心を持て余す彼女。意気地なし、と渋沢が言えば二人揃って「ほっといてくれ」といったような意味合いの言葉を返してくる。
普段ならば渋沢はただ呆れるだけで、勝手にしろと思うのだが、今日は別だった。友人のよしみで、今日ひとりで放っておくのは憚られた。
「また別れたら、また慰めてやればいいさ。あっという間に山口のところに戻って来る」
「…一番嫌なパターン」
窓枠を後ろ出に突き、彩が軽く天井を仰ぎながら嘆息した。
嫌だと言いながら、諦めも入った吐息だった。
「しょうがないだろう。お前らの関係はそれなんだ」
落ち込むことを見せずに強がる少年。かすかに息を吐き、しょうがない人だと微笑する少女。無意識に甘える相手とそれを許容する相手。永遠に進歩のない二人になりつつあることは、渋沢だけが知っていた。
だからこそ、この目の前の友がいつかロクデナシに引っかかって人生損をするのではないかと心配にもなる。
「だいたい三上も三上だが、あいつの甘えを許す山口も悪い。たまには突っぱねろ」
「引っぱたくことはあったけど」
「殴ってもその後に慰めたら同じことだ」
「…渋沢、一体何しに来たの」
「そうだった」
段々説教癖が顔をのぞかせた渋沢は、慌てて口調を改めた。目を細めた彩は、それでも瞳は微笑んでいる。
その表情が甘いというのだ。相手の隙を見つけたなら力で攻め立て、陥落させれば良いというのにそうしない。
「とにかく、暇なら一緒に来い。藤代あたりが歓迎するから」
「私にサッカー部の集まりに混じれってこと?」
「一部しかいないから遠慮はいらん。ほらコート着て早く来い」
会長席の椅子に掛けられていたコートを取って彩に押し付け、近くにあった鞄を人質代わりに持ち上げた渋沢に、彩は今度こそ鼻白んだ視線を向けた。
「友人思いですこと」
「一人で感傷に浸ったところで何の進展がある。だいたい騒いで遊んでるときに落ち込んでる山口を思い出すのは気分が悪い」
「どういう意味よ」
文句を言いながら彩はコートを着込む。ふんと口を引き結ぶ顔つきには、生来の凛とした雰囲気が蘇りつつある。
そのほうが余程彼女らしいと渋沢は思う。恋に悩むより、未練を引きずるより、顔を上げて顎を引いて、男なんて皆バカの集合だとこき下ろすぐらいの凛々しさを友として好いている。そもそも三上亮という例外さえなければ、彼女のその資質を疑ったことはなかった。
「さ、行こう」
友愛の気持ちで細い肩を叩く。
「はいはい、行けばいいんでしょう」
まったく、強引なんだから。許容の精神を全開にさせた少女はそうぼやく。
しかし、たとえ今は渋沢と一緒にいたとしても、きっと彼女は今日一日ここにはいない相手の誕生日を祝っている。彼が誰といようと、誰を思おうと、自分がどこにいたとしても。
夕刻を過ぎた頃になれば、三上も合流させることが出来るだろう。すでにその算段を整えながら、友人思いの少年は己の自己満足さに内心で苦笑した。
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祝ってない三上亮さん誕生日おめでとう小ネタ。
…………祝ってない(読み返してみた)。
そういや今期は彩姉さんの誕生日(設定済み)(以前某さんのお誕生日からいただきました)(12月)も祝ってないので、三上もこんな調子で。
いいの幸せな三上誕生日は正規話とか何年か前とかで書いたような気もするから。
おめでとうございます(強引に締めてみた)。
三上って、「あーほんとこのひとバカでバカでしょうがないけどそこが放っておけないのよねー」キャラだと思う(暴言か)。
意外と渋沢のほうがリアルで一緒にいるのはつまらないと思うんだ。そつがなさそうで。
…と、結構常日頃から思っているのですが、そのせいか会社の先輩たちから「遠子(仮)さんは、ダメな男好きそうー」と言われてます。
………あーちょっと自覚あるなぁ(注:三上に限らず)
ああこいつバカだなぁ、と愛しさ半分で思ったらもう負けです(何が)。
昔は三上なんて「バッカじゃないの!」という印象でしかなかったような気がするんですけど…。
まあそんな演技派みかみんも、今年で23歳? まあオトナ!
サイト的にはみかみんと彩姉さんを書くのは結構好きなので、気が向く都度ぼちぼちと書いていけたらなー、と思います。…と言いつつ、『三上と彩姉さんだけ』の話って近頃全然書いてないんですけど!
あとやっぱり渋沢と三上の組み合わせも忘れずにいたい。
最後に、中田英寿さんお誕生日おめでとうございます。
長い旅の道中、どこかでかつてのベルマーレに顔を出していただけると、大変嬉しいです。
届かないとわかっていても願ってみる1月22日。
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