小ネタ日記ex
※小ネタとか日記とか何やら適当に書いたり書かなかったりしているメモ帳みたいなもの。
※気が向いた時に書き込まれますが、根本的に校正とか読み直しとかをしないので、誤字脱字、日本語としておかしい箇所などは軽く見なかった振りをしてやって下さい。
サイトアドレスが変更されました。詳しくはトップページをごらんください。
:日記一括目次
:笛系小ネタ一覧
:種系小ネタ一覧
:その他ジャンル小ネタ一覧
●●●
雨の中で(デス種/アスラン)。
2005年06月25日(土)
ずっと迷って、気付いたら手を離していた。
三人を蹴り飛ばし、二人を奪った銃で撃った後はもうカウントするのを放棄した。
雨音は足音と銃声を薄れさせてくれる。加えて日暮れ後の闇は、アスランにとってまたとない味方になってくれた。作戦行動前の基地は武装兵で溢れ返っている。じき自分が二度目の逆賊になったとの通知が広まるだろう。
兵舎の非常階段に置き去りにした歌姫の身代わりのことが気にかかったが、今は自分のことだけで精一杯だ。雨に濡れながら人通りを避け、別棟の兵舎の脇を走りながらこれからのことを考えた。
どこに行くのかと問われれば、答えは一つしか出てこない。
―――アークエンジェルへ。
今になって、親友の言葉を認めたがる己に、アスランは自嘲の笑みを浮かべた。どうしていつも、気付くのはこんなに遅い。
自分の背よりも高い鉄の格子を助走をつけて飛び越える。身を潜めて遠くに見える動く明かりをやり過ごすと、一般兵舎の非常階段を一気に三階分駆け上がった。下方の舗装道路に軍用ジープが何台か港に向かって走っていくのが見えた。
思った以上に議長の手配が早い。たった一人を捕らえることだけに何人を動かしているのだろうか。これも自分への一つの評価かと、アスランは到底自慢にならない現実に息を吐いた。
冷たい雨は心まで冷やそうと躍起になって降ってくる。逃げるには便利だと思ったが、自然環境は決して人間に媚びへつらうことはない。
南国のスコールを思い出す。唐突にやって来ては豪雨を降らせ、気まぐれに去っていく。あの国、あの雨の後の清らかな空気。
不意に開きかけた口を、アスランは強い意志で無理に閉じた。今となっては楽に口に出来なくなった南国の少女のすがたが、夜の雨の向こうに浮かんだ。
金の髪の少女は、今の自分をどう思うだろうか。
見損なうだろうか、それとも呆れるだろうか。どちらにしても無様なことに間違いはない。冷静に受け止めてはくれないだろう。
『オーブへ戻るんだ』
今になって、あの夕暮れの海での自分の言葉を思い出す。今になって、あれがどれだけ酷薄な響きを帯びていたかを痛感する。
いつだってそうだ。ひとの痛みに、自分はこんなに後になってから気付く。
なぜカガリがあの国を出ることになったのか、なぜキラが罪を被ってまで妹を攫ったのか。理解出来ないと思っていたのは、アスランが彼らの言葉を最初から否定していたからだ。そして彼らがアスランを否定していると思い込んでいたからだ。
自分の本当の望みは何であったか。
一拍の息を肺まで吸い、拳を胸に当てるとアスランは目を閉じた。心臓の音のその奥、鮮烈に見えるたくさんの面影。雨の音はここまで迫って来れない。
『――アスラン』
名を呼んでくれる、やさしい声はいくつも重なる。
キラやカガリを守りたいと願った思いは今も色褪せない。そのためにザフトに戻った。世界の平和の中に、彼らも在った。
―――だから、ここでは駄目なのだ。
彼らのところに行ったところで自分がどうするかは、アスラン自身にもわからない。胸を張るのか、頭を下げるのか、そして彼らの反応も、まるでわからない。
それでも、一緒に考えようと言ったキラを信じている。滑稽なほど、兄弟のように育った幼馴染みを信じている。金の髪の少女がもたらしてくれる、満ち足りた優しさを信じている。あんなに傍にいるだけで己の力を信じさせてくれる二つの存在を他に知らない。
今度こそ、共に道を探したい。一緒に生きたい人たちと、同じ道を。
群青の髪から落ちる雫がアスランの頬に落ちる。闇はますます深まっていく。彼は面を濡らす水を手で振り払い、自分が選んだ道へと走り出した。
************************
ひとりアスラン祭開催中です。
36話『アスラン脱走』前提で。
MS戦より銃撃戦より何より、肉弾戦アスランが好きです。
…ごめん、私カガリを蹴飛ばしたりダコスタ君を仰天させたアスラン・ザラが好き…(@無印)。
脱走ってことはー…と、結構ぶん殴ったり蹴飛ばしたりするアスさんを期待していたのですが、見事叶っていやっほうな気分です。ぎゃーかっこいいよアスランのくせに!(素直に褒めろ)
ミーアやメイリンに手を差し出すあたりがまた彼らしかったです。
そんなデス種36話、『アスラン脱走』。
今週はミーアも期待方面の反応をしてくれて好感度急上昇です。どこまでも『ラクス』でありたくて、『ラクス』で居続けることを選んでくれてありがとう。しかも平然とじゃなくて取り乱してまで固執してくれてありがとう。
ぎりぎりの欲望に罪悪感も未来も何もかも吹っ飛ばしたキャラは結構好きです。
まあ、ミーアもついてくることになって、メイリンといい、女の子二人連れでアークエンジェルに戻ってきたアスランをあっちの人たちがどういう目で見るかと想像するのも楽しいんですけど。
議長については。
「お前がキラを語るんじゃねぇ!!」
とでも言いたげな、ザラさんの苛烈な目が面白かったです。
わざとなのでしょうが、議長の語り口は相手に同意しているようで最終的に自分のいいほうに持っていく、まるでクレーム処理のような話術ですね。
…にしたって、シンの扱いが。どうせなら銃持ってアスラン追っかけるのがシンならよかったのに。事情知ってるのがレイだからってさ、こういうときこそ主人公特権が欲しい、せめて(そんな特権はキラにしかない)。
来週はMS戦なのが残念です(作品根底を覆す発言)。
|
|
●●●
うたかた(デス種/アスランとカガリ)。
2005年06月19日(日)
光があってこその影法師。
夕暮れの海は地球の丸さを思い知らせてくる。
夜の女神のドレスの裾が東から広がり、西の太陽の残照を少しづつ覆い隠していく。夜明けとは真逆の黄昏。一日の終わりが始まる。
海原から吹き付けてくる風がアスランの前髪を乱し、首筋をくすぐって通り抜けていく。
「アスラーン!」
ほぼ波打ち際を歩いていた金髪の少女が、不意に振り返ると笑って手を振った。
彼女はアスランに用事があるわけではない。ただ離れて歩いている彼に声を掛けるためだけに笑っている。
「カガリ、あんまり深いところまで行くなよ!」
白いふくらはぎをむき出しにして海水とじゃれあっている少女に、アスランは声を張り上げた。
ところが彼女は、笑って一蹴する。
「わかってる! 私はここで育ったんだぞ!」
つい少し前まで地球の海を知らなかったアスランに言われなくても、ということらしい。
事実である分だけアスランに反論の余地はないが、護衛としてこのお転婆姫に注意することは必要なのだ。
さざめく潮騒と、砂を含んだ海の風。この国に来て最初の頃はこの潮風に辟易したものだったが、気付けば慣れた。人間の順応性は、人工的な遺伝子を持つコーディネイターといえどもそう大差ない。
幼少の頃から一人でも海で遊んでいたというカガリは、十代後半になってもその癖が抜けない。砂遊びに没頭するわけではないが、夕暮れの海を歩くことは彼女にとってストレス解消の一種らしい。
六角に伸びた水晶のようなあのカガリの真っ直ぐな気質は、このオーブの太陽と海が育てたのだろう。彼女はまぎれもなく地球の少女だった。
沈んだ太陽の残った光だけでも、カガリの金糸の髪はよく見える。わずかな光でさえ浮き立ち、夜にまぎれない。
「カガリ、そろそろ帰るぞ」
もう戻らなければ、夕食の時間に間に合わない。
時計を確認したアスランが彼女に声を掛けると、アスハの若い当主は不満げな表情を寄越した。
「ええ? もうそんな時間か?」
「今日は明日の準備もあるから早めに帰るよう言われてただろ」
「めんどくさいなー」
口ではそう言いつつも、明日の朝から視察の任を負う少女は裸足のままアスランの近くまで駆けて来る。潮になぶられた金の髪と、砂だらけの白い足。
こうしていれば、ただの一人の娘だというのに。
「ちゃんと足拭けよ」
「はいはい」
車からタオルを持ってきたアスランがそれを放ると、カガリは半乾きの肌から砂をはたき落とす。
国民はまさか自分の国の姫と仰ぐ少女がこんなところで海遊びをしているとはあまり想像していないだろう。
何気ない黄昏は毎日訪れる。空はその下の地表がどうなっていてもその色も移りゆく様も変化しない。
ただの夕暮れと海の色。同じ景色の中、二人の影が夜に消えていった。
************************
で、オチは?(………)
アスカガで小ネタって実はむずかしいです(私にとっては)。
ここ最近使っていなかったワープロを出してカタカタ打ってたんですが、やっぱ使い込んでるのはいいわ…としみじみしました。
あとワープロだとパソコンと違って、ネットに逃避しないので書くときの集中力が違うと実感しました。いやむしろ反省。
調子が悪いのが難点なのですが、ワープロ後期のものでまだメーカーで修理受付してくれるようなので、早いうちに修理に出そうと思います。FDを時々読み込んでくれないから…。
あとワープロだとパソコンのネット辞書が使えないので、アナログ辞書を使わなければならないのがちょっと面倒。人ってこうして楽を覚えていくんですね。
むしろワープロで一番楽なのは、ワンタッチ電源のところですよ! 立ち上げが一瞬。パソコンみたいに一度落としたらまた立ち上げるまでの時間がかからない(←ものぐさ)。
たぶん次回の更新あたりは前みたいに、
ワープロで書きtxtでフロッピーに保存 → PCでhtmlタグ打ちしてアップ
…という手法に戻ると思います。
メモ帳で全タグ手動打ちサイトです。
|
|
<<過去
■□目次□■
未来>>
|