栗
彼が私のために買ってくれた、もう一つのケーキ。
これも一緒に食べられると思ったら、「和栗のモンブラン」を
見た瞬間、大変な勢いで話し出した。
彼はモンブランが大嫌いだそう。
私も子供の頃は苦手で、天津甘栗のほうがよかった。
マロングラッセも、栗ご飯も嫌いだった。
おせち料理の栗きんとんは食べられた。
そんな私がディジーに夢中になるなんて不思議。
ここの一番人気は、マーブルチーズケーキらしい。
一度だけ買ってみたが、それほどでもないが感想。
モンブランとは違うと言っても、彼は拒否。
なので、ディジーは一人で美味しく頂きました。
2005年10月31日(月)
10日遅れの
夕食は彼のリクエストで鍋。
鍋に入れる食材が、私と彼では大変な違いがあることを知った。
春雨好きな私、白くない糸コン派の彼。
煮魚嫌いの私、鍋に普通に入れるらしい彼。
鉄板焼きでも、ソーセージなんか邪道だと思う私。
それを鍋に入れた衝撃は、一言では言い表せない。
昆布でだしを取るのは一緒だけど、一人暮らしを始めてから
鍋をしなかった私は、買い忘れてしまった。
適当にかつおだしで取った鍋は、彼好みではなかった。
私自身うどんすき以外で、かつおだしの鍋は食べたことがない。
きっと私を料理下手だと思ったはず。
あたらずとも遠からず。
ケーキとワインを買ってくれた。
食後に二人で乾杯。
こんなふうに過ごせる夜が来るなんて思わなかった。
一緒にDVDを観て、たくさん話せた。
帰り際の彼からのメールに、
逢ったとき暗かったようの顔が、だんだん明るく元気になった。
と、あった。
食の嗜好の違いより、私をよく見てくれていたことに感謝。
2005年10月30日(日)
定まらない
今夜は、彼から電話もメールもなかった。
3ヶ月逢えていなかったけど、毎日電話とメールがあった。
数日前、Sちゃんと話していて、私はとても自慢げに
逢えなくても毎日電話してくれるよ。
深夜遅くなっても、必ず一言だけでも連絡くれる。
こう言って羨ましがるSちゃんに有頂天になっていたのに。
この日記を彼は読んでいる。
毎日、毎日読みにきている。
以前の日記は彼に隠していた。
彼の目を意識せずに、思ったこと感じたことを書いていた。
彼に知られた後、書けなくなりここに移動した。
ここを知られた最初の頃、不思議と読まれていることを意識せずに書いていた。
しばらくして、彼が読むだろうと予想して書く日が出てきた。
曖昧な書き方だから、彼にもわからない部分があったかもしれない。
彼に向けてだけ書く日もあった。
昨夜、彼と話しているとき、顔を見て話そうと言われた。
電話だけでは伝わらないと、彼から初めて聞いたような気がする。
荒々しい話し方で彼を追及したのに、聞いてほっとして語気が穏やかになった。
なのにここで書き始めると、イライラがよみがえり、投げやりになり書きなぐってしまった。
昼間に、彼が読んだ跡を見つけた。
ショックだったろうなと思う。
それでも、私は開き直っていた。
零時を過ぎ、今日は彼からの電話がないと確信して、反省しながらも
仕方ないと思う。
彼にひどい男だと言ったけれど、私も充分ひどい女だ。
数時間毎に気持ちが揺らぐ。
彼といたいから、彼の望みを叶えてあげよう。
なんで私がそこまで折れないといけないの?
疑ってかかるのは当然だよね。
どうして信用してもらえないまま私が負わないといけないの?
一度やってきたことだから深く考えずに、やってみればいいさ。
もういいよ、今度こそ独りになろう。
彼を失いたくない。
どうして?
彼を愛しているから。
だったらもっと簡単にすればいいじゃない。
でもね。
ひとつだけはっきりしているのは、彼を失うことになったら、次はない。
彼に嘘をつかない、どこかに行ってしまわない。
無言で過ごすのにも慣れたし、人と深く関わりたくない。
ここでこのまま、息を潜めてじっとしたままでいい。
2005年10月26日(水)
延期
彼が来ると言った日は、Aの理由で延期になった。
彼が来るはずの明日は、Bの理由で延期になった。
もう来なくていいよと言ったのは、二度と来なくていいの意味だった。
Bは私が最も敏感に反応する理由。
Bのためにズタズタになった。
Bのせいで一昨年さよならを言い、別れたんだ。
前はしゃあしゃあと話していた。
今は口篭りながら話すようになった。
前よりはまし、私の気持ちを察するようになった。
変ったのは態度だけで、根本は同じ。
電話では言わなかったけど、夕食の材料を買いに行ったのに。
朝食は何にしようと考えたのに。
シーツを交換し、掃除して片付けたのに。
彼は愛していると言ったけど、そうじゃない。
彼が愛しているのは彼自身と彼の分身だけ。
無期限延期でいいよ。
3ヶ月逢ってないから、これからまた3ヶ月逢えなくていい。
もう逢えなくていい。
逢いたくない。
2005年10月25日(火)
彼が選んだのは
先週の金曜日、幼馴染からメールがあった。
なぜか彼女も覚えていてくれて、お祝いしようと待ち合わせした。
用事で青山にいるから、来てくれる?
表参道に行ったことないよ。
じゃ、B4出口のみずほ銀行の前で待ってて。
それまでも何度か誘われていたけれど、腰の重い私は
いろいろ理由をつけては断っていた。
数日前から風邪気味だった私は、それでも出かけようと
何を着て行こうか考えていた。
咳がひどくなり悪寒も強くなり、私はベッドにもぐりこんだ。
彼女は携帯を持たない主義で連絡の取りようがなかった。
待ち合わせ時間の15分を過ぎた頃、彼女から電話。
何度も謝って私は眠ってしまった。
19・20日でそっちに逢いに行くからね。
この約束は、彼の仕事の都合でなしになった。
この日より土日に来てくれたほうがいいからと、私はがっかりせずにいた。
23日が近づくのがいやだった。
彼といて彼に包まれていたかった。
だから幼馴染からの誘いを受けたんだと思う。
私の不安を聞いて、調整して連絡すると言った彼は、すっかり忘れ
25・26日に来ると連絡。
23日を眠ったままやり過ごした私は、彼が忘れていること
は気にならなかった。
テレビを観ず、ネットニュースも読まず昨日が終わるのを待った。
あのときを知らない人と、いたくなかったかもしれない。
一人でいることがいやなのに、誰とも話さずにいるほうを選んだ。
誰かといるなら彼といたかった。
今年だけは20日より23日を一緒に過ごしてほしかった。
彼がなぜ土日を忘れてしまったか、ようやく気づいた。
それどころじゃない目の前のアクシデント。
咳き込んで嘔吐と下痢を繰り返し、彼の心配は私にではなく
目の前の病人。
入院になるかもしれない不安を抱える相手と
ただ精神的に弱っている私とならば、彼の選択は決まっていた。
これが悲しい現実。
2005年10月24日(月)
乾いた笑い
「傘がない」だね。
誰でもそうだね。
遠いところの話だね。
マジメに考えてる自分がバカらしくなった。
二人のこれからじゃなく、自分の今を考えるよ。
だから、ここにいる。
動こうとしたり悩んだりするのは、これからを生きるためだったから。
ここでいいよ。
何が起こっても仕方ない。
起こってもいないことを、起こりそうだというだけで
思い悩むのはもうやめた。
徐々に慣れていっているからいいんじゃない。
震えないし、声も出る。
電話を終えた後、あははと笑った。
そんなものなんだ。
忘れてた。
仕事よりりょうが大事。
空しい言葉。
「これから」はもういいよ。
悲しくないし寂しくないし、起きて寝て食べて。
「これから」は考えないし、もういらない。
統計も確率も予想も知らなくていいし、備えもしない。
そんなの無駄、じたばたしても仕方ない。
あははだ。
2005年10月20日(木)
熱
性急な私が、慎重な彼をなじる。
タイミングの悪さが原因。
どうにもならない、どうしようもない今。
気持ちを落ち着け、心をカラにしよう。
雨が降り続く。
肌寒さから毛布を出したものの、熱がこもる。
薄手の羽毛布団だけでは寒く、毛布までかけると熱い。
毛布だけにしても熱く、気がつくとベッドから両方とも落ちかけている。
そして、発熱と悪寒とくしゃみと頭痛。
間の悪い私。
2005年10月18日(火)
にやり
まともな食事をしないとと、久しぶりに作ったら
受け付けないみたいだった。
でも痩せないし、体重も減らない。
野菜を買い忘れたのに、雨ばかり。
ばかばかしいことは、あっという間に浮かんでいくらでも書けるのに
ここにくると指が止まる。
鏡の向こうから見るとこうなんだとか、笑い飛ばせるのにね。
皮肉なニヤリが続いてて、そんな私に彼は辟易してるかもしれない。
他に楽しいことなんかないからと言ったけど、それはただの言い訳で
あれも本当の私なんだよ。
少し離れた場所でじっと観察して、追跡していく。
飽きるまで。
飽きるのは早いけど、今はニヤリとしながら
鏡の向こうの場所にいる。
ほら、私だってこんなふうに観られてるかもしれないよ。
おもしろいじゃない。
いろんな見方があるんだから。
2005年10月16日(日)
治療法
何が欲しい?
なんだろう?何も浮かばなかった。
彼がノートPCについてあれこれ調べ始めても、気づかなかった。
しばらくして、彼が私に何かを買おうとしてるのだと気づいた。
あまりにも無縁だったから。
彼からもらったものはたくさんある。
彼と買いに行ったものもたくさんある。
だけど、買いに行ったものの大半は、私が私のために買ったもので
もらったもののほとんどが、どこかに買いに行ったものではない。
彼が聞いたら怒るかもしれないけれど、
本当に彼から何かを買ってもらえるなんて想像できない。
この数週間、私はなぜかずっとおなかを壊していて
医者に行くのも薬を飲むこともせずにいた。
どこにも行きたくないのは毎度のことで、
行かなければならないギリギリまでじっとしていた。
ついに今までしたことがなかった方法で、外界との接触を断った。
固定電話のジャックを抜き、携帯の着信音を消音にして
電源はそのままにした。
彼とすら話したくなく、声を出さずに過ごした。
携帯の着信画面を見ることなく、どこに置いたかさえ忘れていた。
ようやく携帯を探し出し、彼にメールしようと画面を見ると
彼から数分おきの着信あり。
メールを打とうとすると、また着信。
ごめんなさいしか言えなかった。
喜怒哀楽が抜け落ちて、彼がどうしてこんなに電話やメールを
寄越したのかわからなかった。
彼はとても心配し、連絡が取れないなら翌日にでも来ようと
していたらしい。
携帯の電源を切っていたら、またご機嫌が悪いと思ったけど
コール音はあるのに出てこないから、何かあったのかと思った。
彼が心配そうな声で話し、私が無事にいるのを確かめて安心する
のを聞いていると、本当にごめんなさいしか言えなかった。
ご機嫌斜めとかじゃないよ。
そんな軽い次元のものじゃない。
しなければいけないと思えば思うほど、腹痛は続き
しないままで1日が終わると、明日を考え、また痛くなり。
日常会話すらしたくなかった、できなかった。
欲しいモノは浮かばない。
ここから抜け出したい、連れ出してほしい。
言えないから、今は言っても仕方ないから。
だから何が欲しいと聞かれても困る。
おなか痛いの、どうしたら治る?
あなたがいてくれたら治るかもしれない。
2005年10月14日(金)
歯ブラシ
ハブラシを買い換えようとして、
ふと電動歯ブラシのコーナーで立ち止まった。
息子の部屋にあった電動歯ブラシを思い出したから。
なんでこの子は、電動歯ブラシを使ってるんだろう。
聞きかけて、その時もまた思い出した。
一緒に暮らしていたとき、私たちは電動歯ブラシを使っていた。
一人で暮らし始めてから、私は自分が使っていたことをすっかり忘れ
ごく普通のハブラシを当たり前のように使っている。
息子に使わせたのは、ズボラでせっかちできちんと磨かなかったから。
高齢者でもないのに、電動歯ブラシを使うことは、ちゃんとした
歯磨きの仕方を覚える妨げになるという歯科医もいたけれど。
私はあえて電動歯ブラシを使わせていた。
息子に使わせるために買った日、また私は思い出していた。
流行りモノが好きだった父親が買ってきたのは、私が子供の頃のこと。
はるか昔、30年以上前のこと。
今夜、安価になった電動歯ブラシのコーナーに立ち止まり
いくつかを手に取り、もう一度使ってみようかと考えた。
息子の部屋にあったことを思い出し、私がいなくなってからも
使うことが習慣になっているんだなと思った。
息子が当然のように使い続けていること。
私も一緒に使っていたこと。
はるか昔、初めて使った日のこと。
記憶がどんどん遡った。
そして、手にしたのは、ごく普通のハブラシ。
2005年10月11日(火)
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