2012年07月05日(木)...留守番

 ベッドの隅に寝そべりながら、其のプレイリストを流す。しん、とした部屋に満ちる音が、記憶をずるずると引き摺り出してゆく。

 制服の胸ポケットに留めたキティのクリップ、繋がるチェーンを引っ張って取り出すポケベル。半角カナ表示のPHS。初めての携帯電話、メール送信可能になったスカイウォーカ。256色カラーになった時も、iショットメールで写真が送信可能になった時も、全部お揃いで機種変更した。其々の端末に表示された言葉は、今でも、覚えて居る。

 ひとり、を噛み締めて思いを寄せる先は何時までも堂々巡りを繰り返して、追憶と忸怩に塗れた窮追が飽きる程に等しい結末へと導いて居た。其の、非常識な答は、手繰り寄せる先に何時まで、居座るのだろう。
 終焉から10年、区切りに相応しい儀式さえ在る此の年で、幸福を上書きし、塗り込め、押し潰し、心の奥深くへと埋めて、忘却出来れば良い、と願う。未だ囚われて居る事の罪悪感、喪失感、其れに伴う義務感も、全部消して、真っ白な世界で、倖せに成りたい。

 何シート在れば、どれ程に鋭利で在れば、現実に替わるのだろうか。

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