2009年06月29日(月)...疲れた

 ひとり、を噛み締めてみる。此の、ビルから見える景色と、吐き出した言葉は、恐ろしいほど鮮明に10年と云う歳月を留めていた。腰掛けた非常階段、呼び掛けの染み込んだコンクリート、其処にまたひとつ溜息が落ちる。雨が世界を鎖して、今なら、全部、無かったことに出来る気がした。

2009年06月17日(水)...期日

 差し迫った其れを前に、何もする気が起きずに居る。もう、如何でも良い、如何にでも為れ、が錆びの様に、全てを緩慢にさせる。きしきしとした軋轢を生む義務と嫌悪が、厭世に拍車を掛けた。全部、要らない。

2009年06月16日(火)...無駄

 助けて、も届かない宛てなら、もう、要らない。

2009年06月10日(水)...致死

 掌に転がる白い科学を飲み干して、漸く得られる睡魔だけが、今は必要だった。蕩けそうな目蓋と、ふわふわと脱力する身体が、ベッドに沈んで、震える携帯を手繰り寄せる腕ひとつ、動かない。

2009年06月05日(金)...朦朧

 昼間の眠気が嘘の様に眼が冴える。羊を数えるかの様に増える筋は腕を埋め尽くして、薄桃、紅、茶、の縞模様を作る。1シート飲み干した其れはただ、頭痛を寄越すだけで安穏は微塵も見えない。

2009年06月03日(水)...疲憊

 頭が酷く痛い。足元の不安定が目立って、くらくらする。アロマポッドの上皿を埋め尽くすナツメグはベルガモッドの匂いがして、科学の力だけでは既に引き摺り出せなくなった安堵感が目蓋にちらつく。オブラートに包んだ其れは、厭な感触を残して、食道を伝っていた。全身が重く、だるい。天井が波打って原色の洪水に呑まれる。ネオンに包まれた世界は、ふわふわと軟らかくて、関節の動きを奪った。喉が渇く。自棄に乾燥した唇で、体温が上昇していることに気付く。 助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けられるものか、救えるものか、誰も救わない、誰も知らない。あの終わりの始まりの日から8年、何も変われない、変わるものか、代わりなど居ない、もう、知らない。此の日々は何ひとつとして有意はなく、ただ垂れ流すような時間の浪費の果てに、拒絶と非難、謗りと嘲りがあるだけ。其れならば、もう、いい。

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