2009年03月31日(火)...破壊

 携帯電話の呼び声に耳を塞いだ。選択肢の筈だった可能性に剪定を求める現状に、息が詰まる。無数、無限が影を潜めて、今では雁字搦めの日常が明日を殺してゆく。如何して、が降り積もって吐き出す言葉と引き換えに呼吸を奪った。
 嘘を集め築き上げた答えに都合の良い事実が混ざって、体裁が整う。そんな、張りぼての史実は酸化した想いと同じで、何ひとつ訴え掛けない。

2009年03月30日(月)...白河夜船の

 何処までが現実で、何処からが偽りなのか、解らなくなる。耳に届く声は、自分が発したものなのか、其れともただの幻聴なのか。区別が付かない。
 沿線の桜並木が薄っすらと色付き始めて、今年もまた春が廻ってきたのだと、ざわざわとした焦りが胸に響く。左腕を覆う其れは、鮮やかさを与えられ失い、茶色く跡を残してはまた繰り返して、キャミソールやノースリーブを拒んだ。
 堂々と羽根を広げて、此処から飛び立ちたい。高く、高く。あの薄い薄い桃色が、陽光に照らされて、綺麗。

 ≪哀しい哉、イカロスが幾人も来て落っこちる。≫

2009年03月26日(木)...春雷

 全てを吹き飛ばして落ちてきた煌きは、希望となって明日を紡ぐ糧となった。その狂おしいまでに待ち望んだ実行計画は、漸く何か絶対的な質量を持って、転がり始めた。
 すっぽり手の平に収まった諦めは、仕方無い、結局、を伴うまでも無く、納得の握り心地で心を落ち着かせた。

2009年03月25日(水)...積年

 何時になれば、手放して良いのだろう、と、其ればかりが頭を離れない。
 年齢を重ねる度に、世界が小さくなって、自分の活動範囲が広がっていることに気付く。今まで遠い土地だった場所が、数時間掛ければ気軽に往来出来る様に。
 メトロを降り立って辿り着いた場所は住宅街の片隅で、横断歩道が見えた。その下を通り抜けると、目的の高層ビルが聳え立つ。一昔前と最先端が共存する不思議な街並みは、殺伐さと郷愁を織り交ぜて何処か夕暮れの気分がした。
 ぷかぷかと吐き出した嘘にはどんな価値や意味が在ると云うのだろう。消えたい、消えたい、消えたい、が降り積もって、誰かの大切なひとの為に時間を差し出せればいいのに、と思う。

2009年03月23日(月)...憔悴

 もう、疲れた。心が疲弊して崩れる音がする。リビングに深く根差す拒絶と否定に、学内に蔓延る緩やかな嫌悪と軽蔑に、ネオンの冠した禍々しい建物で抱く蹂躙と恣意に、奪われた活力が視野を歪めてゆく。自業自得だと自嘲すれど、進む時間に解決を見出すことも出来ず、ただ、終焉を引っ張り出しては眺めて、気分を落ち着かせている。
 今日、明日、明後日、幕引きのタイミングを数えては、増えゆく紅の筋に、隙間無く埋まりゆく肌色が醜く茶褐色に覆われて、少しだけ、安堵する。未だ、痛い。大丈夫。

2009年03月14日(土)...放棄

 目覚める度に押し寄せるデスペレートと、絶え間無く湧き上がる疑念が、存在を希薄にする。居心地が悪い。何処に居ても、許容されていることへの申し訳無さが先立って、周囲の不快を取り除くための短絡的な答えが四六時中、頭を占拠している。セイの原動力がシにある、矛盾が少しずつ蝕んで、葛藤すら失う其の日を待ち侘びている。

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