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万能ねぎ - 2012年04月29日(日)

自分のことを運動オンチだと思っている人の多くは、人生の早い時期においてダメな体育の先生に当たってしまったか、嫌なクラスメイト(運動神経が良いのだけど性格が悪い)が近くに居たのだと思う。

「お前のフォーム変だよ」

という声を気にする子供にとっては体育の授業が本当に苦痛だったのではないだろうか。「変」と言われないためのダイナミックさを抑えたフォームってのは確実に運動オンチを育てる。僕も走り高跳びだけはどうしてもダメで本気で飛ぼうとすると友達から笑われるんじゃないかってずっと暗い気分だった。良い記録を出すことよりも早く授業が終わることばかりをずっと祈っていたのだった。今にして思えば変なフォームなりに一生懸命取り組めばいつかサマになったのかもしれないのであるが。

運動に限らず失敗を恐れる気持ちっていうのは本当に成長を阻害させる。人間は失敗から学ぶことの方が多いし、もっと言えば失敗の中でしか成長しないことの方がが多い。

仕事上、コーチングの勉強をずっと続けているのだけど、改めて思うのが「他人の長所と短所をわけて考え、短所ばかりを指摘する人」ってのは教育に向いていないよなーと思う。「短所だけを潰していけばうまくなる」と思っているからタチが悪い。

短所を潰せば長所だって潰れるのですよ。多くの人にとって長所と短所というのは表裏一体で、あなたの「長所」というのは多くの「短所」によって守られているということを考えなきゃいけないわけだ。

短所を直そうとする過程の中で長所も捨ててしまって自己を見失えばそりゃ運動オンチにもなるよな。






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目と脳を疑え - 2012年04月24日(火)

最近は何を食べるか迷うときには、自分の身体の部位のそれぞれから意見を聞き、多数決を取って決めることにしている。

例えば「ビールが飲みたい」とか「カレーを食べたい!」って舌や喉が主張しても、「身体に悪いよ!」「明日に響くよ!」と肝臓や胃や大腸が言うならば2対3で却下をするようにしている。

今までは胃がどんなに悲鳴を上げようとも脳みそが「だって美味しければいいじゃん!」「食べなきゃ損じゃん!」と強行採決をしていたのだが、最近は北アフリカよろしく民主化を進めることに成功した。ついに脳による専制政治が打倒されたのであった。

焼肉の食べ放題なんか行くと、とっくに胃は満足しているのに「あと終了時間まで20分もあるよ!」とか「この肉は珍しいから食べなきゃ損だよ!」とか脳が情報を入れることで食べたくもないのに食べてしまうというのは良く考えたら奇妙な状態だ。同じお金を払っているならば気分良く食べた方がよいのに、食べなくなくなるまで徹底的に食べ尽くして吐き気すらするのに「あー幸せだなあ」などといったりするが、アレは本当に何なのだ。

人間の食欲ってのはその食べ物が持つ「意味」で満足度が決まってしまうことが多い。「有機野菜」とか「取れたて」って書いてあるだけで「あ、食べたい」って思わされるみたいな。

食欲を感じることって良いことだと思うのだけど、胃ではなく目や脳の錯覚で騙されていることってとても多い気がする。本当に必要な食べ物を感謝しながら食べることができる日は来るのだろうか。
そんなことを考えていたら3ヶ月で8キロやせた。


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ジコケイハツ - 2012年04月11日(水)

雑誌の特集で「人生を変えた1冊」とか「無人島にもって行きたいCD」みたいなテーマが一時期流行っていましたよね。

でも本で人生を変わるなんてことはなくて、人生が変えなきゃいけないとどこかで思っていた時期に読んだ本がたまたま心に響いただけという気がします。どんな素晴らしい本でも、内容が読む人の精神状態と合致しなければ輝きを放たないじゃないでしょうか。

そもそも無人島ではお気に入りCDより十徳ナイフとか七輪の方が大切なので音楽を聴くような気分にもなかなかならないかもしれません。結局どんな名曲ぞろいのアルバムだって、聞く人の気分が乗らない時には騒音でしかないわけで・・・。

もちろん最高の音楽というのは聞く人の気分を一気に動かす力があります。3月に観にいったオペラシティの小沢健二の音楽は文章では表現できないくらいの素晴らしさでした。でもかっこいい本や音楽は人生とは関係ないからこそ儚く美しい。人生を変えるとか生きていく上で絶対に必要っていうのとは違うよなー、みたいなことを最近は考えています。

・・・と前置きが長くなりましたが近藤麻里恵先生の「人生がときめく片付けの魔法」をうっかり読んでしまったせいで、部屋中のものを捨ててしまいました。汚部屋男子歴34年の僕がまさか片付けから3ヶ月経ってもまだ部屋を綺麗にキープしているとは・・・。衝撃の一冊です。
本当に残したいもの(手のひらで触ってみてときめかないもの以外)は全て捨ててしまいました。

かなり容赦ない廃棄作業だったので、普通の感覚ならば捨てないであろう名著も大量に捨てました。くらもちふさこの漫画とか大島弓子全集とか橋本治のパンセとか。ゴルゴ13は100巻くらいあったのに全て捨てました。洋服は元々あまり持っていなかったのですがそれでも1/5くらいに減らしました。ものが減った効果なのかずっと頭がすっきりとしているような気がします。もう元の部屋には戻りたくないので大掃除以来、本は全て電子書籍でしか購入していません。仕事で使っている机の中身も徹底的に捨てました。鞄の中身も最低限のものしかありません。

「部屋のものを徹底的に捨てると性格が変わる」とは良く言われることですが、僕の場合は食欲が一気に減退して6キロやせました。野菜ジュースばかり飲んでいます。

ああ、そういう意味では僕にとっての「人生を変えた一冊」というのは文学的な内容の、所謂「芸術と現実の乖離」とか「時間感覚とは幻想である」みたいなテーマのものではなく、「お部屋の片付け本」という極めて実用的な本だったということになる。ううむ。



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