VITA HOMOSEXUALIS
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2015年08月24日(月) 次の人

 サナトリウムで私を射精させた車椅子の男性は、米人の牧師と同性結婚すると言って私のもとを去った。その頃は同性婚という制度はどこの国にもなく、その人だけの心の満足なのだろうと思った。

 私はしばらく一人でぶらぶらしていたが、また「薔薇族」を買って読み、浪人と称する19歳の男の子と会った。

 晩秋のある日、私の前に現れたのは整った顔立ちをした背の高い男だった。自分の一族はみな医者で、自分も医学部を目指して浪人していると言った。

 私たちはとりあえず体のことは考えずつき合うことにした。

 彼はバレエを習っていたそうで、舞台にも立ったことがあると言っていた。彼は私をクラシック音楽の演奏会に連れて行った。そうすると彼は一般客とは違う入り口から入り、中にいる係のような人と知り合いらしく、いろいろ談笑しているのであった。

 そういう社会は私の住んでいる社会とは全く別のものであった。

 彼は中野にマンションを持っていた。親に買ってもらったといい、見晴らしの良い2LDKに一人で住んでいた。

 それもまた私には想像もできない社会の出来事であった。

 私には彼を好きだとか愛するとかいう気持ちは生まれなかった。だが、私の知らない世界のことを知りたいという気持ちが湧いてきた。


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