舌の色はピンク
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2022年04月30日(土) 草むしり、芸術論

お休み。晴れ。
8時半、休日トーストを平らげて、
明日は雨らしいから今日のうちに布団を洗って干した。
朝から入浴。それから家事。

庭で草むしり。
ねじり鎌でばさばさ刈っていく。
同時に軍手をつけた左手で抜いていく。
なんて楽しいのだろう。
これはレジャーなんだな。
ボーリングより楽しい、と直感的に思った。
ボーリングは好きだ。
でもボーリングより楽しい。


11時過ぎに家を出る準備を整えていたが、
妻が腹痛をうったえ、数十分様子を見た。
12時前に出発してブルーベルへ。
今日はオムライスとウインナーの盛り合わせにした。
やはり美味い。
しかし盛り合わせにするとセットの値段は300円跳ね上がる。
なのに小さいウインナー3本というのはちょっと厳しいと思った。
満腹感のなか晴れ模様に気分良くなりつつ、西荻窪へ。
三菱UFJで金をおろす。
うちの家賃は妻の口座から引き落とされているから
僕は4ヶ月に一度妻に家賃の折半分を現金で手渡している。
家賃総額の半額を向こう4ヶ月分で29万円。
さらに三井住友へ出向いて預金を…というところで、
今度は僕に腹痛が走った。
妻と別行動して、僕はTSUTAYAで自分用に
寅さん5作目を借りた。
その足で八百屋、肉屋での買い物を済ませ、
妻とは花屋で合流した。

帰宅後は妻をソファに寝かせ、
僕は図書館とOKストアでの買い物に出た。
図書館ではたまごクラブとひよこクラブを借りたが、
両雑誌は今号をもって購入を打ち切るということだった。
無念。
まぁおそらく、別の育児雑誌が入荷されるようになるのだろう。
アラブ民話の本は貸出を延長し、
さらに小説の取り寄せを一冊お願いした。


帰宅後、僕も少々昼寝をした。
とても…とても気持ちがいい。
和室…いい。


夕方、明日のためにタルト生地を焼く。

パート・シュクレ
18cm型1台分

・無塩バター 60g
・塩 ひとつまみ
・純粉糖 30g
・薄力粉 90g
・全卵 12g

1.ボールにバター、塩を入れて混ぜる
 ゴムベラで空気が入らないよう、練るように混ぜる。
2.純粉糖を加えて混ぜる
 1と同様、ゴムベラで空気が入らないように練るように混ぜる。
3.薄力粉を加えてゴムベラで切るように混ぜる
 バターと薄力粉が混ざりあい、ボソボソした状態にする。
4.全卵を加えて混ぜる
 最初は切るように混ぜる
 粉気がなくなったらボールの側面におしつける
5.生地をまとめる
 なめらかになるまでしっかりと混ぜる。
6.混ぜ終わり
 ラップにくるんで2時間以上ねかせる。


続きは食後となる。
その前に寅さんを見始めた。
前半45分だけで切り上げて、18時過ぎから夕飯の用意。

夕飯は鶏肉のトマト煮込み。
玉葱と人参とパプリカとしめじと鶏肉を
一緒に炒めて煮込んで塩こしょうスパイス。
塩はちょっと控えめにした。
その分野菜の旨味が感じられてよかった。


タルトの続き。
フィリング。
アーモンドクリーム。
18cm型1台分
・無塩バター 40g
・純粉糖 40g
・全卵 40g
・ラム酒 5g
・アーモンド粉 40g
・薄力粉 5g

1.ボールにバターと粉糖を入れて混ぜる
 ゴムベラでなめらかになるまで混ぜる

2.全卵の半量を加える
 全卵は少しずつ加え、その都度バターと乳化させる

3.ふるった粉類(アーモンド粉と薄力粉)の半量を加える
 粉類の半量を加えたら、残りの全卵を2回に分けて加える

4.残りの粉類とラム酒を加えて混ぜる


このフィリングをタルト台に流し入れて焼くのだが、
考えてみれば今回はカスタードクリームも盛りたいのだった。
なので、フィリングは半分量で作った。
180度で41分焼成。
あとは明日。
カスタードクリームはすぐできるし、
そこに苺カットしてのっけちゃえば
あとはナパージュ塗ってミント飾るだけで仕上がるからな。


惣菜も用意。アチャール。
人参とナスをマスタードとともに油でいっためて、
いろいろスパイスかけて、
半熟卵を漬けておく。
この半熟卵に、前回以上に苦戦した。
おれは本当に大嫌いだよ…


妻にねだられ、衛府の七忍を読み始めた。
ぶっ飛んでる。すごい。
めちゃめちゃ景気良く残虐してるところに
ちまっとした笑いを差し込んでくる。
山口作品のセルフオマージュが多く
これにはなにか意味があるんかな。
シグルイからの開放を感じる。


アネット見て考えついた芸術論について、
もうすこし思索を深めてみた。
漫画家や小説家がよくいう「ネタ」というのは、
順序が逆なのではないかと思われたのだ。
絵画や作曲におけるアイデアでもあるだろうけれども、
これは面白いとか美しいとか新奇だとかいった思いつきは、
それをそうと判定している自意識がある。
その判定の根拠が、彼自身の正体だ。
というと、
ネタ-思いつきがあって「自意識がそれを判定する」ようだけれども、
ここがきっと逆なのだ。
あたかも大気圏で燃え尽きかけた岩石が小粒として残るように、
ネタというのは本来なら外界で形をとどめておけないはずの
“正体”のいち部分が、
どうにか欠片だけ生きながらえた微弱な残滓なのだ。
そういうわけで、このネタというのは”正体”をさぐるためのヒントにもなる。
内界と外界を越境してきたそれを確保したら、
あるいは言語化を、あるいは画相化を、あるいは譜面化をして、
外界に通用するものにしてやる。
これが芸術だ。
そうして内面世界を表現し、正体、核心、本質に接近できる。
ところが、”それ”は外界にとっては珍しい希少なものだから、
その副次効果として人々を楽しませることもある。
エンタメではここが転倒している。
非言語無秩序の内側ではなく、有言語正秩序の外側に向かう。
言語も秩序もある世界の中で方式化されうる。
非芸術分野の物足りなさとはこれで、
「わかる」からつまらない。

梵我一如だとか、ユングの集合無意識だとか、
プラトンのイデア論だとか、
そーゆーんとはまたちょっと違うのよな。
でもまだまだ思索が足りない。全然論になってない。
この時点で人に伝わることってあんのかな。
そもそも人間の正体とか言ってる時点で
やべぇやつ扱いされてもおかしくないしな。


寅さん5作目見終えた。
ウーン……もういいかな?
毎度おなじみのお約束を楽しむ安心感はあっても
やっぱマンネリはマンネリであるし…
一番のマンネリはマドンナとなる女像に幅がないことなんだよな。
個別の人物像はいずれもシッカリしてるのに、
寅さんが惚れる女がいつも似たような人格。
そこへきて今回は、
ちょっとした冗談で場が和む
一同の ウフフフフアハハハハ のシーンが
1秒とか2秒だけど持て余されていたような感があって白けた。
続き観るくらいなら1作目か2作目を見返したいなと思う。


民話を読み聞かせて寝た。


2022年04月29日(金) 午後出勤、ばかばかしい仕事、パソコン談義

曇りのち雨。
祝日。
出勤。
だが今日は職場のビルメンテナンスの都合上、
午後出勤となる。
GWに突入してもいるのだし仕事もほとんどないのだから
もう少し融通きかせたらいいのにな。
祝日だから残業はなしっていう通り一遍のルールだけ適用して、
で全員出社。あほらしい。
もちろん、それでも全員出社を促す経営意図はいくらでも考えられる。
しかし、あほらしい、と従業員が呆れてしまう直情には
目が向けられておらず、
結果的に会社に背を向ける心を育ててしまって、不合理だなと思う。


まぁでも午前休というのは気分がゆったりとする。
洗濯物干してから寝室へ。
妻に民話を1話読み聞かせ。
アルジェリア。
羊とロバと犬と鶏が兄弟の契りを交わして
砂漠で暮らしてたのだけど
鶏が独り占めしていた穀物を
ロバが食べるように鳴ってからロバがラリっていって
そのうちライオンに見つかっちゃって命乞いをする。
「僕が殺されるのはしかたないかもしれない。
でも僕には兄弟の契りを交わした仲間がいる。
生死をともにするという仲なんだ。
僕だけが殺されるのはかなわない」
マジかコイツ……。
でロバはライオンを仲間のもとに引き連れていく。
それを遠目に眺めた3匹は謀略をはりめぐらし、
協力してライオンを打ち倒す。
というか殺す。
ていうか食べちゃう。
しかも皮は剥いでなめしてとっておいて…。
日常がもどってくる。
がロバは相変わらず狂ってるから
また別のライオンを引き連れてきてしまう。
今度はみんなで代わる代わる、
以前来たライオンの皮をなめした絨毯を、
新たに来たライオンにあてがう。
「高貴なお客さんにはふさわしい絨毯を…」
「いやいや、こんなこ汚い、ぼろくその皮の絨毯を
この御方に出すわけにはいかんでしょう」
みたいなやりとりを四頭でしあう。
陰湿。
サイコだし。
結局このライオンは精神をやられてすごすご去っていって、
その後二度と彼らのもとにライオンが寄ってくることはなかった、
めでたしめでたし…って、そんなめでたしか…?

そっから1時間くらい寝た。
気分スッキリ。
OKストアに行って買い物して、
妻にアラビアータ、自分にうどんをつくって
のんびりNHK見た。
100カメで、京大カレー部。
ひとり本気の人がいて
1ヶ月インドにカレー留学してたり
休日は間借りテンポでカレー屋してたりで面白かった。

12時に家を出て出勤。
弱い雨が降っている。
仕事はほとんどなし。
隣の部署の人間が
漫画家のモノクロ原稿に着色する仕事をしている。
営業が拾ってきた仕事にどうにか取り組んでいる風情だが、
明らかに素人なのでじれったい。
社内からスキルある人間を見つけ出そうとしたらいいのにな。
というかこちらから名乗り出ればいいだけのことなのだけど、
そうした自発的な動きを抑制してしまっているのが
今のバカな体制だから救えない。
一つの秩序って無数の都合と不都合でなりたってるよなあと実感する。
そのバランス調整をするのが上の役割なのだが
経験浅い人が独善的な秩序を敷いてしまっている。
何度も失敗して経験深めていってください。


砂時計読んだ。芦原妃名子の。
面白かった。
なんてシナリオの上手い人だろう。ドラマも絡ませるし。
引き出しの多さが半端じゃない。キャラクター像も。
ちょっとした知識やエピソードを人物の行動原理に結びつける手並みが
あんまり鮮やかですごい気持ちいい。


18時終業。
今日は西荻から帰って、
ツタヤに寄ってインド映画に目を付けた。
GW中に観るつもりだ。まだ借りない。


帰り道、雨でつらいけど
買い物せず帰れるのはいいな。

夕飯は魚。
サバの照り煮。すでに味がついている。
焼いて、味噌汁とともにいただく。美味い。

テレビはブリティッシュベイクオフ。
ようやく番組名覚えた。
全然イングリッシュベイカーではなかったな…
今回はマカロンとメレンゲ菓子とシュークリームを3時間で。
きびしー。
けど全員やりきっていた。
いずれにも一工夫加えてる方々がほとんどだったし
今までのなかじゃ見応えあった。


妻がパソコンを買いたいと言い、探している。
用途と目的といった諸事情を踏まえてみると、
僕には間に合わせのノートパソコンを買うのが
もっとも無駄のない綺麗な買い物だと断定できるのだが、
妻はデスクトップを欲している。
見積もり時点で26万円ほどかかる。
その値段に見合うほどの働きはしないことが見えているから、
理屈をとうとうと説いて僕は別案を提示した。
妻も再検討に至った。


民話読み聞かせ。
この本…いよいよ買わねばならん。
定価だと3800円くらいするけど
古本なら半額くらいで買えっかな…


2022年04月28日(木) 快感のためだけのランチ、道玄坂徘徊、アネット鑑賞


曇り。肌寒いと涼しいの間くらい。
弁当はないが、妻の昼のためにサラダの用意は整えた。
あとは麻婆豆腐とご飯を温めて食べてもらえばいいわけだ。
夕飯はそれぞれ外食となる。


僕はお昼をインドカレーにした。
バターチキンにサグマトン、ナン、サフランライス、ラッシーで1000円のセット。
美味しいけど、もう何度も食べた味で、新鮮さも発見もなく、
ただ美味しさの快感を得るためだけに金と時間を費やしたことになる。
別に何も悪いことではないのだけど…
自分は常に何か新しい発見をしていきたいのだなあと再認識した。


日記の文字数について。
トキノのテキストファイルが69KBで、約3万3000字くらいだったはず。
日記の方は毎月だいたい130-150KBくらいだから、
おおよそ倍として、6万6000字くらいか。
まーまー書いてんな。
1日平均2200字。手書きじゃきっついね。


退勤後、神保町から半蔵門線で渋谷へ。
九段下から行けばよかったが気づかなかった。
渋谷駅から文化村に向かう最中の景色、
なんだか町並みはそう変わってないのに
自分のよく知っている頃とは人の感じが違って面白かった。
もう若者たちってのは完全に向こう側だよなあ。
あとイベントハウスやクラブの前に並んでる人たちを見て
そういえばこんなふうに街と親しんでいた季節もあったと
えらい懐かしさに見舞われた。

ユーロスペースはラブホ街にある。
こんなにラブホばっかだったっけ…とびっくり。
受付でチケットを取る。
席はガラガラ。
最前列から四番目左右センターの一番いい席が空席で、
その前後と左が埋まっていた。
なんでそんなもったいない!
いっそその空席取ったろかいと悩んだけど
全員が全員と隣り合いたくないだろうし
結局一番いい席の右席にした。
たぶん、三番目左右センターの席が一番初めにとられたのだろうな。
それならこういう結果になるのもうなずける。

上映まで1時間待ちとなったので辺りをフラフラ歩いた。
なるほどこうしてみると、スラムっぽさもまだ駆逐されきれておらず、
なかなか悪場所めいてもいる。
まぁそれもたかが知れてるけど。
どっかの雑居ビル入ったらもうちょっとは忍べてるのかな。

ゆっくりできるほどの時間はないので松屋に入った。
数年前にカルビ丼が美味いという話を聞いていたものの
ずっと食べる機会がなかったのだ。
券売機はキャッシュレスオンリー。
前に並んでいたお姉さんがもたついていた。
あなたは全然悪くないよ。
飯は可もなく不可もなく順当。
でもまあ自分で作ったほうがうまいな。

すこし早めに劇場戻って用を足す。
1Fのトイレをつかってみたら狭くて暗くて怖かった。
地下一階で霊的ポリシェビキを上映していたようで、
アレ自体は別に怖いもんでもなかった記憶あるけど
このトイレと合わさると恐怖感倍加どころじゃないな。
トイレって狭いだけで怖いよな。

上映開始10分前、神妙に席についた。
19時半上映開始。
アネット。
上映時間140分。
だけど一瞬で終わった。
ほんともう一呼吸の間にというか…。
体裁はミュージカル映画であるし
台詞の殆どが歌われる形式だったから
曲数はえらい多かったんだけど
全部ひっくるめて1曲みたいな壮大さがあった。

個人的な感想として、
開始2分で泣いてしまった。
ああ、歓喜の百鬼夜行だ…と身に迫るものがあって。
で、話が展開していくにつれて、今度は別の感動が押し寄せてきた。

……僕が思うに、人間の正体というのはまだまだ全然、解き明かされていない。
絵画や文学などの芸術はかなり正体に肉薄しうる。
がまだまだ全然なのだ。
けれど一方で、人間の正体というのは、
誰か一人の正体が明らかにさえなれば、
人間全体の正体が明らかになる……と僕は信じている。
じゃあ一人の人間をとことん解剖してみよう、
としても、これはべらぼうに難しい。
内面は外の世界に触れた途端、変質してしまう。
たとえば感情ひとつとっても、
それに最も適する言葉を選び取った時点で、
もうズレが発生してしまう。
内面にあるグジュグジュの感情を、
「悲しい」と呼んでしまった時点で、
そう置き換えてしまった時点で、
もう正体からは離れてしまう。
”それ”を言葉で表すには、「悲しい」という言葉を使わずに、
比喩や物語を運用して、擬似的に再現するほうが迫れる。
絵画にしてみても、自分の中にある
“至高の青”を外の世界で表現するためには、
緑とか赤とかあるいはそれが塗られる媒体とか、
別の物が用立てられる。

この映画は、その”内面”を露出させてきてる。
で、直接的、簡易的な置き換えに頼らないから、
場面場面でわけのわからないような描写に巻き込まれる。
そりゃあ、そうなのだ。
“内面のそれ”は、外の世界に露出した途端、
ボロボロに崩れ落ちてしまう。
だからコーティングして擬似的に再現する。
その再現は、いわば青のための緑だ。青のための赤だ。
点描画を間近に見つめるようなものだ。
直接的な文法で解読できるコードにはなっていない。

ところが鑑賞者の方でも内面を開いてみると、
このチャンネルが合うことがある。
すると一人の人間の内面が、まるごと迫ってくる。
それはモノスゴイ情報量で、到底処理しきれない。

硬球を顔面に投げられて目を閉じずにはいられない。
ところがこれは硬球どころではない。いうなれば隕石だ。
だから、察知した瞬間にチャンネルを閉じてしまう。
でも一瞬でも通じた瞬間に、
莫大な”正体の片鱗”がこちらになだれ込む。
ここに感動がある。
僕は感動した。
みんな感動しないの?


映画館出て、余韻にひたったまんま外歩き。
道行く人みんな恋しくなるような感じ。
でもスクランブル交差点で急激な現実感に塗りつぶされた。
男、女、男、女、男、女、男、女、…。
なんかこう、人間の内面ばかり考えていたところに、
外側の空気にさらされきった人間を大量に浴びせられて、
認識が不明瞭になった。


山手線で新宿へ、中央線で荻窪へ。
23時前に帰宅。
妻はソファの上に読書灯を取り付けていた。
おしゃれではあるのだが電源のための配線に難がある。
そのために他の配線を犠牲にしなければならず、
小さい実用を求めて大きな実用を逃してる転倒ぶりがうかがえ、
それについては難詰した。
しかし実用を抜いた、洒落っ気の面で秀でているから
トータルで見ればヨシとした。


入浴後、アネットの感想を検索してみた。
まともな感想をあげているものが全然いない。
そりゃあそうだ、一言二言では表せられない。
では長文ではどうかといえば、映画評論家や
評論家気取りの記事になるのだが、
いずれにせよカラックスの他作品と比較した上で
映画評論の文法に乗せて
どうにか体裁を保っている程度のことで、
お前の感動はどこにあるんだよと問い詰めたくなる。

まるで三島論みたいだな。
作品そのものを正面から見つめない。へきえきする。
いやわかりますよ、
他作品と比較し差異を照射することによって
本質を浮かび上がらせ立体化する、
むしろそれによってしか批評は深化しない、
ごもっともですよ。
だがお前の感動が見えないのは退屈だ。
その言葉数で作品そのものを語り、
お前の感動を教えて欲しいのに。


読み聞かせ民話。パレスティナ。
えらい面白かった。
女が名前売りの修道者にそそのかされて
有り金全部ささげて名前をもらう。
「今日からあんたの名はライスプディングだ」
この時点でかなりくるってるけど
そっから夫が帰ってきて、事情を知って妻に呆れ返る。
夫はどうにか金を奪い返してくるという。
「お前と同じくらいバカな奴に会うまでは帰ってこんからな」
というなんだか素敵な捨て台詞を残して、
修道者を追って砂漠へ向かう。
この砂漠でいろいろあって、この男は結局、
まったく別の夫婦をだまくらかして金をせしめる。
で家に帰る。金はなんとか元通りになったぞと。
えーーーーーーー。
結局修道者出てこなかったし。復讐とかじゃないんだな。
相手が誰だろうと失った金さえ戻ってくればいいのか。
そういえば「お前と同じくらいバカな奴に会うまでは」って
言い草にも見合うしな。
ワー面白い。
いい気分で寝た。


2022年04月27日(水) 肌荒れ、ユーロスペース、アダムとツバメの内通

曇り。なまあたたかい。
今朝も妻は先に起きていた。
僕は7時半に起床して、のろのろと弁当を用意。
牛丼。
トーストはいつもより5分早く、7時55分に妻を呼んで食べた。
NHKで天気予報をしている。
いつもより5分早いだけで
こんなに天気教えてくれるんだなあ、
と妻はしみじみしていた。


駅に着く直前、前を歩いていた女性の肌が目立って荒れているのが目についた。
皮膚の炎症というのか、細かい赤と黒が肘を中心に散布している。
見目麗しいとはいえない。
僕の方では、妻もアトピー持ちであるし
とりたてて嫌悪感めいた思いは湧かない。
ただ、社会通念とかの一切を抜きにしたフラットな印象として、
見目麗しくないなとは思う。
こういう自然感情を圧殺したくはない。
人間の美醜にはいろいろな基準があるが
死を連想させる病、病を連想させる不具、
不具を連想させる不調…といった状態が忌避されるのは、
それはもう当たり前のことなんだと一度受け入れて、
そっから話を始めるべきだと思う。


割拠、再開したいから書き進めてみた。
大方のルートはできた。
やはり祭りを描くこととなる。
難しいな。
書き上げる事自体は難しくない。
ここまできたらそれなりに成立もさせられる。
でも面白がってもらえるかは別だ。
主題を描ききって、最終的にちょっといい気持ちになってもらえる、
そういう作品に仕立てる努力を突き通す。
タイムリミットはあと2ヶ月。


21時50分帰宅。
今夜は妻が夕食を作ってくれている。
麻婆豆腐。
ついこの前にも作ってくれたはずなのに
全然記憶にないという。
覚束ない手つきで頑張っていた。

ネギを刻んで豆腐を切ってひき肉とともに
クックドゥーのソースで火を通すだけだから
ほとんど失敗しようのない料理ではあるが
手順をなじませる意味で十分に調理の意義はある。
しっかり美味しかったし。

妻は妊娠高血圧を気にして蒟蒻畑を買っていた。
塩分と糖質をいよいよ控えなければと、
ようやく自分でも律する気持ちになってきたらしい。
私知らなかったんだけど炭水化物って糖質に換算されるんだね、
とのん気なことを言う。
知識や理論から攻めてみたほうがいいのかもしれない。


明日アネット見に行くことに決めた。
数年ぶりの映画館。
カラックスの新作映画……。
思えば十数年前にホーリー・モーターズを観て、
全身の蒙が啓かされたみたいな革命感を得て、
それ以降映画の趣味も見方も変わって、
いろいろいろいろと観てきて、
そうして今カラックスがホーリー・モーターズぶりに撮った新作映画を
奇しくもあのときと同じ渋谷ユーロスペースで観る、というのは、
自分のここ十数年の映画体験の総決算というか、
これまで培ってきた鑑賞能力が試されるような感じがする。
と勝手に身構えている。

あとは2時間半の上映に尿意が耐えられるかどうか…。


読み聞かせ民話は…どこだったっけ。忘れた。
蛇がなぜ嫌われ者かについて。
よく知られた楽園追放になぞらえつつ、
アダムがツバメと内通して蛇を騙す話となっている。
いや内通はそう記述されてるわけではないけど…。
蛇が悪魔に遣わされて
この地上で最も美味い肉はアダムの肉だとそそのかされて
でもアダムは
イヤイヤ、蚊に世界を旅させてすべての生きものの血を吸ってもらおう、
そしてどの血が一番うまかったかを評してもらおう、
とそれらしいことをいって
蚊を放って世界中を旅してもらって
さて報告だと帰路についたところでツバメをやって
一番美味しいのは蛙の肉だよと蛇に報告させる…。
かくして蛇の好物は蛙となったのさ。
って…。
蛙かわいそうだし。
ツバメ二枚舌だし。
アダムとツバメの関係性が不透明な分、
なんかアダムの
 ぼくは知りませんけどね― ツバメさんが勝手にやったことですよねー
という記者会見での言い逃れ回答が目に浮かぶようで
なんか地味に鬼畜な話で
面白かった。


2022年04月26日(火) レンジラック設置、百鬼夜行、物語の精読

曇り。すずしめ。
目を覚ましてみると隣に妻がいなかった。
珍しく早めに起きていたらしいが
間もなく戻ってきて布団にくるまると、
暖かい、絶対に出て行かないでとねだる。
でもお腹すいたとも請う。
妻の手足をひっぺがして起床したが
かなりの恨みを買った。

弁当は鶏ももの…と思ったら
またしてもやっちまった、これは豚コマだ!
でももう知るかってつもりでそのままキャベツと炒めて
ポン酢と胡椒で味付け。
まあ…べつに美味いだろ…

実際美味かった。


なんか仕事がヒマヒマでいろいろ読んだ。

伊藤潤二、ブラックパラドックス。
はじめの一話目が面白かった。
あと二話目冒頭。
全体としては、ネタや描写は抜群なのだけれど
お話にはなってない印象で、批判するというよりは、
ウワーこれわかるって思った。

安部窪教授の理不尽な講義。
これもそうだな…ネタもキャラもある、
資料もよくできてる…でも話としては魅力なくて、
ちょっと経ったら多分すっかり忘れてしまう。

恋は女の命の花よ。
ナナナンキリコ臭がきつかった。
漫画家が悪霊対策にブスな女の絵を描いて
オリジナルの御札とするっていうのは面白かった。

じゃあまたね。
清原なつのというベテラン少女漫画作家の自伝漫画。
幼少期の1967年から始まり、大学卒業までを懐古する。
幼い頃から本好きの絵本好き、漫画好きでお話し好き、
ちょっと長じてくると映画趣味が加わって、
さらにスポーツも大いにこなす。
大学受験に失敗した浪人時点でりぼんの新人賞佳作、
デビューに至ったがプロとして活動する覚悟が決まらず
そのまま進学して薬学部のハードスケジュールをこなしながら
漫画を描き実験や論文を書き映画を見て本読んで漫画読んで人付き合いして…
と超人的な学生生活にしか見えないのだが
漫画内の当人はのほほんとしている。
面白かった。



夕飯は揚げればいいだけの冷凍春巻き。二本ずつ。
それに冷奴。
これは先日の天ぷら屋で美味しかったのを真似たもの。
きゅうりを細かく刻んで、
水溶き片栗粉に火を通して砂糖と醤油をちょっとずつ混ぜたものに合わせ、
豆腐に乗っけて醤油を垂らす。
うんウマイウマイ。
でも豆腐がやっぱ違うんだな…全然あんな味にはならない。
春巻きは美味しすぎた。


イングリッシュベイカーだっけ、録画してあるのを観た。
お題がビスケット。
クッキーとの違いがよくわからない…タマゴを入れるか入れないか?
そもそもビスケット好きじゃない。
でもイギリスだとモノスゴイ量食べられてるらしい。
紅茶のお茶うけってわけね。ハイハイ。
できあがったものはやはりあまり美味しそうではなかった。
次回はスコーン。
あいつらスコーンだきゃあ本気だからな。ちょっと楽しみ。


食後、レンジラックの配置をした。
古い方をどけて、オーブントースター、
オーブンレンジ、炊飯器はそれぞれ妻に拭いてもらった。
空いたスペースは掃除機がけしてキレイに。
大物家具だけど中身が空なら移動は一人でもできた。
設置はすんなり。うん、うまくはまった。
なかなか機能性も良い気がする。
これまで玉ねぎやニンニクなどの常温保存野菜を木箱に入れたままにしていたが
今回からは引き出しケースに入った。
最低限の通気性だけ確保されてて、これなら虫もこないんじゃないか。


来週に向けて
麻雀マットを外に干しておいたのだが
今日の昼に急に降った雨にやられてしまった。
妻に取り込んでもらったもののその時点でかなり吸水していたらしい。
これが全然乾かない。
マットに深く染みている。
幸か不幸かシワはのばせたけど。全然乾かない。すごい。


電気消してホーリー・モーターズを鑑賞。
もう何度も観てるけど本当なら数ヶ月にイッペンは観たい。
今夜のところまではインターミッションまでにした。
アコーディオンの隊列奏曲。
これ僕の中にある””イメージ”のひとつなんだよな。
百鬼夜行、と呼び習わしてる。なんていっていいかわからないから。
薄暗い中を何人ともしれない人間たちが、
名前も顔も認知されないまま、ぞろぞろと突き進んでいく画。
すごく好きだ。

レオス・カラックスの新作を見に行こうか悩んでる。
コロナ禍以来、映画館は一度も行っていない。
そろそろ…この一本くらいはいいのでは…。
渋谷なら明後日木曜日、19時半からの上映がある。
140分の上映だから映画館を出るのか22時、
帰宅は22時半を過ぎる。
ウーン…。
いやでも行きたいなあ…いやでも…
明日いっぱい悩んでみよう。


トキノは結局3名が反応してくれて、
そのうち感想をくれたのは1名だけだった。
で、次の創作について考えている。
割拠を終わらせてからか、また中断して…となるが、
今回はもっとずっとシンプルに、
ただ自分の書きたいものを形にしてみたい。
読者のことを考えず。説明無しで。
書きたいのは百鬼夜行だ。

読み手にどこまで伝わんのかなー問題といえば
のだめカンタービレの一場面を思い出す。
のだめは普段、楽譜通りにピアノを弾こうとしない。
独自解釈で好き勝手に弾く。
そんなのだめが、先生の指導のもと作曲に乗り出す。
ところどころで先生と意見が割れる。
この曲はこういう意図で作っているのだから、
こう弾いてほしいのだと。
そこで先生は諭す。
お前が普段好き勝手に弾いている曲の作成者だって、
お前みたいに弾き手に言いたいことたくさんあるんだと。

そうなんすよねえ。
僕はトキノの一文一文に物語意味を込めていったから、
ちょっとでも読みはぐれられちゃうと、
もう全体の意味が成り立たなくなる…と思ってる。
しかし普段自分は小説をそんなに誠実に読んでるかっていうと、まぁ読めてない。
というか一文一文をしっかり追って
それぞれの文を接続していって読みながら物語の意味世界を再構築できる人間が
どれだけいるのだろう。
能力はあってもするかしないかでいったら毎回はしないだろうし。


風が強くて楽しい。
お外がドゥルドゥル鳴っている。
風向きの問題で、窓を開けてもあまり入ってこないが
ちょっと手を伸ばしたりすると強風を感じられる。


読み聞かせ民話はサウジアラビア。
やっぱ王様はカンタンに
これを解決した者に娘をやるとかいい出す。
女は贈与の対象なんだなあというのと
身分の問題とかないんかいというのと
いろいろ馴染みのない考えが面白い。


2022年04月25日(月) トキノ感想もろた、読書停滞、民話ランプの精

晴れ。あったかい。ていうか日差しは暑い。


くるったようなハンドルネームの人からトキノの感想が届いた。
言葉が綺麗で…とかやさしく…とか
とても好意的な感想で
く…うれしい。
おそらくは女子大生と思われる方なので
世代差を越えて年若い人に届いたっていうのもうれしい。

いっぽうで、成熟した大人に対しても
ちゃんと読み応えあるものになってるかどうかについてはギモンだ。
僕が読んできたものって圧倒的に、
十代から二十代をターゲットにしてきてる。
映画だけだな。映画については成熟しきった層相手のものしか好んで見ない。


夕飯はマグロ。
昨晩ヅケておいたものを
ご飯にのせて海苔とわさびと醤油でたいらげる。
味噌汁とともに。
美味ーい。
でもわさびを雑にのっけたせいで、
妻が咀嚼中にむせかえってしまった。
よく噛んで食べずに呑み込んでしまったのも一因と考えられるが
わさびは目立つ縁に付着させておくべきだった…反省した。

テレビはグレーテルのかまど。
ツーガーキルシュトルテ。
スポンジにキルシュ酒のシロップをこれでもかと染み込ませ、
赤色素少量混ぜたクリームシャンティイーを塗りたくり、
上下をメレンゲ生地で挟む。
クリームシャンティイーでナッペ。小粒のアーモンドを散らす。
色素は本来ちゃんとチェリーでやるべきところを
番組では横着していた。
でもまあ…美味しそうではある、見た目も可愛らしい。
近いうちにやってみようかしらん。


今日は妻が掃除機をかけてくれたり
洗濯をしてくれたりと助かった。
まぁアタリマエのことなんだけれど
それでも身重の体でよくやってくれた。
と褒めちぎった。


あんまり読書がはかどらない。
息抜きのつもりで読み直してる京極シリーズ5作目、
ずっと昔の春に一気読みして楽しんだ覚えがあるんだけど
今はこれがもう退屈で退屈で…。
フーコー入門も思弁的に過ぎて味気ないし、
内田樹先生にもちょっと飽きてきちゃったしな。
今は民話が一番楽しい。

今日の読み聞かせはイラク。
魔法のランプのお話…だったのだけど
少女がランプから出した精霊(イフリート)は
開口一番「おまえを私の妻にしてやろう」とか言いだして
強姦、妊娠、出産……。
まじかよと思った。
で産まれてきた娘は美しく育って、いろいろあって王子にめとられる。
しかし娘は、父であるイフリートから、
あの王子がお前に対し、
イフリートに命をかけてうんぬん…といった
誓いの言葉を吐かない限り、
お前は彼と口を利いてはいけない、と厳命される。
そんな事情をまるで知らない王子は、
せっかくめとった妻が会話もしてくれないから辟易してしまい、
次の妻を探してみた。
イフリートの娘は嫉妬して、新しく来た花嫁の前で、
高所から軽やかに飛び降りてみせた。
「あなたにもできて?」
挑発に乗った花嫁は自らも同じところから飛び降りてみせた。
地面に激突して花嫁は死んだ。
王子は次の妻を探した。
また新たにやってきた花嫁の前で、
イフリートの娘は祝宴を前にして、
調理台にぐつぐつ煮立つ油に手を入れて
肉や魚を揚げてみせた。
「あなたにもできて?」
真似した花嫁は死んだ。
三番目の花嫁は、いろいろ偶然に助けられて、
王子に例の誓いの呪文を知らせることができ、
晴れて王子とイフリートの娘は口利きがかない、
その後はいつまでも仲良く幸せに暮らしましたとさ。
ハッピーエンドにいたるまでに無為な死を置くなよ。

…それでもモロッコに比べるとかなり穏便なんだよな。


2022年04月24日(日) 両親学級パートナー、陽キャの人間関係、反ポリコレ

曇り。午後からは雨が降るらしい。
布団の洗濯は断念した。
衣類は洗濯。まだ降ってはいなかったが部屋干しにした。

8時に休日トースト、
雑多な家事を済ませていって、
両親学級のため9時15分に家を出た。

丸ノ内線の荻窪駅へ。
車両内には車椅子およびベビーカーを置くスペースがある。
そういえば車椅子って昔ほど見なくなったなあとぼんやり思った。
見るは見るけど、十数年前はもっと見かけたような。
自分の行動範囲とか時間帯の問題なんかな。

南阿佐ヶ谷駅から杉並区役所はほぼ直結。
コンビニで水だけ買って、区役所の裏側にまわりこんで入所。
休日受付というわけだ。
会場は6Fの会議室。
僕らはやや早めに着いたようで、
最前列の席をあてがわれた。
壁に掲示された子育て情報を眺めつつ、
間もなく講習が始まった。
参加している夫婦の数は10組ちょっと?
わりとどの夫婦も仲良さそうで雰囲気良かった。
妻が言うには、前回の母親学級で当然みなさん一人で来ているから静かで、
比べると今回はずいぶん賑やか、和やからしかった。

まず面白かったのが、妊婦さんという呼びかけのある一方で、
夫側がパートナーの方と呼び習わされていたことだ。
パートナーとは、どちらか一方に固定される呼び名でなく、
互いが互いのパートナーであるはずなのだが、
この場においてはパートナーは夫とイコールで、
すなわちあくまで妊婦が主格であって、
夫はその添えものといった扱いがこの呼びかけで表現されていた。
で、なるほどと。
ちょっと女性らの気持ちがわかった気がした。
女性は日常的に、これを体験させられているのだ。
男が主格で、女はその副次物、添えもの、追従者という。
AとB,という同格ではなく、AがあってA’がある。そういう扱い。
今回A’という扱いを受けてみてよくわかった。
いやべつになんも不快感とかはなくて、
ただたんに、これが毎回のようにあらゆる場面で
当たり前みたいに起こってたらそりゃあやるせなくなるよな、
と痛感した。

講習は面白かった。
沐浴やオムツ替えは全然うまくできなかった。
しかし要は
「あたう限り細心の注意を払って、優しく扱え」
ということだった。
まぁ、うまくできなかったって実感を得ただけでも収穫だな。
手順なんてどうせ忘れてしまうし。2,3ヶ月後のことだものな。
なにより感動できたのは助産師の方。
あまりにも、望まれる助産師像の理想の体現者で驚いた。
恰幅が良い。愛想が朗らか。声がはきはきして聞き取りやすい。
どっしり構えた風格。
おそらく50代。安心感が半端じゃない。
「みんなのお母ちゃん」というかんじ。
なにもかも預けてしまいたくなる。
イヤハヤ惚れ惚れしてしまった。

12時前に講習終了。
アンケートにはいかに助産師さんが素晴らしかったかを書いた。
区役所を出て昼飯どころを探す。
途中、前に僕が目をつけたベビー用品店に入った。
新生児のためのものはなかったし、
なによりその頃はマールマールを知らなかったから見る目も甘かったけど、
マールマールを知った今となっては見劣りするデザインと思えてしまう…。

米ものが食べたいという妻の要望にかなう店がなく、
阿佐ヶ谷を見限って荻窪に移動した。
商店街を歩いてもまだちょうどいい店が見つからない。
ランチ難民となって、いよいよ引き返すか…という最後の曲がり角で、
天ぷら屋に目をつけた。
入ってみるとカウンターのみならず奥にテーブル席がある。
そちらに案内されて、あぁ助かったと人心地ついた。
とくに身重の妻には望ましかったようだ。
冷たい緑茶を飲み、ほんのり甘い口当たりにほっとした。
妻は桜えびのかき揚げ丼を、僕は野菜中心の定食を頼んだ。
どちらにも冷奴と漬物のお通しがつく。
この冷奴が絶品だった。
細かく刻んだキュウリがのっかってて、ちょっぴり餡がけになってて、
鰹節と醤油は最低限で…豆腐自体もいい豆腐なのか、
こんなに美味しく冷奴を食べた記憶はない。
漬物も、生姜をほんのり甘めに漬け込んだものが実に美味しかった。
この時点で大当たりだ。天ぷらへの期待も高まる。
実際、天ぷら自体も美味しかった。
まず色がいい。濃い目のきつね色。カラッと揚がっている。
噛んでみれば、サクッとした食感と同時に、ジュワッとした柔らかさを感じる。
全然油っこくない。美味しい…。
海老、さわら、小アジ、レンコン、茄子、カボチャと、
具も充実している。
これを塩でいただく。ご飯をかきこむ。味噌汁をすする。
タクアンをポリッとかじってお茶を一のみ。
次の天ぷらへ…としているうち、
おおこれは全然ご飯が足りないぞと悩ましい心境に陥った。
ごはんのおかわりは自由といっていたが…
糖質とか炭水化物とかな…
ある程度控えなくちゃいけないのにけっこうなモン食ってるし、
このうえおかわりというのは…
と泣く泣く自制した。

店を出ると雨。
傘を差してやり、のんびり家へと歩いた。
帰宅後、ちょっと横になった。
妻は寝室で、僕は居間で。
居間で寝転がれる季節になってうれしい。
ものすごい気持ちいい。
雨音を聞きながら昼寝を二時間ほどした。
ずいぶん久しぶりのことだ。

16時半になってからようやくレンジラックの組み立てに取り掛かった。
BGMにはプリチャンのミックスリストをかけておいた。
永遠に応援してもらえる感じ。
ミュークルドリーミーはちあふるタイムでやる気を立ててくる。
プリチャンはとにかくなんでもやりがたりのポジティブモンスター桃山が
やってみようやってみようとけしかけてくる。

レンジラックはなかなかの大もので、
スムーズにいっても2時間、
今回は片割れが妊婦だから3時間かかる見込みで作業に入ってみた。
手順は多いが難しくはない。
せっせせっせと続けて、2時間続けたところで終わりが見えてきた。
このまま終わらせてしまおうと、今日はダーウィンの生視聴を諦めることにした。

僕と妻とは脳の得意な部分が違う。
だから協同作業においては認識理解度の差や、
効率的と思える手順が互いに食い違ったりもするが、
分業がうまくハマるととても相性がよい。
今回は気持ちよく作業が進んだ。

レンジラックは明日またネジを締め直す必要があるから、
今日のところは設置まではしなかった。
明日締め直して、明後日古いラックを撤去しつつ
ものを整理し直して配置して完了となる。

雨がやんだので図書館で本を返すだけ返して、
OKストアに寄って野菜を買った。
夕飯はお茶漬け。
アチャールの残りと、妻用にいぶりがっこを出してやった。
録画したダーウィンを再生。今日はミツバチ。
ちょう面白かった。こいつらカシコすぎる。
なんでも巣を移すにあたっては、遠出したミツバチが
候補地を他のミツバチに、動きで知らせるらしい。
仲間の上でくるくると回る。ちょっと止まって体を震わせる。
この運動の仕方と速度によって、
候補地の方角と、そこまでの距離を知らせるのだという。
すごすぎる。
これ、仲間に知らせるといっても、
 敵が来るぞ!
といった「現在」のことではなくて、
今しがた見てきた場所の座標を記憶してその「過去」を、
次の候補という「未来」に向けて知らしめているのだ。すごすぎる。
昆虫にこんなことができるのか。
わけわからん。
感動しちまった。


夫婦間でガンダムのくだらない替え歌が流行ってる。
 燃え上がれー 万物。
 まだ怒りにー燃ーえるー 万物。
 正義のー怒りをーぶつけろー 万物。
地獄ですら万物は怒ってないだろうにと笑ってる。


夜、10年くらい前に描いた制服漫画13Pを
Twitter上で公開してみた。
「自分にとって大事なヨスガになりかけているAがいて、
でもAは自分よりBの方が特別な存在で、
でもBにとってはAなんか大した存在じゃない…」
という構造の。この3行目がキモなんだよな。
作中では、主人公が友人である弓との電話中に、
ユンくんの名前を挙げる。
弓ちゃんはユンくんを認識していない。
でも終盤で、ユンくんは弓と縁があることがわかる。
弓には他に友達連中がいて、世界を広くもっている…。

陽キャって、
友達とか人付き合いの縁を大事にしていると見せかけて、
縁が多いぶん一つ一つが薄らいでると思うんですよね。
というか陰キャにとっての縁がコすぎるのか。
そこんとこのギャップってあると思う。
子どもは子どもで世界が狭いからそうなるし。
でも中学生にもなって子どもと同程度かっていう…そういうとこ。

この漫画、絵は本当にへたくそで、
それ以上にコマ割りとか構図とかの漫画力がへったくそなんだけど、
一点、表現したいことに関してだけはちゃんと落とし込めたと満足してる。
ただちゃんと伝わってんのかな。
あんま具体的な感想もらってきてないしようわからん。

アップしてみたら、いいねはポコポコ入っていった。
小説のほうが読んでもらいたいんだけどな…
あとべつに誰も感想くれるわけじゃないし…
とちょっと複雑な気持ちにはなった。


入浴後、キッチン掃除を済ませ、0時に寝室へ。
アラブの民話、ほんといいな。
ポリコレ真反対。
差別意識とかナチュラルにガンガン出てくるし。
ナチュラルなのがいい。
こういうの読んでると、アメリカ主導のポリコレが、
それが常識(語義的にも“政治的に正しい”だもんな)であると
根付かせることによって、
中東のような「アメリカ的価値観からかけ離れた見方」でやってきた
国々を、その歴史とか伝統とか宗教観とか無視して、
「なんて遅れた見方なんだろう」と印象づけてしまう、
そういう策略的なものまで感じ取れてしまうよな。
ポリコレが力を強めるほど中東が「世界の敵」扱いされやすくなるという。
ばかげてる。


2022年04月23日(土) アカデミックな集まり、夜自転車漫遊、NTR百男合

7時半起床。
晴れ。
起きたときには曇りがちだったが
みるみる晴れ間がさしてきてきもちのいい天気。

8時に休日トースト。
洗濯機まわして9時にOKストアへ。
洗濯物を干す。
ベビーカーを買いに行く妻を見送って、
僕はまず風呂に入った。
のんびりと本を読み、風呂掃除して、
あがってからもややのんびりとした。

そっからはノンストップ。
ミヤタクラジオを聞きながら作業に入った。
まずはシュー生地作り。
計量して熱して混ぜ込んで…
というさなかに妻から連絡が入る。
お義母とともにベビーカーの幌の色に悩んでいるというから、
みんな素敵だよという旨の返事で済ませて、作業の手は止めない。
シュー生地を焼成しながらカスタードを用意、
さらに掃除機をかけたり細々とした掃除をした。
茄子と人参、半熟卵のアチャール。
シンガポールライスの準備。
チヂミの用意。タレを用意。チヂミを焼く。
妻は遅れるらしい。13時を過ぎるとの連絡が入った。
ミヤタクラジオは中断。
ミヤの話の、チェーンの蕎麦屋で
有線でTWO-MIXがかかっている悲壮感というのがものすごい面白かった。
悲壮感という単語じゃ全然いいきれない味わい深さ。

客のやってくる予定の12時半になって、最低限の準備は済ませた…
というところで妻からさらに連絡。みなさん遅れるそうだ。
となると都合がいい。
最低限でなく、あれこれと整えていった。
13時前になってまずお二人やってきた。男性二名。
一人は人口論の研究者で、もうひと方は介護職に就きながら
福祉社会科学かなにかに通じているとの触れ込みだ。
部屋に案内し、くつろいでもらう。
やはりというか、部屋についてはもりだくさんの讃辞を頂戴した。
とくに庭がお気に入りの様子だ。
手土産をもらった。スイーツと紅茶。後で出すことにした。

13時過ぎ、妻帰宅。ベビーカーは問題なく買えたとの由。
腹が減ったと喚く。
まだ一人来ていないが、食べ物を並べていくことにした。
まずはアチャール。
インド料理でスパイスの漬物ですと伝える。
一緒にチヂミも。
今日は多国籍につまみを振る舞うのだ。
つまんでもらっているうちに最後のお客が来訪。
小さい出版社の社長格にあって、
ライター業と編集業を兼ねつつ学術研究もしている…
僕の知る限り最大の知の巨人。
存在は10年前から知っていたが会うのは初めてだった。
手土産にはピスタチオのケークを頂戴した。
とりあえず部屋に通して、僕は引き続き料理を出していった。
鴨肉のスモークはいつもどおり。
りんごをくたくたにしたものにバルサミコソース足して煮つめて
わさび少量を溶かしてかける。
シンガポールライスはパクチーたっぷりめ。
途中途中でジンジャーエールや差し水の手配、
洗いものなども片付けながら、
とどめはホワイトアスパラガスのリゾット。
食べきるにはかなりの量を出してるけど
今回は4人相手だしあまったら僕が食べるし、
というつもりで強気に出してみた。
いずれの飯も好評いただけた。
一通り食べ終わった頃を見計らって、
妻にコーヒーを淹れてもらいつつ、
僕はシュークリームを仕上げ、
さらにもらったケークとスイーツを並べた。
コーヒーは3人分までしか淹れられないから、
僕と妻はいただいた紅茶を飲んだ。
フレーバーティーもたまにはいい。

ノンストップで動き続けて3時間半。
14時半過ぎ、ようやく一息ついた。
みなさんは居間で卓を囲み、
僕は廊下に陣取って、茶を飲んだ。
こっちきて一緒に…ともちかけられたものの、
身の上話、世間話に興じているうちは話に加わる隙間がなかった。
が少女漫画について話をふられ、
イヨイヨ逃れられんとなってチョイと語ってみた。
あまり上手には語れなかった。

今日はおおよそ話を聞く側に回っていた。
ライターの方はたくさんの本のゴーストライターを勤めている。
もろもろ裏話を聞けて楽しかった。
人口論についての話は、
おおよそ本で読み知っている通りで取りててて新鮮さはなかったが、
自分の危機意識が補強されたような気はした。

夕方になってようやく学術的な話が始まった。
彼らは毎年一回文学フリマで文芸誌を発刊している
文芸サークルで、今回はテーマをアジールとしている。
これについては僕も語れるから、そこそこ突っ込んだりもした。
マルキスト、構造主義だとかいった言葉は
本でもネットでも文章ならありふれてて何にも特別じゃないけれど、
こうして話し合いながら自然に口に出されるのは新鮮だ。
彼らにとっては当たり前でも、僕にはほとんど初めての経験となる。
様々な問題が内部化、外部化という言葉でまとめられるのは辟易したし、
問題提起ばかりでその先をなかなか語ってしまえない撞着にものれなかったが、
それでも有意義な時間だった。
東南アジアのモン族という山賊の部族の話が興味深かった。
自給自足な生活手段で国からの統治を免れてたけど
結局目をつけられて国家への帰属を求められる、
しかし結局彼らはそれに背いてその地を離れ、
フランス領ギアナだとかで新たに村を生成している…
これは行為のアジールなのではないか、というアプローチだった。
あとこぼれ話として出た、ラオスのある部族の例。
先進国家からすれば、あきらかに不効率な生産手段をとっている彼らに、
企業家がこれこれこうこうこうしなさいと理路整然としたアドバイスをしたそうだ。
それを聞いた彼らは、反論するでもなく、うなずくでもなく、
 …ッヘヘ
と小粒の笑いで受け流したという……。
なんだかすごい面白い話だと思った。

あとはなんだっけ…。
資本主義社会のどん詰まりについて、
希望と絶望についてはどうでもいいけど…という流れで、
では理想についてはどうか、と訊いてみたかったけど機会を逸してしまった。


18時過ぎに解散。
最低限の片付けだけ済ませて寝室でちょっと休んだ。
参加者の一人から
今日出してもらった料理の名前を教えて欲しいと
妻へメッセージが来ていたのが嬉しかった。
そういえば先週もてなした妻の同僚男性からも、
あのときかけていたBGMを教えてくれとのメッセージがあったそうで、
しみじみうれしい。

最近は客が来たらもっぱらBGMにLo-fiかけてる。
Youtube動画で3時間くらいかけっぱなしにできるし
曲には盛り上がりどころがなく耳馴染みよくって
さらにはミニマルなアニメーションがなんとなくおしゃれだから。


19時過ぎ、シンガポールライスとアチャールの余りを妻に出して、
僕は自転車旅に出た。
2、3時間のつもりでとろとろと行き先も決めずに漕いでいく。
春の夜気がちょうちょうきもちよかった。
久我山駅付近に八百屋があり
20時を過ぎて開店してる八百屋はめずらしいなと近寄ってみると
マイブラがかかってた。異様。
女店主はマスクもしてないし。
なんか買ってひと声かけてみようか悩んだけど
買いたいものがなかったからやめた。
しかし外で聞くマイブラは格別に良かった。
家に帰ればいくらでも聞けるのになんだろうなこれ、
偶発性が生っぽい歓喜を呼んで…ああこれ題材にできるな。

久我山から烏山方面へ。
最短距離ではなく住宅街をぐるぐるまわる。
烏山でブックオフにだけ入った。
本二冊と湯神くんを10巻まで買った。
方角もわからないまま三鷹台を目指して、
再び住宅街をぐるぐる。
自由な連想がはかどっていく。
今日の会話を思い返したりしつつ、
住宅のつまらない景色に感じ入ったりもした。
狭い路地を車が通り抜ける。
その車からの視界を想像する。
いい景色だ。
暗くて、前面だけがヘッドライトに照らされて、
寂しいし、虚無的で、疲弊感を誘う視界。
なにしろ車は屋内だ。前へ前へ動く部屋。
徒歩や自転車では味わえない体感がある…
その視界のギャップに浸った。
いくつもの団地も見かけた。
それに古いアパート。
これらも格別にいい。
どうして今あのアパートの階段をトントン上がって
ドアを開けてしまえないのか。
中に入って飯を食べられないのか。
そっからわらわらと人を集めてしまえないのか。
何も考えず住み着けないのか。

実際にそのアパートに住みたいといえば違う。
達成したい目的ではなく浸りたい欲望。
今日からこの家に住む、と現地感で決めること。
誰がいようが関係ない。
名前を失いのけること。
誰が誰でもよくなること。

三鷹台に着いた。
ラーメン食べたかったけど諦めた。
駅前に一件だけあったラーメン屋に入ってみればよかっただろうけど
麦麹がどうの、という謳い文句に冷めてしまった。
なんか900円だしたくないと思った。

家帰ってからサッポロ一番塩ラーメンに卵とネギ入れて食べた。
うっま…

トキノ読みたい人をTwitter上でも募集してみた。
ビックリするような名前の人からDMがきた。
いつもツイート拝見させております…という文面だけれど
もうずっとまともなツイートなんかしてないし…
といろいろ不気味で
なんか裏のあるアカウントかー?
と思われたからツイート追ってみたら
どうやら早稲田生でデリダがどうとかいってる。
うろたえながらDM返してみた。
読んでくれるんだろうか。
プロフィールにNTR百男合好きみたいな表現があって
はじめはハテナだったけど
これ多分百合の女女の間に男が入ることによる寝取られってことだよな…
面白い表現だと思った。


民話読み聞かせて寝た。


2022年04月22日(金) 金曜日の習慣、金の価値、トキノ限定公開

晴れ。
でも昨晩は雨が降っていたから外に出しておいたダンボールはズブ濡れ。
ゴミ捨て場に運ぶのが重いし、破けそうになる…。
ペットボトルが一緒じゃなければ別に苦でもないのに、
どうしてお前らは同じ日に…そしてねらったように雨が降る…

弁当は筑前煮あっためて詰めただけ。
冷えても美味いんだなこれが。


ブルーピリオド読んでみた。おっもろ。
お母さんを絵で説得するシーンと
天才が主人公の絵の意図を読み取ってくれたところで泣きそうになった。
日々日常の視線目線のレベルが変わるって大事だよなあ。
ちょっと意識的に心がけよう。
なにげない散歩でも観察するとこ山ほどある。


そういえば仕事上で心がけていること。
いや無数にあるのだけど、
金曜日はとりわけ優しくするというのがある。
どんなに部下が…先輩後輩上司問わず、
同僚がありえないようなミスをしても、
サボり気味でも、不徹底でも、厳しい指摘はしない。
指摘自体はする。
普段なら敢えて厳しい言い方を採ることもあるけれど、
金曜日の午後には、極力オダヤカーーー…にしておく。
あがっていく彼ら彼女らへの「お疲れ様です」の一声も、
ほんのりと和やかに、親しげに、機嫌のいい感じにする。
絶対に仕事のことなんかで落ち込んだ週末過ごさせたくないので。
これは自分のためにもなる。
相手がちゃんと週末リフレッシュしてくれたほうが職場環境整うし、
必要だとはいえ誰かを責めるような調子は自分も気分悪くなるし。
土日は聖域なのだ。


お金について。
世間一般と比べて、僕はかなり、お金というものに価値を置いてないほうだと思う。
金…というか貨幣というのは代替と補いに特化している。
僕はたまたまそれなりに健康体で、
さらにモノに頼らずとも満足感を得やすい質で、
そして金を使わなければ自身の欠如を埋めるのが達成しにくいという人性を送っていない。
健康でない、障害がある、心が弱い、勉強できない、
自信がない、異常性癖がある、愛への飢えがある、
見栄を張りたい、人よりよく思われたい、モテたい、
安心感を得たい、気晴らしばかりしていたい、
いい暮らしがしたい、労を割きたい、所有したいものが多い、……
いずれも「欠如を埋める」ための金遣いであって、
こうした性質をもっているほどその人にとって金の価値は高まる。
そうした欠如がなければ金は必要とされない。
だから、ものすごい性格の悪い言い方をすれば、
金の価値を高く置いている人を見下している。
その人が世間並みより資産保有していようがいなかろうが、
あぁ欠如のある人なんだね、と思う。
いやそれ自体は全く構わない、その人自身の価値…というか存在する意味には
まったく影響しないのだが、
そうやって金の価値を信仰しておいて、
「金の価値をわかってないやつは困る」という思想をもっている人間は、
いい悪い以前に道理が破綻していると思う。

で単純な話、今僕が大病に冒されたなら、
途方もない金が入用になったりするわけです。
あるいは悪人から騙されたり、近しい人から裏切られたり、
近しい人を助けたい、
あるいはどうしても宇宙にいきたいといった境遇に置かれたとき、
金の価値がグンと高まるわけです。
それは
「それだけの生命力がなかった」
「生活習慣を整える能力、努力が欠けていた」
「騙される程度の人間力しかなかった」
「人を助けるための権力や体力や能力が足りなかった」
「体内にロケットエンジンを生成、稼働させるだけの機能を持ち合わせなかった」
というだけの話で、
やはりそれも欠如によるもの。
やっぱり金は大事だった、とはなりません。
自分が、金を要する立場に成り下がったというだけ。

一見するとドライというかニヒルなようだけれども
かなり前向きなものの見方だと思う…といっても
そうそう人には伝わらないだろうな。
途中を省いて結論だけいうと、みんな金なんかに振り回されるなよって話です。


トキノは限定公開とした。星空文庫で。
Twitter上と読書メーターで呼びかけて、
読みたいとリクエストしてくれた人にだけURLをさらす。
でも1週間くらいだけにしておこう。
とりあえず即座に一人からだけ反応が来た。
Twitter上で「傷つけられた記憶」という企画で文を募集した人で、
僕はヘテロトピアを書き上げたのだがそんとき無反応だったんだよな。
金原ひとみを信奉している、
身体感覚と性意識みたいなところを基点としたその人には
ぜってーわかんねーだろーと思われるのだけど
それでも読もうとしてくれるのはうれしい。


今夜中に明日の準備ちょっとはしておくべきだったのだけれど
なんか疲れちゃって
民話読み聞かせだけして寝た。


2022年04月21日(木) ワイドショーの文字隠し、もったいない天ぷら屋、トキノ振り返り

まあまあ晴れ。
朝のワイドショーでオヤーと思ったこと。
ニッポンのワイドショーでありがちな、
でかでかとしたフリップにあらましの図示と
人物の発言などがまとめられてあって
部分部分に貼られているシールを
司会者が剥がしていく、というアレ、
今はそれをフリップじゃなくて
大きめのモニターで映し出しているのに、
擬似的にシールのようなマスキングで文字列を隠しておいて
司会者の進行に従ってパッとそれが消えて文字列が見えるようにする、という…。
多分しばらく前からやってるんだろうけど。
なんかびっくりしてしまった。
アホくさっ1

弁当は昨日の残りをあっためて
サラダと鶏むね肉詰めておしまい。

僕は昼を、会社近所の天ぷら屋で食べた。
客はひしめきあっているが会話はない。
男ばかりが集まっている。
店内はカウンター席のみ8席ほど。
カウンター内でせわしく動き回るのは三人。
店主と思しき壮年男性と中年女性二名。
店主が天ぷらをあげ、ご飯をよそい、もりつけ、
配膳までしている。
女性がたは皿洗いと皿出し、会計、注文聞き取りなどをしていた。
僕は700円の天丼を注文。
ここでは天ぷら丼のことで、エビ天丼は1000円の別ものとなる。
果たして天丼は…ちょっと天ぷらが物足りなかった。
小ぶりの海老、小ぶりのキス、小ぶりのイカ、
あとはカボチャと海苔一枚の天ぷら。
この立地で700円なのだから、時勢柄まったく、
これでけちくさいとは言えない。味もいい。
でも海苔一枚の部分にスゴくがっかりしてしまった。
これが750円で、海苔一枚が薄めでもさつまいもやししとう、
いやなんらかの野菜であったなら…と
なんだか失望というよりはもったいないような感じがした。
経営上のコストは原材料だけじゃない。
海苔一枚が野菜になれば、
仕入れに付随する諸事情から別のコストがもろもろ上乗せされるし、
なにより下処理にかかる労力的なコストが加わる。
そこに職人の精神が表れると信じたいからこそ、もったいないと思った。


西荻から帰り、八百屋と肉屋に寄ったが
タケノコの水煮を買い損ねた。
帰り道の途中にある慣れない八百屋に入ってみると
ありのままのタケノコが売っている。
今は旬だ。
だがタケノコをそのものから調理したことはない。
その旨を伝えて店主に調理法を尋ねてみた。
両端を切り落として、皮を剥いて茹でればいいという。
なるほどそれはカンタンだ。
なにもびびることはなかったのだ。
旬だと美味しいですものねえとかるい会話を交わして店を出た。

夕飯は筑前煮。
どんこ椎茸をレンチンして戻し、
鶏肉を炒めて…としているのと並行して、
店主に言われたとおりタケノコを調理しようとしたところで、
剥けども剥けども皮が続く。
はてな、これでは可食部がほとんどないではないか…。
改めてネット上から検索かけてみると、
なるほどなかなかタケノコの下処理は面倒だ。
皮は剥かずに、赤唐辛子を入れたお湯で
1時間以上は煮込んで、それからさらに水に浸して
8時間は置かないと、なかなかえぐみが取れないという。
店主、全然教えてくれてないじゃん!
でも今更なのでハンパに皮むかれた状態で煮込んだ。
今夜の筑前煮にはタケノコ無し。
いやヒトカケだけ最後に入れてみた。
なるほどまだ味こそ染みてないが食感は抜群にいい。
筑前煮自体も美味しくできていた。
どんこ椎茸が汁気を吸ってくれて美味しいこと。


食後、妻からトキノの感想を頂戴した。
まず、面白かったの一言を得て安心した。
テンポもよく、なかだるみせず、
またこれまでと比べて読者のことを考えてくれていると、
読みやすさに感心してくれたようだ。
一方で、やはりところどころわかりにくいと。
安和野家の実像がイマイチつかめない。イメージがわかない。
また新興住宅地のイメージが、自分の経験と乖離している。
伊東は安和野とどんな関係にあるのか。
時系列。
スカートの山の意味が浮いている。
あとは、安和野が男たちみんなを標的にしているのに対して、
主人公は「誰がトキノを救うのか」としている。
そこんとこのつながりが弱いんじゃないか、とも。

おおよそ、悩んで悩んで削っていった部分がほとんどだけれど、
その最低限で伝わらなかったならばこちらの力量不足なのだろう。
今更へたに書き足したくもないしな…。
でもちゃんと読み込んでくれてて嬉しかった。

書き足すとしたら大幅に、この本編の15年前にあたる過去編と、
13年後にあたる後日談を形にしてみたくはある。
前者はアジールの楽しかった頃とそれに伴う問題、
あと安和野父の事件の真相。
後者は、トキノがどれだけ男たちから愛され、また大変な目に会いながら育ったか。
この町をどう見ているのか…の話になる。
けど、書かないかな。もうそんな時間がない。

ネット上に投稿して終わりはもったいないから
どっかの賞に応募してみたら、と妻はそそのかす。
僕がそれをためらうのは、この作品は小説としての強度が低いと自覚しているからだ。
小説としての体裁を整えるとなると、
もっと人物の変化はあるべきだし、
場面が変わって話をしているだけではストーリーがないし、
描写だって少ない。
いろいろ不都合がある。
賞は「小説」という枠組みから加点減点するから、そぐわない。
そんなようなことを言ってみたが、口にしてみると瑣末だなとも思う。
ちょっと悩ましい。
とりあえず公開は控えることにした。


入浴前、冷やされたタケノコを単品で口にしてみた。
うん、食感は抜群だ…が…
これが、えぐみか!
辛いとも苦いともちがう、
口の中にへばりつく不快感…
頬張ってそのまま風呂に入ったから入浴中ずっと味が残っていた。
なるほどこれは侮っちゃならんな。えぐみ恐るべし。


時間あったら求肥のリベンジしようと思ってたけどできなかった。
週末やるか…?
民話読み聞かせて寝た。


2022年04月20日(水) 和の精神、日米仏の論理、寄り添い

雨。なんか寒い。

弁当は豚肉茄子バルサミコソテー。
醤油はきもち少なめ。


ネット上で見かけた話。
過去、村を作り上げるゲームで
外国人プレイヤーの隣に領地を設けてしまったと。
そのプレイヤーとは同盟関係になく、
すると限られた資源の奪い合いという事情から、
いろいろとリスクが発生してしまうと。
で、同地にある資源を、じゃあ2分割するのが
両者がうまくやっていく公平な折り合い方であろうと
投稿者は思ったらしいのだが、
外国人プレイヤーは2あるうちの2つともをよこせという。
不本意ではあるものの、これがきっかけで
各々が所属しているチーム同士の戦争が起こりうる恐れを見越して、
要求を呑んだと。
そしたら今度は、やっぱお前出て行けと。邪魔だと。
せっかくこの前は折れてやったというのに、
これでは全面的に取られ損で理不尽だ、
これは呑めないと撥ねつけたと。
で、
仲間のみんなもそりゃあフザけた話だと共感してくれたと。
でも仲間の外国人がいうには、
向こうは向こうで当然の振る舞いをしているだけだと。
取られたくないならはじめからそういう態度で臨めばいいのに、
一度言いなりになったくせしていきなり反抗してきたら、逆に
なんだコイツわけわかんねえ、となると。
だから、はじめから撥ねつけるべきだったんだと。

日本人の考え方を当たり前にしていると
あたかもそれが正常で
それ以外を異常にとらえてしまいがちだけれど
なるべく多角的視点をもっていきたいですね、
という話にまとまっていて、
まぁそれはそうなんだけれども、
“和の精神”をあんまり対外的にさげすまんでもいいと思う。
「グローバル社会を勝ち抜くためには」とかいうアホなお題目の上では、
たしかに和の精神は非合理で非発展的で、数々の問題をはらんでいる。
でもそれは
「グローバル社会を勝ち抜くためには」とかいうアホなお題目の上で通じるだけで、
別にこれはこれで、普遍的ではない。

あと別のちょっと面白かった記事をメモ。
出版された本の著者のインタビューらしかったけど、
主題が論理について。
論理といえばさも普遍的で、扱い主を問わず、
恣意的な揺らぎが除外された画一の原理があるようだけれど、
実際には全然そんなこと無いよねっていう。
その具体例として、アメリカにおける論理と
フランスにおける論理の違いを挙げていた。
アメリカの大学では、ことさらにエビデンスが重視される。
主張があり、証拠となる材料を3つ上げて結論に至る。
この定式をより実現している論法こそが強い論理だと。
比べてフランスでは弁証法を重視する。
主張があり、それに反する論を自ら挙げ、
両者の矛盾点を調停させた新たなる主張を叩き上げる。
アメリカの方はスピーディーで主格が明確で、
とかくビジネスに最適の論理とされる一方、
フランスの方は反証に過去の哲学者の弁を引用するのが常であったりして
政治的な意見を構築するのに最適であるらしい。
うーん面白い。
この本買って読みたいな。


トキノを書き終わり、
いよいよ割拠の方を再開させようと初めから読み直してみた。
読めたもんじゃないだろうと思われたが
案外面白かったしヘタでもなかった。
というか書きたいこと書いてるだけあって
心境の文章はかなりキレてる。
同じ文を今書けってなっても書けんだろうな。
なのに続きを書かなければならんのだ…。
なんて楽しみなんだ…。


ちょっとだけ書き進めてみたら、書ける。
ああ、最後までたどり着くの楽しみだな。
産みの苦しみ絶対きついけど、楽しみありあまってるな。
これまで書いたことのない、激情の嵐を文にしたためてみたい。


夕飯は牛肉キノコ野菜の中華風あんかけ。
ちょっとだけ塩分控えめ。
正直、もっと醤油を足した方が美味しいのは明らかだったけど、
このくらいの塩分濃度に慣れていきたい。


寄り添いについて。
Twitter上で相互フォロー関係にある、
僕の敬愛している氏が、
「”寄り添い”が具体的に何を指しているかわからない」
と問題提起していた。
ここしばらくで見聞きするようになった、
主だってフェミ関連…もうちょっと広くいって、
女性を主格とする文脈で用いられやすい言葉だ。
氏は、「共感する」との違いが不分明だと指摘する。
どんな具体的な行動をもってして、「寄り添う」となるのか。
それは、いうなれば「忖度する」に置き換えられてしまえないか。
といった問題提起…というか他意を含まない
単純な”疑問”として提示されていて、
なるほどこれは一考の余地あると僕も思考を働かせてみたのだった。

その糸口は思わぬところから。
数年前に拡散されたギャルのツイート、
天皇の誕生日をものすごく軽く、しかし親しげに、
ハートマーク付きで「おめでと」と祝い、
「あんま絡みないけどこれからもよろしくね」
という一文を添えた……あの画像。
たぶん彼女からは遠い界隈にこそウケたあのツイート。
に対する言及で、
「これこそが我が国における天皇陛下の在り方を、
ほとんど理想的なまでに表しているんじゃないだろうか」
というものがある。
「”あんま絡みないけど”という言い方からは、
まるでたまには絡みがあったかのような印象を受けるが、
実際に”絡み”がなかったとしても、
ここにはどこか、天皇陛下が我々に
寄り添ってくれているような体感が表れている…」
と続く(うろ覚えだけど)。

なるほど、ここでいう「寄り添う」は、
語法として昨今の文脈に導入されている「寄り添う」と合致するものだ。
しかし、「優しくする」とも「共感する」とも
「忖度する」とも言いかえができない。
天皇陛下が我々に向かって、直接的に何をしてくれたわけでもない。
ただ、我々の方
「寄り添ってくれている」
と(勝手に)感じられるかどうかが核心となっている。

これだ。
「優しくする」も「共感を示す」も「忖度する」も、
これらはいずれも能動者の行動および主観だけで成立しうる。
ところが「寄り添う」を判定するのは受動者の方だ。
具体的な行動がなんであれ、
あるいは行動がとられずとも、
この語は独立的な意味合いを確保できる。

「もっと被害者に寄り添った考え方をしてほしい」
という命題に対して、
「じゃあ具体的に何をすればいいっていうのか。
そうだね、大変だったね、と優しい言葉を向けたり
共感を示せばいいのか。
問題点を解消、解決する案を差し出せばいいのか。
多少おかしなところがあっても目をつむって、
被害者を全肯定するような忖度を計ればいいのか」
という考え方では、働きかけは能動者に閉じられている。
受動者(ここでは被害者)が
「優しくしてもらえた」
「共感してもらえた」
「肯定してもらえた」
と実感できて初めて「寄り添う」は実現する。
そういうことだと思います。


ここで問題提起が円環して、
「そうだったとして、じゃあ具体的に何をしたらいいの?」
となると話はこんがらがってくる。
僕が思うに「寄り添って」には、
(あなたの良識や誠意や動員して)
(何が寄り添うことになるのかを自分で考えて)
(能う限り実践してみてくれ)
といった含意がある。
つまり「何をしたらいいか」に対しては、
「自分で考えろ」が答えになるんじゃないか。
それができない、しようと思えない人物は、
すでに「寄り添い枠」から落選しているという。


昨日から引き続き、モロッコの民話。
ストーリーが説明不能だった。
面白かったけど。
タイトルの時点で面白いもんな。
「七人の兄を砂漠に追い出した娘」。
まあ実際には追い出したのは叔母だったんだけど…。


2022年04月19日(火) トキノ冊子苦戦、徒歩動画鑑賞、ガワ

晴れ。暖かい。
8時過ぎに地震があった。
東京は震度2。
震源地である福島では震度5弱だったようで、
NHKは朝イチを中断して現地の模様を報道していた。

弁当はなし。
妻は今日は蕎麦屋に食べに行きたいらしい。
弁当作りはすっかり慣れたもんだけれど
作らなくていい朝は本当に楽だ。時間がだだ余る。

昼、ラーメン食べに行った。
脳から快感物質がビュルビュル出た。


縦書きにしたトキノを印刷し、折っていく。
79ページ分。
8面付けで両面16Pを5枚分。
切って折って貼って冊子の体裁へ。
で全部終わってから乱丁に気づくという…。
帰宅してからやり直すことにした。


荻窪のOKストアで買い物を終えたあたりのタイミングで妻から電話。
スマホの買い替えをしに行ったが手続きが遅れているとのことだった。
のんびり帰った。


夕飯、春巻き。
肉屋で買った、揚げれば済む冷凍のもの。
べらぼうに美味い。
椎茸によく味が染み込んでいる…。
あと皮がパリッパリに揚げられて最高。


妻の検診、順調のようだ。
現時点で逆子ではあるがこっから正される可能性は十分ある。
血液検査問題なし。
ただし高血圧気味。
妊娠期間中は血圧が高まりやすいそうで、要注意らしい。
塩分と糖分を控えてもらうこととなる。
まあ明日からか。
今日はオペラを食べた。信じられないくらい美味しい。


ソーイングビーの後番組のベイクなんとか見た。
第二回。ケーキ作りの後半戦。
同じレシピで技術を競うという企画はめちゃんこつまんなかった。
できあがり似通ってるし、スポンジ二枚にジャム挟んだだけだから
寸評もかなり味気ないし。
最後の、参加者それぞれがチョコレートを使い
自由にデコレーションケーキをつくるという、これは面白かった。
個人差がだいぶ表れてて、見た目を取るか味をとるか、
限られた時間内であたふたして……わかるーってなった。
一部市販品に頼ってしまったり、うまくいかんかったところ糊塗しようとしたり…
見た目的には森のケーキが気に入った。
木の葉や木の実、キノコまでが表現されててたいへん可愛らしかった。
でも見た目に同じく味も乾いてたって。
……っつっても視聴者には見た目しかわかんねえからよお。
やっぱソーイングビーと比べて見応えねえっつうかよお。
でまぁ2名が脱落した。
初っ端の泣いてたおっちゃん、落とされたときは泣かんかったな…


トキノの冊子のリカバリ。
一度貼り合わせた部分を戻そうとしたらバリッとやっちまった。
諦めて、PDFをスマホで読ませるか…と思い
試してみたところかなり見た目が悪い。
なんか嫌だ。
文が表面的に読み流されていく感じがする。
一般書ならまだしも小説はダメだ。

ガワ、媒体って大事だと思った。
印象がまるで変わってくる。
どうしても本形式がいいと思い直し、
テープ貼りだらけで汚いが冊子状に整え直して妻に渡した。
明日読んでくれる予定。


入浴後、Youtube動画を垂れ流し。
雨の中をひた歩くだけの動画。
画質がいいしほとんど音声もなく、
基本的には環境音だけでたまに雑踏のノイズ。
歩きかたが上手いので画面酔いもしない。
いつまででも見れてしまうやつ。

今夜も民話はモロッコのを読んだ。
長かったので中断。明日へ続く。


2022年04月18日(月) 性暴力被害者の弁、外国人との触れ合い、烏と亀の民話

曇り。肌寒い。
カーテンの具合はいい感じ。
明るすぎず暗すぎず。
ピーカンの晴れ模様でどれだけ日差しを通すかはまだわからない。

弁当はハンバーグ。
先週冷凍しておいたもの。
解凍の手間がなく焼けるから楽だな。
でもケチャップをかけ忘れてもうた。

電車内で、
性暴力に遭った女性の法廷における15分間の陳述の記録、
という記事を読んで涙が出てしまった。


全面的に味方したい一方で、
だからこそ冷静にものを見る必要があるとして、
やっぱり噛み合ってないな、とは思う。
男性の性欲についての言及がない、
内実としてはあるのだろうけれどもそれは
「魂の殺人、という表現でわかった気にならないでもらいたい」
という主張と同じ論法で、
加害者側と言論的な信頼関係が気づけない以上、
生きた話になりにくいだろうと思われる。
認知的な歪みを指摘するのであれば、そこには正常と異常の線引がある。
線引がある以上は基準が置かれるわけだけれども、
男性、女性という二項が同社会を形成している以上は、定点化されるものじゃない。
わかりやすい話、男性だけで構成された社会であれば問題にならないことが、
現実では女性も対等に社会を構成してるんだからそうはならないよね、となる。
男性にとって”それ”を歪みと認めさせるには、事実的な根拠はないということだ。

女性は厭わしいことだけれど、
こうして女性が苦しさを訴えるほど、
どれだけ傷ついたかを打ち明けるほど、
いかに理不尽な横暴で人生が狂わされたかを叫ぶほど、
それ自体が「性的な興奮を呼び起こす」こととなる、
そういう男側の性癖がある。
これを、認知の歪みだ、犯罪者の社会的逸脱因子だ、
と言い習わして一掃しようとしてはならない。

…でもこういう話、よっぽど長文じゃないと無理だな。
女性が人格ある一個人として扱われるために
男性が生の女性と接して傷ついてという経験をするためには
男性が人格ある一個人として扱われなかったという経験を
しないで済むようにするためには……
とか延々続けられてしまう。

とりあえず今回思ったのは、
トキノを書き上げて
「祝福」について自分なりの答えを出せたと満足していたのに、
この作品書き上げたところでまったく
性暴力に苦しむ女性を救えなんかできないってところで
ものすごい無力感に苛まれた。
うぬぼれるなって話だけど
それはそれとして実感してしまった。


帰路、
荻窪駅着いて改札出て階段降ろうかってところで
中東系?の若い女性から話しかけられた。
日本語は覚束ないようだが手の上のカードを示している。
留学生なのだがお金がなく、お菓子を売っている…とのことだ。
このテのおねだりを久しぶりに見かけた。
会釈だけして階段を降りた。
…のだが、
引き返した。
あれに何か裏があったとしても、
組織的な運営としては費用対効果悪すぎるし、
これを入り口としてなんらかの続きを目論んでいるなら無視すればいいし、
といった数々の判断を働かすのもなんだか馬鹿馬鹿しいと思った。
聞けば、一つ500円で売っているという。
チョコレートの詰め合わせのような菓子袋。
正直いらない。
お菓子はいらないのでこれだけどうぞ、と
1000円だけ手渡した。
礼の言葉を聞くのもためらわれて逃げるように去った。

21時半、ちょっと肌寒い雨の中女性一人で、
マッチ売りの少女よろしく500円を得ようと頑張っている。
1000円渡したからってなんだっていうのか、
暖かい言葉の一つでもかけてやれたんじゃないか、
とぐるぐる考え込んでしまい、
いいことしたなあなんて全然浸れはしなかった。

どうして
「じゃあウチにおいでなさい、飯ぐらい出すから」
と声をかけてやれないのか。
そりゃあ、
家にいる妻は身重で今はなんらのリスクや不安をかけさせたくもないし、
コロナ禍でもあるし、
その誘い自体に問題がありもするだろう。
それらがなくったって、なんだかんだで”理由”が発生して、
結局手を差し伸べたりはしないのだ。
金はたいていのことを肩代わりしてくれる。
でも本当は、肩代わりでない方の本質を、自らまかなってやりたいのに。
やりきれない。
せめてこの無力感、焦燥感を糧にして、先々につないでいきましょう。


夕飯は豚しゃぶ。
玉ねぎのスライスは
レンチン40秒後空気に10分さらして時短の辛味抜き。
ポン酢をかけて万能ねぎ散らして食べる。美味しい。


妻からいくらか報告を受けた。
来客の予定がちょこちょこ入る。
コロナと妊娠の反動で近年稀にみるリア充ぶり。
まぁ子どもできる前に会っておきたい人は多いしな。


文章作品をアップするため、星空文庫に登録した。
小説投稿サイトで検索すると、
浮わついたバカみたいなプラットフォームがたくさん出てくる。
比べるとこの星空文庫というのは、
ランキング機能もないしレビュー機能もない、
ユーザー同士の馴れ合いというかコミュニケーション自体もないし
ただ小説を投稿公開するだけ、というシンプルさで、
利用者数は少ないようだけれど
自分にはいちばん適していると思った。
しかし自己紹介で参ってしまった。
とりあえず、感想もらえると嬉しいですの一言は入れておいた。
この利用者数の少ないサイトで、
僕のなんら人を惹きつけはしない作品をたまたま読み通した人が、
わざわざTwitterでDMしてくれる…なんて思えないけど、
まぁ望むだけ望んでもいいだろう。


洗濯物干して寝室へ。
モロッコの民話がキレていた。
天使の結婚式があるから招待するよ、
と烏が亀に呼びかける素敵な導入。
烏の背に乗った亀は
空からの景色はどうだいと聞かれる度に、
美しい比喩で景色を讃える。
でもある高さまで達したとき、亀は背から落ちてしまい、岩場に激突。
烏はその亀の飛び散った死骸をついばむ…。
「天使の結婚式に招待されようなんて輩は、
こんな末路をたどる宿命にあるのです」
という唐突なナレーションで終わり。
マジかよ……。
烏と亀が仲良さそうに思えてたからかなりつらかった。


2022年04月17日(日) コンサルもてなし、オーシャンゼリゼ、トキノ完成

日曜にしては早い8時に休日トーストを食べ、
妻は身支度を、僕は家事を済ませた。
オペラの様子は…かんばしくないが、
それでも、ちょっとでもマシになるようにと
グラサージュを繰り返した。


妻は区役所へ。母親学級。
その間に、トキノの最後の場面を書き足した。
すごくいいのが書けた…。
昨日の南新宿からの散歩が生きた。
実体験を文章に落とし込むの、ちょっとどうかなとも思うのだけど、
今回はあんまりずっぽしはまって気持ちよかった。


11時過ぎに荷物が届く。レンジラック。大物。重い。
とりあえず玄関に放置した。
風呂に入って本を読み、再び執筆。あとほんのすこし。

13時ごろに妻帰宅、昼飯はぶっかけにした。美味い。
OKストアで買い物して、掃除機。掃除の仕上げ。
居間に行燈が導入された。見事に部屋にハマった。

予定よりちょっと遅れて、16時半ごろにお客さんが来た。
妻の同僚で中国の方。
毛並みのいい外資コンサルタントだからと身構えていたが、
とても愛嬌のある娘さんだった。
座布団に寝そべり膝を曲げ、おもいっきり寛いでくれて嬉しかった。
その20分ほど後に、今度は関西弁の方。
図体がでかく声もでかい。ノリがよい。
二人からは贈り物を頂戴した。
赤ん坊用の肌着と熊のぬいぐるみ。
箱から何から可愛らしい。ありがたいことだ。

僕は次から次ヘチ料理を出していった。
ホットケーキにランプフィッシュキャビア、
スモークサーモン、マスカルポーネ、フムス。
サラダは真鯛、バジルとベビーリーフ、カラートマト、ピンクペッパー散らして
ドレッシングがオリーブオイル、バルサミコ酢、ブラックペッパー。
鴨肉のスモーク、リンゴソース。ワサビをちょっとだけ効かせてある。
マッシュルームのアヒージョ。
バゲットをかるく焼いて、バターちょっとだけ塗って出した。
これらをスローペースに、2時間弱くらいかけてぽつぽつ出していった。
代官山で買った和紅茶も好評。
やはり甘さが珍しいとみえて、
どこで買ったかを男性の方は強く知りたがった。
妻にコーヒーを入れてもらい、最後にオペラを出した。
好評だった。
なんとか側面も最低限は隠せたし…
クルミの風味が抜群に良い。
コーヒーとも合うしな。
皆さんにも満足いただけたようで嬉しかった。
コンサルってえとホームパーティーやらギャザリングやら
おうちでのモテナシされまくってんでしょってかなり怖かったけど
全体的にかなりいい反応もらえてたと思う。

19時45分にお客さんは退散。
まずは換気をした。
日が暮れてから一度、窓を開けたらと水を向けてみたのだけれど、
男性の方が暗い庭を怖がったらしく、笑った。
日が暮れる前には庭スバラシイ縁側スバラシイとテンション高めていたのに。
洗いものはぎょうさん。
リアルタイムでも洗ってたけど
たかだか三四人もてなすのでも大した量だ。
カトラリーデビュー戦だったから、
水垢つかないように丁寧に洗って拭いた。

疲れたようである妻はに付き合い寝室で一緒に風光るを読んだ。
それからカーテン取り付けに着手した。
長年世話になったカーテンとはさよなら。
丈あってなくて用をなしてなかったからね…
新しい方は、壁色と同色でまるでつながってすら見える。
東南を15分程で設置した。
さらにドレープを足して完成となるが、
必要な生地がまだ届いていないのでそれ待ち。

入浴は早めに済ませた。
何を思い出したのか、
妻が オー シャンゼリゼー と口ずさんでいた。
シャンゼリゼー、の部分は聞こえるか聞こえないかのささやき声で歌う。
これは思い出の曲で、パリ旅行でシャンゼリゼ通りを二人で歩いていたときに、
実際のシャンゼリゼ通りでこの歌を歌うのは浮かれ過ぎで恥ずかしいから、
ということで、
オー と揚々声をあげてから
(シャンゼリゼー) と小声で歌っていたのだった。
あのとき、なにかこう幸せの絶頂を感じた。
過去の一つ一つのがれきがうず高く積まれて、
その頂点に達したような気分が湧いたのを覚えている。


トキノ書けあがった!
嬉しすぎる。
村上龍が、限りなく…を書き上げたときに
道行く人に
ねえ僕小説書いちゃったんですよ。
と吹聴したくなったって思い出を
文庫のあとがきかなんかで述懐してたけどよくわかる。
自分の書くものは、小説に寄せてこようとはしなかった。
表現したいものが第一にあって、
それがたまたま小説に近い体裁になっているかもしれないが、
小説という枠に収めるための成形をしたくなかった。
でも今回のこれは、小説なんだろうなと思う。
自分の表現したいもの…文学的な要素と、
自分の言いたいこと…社会的な要素とがうまく噛み合ったと思う。


すこぶる上機嫌。
今夜はもう夜に追われず、
ゆうゆう寝室に向かって
民話を読み聞かせて寝た。


2022年04月16日(土) 未来のインテリア、代々木八幡ベビーカー、即興民話

8時起床9時休日トースト、
洗濯機回してOKストアと西荻へ。
ちょっと気が急いてしまい、肉屋に到着したのが10時前で、
開店を待つことになった。
何もせずただ待った。

帰宅後、洗濯ものを干して、ちょっと休んだ。
妻とぼんやりテレビを見ながら、
最近ちょっと思ったことを話してみた。
電子工学には明るくないからワカランけど、
お皿の表面に柄を映し出すっていうのはすでにできると思う。
液晶の柔ささえコーティングできれば。あと防水。
食品衛生上の問題があるからまずはソーサーから。
トントンと叩くと柄が変わる。20パターンくらい。
形と触り心地は変わらないとはいえ、柄だけは好きに変えられるっていう。
電池の問題もあるか。でもどうとでもなりそう。
いずれはテーブル、棚、カーテン、インテリアのいずれも
柄が変えられるようになるだろう。
つっまんねえの。
あほみたいな未来だな。訪れませんように。


お昼は本来なら昨日の夕飯であった中華粥をつくった。
干し椎茸と海老とネギで出汁は味わい深い。
体がよく温まる。


12時半に家を出て荻窪へ向かった。
相変わらず妻はたくさんの花を指差して名前を教えてくれる。
おそらく今が一年通して一番花の咲いている季節柄だそうだ。
荻窪駅から中央線で新宿、京王線に乗り換えて代々木八幡へ。
京王線久しぶりに乗った。
たまたまなのかなんなのか、
どの車両にもキレイ目のお姉さんがちらほらいた。
それに反してイモくさい男連中という対比。
コレに比べると中央線総武線はもっと平均的という感じがする。
私鉄って私鉄っぽさあるよなあ。

代々木八幡には初めて降りた。
ふらふらと商店街を歩く。
個人店が多く雰囲気はいい。活気がある。
そして道行く人が若い。20代が多い印象。
古本屋にだけちょっと寄らせてもらった。
雰囲気も品揃えも良かった。
井の頭通りに沿って、代々木公園前のベビーカー専門店へ。
入店制限をしている。
僕らが入ったあとも続々お客さんの列ができて、
なかなか人気店であるようだった。
店員さんからベビーカーの特徴を説明してもらい、
三輪の製品を紹介してもらった。
慣れた手つきでてきぱきと折り開きを繰り返す動作が小気味よかった。
実際に操作もさせてもらった。店の前をコロコロ転がす。
あまりの操作性の良さに感動した。180度回転もあんなにスムーズとは。
空気タイヤだからパンクのおそれがあったり、
空気を自転車みたいに注入してやる必要はあるとのことだったが、
それでもあまりある操作の心地よさ。
楽しいし、安定感もある。
もうほとんどこれで決まりなんじゃなかと思われた。
ほか、背もたれのマットも良さそうだった。
それだけで6000円するものだけど…。
妻はクマのタオルが可愛いと目をつけていた。
頬に傷があり、ヤクザのような見た目のクマが
デフォルメされたデザイン。
さすがに勘弁してくれと思った。

店を出てカフェへ。
居住用マンションの一室。
満席であったので、建物の前で待ちつつ、
僕だけ成城石井に行って明日のためのランプフィッシュキャビアを買った。
戻ってみるとちょうど客が出てきたところで、入れ替わりで入店させてもらった。
客席は8つほど。
店員さんは一人なのか、かなり忙しそうにしている。
席が片付くのを5、6分ほど待って着席した。
そんなに美味しいものでもないだろうと思われつつ注文したクランブルは
やけに味わい豊かだった。
ベリーの酸味がアイスクリームとよく合うこと。
僕のカフェオレは中身普通のカップが巨大なもので、
妻の頼んだロイヤルミルクティーがこの店いちばんの当たりだった。
甘いのに飲みやすい。
店内は僕以外全員女性。
隣にいた女子大生二人組の会話が
ところどころ面白かった。
「なんかね、マジ、陶芸したい欲。
欲っていうかマジ、陶芸したい」
…やけに面白い日本語だと感心した。
“したい”自体が”欲”であるし、
それをこう言い換えてみる試みは、
なんだか人の頭を狂わせる面白さがある。

店を出て駅へと向かう道すがら、
チョコレート専門店に入ってみた。
店内は狭いが、無数のチョコレートが売られ、
そのほとんどが試食できるという…。
何も買わなかったけど、
あんな店近所に欲しいな、と誰もが思うような店だった。

小田急線から新宿に向かい、しかし新宿駅からの
手段化された道を通っていくのは白けるからと、
一つ手前の南新宿で降りて歩いてみた。
高島屋のビルが見えるからそこへ向かうだけ。
とろとろ歩いて迂回して、10分くらいかかった。
高島屋かと思われたビルはdocomoタワーだった。
さらにビルを回り込んで高島屋に入店、
9Fに直行してベビー用品売り場へ。
ベビーカーを3,4紹介してもらう。
ほとんど8万円以上の価格帯だった。
やはり先ほどの店舗で目をつけた製品が一番良さそうだった。
ベビーカー以外の用品も一応見てみた。
やはりマールマールの製品がとびきりかわいい。
妻はそれとは別の、コアラ柄のタオルを買っていた。
無数のコアラがヨガのポーズをとっていてこれも実にかわいらしい。

店を出て、寄り道には目もくれず一目散に新宿を後にした。
荻窪では駅前の日本茶葉の店で抹茶ソフトクリームを買った。
去年、真夏に買ってあっというまに溶けてしまったもの。
今回は申し分なく味わえた。
20分近く歩いて帰宅。
ちょっとだけ休んでから家事をした。

夕飯は天ぷら。
タラの芽は春の苦み。美味しい。
かき揚げの甘みとよく合う。
あとは茄子。鉄板で美味い。

夕食後、本日二度目のOKストアに行って無塩バター買った。
でオペラづくりに入る。
今回は苦戦した…
バタークリームの油分がチョコを弾いてしまう。
またはチョコの油分がバタークリームを弾いてしまう…?
毎度のことだけど、その仕様のために
ナッペは他のどのケーキよりもカンペキにしなきゃならないし、
あとグラサージュのゼラチン具合で大幅にできが変わる。
今回は粘度が低く、かたまるまえに側面から剥がれ落ちてしまう。
だからなんどもなんどもかける。
でもうまくいかない。
最終的にはゼラチンをちょっと足した。
少量の生クリームで溶かして混ぜ込む。
後足しはしたことないから怖かったがなんとかなった…か?
ゼラチンが多いとこんどは
上がけが皮みたいな厚さになっちゃうからやなんだよな。


入浴後、1時間ほど執筆。
民話読んで、さらに語った。
アラブっぽい話しして、という雑なお題に答えた。
商人の男に妻子がいて、
妻と娘は絨毯を塗ってくれている。
失敗が続いていたがある日とうとう、魔法のじゅうたんが仕上がった。
ちょっとだけ浮く代物。
商人は歓喜して、これは市場に持っていくのはもったいない、
王様に披露して引き取ってもらおうと息巻く。
必ずたくさんの褒美をもらってくるぞ。
お願いします。お気をつけて。
で商人が砂漠を進んでいると、一人の旅人に出会う。
見ると裸足である。
灼熱の砂漠でこれはやりきれない。
二三のやりとりをして結局、商人は靴をやった。
いいんですか、こんな高価そうな靴を。
いいんだ、今日はとてもいい日だからね。
旅人の感謝を背に受けて、商人はまた宮殿に向かった。
今度は盗賊が現れた。
金目のものを置いていけという。
なるほど先ほどの旅人もこの盗賊たちに靴を奪われたのかもしれない。
私の靴はやってしまったし、絨毯をあげるわけにもいかない。
きみたち、じゃあこのロバで勘弁してくれんかね。
おお、これはいいロバだ、ありがとうよ。
盗賊が去ったのを見届けて、商人は絨毯を広げた。
これに乗っていけば砂漠も熱くないし荷運びも要らないぞ。
そして三人目の出会いがあり……
……でどうなったか、忘れてしまった。
一緒に乗せていってみたら宮殿の関係者だったんだっけな。
即興の割には割とよくできてたんだけど。


2022年04月15日(金) 雨中のウイルス、大日本人

雨。寒い。
7時前に起床して、雨のほとんど止んでいる瞬間を狙って
ダンボールを捨てに行った。
あとペットボトル。あと不燃ごみ。
雨の日にかぎって多い。
ほんとダンボールとペットボトルと資源ごみを同日にしないでくれ…

弁当はなし。
妻は今日、産休前の最終勤務日となる。
その都合で会社へと出勤するらしい。
長らく在宅勤務だったから、何ヶ月ぶりになるのやら知れない。


トキノを完成文章を
職場で縦書きに仕上げてPDFにしようと思っていたのに
データを持ってくるのを忘れてしまった。
まぬけだ。すごいへこんだ。


雨の中ぼんやり思ったこと。
ウイルスって土砂降りの中でも中空を漂えるんだろうか。
あまりに微小だから直撃されきれない?
またはあまり影響をうけないのか…
はたまた足元に流されうるのか…

あと仮に重力が何倍にもなったら
やはりウイルスはちょっとは下にとどまるのか…
自重が殆ど無いから影響受けない、としたら
どこまで重力強まれば地面にへばりつくのか…

あほみたいな疑問だけどこういう素朴な考え大事にしたい。


大日本人。
そこかしこで批評されてる文をこれまで見てきたけど
当を得てるものってほとんどない。
「ねらいが全部わかった上で、酷評せざるを得ない」みたいな文言に、
いやわかってないよ、と証すのはとてもむつかしい。
あのオチって、これまで彼がごっつやビジュアルバムでやってきた
“嫌ぁ感じ”と、
放送室などで語られてきた
少年-青少年期に見舞われる”ブルーさ”
などが、アメリカ人と対比させることで日本人のいじましさに背負われて…
とかなんとか言い出すと、まぁ言い切れなくもないのだけど、
あのお見事な表現を小さく浅くしてしまう。

メタミステリと世界観のちゃぶ台返しを同時にやってしまったのが失敗の要因、
という批評分をどっかで読んだが的外れも甚だしい。
映画批評の文脈で捉えようとしたときにかとうじて成立するかもしれないが、
大日本人は
「コントの要領で映画をやった」のではなく
「映画の要領でコントをやった」と見なくては本質をつかめない。
映画は表現手法に用立てられてただけで、
表現されるべきものを形にするにあたって、ある手法が取り入れられた。
だから、手法は主語にならない。
そこを転倒させている批評家が多い。

夕飯は妻のリクエストでニンニクチャーハン。
キャベツだけ足した。実に美味い。

チャンネルまわしているとコナンの映画がやっていた。
つっこみ入れながら観た。
刑事どもがわらわらと群れをなして
捜査本部で立ち尽くして何もしていない画が面白かった。


明日はお義母さんと三人でベビーカーを見に行く予定だったが、
なんでも熱が出てしまったらしい。
37.5度。
コロナの心配は薄いだろうという見込みだそうだが、
明日は二人で行くこととなった。

民話を読み聞かせて寝た。


2022年04月14日(木) 仕事と料理、ライト設置できず

雨。ちょっと寒い。
今朝も妻は明け方に起きていた。
その後は眠れたようだが、
僕は6時から起きていた。

弁当は鶏もも肉と玉ねぎ人参豆板醤炒め…にするつもりが、
またもや豚肉と間違えてしまった。
豚肉の小間、まるめて冷凍しておくと鶏ももと区別がつかない。
急きょ、玉ねぎはやめて長ネギにした。
あとキャベツを足してやった。


仕事について。
今の職場を去ったかつての後輩たちの去り際の声として
 仕事は好きなんですけど…
と何度も聞いた覚えがある。
この場合の「仕事」、料理と似たようなものだな。
一概に料理といっても、調理そのものの前後に、
献立決めや好き嫌いの聞き取りや
食材の購入や管理や食器の選定や
皿洗いや生ゴミの始末や残り物の保管など
「面倒くさい」ことが山ほどある。

「料理は好きだけど、洗いものが嫌い」
みたいな言葉にまとめられる。
仕事なら、実業務そのものの周りに、
上下への報告やクライアントとの連絡や
機器在庫管理や設備メンテナンスや
トラブル対応やスケジュール調整や
経費計上や法令の確認や
人間関係の調停や派閥による障害の緩和や
同僚のメンタルケアや会議や朝礼や打ち合わせや
メールや電話やメッセージのやりとりや
そういう雑多な面倒ごと全部ひっくるめて
「仕事」なわけで、
なるべくぶったぎるようなものじゃないんだけど
まぁ手ぇ動かす作業だけをそう呼びたい気持ちはわかる。
面倒だからな。
とはいっても人が面倒がるところ、人が嫌がるところに、
仕事って発生するわけだからな。


すげー今更だけど
ここの日記の文はあくまで自分用メモなので
それっぽいこと言ってても論理の飛躍があったり
結論がなかったり
人に聞かせられる体裁になってないことが多い。
あくまで種です。
あとで咲かせるためのもの。


夕飯はカツオの刺身。
どうしても食べたくなった。
塩と酒を揉み込んで数十分冷やしてから
キッチンペーパーで拭き取って、生姜醤油でいただく。
味噌汁が合うこと。美味しい。


食後、妻がソファに座ってくれといざなってくる。
そしてリモコンを手渡す。
テレビの方に向かってスイッチを押せという。
するとテレビが置かれている床の間に照明が灯った。
それもちかちかと点滅している。
「カラオケみたいだな」
電飾を壁にとりつけられるよう、せっせと工作したものらしい。
部屋の暗さをどうにかしたいといい続けていたが
こう解決されるのか。ちょっと面白かった。

ソファ上にランプも取り付けたいらしく、そちらはちょっと苦労した。
配線が上手にいかない。
こうすればああすればと1時間弱ほど付き合ったが、あとは任せた。
寝室にこもってトキノを執筆した。
99%ってとこまでいった。

入浴は熱々でキメた。
春になっても冬の風情を楽しめるのはこれはこれでいいな。

洗濯、洗い物を済ませて0時過ぎに寝室へ。
今夜も民話を読み聞かせて寝た。


2022年04月13日(水) 金儲け、カツオ漁船とフェミニズム、異文化おもろ

あたたか。
弁当はビビンパ。
ちょっとご飯多めにしてしまった。

民放の朝番組で東大の入学式追っかけてた。
新入生をつかまえてインタビュー。
でどっかから引っ張ってきたアンケート結果を報じていた。
東大生が官僚よりも外資コンサルを志望しているとの話は
以前から聞いていたがつくづく嘆かわしい。
いやこのアンケート自体信用するにたるものではないし、
別に官僚志望であってほしいわけでもないし、
何より本人らが勝ち得た立場からどんな人生を希望するかは
本人らの勝手であって外野がどうこういうもんじゃない…のは
それはそうなんだけれども、
でも、あくまで大学は学問を追究する機関であってほしい。
その頂点たる東大が、就職の通過点のように扱われるのは気にくわない。
集まる頭脳ももったいない。

金儲けについて。
拝金主義への嫌悪とか
ゆきすぎた資本種社会への警鐘とか
そういう思想抜きにしても、
金というのはとことん手段なのであって
金集めの目的化は馬鹿馬鹿しいものだとは
(こんな)今でも言ってしまえると思う。
「金より大事なものはない」
「じゃあ、何にもお金を使えないね」
という撞着。

まあ実際には、保有資産そのものが
価値を付加させて事態を巻き込んでいくから
その場合は目的化し得るし
一概には否定しちゃならんのだけど。
それも虚だなと思う。
その虚の扱いはほとんどの人間が持て余すもので、
高級な不幸を呼びがちでやっぱり馬鹿らしい。


帰り道、毎日のように妻と電話している。
10分程度とはいえ、どうせ家に帰れば一緒にいるのに仲のいいことだ。
今日はプールに行ってみたらしい。
家のほとんど目の前に区立体育館があり、
家を出てから5分後には着水できるらしかった。
20分ほど泳いだり水中を歩いたりしたそうだ。
妊婦にはちょうどいい運動だろう。

帰宅後即調理。
夕飯はペペロンチーノ。
菜の花入れたかったけど買えず。
海老とキャベツで仕上げた。


録画しておいた100カメのカツオ漁船の回を
途中まで見た。面白い。
土佐の一本釣りという漫画を読んで以来、
カツオ漁船には興味惹かれている。

当然のことながら男所帯。
二十数人の乗組員はすべて男。
見るからに不衛生であるし、
飯は冷ましてすぐに食え、
いつでも動けるようにしろという厳しい労働環境。
ここに対して、
「女性も働ける環境づくりを怠るな!」
と誰が声をあげるだろうか。
力不足であったり、生理があったり、
男女平等を目指す社会において
そうしたハンディキャップは配慮されるべきだけれど、
ここに女がいても邪魔なだけだ。
別にやりたがりもしないだろう。
よしんばそういう声が
(軽率な男性が女性に「脱げば稼げるんだからいいよな」というのと似た感覚で)
あがったとして、
こうした男だけで構成されることを前提とした労働環境に
女性が組み込まれるよう改正措置が実施されるのは、
よほど後のことになるだろう。
優先順位の、後の後の後だ。

この「優先順位」が肝だ。
ここを呑み込んでくれたなら、
フェミニズム(にわかフェミも含む)に理解を示さない男たちも、
その男たちに呆れる女たちも、
それぞれちょっとは歩み寄ってくれそうなものなのだけど。
「いまだに○○が女性に配慮されてないのはおかしい!」
というご指摘は、単に優先順位の問題であることが多い。
いや、単にまとめるのは乱暴すぎるか…。
でもその考えかたを導入してみると、
もうちょっと理解がえやすいと思うんだけどな。

フェミニズム界隈の最大の問題は、
言論の正しさや妥当性よりも、
反論者と話が噛み合ってないことだ。
そこんとこに着目して、
両者が歩み寄れるように
議論の下地を整えてやるべきなのだけれど、
なかなかそういう話を聞かない。


入浴後、火照った身体にバスタオル一枚だけ巻いて庭で涼んだ。
なんてぜいたくなんだろう。


民話読み聞かせ。シリア。
友情の証。
父親が息子の友だちをぼろくそにけなす、
ついでに関係のないジプシーを引き合いに悪し様に罵り、
そしてお前の悪友たちの友情を確かめてやるという。
息子が殺人を犯してしまった、と一芝居打って、
ただワケありだから秘密にしてほしいと、その友人たちに言う。
だが友人たちはお城へと報告しに行った。
軍司令官が家に出向き、息子の代わりに父親は捕らえられた。
さんざんお騒がせさせておいてから、父親はことの次第を打ち明ける。
実は殺人なんてなかったのだと。
死体と見せかけたものは羊の死骸だと。
息子の友人たちがどう出るものか試したかったのだと…。
軍の司令官は感心して、父親には金を差し上げた。
息子の友人たちは友情の甲斐がないとして逮捕した。



はあああああーーー?

……ってびっくりしちまったけど、
これだから異文化は面白い。
今自分が無自覚に信仰している倫理観、正義、常識が、
絶対的なものではないのだと教えてくれる。
この話を「おかしいよ」ってあざ笑うのは違う。
まぁオフザケレベルではツッコミ入れて楽しんでるのだけど。


2022年04月12日(火) 飯田橋駅嫌い、遺失物センター、爆発オチ

晴れ。すっかり暑い。ここ数日は6月中旬並だとか。

今朝も早朝、妻に起こされた。
やはりよく眠れないのだという。
日中にプールへ行って運動してみるかと検討していた。
僕は再び寝たかったが、
ちくわ、ちくわ、と意味のない言葉をつぶやきつつ、ぶって妨害してくる。
「ふと思ったんだけど、ちくわって、竹の輪って書くよな、
竹の中が空洞だから、その構造からきてるのか…?」
「どうかな? 竹に巻きつけて焼くんじゃない?」
調べてみると僕の方が合っていた。
ちくわ、ちくわと妻は繰り返し、僕をぶった。


朝イチで豆腐特集。
またか!!
と妻が声を上げていた。
「どいつもこいつも! 豆腐食えって豆腐食えって…」
実際、妻の弱めの身体には最適とすらいいきれる食べ物なのだが
まだまだ好んで食べる気にはなれないようだ。

弁当は白菜と鶏もも肉を…と思って肉を解凍したら
豚肉だったけどもういいとして、
オイスターソースと醤油、みりん、胡椒で味付け。
それとは別に、自分用にタマゴサンドを用意した。


8時半に家を出て、駅に向かう途中、うぐいすの鳴き声がした。
どっかの民家の庭から聞こえてくる。
思わず妻に電話した。
すぐにそうやって伝えられる相手がいるってのはいいことだな。


昼休み。
九段下駅まで走って電車に乗り込み飯田橋へ。
徒歩5分で遺失物センターに到着。空いていた。
本当にそれらしい物が届いていないか調べなおしてもらったが、ない…。
鍵の番号はわかるかと問われ、観念して妻に連絡を取り、
紛失の旨を白状して番号を教えてもらった。
が、ない。
ウーン…。
しかし悪用のしようもないはずだから、
どっかからヒョッコリ出てくるものとして、
まだ待ってみることにした。


まだ12時20分だったので
飯田橋のブックオフに寄ったら20%オフやってた。
衛府の七忍がセット販売してたから買った。
レジ打ちの青年が研修中だったらしく
はじめ8900円とかにしちゃっていて
先輩店員が声掛けもしたのだけど
見向きもせず一人でノロノロと対処しようとしていて
よくなかった。
研修中だからね、仕方ない……。
しかし随分長々待たされたから謝ってはほしかった。
でも何か言うとクレームっぽくなってしまうから
どうもとだけ述べて去った。

飯田橋駅前の交差点は入り組んでいて、
複雑な車の行き来のせいで信号待ちがべらぼうに長い。
だからあほみたいにでかく長い歩道橋がある。
で五又くらいになっているのだけど
イッコだけ階段の延びていない角がある。
ちょうどそこに位置しながら、信号待ちにもひっかかり、
えらい待たされた。
ここを除いても飯田橋付近は道が悪い。駅構内もやたらと歩かされる。
東京有数の不快駅。
でも若いころの思い出もいくらかあるんだよな…。

12時40分。電車で帰るには惜しい天気。
サンドイッチを食べながら散歩がてら戻ろうと、
ろくでもねえ道を歩いてって九段下へ。
…本来なら10分程度で着くはずなのだけど、
なにしろ道が悪い。信号が長い。車通りも煩わしい。
戻りは休憩時間ぎりぎりとなった。


西荻から帰宅。
八百屋に寄ったが菜の花が売り切れており買えず。
肉屋に寄って今夜のハンバーグのための挽肉を買おう、
と思ったら少量か大量しかない。
挽肉は痛みやすいし、買ってきた挽肉を冷凍保存したことないから、
どちらを買うのもためらわれ、悩んだ挙句に
焼きゃあいい状態になってるハンバーグのタネを買った。
肉屋のだしな。ここのは他のも美味しいし信じられる。
あと牛肉を買った。総じて800円。ちょっとする。
帰り道で別の八百屋に寄り、菜の花を見かけたけれど
480円という高価格であったので諦めた。
まだマルエツがある…と最後の望みを託してみたのだが
こちらには売っておらず。断念。


帰宅して、鍵の件をこってり妻から絞られた。
冗談めかしていじってくれるだけありがたい。
夕飯のハンバーグは出来合いだから調理時間に余裕があり、
数十分持て余すとかえって何も動けなくなったりした。
大根をおろし、味噌汁を準備し、いつものサラダを整える。
人参は軽く茹でてからソテーする。
ハンバーグは両面を5分ずつ焼いて焦げ色を付け、
水を入れて蓋しさらに5分焼き、火を止めて5分蒸らす。
肉汁に醤油と酒を入れて、煮つめたソースをかけて、
大根おろし、小ねぎ、人参を添えてできあがり。
ンまかったな。
それでも自分で作ったほうがわずかに美味しいかな。
微差だけど…。

録画しておいた、Eテレの
魔改造技術者養成学校とかいう番組を見た。
大科学実験みたいな企画かと思われたけど、
こちらは企業の技術者同士を競わせていて、
そのスピンオフみたいな形で技術者に講義してもらおうという
半ドキュメンタリー的な構成。
講義自体はそんなに面白くない。
まるでビジネスマン向けみたいだったな。


食後ちょっと妻と窓際ソファでくつろいで、
寝室に移動して漫画読んでから
1時間少々トキノの執筆にあてた。
執筆っていってもやってることは推敲で、
ここの言葉を置き換えよううーんうーんと
唸ってる時間がほとんどだから書いてるって実感はない。


22時半入浴。
昨日の残り湯を追い焚きしたつもりが、
栓が閉まりきっていなかったらしく空っぽだった。
蓋してるから入るときまで気づかないという罠。
やむなくそのまま入った。
湯が溜まるまでは寒い…というほどでもない季節の移りに感謝した。

さよなら絵梨を読んだという妻が、
面白かった、ルックバックよりずっとよいという感想を漏らしていた。
「爆発好きだからね、私は…」
そういえばそうだった。
で、爆発で終わる映画なにがあったっけ、というので脳内検索してみたが、
気狂いピエロくらいしか思いつかない。
つまはスワロウテイルをあげた。そういえばそうだった。
あとは全然だった。
「たぶん、ハリウッド映画にたくさんあるんだと思うよ」
「あれ、私、全然爆発映画好きじゃない…?」
爆発そのものも好きだそうだが、
結末として
それまで丹念に積み重ねてきたものが
盛大に吹っ飛ぶという仕掛けがたまらないらしい。


今夜も倫理観の崩壊した民話を読み聞かせて寝た。


2022年04月11日(月) ちくわ、創作、老女と悪魔の民話

晴れ。あったけえ。
花粉はもりもり。

明け方、妻に起こされた。
道連れのテイだ。
僕を起こしたところで眠れるわけじゃないだろうに。
もうわけのワカラン言葉で許してもらうと、
ちくわ、
ちくわ、
と言ってたら寝入ってくれた。


昨日の生春巻きの出来が惜しく、
スイートチリソース作ってみた。
豆板醤、酢、砂糖、塩、にんにくを混ぜるだけ。
こんなもんだったんけ。ちゃんと美味しいし。

藤本タツキ先生の200P読みきり読んだ。
さよなら絵梨。
面白かったな。
ルックバックより好きだ。
映画の”編集”による映像選別が、
思い出したい記憶の選別と重なる構造に感動した。
で絵が超絶上手いっていう……。
こう見るともうほとんど沙村広明臭ないんだな。
イヤなのはネット上の…というかTwitter上の品評。
批評用語寄せ集めて一見ナルホドと思わせられるような
感想があちらこちらに発生している。
嫌だなあ、嫌としか言いようがないが……。

前回、ルックバックのときは、
ちょうど僕は天使の不在証明を書き終えるところだった。
今回はトキノを書き終えるところ。
いやがおうにも創作について考えてしまう。
圧倒的に、構成と表現手法、演出が上手い。
プロのなかでもほとんどテッペンの人といえるのだから
そりゃあそうなんだろうが、
自分の素人くささが際立つ。
そして、読者にうったえかけるものがある。
僕の創作は好き勝手にやってるだけで、
どれだけ読者に響くか、全くこころもとない。
近しい人間を読者に想定してみてすら、
読まれない、読み解かれない、好みじゃないだろう、
誤解されそう、退屈がられそう、…と、
どの人も気に入ってはくれなさそうだ。
それでも書くけどね……。
面白いものは書けてる。
あとは技量の問題なはずだ。
技量なんて書いてりゃあがんだろ。
それが若い頃ならねえとかいって踏みとどまるような
意気地のなさにさえ取り憑かれなければ、なんとかなる。


夕飯は餃子。
冷凍の美味しいやつ。
これをグレーテルのかまど見ながら食べた。
菜の花のケーキ作ってた。
苦くないようにないように…って工夫してたけど、
はたして美味いのかしらん。
クリームは豆腐をアレンジしたもの。マジか。
作る気にはなれないが、
せっかく春が来たし菜の花のパスタは近日中にやっとこうと思った。


食後、今夜もソファでくつろいだ。
夜風を浴びながらだらだらと話した。
今週末、妻の同僚が遊びに来ることとなった。
外資コンサルのなかでも、外資コンサルっぽくない面々らしい。
男1女1。
僕は飯でもてなすこととなる。
もてなすのは好きだ。
とくに初回は、レパートリーのなかでも
これぞという品を出せるしやりやすい。
ちょっと大変だけど。


民話読み聞かせ。
今夜はパレスチナの民話。
老女と悪魔とが、
どちらが人に嫌な思いをさせられるかの腕比べをする話。
この時点で面白いもんな。
悪魔と渡り合える老女何者だって話だし。

悪魔は男二人にちょっかいだして憎悪を煽って殺させてた。
老女は老女で、夫婦にちょっかいだして
夫が妻にひどい仕打ちをするよう仕向けたけど、
 実は私がウラで糸引いてただけで
 あなたが妻を憎む理由はないのでしたー
 ドッキリ大成功
みたいな打ち明けをすることで
夫婦仲をもとに戻してた。
で悪魔に
 お前さんは取り返しのつかないことはできるようだけど
 その点私のほうが一歩ウワテみたいだねえ
とかいっていきる。
は?
悪魔は悪魔で、
 負けを認めなくちゃならんようだ
とかいい出す。
え?
中東の論理わかんねえ。
わかんなさが面白い。


2022年04月10日(日) ピザ注文、執筆、さよならコンポ、廊下広縁ソファ

8時起床。晴れ。朝だけちょっと肌寒い。
休日トーストを食べてOKストアへ。
入浴。洗濯。

四隣人の食卓、読み終えた。
面白かったな…。
文章がとてもよかった。
現代的で、小説的で……
まさに自分に欠けてる能力だから勉強になる。

11時、妻は友人宅へ。
僕はピザを注文して、しばしゆっくりした。
2年前の、祖母の米寿祝いパーティーの映像を見てみた。
親族30人が集まった会の映像を、僕が編集したもの。
ここに映し出されているのは、一つの幸福の凝集だ。
人生のいろいろを経てきた積み重ねの結晶としての一日。
癌で余命幾ばくもなかった叔父が主催したパーティーのなかで、
祖母の人生および一族の歩みを写真で振り返るスライドショーを、
叔父はメインに据えていた。
これは叔父から名指しで依頼されて僕が手掛けたものだ。
叔父は病床で、何度も何度も…何百回も見ては泣いたという。
その話ありきで見ると、僕もまた泣けてきてしまう。
「みんな仲良く」という主題を、今回書いているトキノには込めている。
正確には、「みんな仲良く」が、生の祝福に紐付けられるというものだ。
僕の子供時代には、たしかに祝福が感じ取れていたと、
これらの古い写真を見返していくと実感する。


さてピザを食べたら書き始めるぞというつもりでいるのに、こない。
12時15分から30分の間に指定してあり、
予約確認ページにおいては到着予定時刻が12時15分とされている。
12時35分になって、店に電話を入れてみた。
「いまオーブンに入れたところですので……」という返答。
ああー……その返事よお……通じねえやつだぞ!と思い、
今回ははっきり訊いた。
「予定より遅れてるってことですか?」
「はい……」
「大分遅れてますよね。10分程度待ってても来ないってことですか?」
「はい」
「どのくらいになるか教えてもらっていいですか?」
「20分ほど…だと思います」
となると、提示してきた予定時刻より40分遅れということだ。
別に遅れるなら遅れるでもいいのだが、
さすがそこまでの遅れになるなら一報くれよ…。
という思いを押し殺して、丁重によろしく頼んで電話を切った。
で12時55分、ようやく到着。
何一つお詫びの言葉はなかった。まあいいけど……。
ドミノピザデラックスL1枚。
これを庭で食べてみた。うめえ。
のどかでのんびりして…よい。
しかし、思いのほか暑かった。
3切れだけ食べて、残りは部屋でいただいた。

13時20分。
予定よりだいぶ遅れたが、執筆体勢を整えた。
音楽は無し。
テーブルにノートPCだけのっけて、座布団に座り文を打つ。
途中5分や15分程度の休憩をはさみつつ、18時まで向き合って、
ようやく全体の95%くらいはできあがった。
達成感ある……。
16時過ぎからは涼しい風が入ってきて、
めちゃくちゃ気分気持ちよかった。
帰途についている妻から電話がかかってきてからラストスパートをかけた。
ちょっと遅れて帰ってきてくれたおかげで捗った部分もある。

19時近くなって帰宅した妻に、窓際の席を勧めた。
普段は居間に置いているソファのうち一つを
今日は窓際の廊下に移動してみたのだが、
旅館の広縁のようになるし
風が間近に感じられて恍惚的なのだ。
妻もうっとりしていた。
僕は大急ぎで夕飯の支度を始めた。
生春巻きのために鶏むね肉を茹で、
人参千切りを塩もみ、大根とキュウリも千切りにしておいて、
ライスペーパーにリーフレタスを置き、それぞれを包んでいく。
並行して、ニンニク長ネギ味噌醤油みりんで、
ご飯のお供も用意した。

19時半のダーウィンにはなんとか間に合った。
でも飯はちょっと失敗した。
スイートチリソースが開栓してから随分経っていて、
味が変わってしまったようだ。
それに、サラダと生春巻きで野菜過剰なところに、
別の肉や油っけがなかったから、ちょっと物足りなかったか。
とはいえかたや昼飯ピザ、
かたや昼飯バーベキューだったのだから
1日のトータルで見ればちょうどよくはある。

ダーウィンは森のなかで産卵するペンギンの特集。
森のなかにはアシカもいてオドロキ空間だった。

食後、かけそこなっていた掃除機をかけた。
こう遅くなってしまったのは不本意ながら
それでもサボらないのは我ながらエライ。

で、改めて窓際の廊下にソファを置いた。
向き合う格好で1席ずつ。
妻と二人、何もしない贅沢な時間を楽しんだ。

友人宅でも楽しく過ごしたようだったが、
新築建売のその家は、やはり好みではなかったようだ。
ケチを付けられるような物件ではない。
駅チカ4LDKの、広く、明るく、お利口な家だ。
だが、ときめかないという。よくわかる。
クルミのパウンドはその場で食べたそうだが、
クルミが上部に固まっていたようで、
「クルミって浮くんだっけ?」となったらしい。
もちろん浮かない。それどころか、沈む。
沈むから、底面に集まらないように、
生地の中段から上段にかけて散りばめて焼成するのだが、
今回はびびりすぎて、結果的に全然沈みもしなかったようだ。
味はよかったらしい。


コンポ捨てた。思い切って…。
19歳の、一人暮らしを始めた当時に買った思い出の品だった。
CD5枚を切り替えて聞ける優れもの。
音質とかはわからないから実用性だけで選んだ。
たいへん世話になった。
引っ越しに際しても処分できず
大量のCDとともに持ってはきたのだが…
結局はダンボールに詰められていたし、
今後登場する機会があるとしたら、さらなる引越し後だろう。
そのときにはさすがに新調するか、と思い切った。

思い切りのよい男になりたくもあり、
一方でウジウジと不合理に悩んでいたい自分も維持していたい。
今回は現実がまさった。


早めの入浴を済ませて、風呂上がりの火照った身体で、
再び窓際で夫婦向き合った。
夜風が気持ちよすぎるのだ。
ぽつりぽつりと、話したり黙ったりしつつ、
22時半からはまた執筆に入らせてもらった。
おかげで、98%くらいまではいった。
あと数日あれば書き終わる。
めちゃくちゃ楽しく、めちゃくちゃ恐ろしい。
誰もに読ませたいし、誰にも読ませたくない。


民話読み聞かせて寝た。


2022年04月09日(土) 庭掃除、求肥大失敗、それでも春

洗濯。
普段は日曜日にしている布団の洗濯、
先週が雨で洗えなかったからせめて一日前倒しをと、
今日とりかかった。
それに兄からもらったバウンサーの布地も。
これは汚れがあるわけじゃないけれども、
甥のにおいが染みついている。
べつに臭いとかじゃなく、ただよその家のにおいが
我が家に漂うのを好まないだけ…なんだけど
なかなか強く染みついていて
水曜日に一度洗って天日干しして放置してもまだまだ残ってるから
今日は柔軟剤の力も借りて洗濯。

でOKストアへ。
洗濯もの干して、続けて西荻へ。
DVDを借りた。

昼飯は庭でラーメン。
よく晴れている。
幸せすぎる……

食後、庭掃除。
草刈りはストレス解消になると、
これ多くの男性に教えてあげたいな。
一心不乱になれることもそうだし、
あと獲物を握っていれば、暴力性も発揮できる。
草を…刈るッ! 抜くッ! ぶった切るッ!
すっきりします。
僕はねじり鎌という道具を気に入った。
延々作業していられる。
ただ妻は、庭に現れる生き物を楽しみにしているから、
僕がなんの草でも刈ろうとするのをいやがる。
僕は刈りたすぎるし、妻は刈ちたがらなさすぎる。
ちょうどいいバランスだと思う。

妻によると水曜日には今年はじめてのカナヘビさんと遭遇したらしい。
ちょっと楽しみにしていたが、今日は姿を見せなかった。


その後、案外時間を持て余して居間でのんびりした。
庭など眺めてとても気持ちがいい。
ゴロゴロしたくなって漫画読んじまった。
原恵一郎の麻雀漫画。
トラックの荷台が賭場になっててアジールだなこれって思った。


15時近くになって、
おやつに求肥作ろうと思って白玉粉で大失敗こいた。
へこんだ…
以前つくったときはあっさりだったのにな。
白玉粉100g,砂糖100g、水200mlを耐熱ボウルに入れて混ぜて
レンジで3分温めてよく混ぜて
さらにレンジで1分温めてゴムベラで練って…。
という段階でかなり水っぽくって
軽量が正確じゃなかったのかも。
パットに片栗粉散らして求肥生地を乗せたら
ちょっとだけ固まったけど結局はベチャッとなって
これじゃ食べられん…と断念。へこんだ。
勉強料だと思おう。

代わりのおやつとして、じゃがいもを薄めにスライスして素揚げした。
塩振るだけで美味い、簡易版ポテトチップス。
あんまりパリッとせんかったな。
揚げる前に水分抜かないとふにゃふにゃ。


夕方、映画鑑賞。
処女の泉。
ベルイマンの白黒映画。
天真爛漫のイイコが、賊に……。
で父親がきれて……。
で最後に……。
奇跡。
すごかった。これぞ奇跡っていう。ああー美し。
これ好っきだなあ。
人にすすめるには抵抗あるけど、僕のツボにはドンピシャだ。


夕飯はテレビで見かけて美味しそうだった玉ねぎのコンソメスープ、
この前神保町のスペイン料理点で美味しかったマッシュルームのアヒージョ、
それにシーザーサラダとカジキマグロのバジルソテー。
玉ねぎは皮向いて両端だけ切り落としたまるごとの状態でバターで炒めて、
水を注いで蓋してひたすら煮る。味つけはコンソメキューブと塩こしょうだけ。
アヒージョはフライパンにたっぷりのオリーブオイル入れて
つぶしたニンニク2片入れてじっくりあげて、
それから半分に割っていったマッシュルームを入れて塩振るだけ。
シーザーサラダの具はルッコラとトマトと海老で、
ドレッシングがなかったから自分で用意してみた。
にんにくチューブと牛乳とマヨネーズとブラックペッパー。
かなり覚えのある味になったけどちょっと牛乳が多くなってしまった。
カジキマグロのソテーは焼けばいいというもの。
ご飯と、今日は特別にバゲッドを切って焼いて出した。
アヒージョ美味かったけどニンニク足りなかったな。
スープも美味しかったけどコンソメが強すぎた。
いずれも、けどけど尽くしながら、まぁ満足の行く夕飯ではあった。

夕食後、無限にあると思われていた無塩バターの不足に気づき、
本日二度目のOKストアへ、
ついでに西荻にDVDも返しにいった。
22分の旅。
家を出る直前にくるみを170度のオーブンで20分ローストしていったのだが
帰ってみると焦げ果てていた。
……よう見たら、もともとローストされてあるものだこれ。

あらためて、くるみのヌガーパウンドケーキと向き合う。
妻に明日持たせるためのもの。
[くるみヌガー]
・くるみ 40g
・バター 8g
・ハチミツ 5g
・グラニュー糖5g
・生クリーム5g
・インスタントコーヒー 小さじ1/2
1.くるみを天板に広げ、170度に温めたオーブンで20分ほど、香ばしくなるまで焼き、手で細かく割る
 ローストしてあるものなら細かく割るだけでOK
2.小鍋にバター、ハチミツ、グラニュー糖、生クリームを入れて中火にかけ、
煮立って泡がゆっくり弾けるようになったら火を止め、インスタントコーヒーを加えて混ぜ、
くるみを加えて木べらでからめるようにし、ボウルに移して熱を取る

[くるみのヌガーパウンド]
・くるみヌガー 50g
・全卵 2.3コ
・無塩バター 105g

・三温糖 45g
・粉砂糖 45g

・ハチミツ 25g
・ラム酒 15g

・薄力粉 105g
・アーモンドP 30g
・ベーキングP 小さじ1

1.室温に戻して泡立てたバターをボウルに入れて泡立て器で織り交ぜ、
 合わせた砂糖を数回に分けて加え、ふんわりするまで泡立てる
2.全卵をほぐして湯せんにかけ、フォークで混ぜながら人肌程度に温め、数回に分けて1に加え、
 その都度バターと馴染むまで混ぜ合わせる
3.別のボウルにラム酒とはちみつを入れて湯せんで温め、
 2に加えて混ぜ合わせ、大きめのボウルに移し替える
4粉類を再びふるいながら加えて、ゴムヘラで切り混ぜ、ツヤが出るまで混ぜる
5.準備しておいた型に生地とくるみヌガーを交互に入れ、最後に残りのヌガーをふりかける
6. 180度に予熱しておいたオーブンで15分(+1分)焼き、170度に下げて30分(+4分)焼く
7. アプリコットジャムと水飴を塗り、刻んだくるみとで飾り付け

なんか今回めっちゃ膨らんで盛々の見た目になった。
生地量も多かったのかな。
香りはいいし、美味しいとは思う。
味見できないのが惜しい。


妻が原稿に勤しむ予定もあったはずだが、
花粉と眠気にやられていて、ろくに作業できないようだ。
無料公開中のゴールデンカムイを読んでいる。
僕は1時間少々、トキノの執筆にとりかかった。
執筆は明日の日中が本命となる。
22時半くらいに切り上げて風呂へ。
入浴後は本読んで、家事して、民話読み聞かせて寝た。


2022年04月08日(金) 下手なごまかし、三島論、甘ったれの顔

晴れ。あたたか!
6時半に目が覚めて完全に土曜日だと勘違いしながら
居間に行ってから金曜だと気づいた。
べつにショックとかなかった。

弁当は昨日の残りのスタミナ。
あっためてごはんに乗せただけのもの。


うちの部署の仕事を一部請け負うことになった後輩が育たない。
正確には、求めてもないのに上の浅はかな判断で
こちらのごくカンタンな仕事を渡すよう義務付けられた相手だけれど…。
教えるにあたって、彼女の席での指導は制されている。
「密になるから」とのお達しだ。
したがって僕ら側の席へ呼び込んで教えなくちゃならないのだが
もとより密度はこちらの方が高い。馬鹿か?
でもまあ従ってるわけです。
おかげでものすごく非効率的で、
当然のごとく育たないのだけど。
あの上司の経験と見識が浅いからこういうことになるんだよな。
「密になるから」は名目に過ぎず
別の事情を覆い隠すためのお為ごかしであるんだろうけどへたくそ過ぎる。
実損こうむってる後輩がかわいそうなのでなるべく丁重に扱ってる。


夕飯はサバの味噌煮。
妻は喜ばないが、ごちそうばかりではいられない。

テレビをだらだらと観た。
三島の自決。
三島の自決に際する主張とかって
ほとんど必ず三島論になるの嘆かわしい。
というか相当苛立たしい。
檄文なんかも、それそのものが語られることはまずなくって、
「このとき三島は」とかいって三島研究になっちゃう。


網野善彦先生の無縁、公界…を読んでるけど
あれ…? あんまり楽しめない。
難しい、というよりは退屈なのか。
いや意味内容の充実した本ではあるはずだ、
ただ僕の方に、カタメの歴史事情を味わえる適性がない。
もったいないことだ。


妻と、下の世代の甘ったれ顔についての話をした。
男たちの顔につまりは殺気がない。
「でも殺気を奪われてきたわけでしょう。だめだよって」
まさにその通りだ。
そんな話をしばらくした。
僕は、命かけられるかどうかだと思う。
それは趣味でもなんでもいい。
男は守るべきもんがあれば楽なのだ。
女とか。
でも今や、守らせてもらえない。
女性は庇護対象ではないと、民主主義の発展が決定しつつある。
女に比べて、男は器用じゃない。
女は何事につけ、スパンが早い。
なかなか、なにか一つを大事にしようとし続けない。
ファッションをはじめとする消費活動がわかりやすい例だが
これは悩みかたでもそうだと思う。
たくさんの悩みを同時に抱えて、
しかもその悩みがつらくて大変で、
「わからなく」なっちゃったりする。
対して男は、比べれば悩みが限られている。
そして明確だ。たしかな悩みが重くのしかかっている。
これにおいても、女の方が生存的に器用だ。
そんなような話をした。


民話を読み聞かせて寝た。


2022年04月07日(木) 言いたいお礼、交番のやりとり、スマホ充電残酷物語

晴れ。かなり春。桜は散ってきている。
7時半に起き、
7時につくよう設定しておいた暖房が
たかだか30分で部屋を暖めてくれているのを
しみじみ実感して意気揚々停止させる。

弁当は鶏もも肉とキャベツのポン酢炒め。
換気扇が機能していてうれしい…。


出勤途中ぼんやり歩いてて
なんとなく同窓会がしたいなあと思った。
中学の。

中2の6月に父親が死んで、
葬式だので数日学校休んでから登校してみたら
ことさらに優しくふるまうクラスメイトもいれば
わざとらしいほどいつも通りのクラスメイトもいた。
その中で、たまに軽口をたたき合う程度だった女子が、
つらくなったら言ってね、別に何ができるわけじゃないけど、
私には言っていいからね、と声をかけてくれた。
僕は心配されるほど傷ついてはいなかったし、
そのときも軽口で応答しておしまいだった。
でもあのとき声をかけてもらったことは心に残っている。
別に仲良しでもなく、
隠れた好意を寄せる相手でも全くなく、
それだけに純粋な善意だと信じられて、
「世の中捨てたもんじゃないんだな」
と思えた。
言われたその時よりも、以後に振り返る度そう思えた。
とても感謝している。
礼がいいたい。

…けど、実際その礼は伝えにくい。
相手が忘れているだろうことは構わない、
言葉並びがくさくなろうが今更テレも恥じらいもない。
ただ、どうしてもきっと、口説くみたいになってしまう。
勿論そんな気はない。
でも表面上はそうなる。
だから礼を言う機会がもてない、って、
おお、なんだか不条理だな。
老人になってからなら美談になるかな。


九段下に降り立ってみると大量の若者。
大学の入学式のようだ。
スーツを着慣れない男ばかりがあふれかえっていたのだけど
顔つきがまるで子供でびっくりした。
18歳ってこんなガキだったか。
大学出たての新入社員の顔つきに締まりがない、
というのには慣れてたつもりだっったけど
18歳があまりにも…中学生みたいな幼さで…
いや時代だけじゃなく世代の差はもちろんあるんでしょうよ、
おれもおっさんになったなあガハハで済む話でもあるかもしれない、
しかし自分の18歳は確実にここまで幼くはなかった。
精悍には程遠いにせよ、
あんなに甘ったれの洟垂れ小僧ではけっして……。
……これオモテには出さんほうがいいな。
どうしたって訳知り顔でさとされるやつだ。

一方で
この中にどれだけのヤングケアラーがいることだろう。
過酷な状況に置かれている子たちは大学進学を諦めてる方に多いだろうし、
またこの子らよりさらに下の世代の方がおそらく自体は深刻だ。
顔つき一つじゃどれだけの絶望かかえてるかなんてワカランからな。


昼休みをつかって千代田図書館へ返却。
論語のCDはブックポストでは返せない。
9階まで行き来する必要があり
時間のロスは著しいのだが
まだ12時半だしと余裕のつもりで行って
ちょびっとだけ本を物色して降りて12時40分。
そっから近隣の交番へ。
50過ぎとみられる、スマートさからは程遠い警察官がひとり。
落とし物の届け出をしたいのですがと口を切り、
簡潔に事情を伝える。
ちょっとした反応の一つ一つにに不安を覚える。
個人的には好きなタイプのオッチャンなのだが、
こちらの情報を正確に受け取っていないフシがある。
それに休憩時間の終わりも迫っている。
無駄なやりとりは避けたいが…。
書類を記入し終えて、彼がさぁ然るべきところへの
電話を入れるぞというところで、交番に来訪者。
「拾いました。すみません時間無いんで渡すだけ。これ」
と、青年が運転免許証を警察官に手渡す。
「おおどうもありがとうございます。どのあたりで?」
「急いでます。神田のあたりです」
「拾ったのは何時頃?」
「ちょっとね、1時までに戻らないといけないんで」
「はい、はい。何時頃に拾いました?」
「ついさっきです」
「はいどうもー」
「じゃっ」
……ものの1分程度のやりとりだったが、いろいろなことを思った。
まずこちらの手続きを阻害されたこと。
1時までに戻らないといけないのは僕も同じなのだ……。
しかしその、「1時までに戻らないといけないんで」という、
主観的に過ぎる言葉の意味の不確かさ。
彼の世界だけで成立している文法に呆れた。
仕事でもこの文法の答え方するんだろうな。
『それあと何分くらいで終わる?』
『今これとこれをやってるところなので…。その後これをやったら終わりです』
みたいな。
呆れかえる。
ただそれはともかく、急いでいるのだけは伝わる。
なのに警察官はのんびりしていたわけだ。
「場所と時間だけ教えてくださいねー」と先に言えば済むのに、
あれでは届けた方もどれだけ質疑応答が続くかもわからず、たしかに難儀する。
で、彼が立ち去ってからそんなような考えを巡らせていたところに、
警察官の嘆息が漏れ聞こえた。
「1時までにって言われても、困っちゃうよねえ」
そうなんよ。
いや本当そうなんよ。
でも事情だけでいうとおれも同じなんよ、
本当はおれだってその事情を開陳したくはあるんよ……。
『休憩時間を利用して来ているので、12時55分までに手続きを完了させるか、
その時点で切り上げさせてください』
と明瞭な申し出をぶつけたいんよ。
でももうできない。

警察官は僕が記入した書類の情報を電話相手に読み上げながら、
遺失物センターにいま届いているかどうかを確認しているようだった。
遺失物センターへの電話連絡はしたと…12時52分…
最初に伝えたんだけどな…12時53分…
「まだ届いてないみたいんですねー」
そうだろうとも…12時54分…
「これからもし届いたらそちらへ電話いきますんでね」
はじめからその一言だけが欲しかった。
そのためだけの遺失物届け出なのだ…はじめに言ったけど…12時55分。
「どうも。よろしくお願いします。ありがとうございました」
交番を去って目の前の信号につかまりもしたけれど
小走りで会社に戻って時間に間に合いはした。


18時退勤後、飯田橋の遺失物センターに寄りたかったが
小説に気を取られて乗り過ごしてしまった。
数秒早く気づいていれば…。
隣の神楽坂駅も反対行きの電車はホームが違うし、
続く早稲田駅も同様で、戻る気力を失ってしまった。
こうなるともう小説も読めたもんじゃなく、
ただダラダラと荻窪駅まで行った。気分は悪い。

荻窪のOKストアにサラダ菜が売っておらず、
サニーレタスも売り切れていてげんなりした。
ここの店は売り切れが多い。
今夜の予定は生春巻きだったが
適した葉がないとなると無理に作る気までは起こらない。
白菜は売っていたので
余ってる牛肉を使ってスタミナにすることにした。


昨晩はスマホが接触不良で充電されておらず
今日一日ほとんど起動せずに乗り切ったのだが
途中でChromeアプリがあほだから
ページの読み込みが途中までされた後に
 読み込めまてーん
とかなって
そーっすっとガンガン充電減ってくのよな。
 余力を振り絞って通信するね
って。
しかも読み込めないのだから始末に負えない。
通常、10分ほどの連続使用で1%ほど減るにすぎないはずが、
この2分くらいで6%ほど使われたんですねー。
急きょSafariに切り替えたらあっさり読み込めたし。
Googleってそのうちあほの代名詞にならんかな。
PCではChromeつかってないけど
メモリのバカ食いが有名ですね。
さんざん侮られてきたマイクロソフトのEdgeのほうが
今やよっぽど優秀なんだとか。

で昼間にそういう罠にかかって
夕方には充電残り3%、
LINEのメッセージだけ確認しておくかと起動してみたら
これまで全然なかったのに
いきなり問答無用の動画広告が再生され始めてびっくりした。
停止ボタン無いし。
15秒くらい? 勝手に再生されてなけなしの充電食われていった。
しかも動画には僕の嫌いな宮迫が。
そりゃあ戦争なくならないよなって実感できるほど
平和的精神がすりへった。


帰宅後即調理。
もやしだけ先に炒めてとっておいて、
たまねぎ人参白菜牛肉をゴマ油でいためて
ウスターソースとオイスターソースと醤油とみりんと塩こしょうで調味、
水溶き片栗粉でとろみをつける。
うん美味しい。こういうのでいいんだよっていう。

食後はフィナンシェを食べて、
それから妻がどうしても眠たくてしかたないというから
寝室に付き合い風光るを1冊だけ読んだ。


今夜は早めの入浴。
風呂から出てみるとEテレで料理版のソーイングビーがやっていた。
全体を通してはパンと菓子作りがメインらしい。
まだ1回目らしいが、どうにも出演者が味気ない。
今回のお題はケーキ。
作ろうとしているプランの時点で見た目に華やかさがなく、
予想される味も野暮ったい。
イギリスのイメージには合う。
よく言えば気取っておらず、地に足がついているという感じ。
僕はわかりやすく美味しく気取った見た目のケーキばかりやってきたから、
伝統菓子は避けちゃってるんだよな。

0時に寝室へ。
風光るを読み、今夜も民話を読み聞かせて寝た。


2022年04月06日(水) キーケース見つからず、換気扇修復、「殺せ」

晴れ。あったかめ。
弁当は生姜おかかの振りかけに
冷凍の春巻き、サラダだけ。
早くまともに料理したい。


約束のネバーランド、読みはじめ。
脱獄モノに外れなしとは聞くが、まぁ面白い。
ただ比較的最近、辺獄のシュヴェスタ、ヘンタイ・プリズンという
濃い目の牢獄-脱獄を楽しんでしまっていたし、
子どもたちのためにデザインされた箱庭はアメイジング・グレイス、
全体的なネタ出しが7SEEDSを彷彿させるところもあって、
いまいち乗り切れない。

帰り道、最寄りの警察署に電話してみたが
それらしいキーケースは届いていないという。
マジか…。
まだ妻に言えないでいる。
ひょっこりでてきたりしないものか。


換気扇が修復された。
日中に無事業者がやってきて
新品と交換してくれたものらしい。
大きな違いとしては、フィルターが紙で、
これは4ヶ月に一度くらいのスパンで変える必要があるそうなのだが、
スーパーなどで買えるのか
それともメーカー直販でしか買えない品なのかがわからない。
後者だったら汚い商売だなと思うけど
今日来た作業員はそのへん詳しくないらしく
調べてみないとわからないとのことだった。
今度西友で見てみよ。

さて料理しようとしたところで
床に置きっぱなしとなっていたゴム手袋を発見した。
不気味。
作業員さんが忘れていったものらしいが
コロナ禍でもあるし処分したい。
念のため一報差し上げるか悩みもしたものの
時間も経ってるし見るからに使い捨てだし
黙って捨てることにした。


夕飯は妻の希望に沿って、ぶっかけにした。
妻がプレイしているトライアングルストラテジーは
今や最終局面だそうで
飯食べながら続けさせてやった。
食後にはフィナンシェを温め直して食べ、
それから昨日届いていたギフトカタログの製品を開けた。
赤子向けの積み木、シロフォンセット。
実際に使うのは1年以上先になるだろうけれども、
義祖母への香典返しにいただく品としては、
ひ孫への贈り物になる品がいいだろうという企図だ。
ちょっとずつ赤子用の物品が増えていく。

妻のゲームはその後も長引いて、一向に入浴できない。
23時半を前に最終戦を切り上げてもらった。


団地と移民、という本を呼んでいるが、
2009年あたりに、外国人への排斥運動が熱を帯びて、
一部の団体がおこなったデモをが紹介されていた。
在日コリアン、中国人が多く住む団地に向けて、
「出て行け」「死ね」「殺せ」といった声をあげていたそうだ。
言論の是非は置いといて、
「出て行け」と「死ね」まではわかるとして(ダメだけど)、
「殺せ」というのはむちゃだろ…。笑ってしまった。
誰が殺すんだよって話だし
「殺すぞー!」ならわかるけど(ダメだけど)
その辺の人が殺してまわるのを望んでるのだとしたら
究極的に治安最悪だし
あるいはナチス的な大量殺戮をけしかけているのか。
でもその場の叫びとしては成立するんだよな。
「出て行けー!」「死ねー!」「殺せー!」
って
音楽的にはきっと自然な成り行きなのだ。
それでも一部の参加者は思っちゃんじゃないかな。
(殺せ…? え、誰が??)
という戸惑い。


妻は寝室のカーテンが買えないと嘆いている。
電話問い合わせで悶着あったらしい。
工場の生産ラインが停滞しているそうだ。
ちょっと見通しが立たないとのこと。
それについて質問を重ねていくなかで、
どうにも要領を得ない対応をされてしまったようだ。
予算は4万くらいにしてみているらしい。オー…。


月曜日のたわわが話題になっている。
日経だかなんだかの新聞に一面広告が打たれたんだとか。
相変わらずTwitter上では両陣営の議論が噛み合っていない。
どっちの意見が正しいだの間違ってるだのじゃなく、
噛み合っていない。
バカバカしいったらありゃしない。


民話読み聞かせは今夜もモロッコ。
二人の樵が山に来て
ライオンの足跡を発見して
それにびびった一人は山を登り
もう一人はそのままその辺で木を切った。
そしたらライオンがあらわれて、彼を食べようとする。
しかし待てと。
俺には脳みそがない、食べても美味くなんかないぞと。
ライオンはライオンで、
いや嘘をつくなと。
脳みそのない人間なんかいるものかと。
するとこの男は、
いやいや嘘はつかんと。
もし俺に脳みそがあったら
ライオンの足跡を発見して
なおその場にとどまるなんてするわけないと。
そして脳みそのある人間は山の頂上に向かったと。
……これを聞いたライオンは、山を登っていった。
モロッコ民話面白い。
よくできてる。そして倫理観が危うい。


2022年04月05日(火) 嫌いな歌、1秒の愚か、モロッコ民話

晴れ。
朝は肌寒いけど春の陽気は感じられる。
しかし弁当を鶏の照り焼きにしてしまったので、
煙がモワモワ出る。
窓を開ける。寒い。
改めて換気扇の威力を知る。
大変働いていたのだなあ。


昨日の夜立て続けに地震があった。
震度2や3程度だったが、震源地が関東とのことで、
一部では首都直下型地震の初期微動だとか騒がれていた。

江戸時代の流れを見ると
徳川幕府の歴代将軍はあの手この手で安定を計っているのに
結局は度重なる天災にぶち壊されてしまっている。
大地震は起こりうるものだと思っといたほうがいいんだろうな。


NHKの朝ドラ、代々主題歌が気に食わないのだけど
今期はとくに僕の大嫌いな歌声がばってきされていて滅入る。
ほんのわずかでも耳に入るとずっと残るんだよな。
夕方脳内でリピートされちまって不快。
これも有名人への中傷にあたるのかな……。
反吐が出るほど厭わしく具合悪くなるのだけど……。
本人が知ったらショックだよなあ。
でも歌声に加えて歌詞も表現しようとしているものも
何もかも疎ましく煩わしく鬱陶しいんだよなあ。
あんなの売り出すなよっていうのが一番か。
「嫌い」はまごうことなき純粋な自己本来の心だから
これはこれで大事にしたいのだ。
誰にとっても開かれている、
しかし誰が読むわけでもないこの日記で嘆くくらいは許してほしい。


夕飯はマグロ丼。
2割引きになっていた本マグロを
醤油とみりんの漬け汁に漬けておく。
米が炊けるまで。
その間にフィナンシェの生地を用意した。
なにしろ卵白も無塩バターも余っているので。
今回は久しぶりにプレーンのものを
ガシガシとこしらえて一旦は冷蔵庫で休ませた。
あまりの時間でほかの家事などをする。
キーケース、見つからない。
ちょっとやばいかもしれない。

今日のマグロ丼には完熟のアボカドを足した。
前回はウールガイの味が強くてよくわからんかったのよな。
今回はすさまじい美味しさだった。
まず本マグロのトロの味が強烈。
その旨味を口の中にめいっぱい広げるアボカド。
そこへ海苔とわさびのアクセントが効いて、
味噌汁をすするともう…タマラナイ。
本マグロが割り引かれて500円、
アボカドが200円だから
外食に比べれば圧倒的に安いとはいえ
普段の食卓と比べるとやや割高。
でも月イチくらいでやりたい。

食後すぐフィナンシェを焼いた。
210度で5分半、190度で8分。
しかし色づかない。
様子を見ながらもう3分程焼いた。
色は薄いが焼けている。
だいぶ柔らかいが型から取り出せはする。
メチャウマ。
プレーンは久々だったけど…びっくりするなコレは。

さらに残った生地を追加で焼く。
今度は上手く焼けていた。


入浴後、警視庁の遺失物登録リストのページで
キーケースを検索してみた。
便利な世の中だなあ。
なかったけど…。

こんなことになるならキーケースに
名前と住所を書いたメモを入れておけばよかったと
思った一秒後にその愚かさに失笑した。
今のところは失くしただけで、
誰かに拾われたところで
悪用されようがないのが救いだな。

1秒の愚かといえば
妻とベビーカーについて話していて
でも僕はベビーカー使ってた記憶ないんだけどなあ
と思ったのだった。
まったくもって当たり前だ。


妻がわがままし放題であるので
今後はきみを無視して
お腹の子だけ可愛がってやろうかなとうそぶいてみた。
「どうやって?」
「お腹の方にだけ語りかける」
「いやだなあ」
「君のことは母体と呼ぶ」
「産む機械だなあ。それほんとヒドイなあ」
二人で笑っているのだが
よそには聞かせられない冗談だ。 


民話。モロッコ。くるってた。
商人が神に請うてようやく授かった少年。
でも放蕩で金を使い尽くしてしまう。
生活が困窮して、母親は
「この子を魔術使いにでもしなければ」
と画策する(働かせろよ)。
母親は貢物を用意して少年を魔術使いのもとへ弟子入りさせる。
だが魔術使いは何も教えない。部屋に閉じ込めておくだけ。
少年は暇を持て余し、部屋の書物を片っ端から読んでいく。
それで魔法使いの魔法をすべて覚えてしまう(カンタンだな!)。
だが魔法をこっそり覚えたことが
魔法使いに知れたなら大変な目に合うわよと女中が教えてくれる。
そして少年は魔術使いのもとから逃げ出す(自分から弟子入りしておいて)。
母親のもとに帰り、金銭を稼ぐため騾馬を売る提案をする。
向こうの方へ歩いていけば騾馬が拾えるからそれを市場で売って、と。
母親は言われた通りに騾馬を売りようやくまとまった金を手にした。
実のところその騾馬は、魔法で化けた少年なのである(詐欺罪)。
ところがその騾馬が、追ってきた魔法使いに捕まってしまった。
少年は様々な動物に化けて逃げる。
魔法使いも同様に化けて追う。
最終的には王宮で、少年は魔法使いをみごとに殺害(ひどい)。
少年の叡智と勇気をたたえて、王は美しい王女を差し出し、
二人は結婚しましたとさ。なめとんのか。おっと失礼。


2022年04月04日(月) 朝からいらいら、ベビーカー話し合い、自由と責任と運命


寒い。雨。部屋の中がくらい。
Eテレの朝は今日から新編成となるのか、
見慣れない企画をしていた。絵を描いていた。

弁当は電子レンジのシュウマイと、
醤油みりんめんつゆをひと煮立ちさせて野菜あげを浸したもの。
早く換気扇復活してほしい。
月曜なのにゴミ箱がすかすか。
通常なら週末にわんさか溜まるはずの生ゴミが出ていないから。
まぁ楽だけども。

炊飯器の電源が昨晩からつけっぱなしになっていた。
というのも、この炊飯器は洒落ぶって、
操作ボタンがすべてタッチパネルになっている。
でこのタッチパネル、度々反応しない。
指に付着した水気や静電気などの問題ではなく、
何をどうしてもダメなときはダメ。
調べても同じ悩みを持つ購入者は少なくないようだ。
メーカーも仕様だとして開き直っている。
タッチパネルをやめろよ…。
物理ボタンならオンオフすら効かないってことはまずない。
タッチパネル式はちょっとした不具合が致命的にダメで、
商品として売り出せる品質に達していない。
とてもとても苛立たしい。
それこそ物理的に電源ケーブルを引っこ抜けば動作は当然止まる。
だがもう一度差すと、あろうことか保温モードになるよう記憶している。
それを解除できない。
ただ何時間か待てばこのアホパネルも反応することはわかっている。
だから昨日は苛立ちながらいったん放っておいたのだが、
そのまんま朝を迎えてしまったわけだ。
うーん間抜けだねえ、で済むかアホボケカス。
なんでこっちが反省しなきゃならんのだ。
と思ってひたすらむかむかした。

むかむかといえばこの前買ったバターケース。
こいつは密閉することだけが役割なのに
それが果たされていない。
蓋がすぐに開く。なんだこいつ。
じゃあタッパー…ジップロックでいいだろ…て話だ。
こいつ…こいつは本当になんなんだろう。
ケース、っていうならまだわかる。
ケースではある。
それでも蓋は閉まっていてほしいが、
密閉度が高くなくともケースはケースだ。
でもお前はバターケースなので…。
憤懣やるかたない。

そうして家を出てみても外は冷たい雨だし
イヤホンは断線。
朝から苛立ちがやまない。
九段下に着いてからコンビニに寄りゃあレジが混んでいる。
モップがけをしていた店員が随分遅れてレジカウンターに加わろうとする。
しかし客の列に阻まれて進めない。なんだこの店。
いやに時間を食って店を出ると9時27分。
大通り一本挟んで会社は目の前とはいえ遅刻しかねない。
しかも信号が変わらない。長い。
そういえばこの通りはストレスフルなんだった。長い。
ようやく信号が切り替わりビルへと駆け込む。
雨で足元が濡れる。
遅刻はしなかったが気分が悪い。
ものすごく悪い。

あとキーケースが見つからない。
家にないのだから
ウッカリ会社に置き去りにしてきてしまったものかと思われきや
まったく見つからない。
しかし家のどこかにある可能性が高まったともいえる。
コレに関しては自分のせいだししっかり省みよう。
焦らない焦らない。


夕飯はレトルトカレー。
煙が出ないから。
早く並の料理がしたい…。


妻はトライアングルストラテジーが最終局面とのことで
随分と込み入ったラストバトルに苦戦していた。
さきほどお義母さんと電話したらしく、
何を買ってもらおうか、
とりあえず来々週末に一緒に百貨店に繰り出す予定を立てたとのこと。

その流れもあって、ベビーカーについての話し合いをした。
使いやすさを重視する妻に対して、僕は安全面の追求を論じた。
ベビーカーを使う時点でリスクがある。
この世に自動車というものがなければいいが、あるので、
ガードレールのない歩道にはキケンがつきまとう。
あらゆる道具は身体を延長させる。
スポーツをしている、してきた人間にとって、
身体感覚の延長は馴染みがある。
しかし僕ら夫婦のような人間には、この認識は難しい。
ましてや妻は体力の無さに加えて機転がきかず、
そういう手合が赤ん坊を乗せた大型のベビーカーを
車の走るすぐ横でどれだけ安全に操れるものか、疑わしいのだ。
こちらに自責が問われずとも大小の事故は起こりうる。
これが、赤子が1歳や1歳半ともなれば
段々と日常的な危険性も減ってくるものだが、
半年やそこらでベビーカーに乗せて
外へ引っ張り出す機会は、僕は避けたい。
日常的な散歩なら抱っこひもで十分なのだ、
用途をシミュレーションしてみれば
産まれた当初からベビーカーがなくともいいだろう、
と長々論じた。
安全性重視については呑み込んでくれたようだが、
じゃあ取り回しし易いベビーカーにするね、
と話をまとめているあたり、論旨の勘所はつかめていないようだった。

アルベール・カミュは随分な自動車嫌いだったそうで、
他の手段があるなら自動車に乗ってこなかったし、
自身が運転する際には決して急がずとろとろ走らせていたようだ。
自動車事故で死ぬほど馬鹿げた話はない、という言葉を残してさえいる。
である日、友人だかなんだかの車に乗って移動せざるを得なくなって、

事故にあって死んだ。

これは大変強烈なエピソードなわけだけど
僕もあんまり 車が車が と言ってるの、
それこそが怖いんだよな。


ああ、「運命」の話もした。
社会の発展…正確には欧米の目指す民主主義的な近代社会の実現によって
民衆に自由が獲得されていくごとに、
選択が迫られ、責任が発生し、後悔の種が蒔かれる。
この無限の選択肢は現代の人々を日々疲弊させきっている。
絶えず責任逃れに窮して後悔に怯え、大きく息を吸い込めないでいる。
インドのカースト制は近代的な視点から見れば問題だらけで、
諸外国を知る若者たちは職業選択の自由を叫んでもいるが、
この文化に親しむ現地人や宗教者、研究者からすれば
素晴らしくよくできた社会制度でもあるという。

僕は
「自分への言い訳」
こそを、当世の地獄の本分であると見定めている。
すると天国には
「自分への言い訳」
がない。
完全に調和のとれた世界では、
あらゆる言い逃れの余地が無いのだ。
自由にはどうしたって責任がつきまとい、
責任の裏には言い逃れという影が常に落とされる。
不自由には責任が求められない。
奴隷は仕方なく奴隷をしているのであって、
どんなに日々を嘆き世を呪おうとも、それは彼のせいではない。
だが奴隷制が解放された状況で尚もその境遇から脱しようと努めないのなら、
彼は自己責任を追求されてしまう。

仕方ないと受け入れる、
自身の境遇を受認するにあたっては、
選択の余地がない不自由のほうが都合いいことがある。
おかげで吐ける毒もある。

無限の選択肢は、オモテ面では民主主義の綺麗事に飾り立てられるが、
ウラ面では大量消費社会が支配する耕地となる。
大量消費社会と「不安」の心理は相性がいい。
「不安」あってこその大量消費社会とすらいえる。
ここには論理の転倒が仕掛けられている。
「満たされるとは素晴らしいことだ(幸福モデルの設定)」
「あなたは満たされていない(渇望の惹起)」
が円環的に結び付けられて
必要でないものを必要と思い込む。
絶えず刺激される”不安感”からより良い安寧を求めるようになる。
新製品には”差異”がいる。
というより”差異”さえあればモノは新製品となる。

人々が選択の余地なく
先祖代々から受け継がれた道具だけを使い続けては、
消費社会は困ってしまうわけだ。
その場合においては、様々な不合理な現実もある。
古い、ぼろい、ださい、手入れが手間である、……
しかしトータルで見ればよっぽど健全だと思う。
なにしろ自己責任の余地がなく、後悔が発生しない。
究極に合理的だ、とすら思う。
目先の合理性を追求して人々の精神が圧迫され
いずれは自殺に導くような現行の社会を、
僕は合理的だとは決して認めない。

アメリカでは
精神科医にかかるメンタルケアが社会に普及しているのに
日本では未だに精神科医の効果的に使われておらず嘆かわしい、
というような記事を読んだ。
まぁアメリカさんはそれでいいかもしれない。
自由と自己責任、目先の合理性の高速回転、
高度なソリューションの社会でやってってください。
しかし日本には全くそぐわない。
折口信夫の風土による文化的価値観解析、
いろいろと批判されてもいるようだけれども
大筋において僕は支持する。
日本人には受容、受忍が合っている。
選択肢は無ければ無いほどいい…とはいいすぎだが、
あればあるほどいいわけじゃない、と僕は強く主張する、
不自由の価値を見直しておくれ。
「運命の出会い」は地に足の着いた自由とかけ離れた天空にある。


今夜の民話読み聞かせはパキスタン。
世界のどこの国もすーぐ美少女を登場させて結婚させたがるな。


2022年04月03日(日) 修復職人、実家バウンサー、まぐろラーメン

9時に休日トースト。
それから早く家を出たいのにEテレの番組に見入ってしまった。
修復職人。
修復といえばギャラリーフェイクの藤田が想起されるが、
主には骨董品を手がけているらしい。
先代から受け継いだ技術を当代は継承し、
さらに息子も同職に携わっている。

仕事場はマンションの一室で、
貸主に許可は得ているのか疑問に思った。
多くの賃貸では、居住以外の用途を制限しているはずだ。
接客業ではないにしても、薬品の取り扱いなど多くあるだろう。
でもまあいいんかな。黙認か。

陶器を熱してから液状の樹脂を流し込む。
すると樹脂がヒビ割れに垂れ込んで溝を埋める。
不思議だ。
どこでどう培われた技術なのやら知れない。

職人の業界に通じる用語はかっちょいいのが多い。
今日心に残ったのは「呼び接ぎ」。
ある磁器から欠けてなくなった部位を、
他の磁器や物品の欠片によって補う。
つまりは欠片がお呼ばれするわけだ。
素敵な表現。好き。

自分が新作を…ゼロから作ってみたくはならないのだろうか。
おそらくは長年を通じて、作品への畏敬、
先人への恐れ多さを積んできたのだろうけれども、
それだけに、やてみたくはならないのだろうか。

できあがった修復品は文句の付け所がない見事なできで、
ツギハギのあとなど微塵も見られなかった。

図書館ではたまごクラブと、
取り寄せをお願いしていた本を二冊借りた。
OKストアで買い物して帰宅。
妻は雑誌を喜んでいた。
「雑誌が借りられるって、いいよね。
返すから邪魔にならないし」
「そうそう、2週間という期限もちょうどいい」
「うん。最近ね、ちょっと何もしたくないなあってときに、
なんとなく手に取れるから、雑誌に大分助けられてるんだよ」
「何もしたくないけど何かしなければって心境にもぴったりだね。
たまごクラブなら。読んでるだけで、やることやってる気になれる」
実際、図書館でもっといろいろの雑誌を借りてきてもいいくらいだ。
まぁ借りてしまった分だけ他の利用者から機会を奪うことになるから
結局は最低限しか借りないわけだけど。

改めてドライブ・マイ・カーがろくでもねーという話をした。
単品で、ただこちらが個人的に気に食わない、
というまでなら話はシンプルだけれども、
なまじっかアカデミー賞なんかで評価されやがって、
するとあの作品で描出された主題が
世間に肯定的に認められるということになる。
男の女々しさ、情けなさが認められることになる。
強がらなくていいんだよというしょうもない甘言。
おっさんが若い女の胸に抱かれて弱音を吐く…なんだこいつ…。
聖闘士星矢を読め。

いやそうして当たり前化されてきた男性的規範からの
脱皮を遂げたんでしょうよ、ものすごい低い次元において。
全然聖闘士星矢的な美徳を越えられてないと思う。
都合がいいだけで。
あんなのは優しさとか許容とか良心じゃなくて
目先の甘やかしに過ぎない。
全然世のためにならない。
とふいに激した。


洗濯物を干してから風呂へ。気持ちいい。
しばらく読み返していた三島由紀夫の純白の夜が
もうじき終わる。
この作品、比喩表現で戯れている。
子供が引き合いにだされる表現が多い。
あんまり高価な土産物に引け目を感じる子供のように、とか。
みごとだよなあ。

昼飯は炊き込みご飯。
火も油も使わないで済む。
でも炒り卵は用意した。
それから味噌汁で暖まる。
いつもは休日の昼飯にはサラダを用意しないが
昨日に続き今日も夕飯を外でとるつもりでいるから
今日の昼は多めのトマトとサラダ菜を共した。


しばしダラダラと過ごした後、掃除。
あちらこちらと片付けていって
掃除機をかける。
本来ならば冬物をしまい込んでいくつもりが
昨日今日の思わぬ寒さで断念せざるを得なくなってしまった。


一通りの準備を終えて、14時半過ぎに妻と家を出た。
西荻の三井住友で預金。
それぞれ335万円。
二人合わせて現金総資産は1200万円ほどとなった。
もう家買えんじゃねーの、と妻が言う。
たしかに買うだけならできそうだな。

高円寺からバス乗って25分、16時に実家着。
とりあえず麦茶を出してもらい温まる。
こちらからも、昨日仕入れた和ハーブティーをやった。
おしゃべり好きの母親は問わず語りに
次から次へと話題を紡ぐ。
ほとんどしゃべりっぱなしで、
僕は半分聞き流しながらたまに相槌を打つ程度だから楽だが
妻はかえって大変かもしれない。
こちらからは娘の名前候補を提示した。
いずれでも良いようだった。
その流れで、名付けに関する話を聞いた。
僕の名前にある吉の字は三兄弟に共通している。
長兄は当初、父親の意向で万吉と名付けられるはずだったが
母親がそれだけはやめてくれと懇願して別の名になった、
という話は知っていたが、今日聞いたことには、
万吉の名は一度は役所に提出してしまったらしい。
出生直後に。父が。勝手に。
で翌日大騒ぎの末、なんとか届け出の訂正を聞き入れてもらったとのことだ。
めちゃくちゃだな。
また、吉の字は父が世話になっていた兄貴分…
本筋のヤクザモンで、この人が
お前はこっちの道に入るなと強く諭してくれたから
父は極道にならずに済んだ、だから恩人なのだという…
その人から拝借したのだとも聞き知っていたが、
その名は今回始めて聞いた。
吉三郎といったらしい。
ずいぶんとこれはまた…。

母親はコーヒー党で
普段は茶を気に入ってないらしかったが、
今回やった和ハーブティーは好みのようだった。
やはりアマチャの甘みが面白い。
ティーパック10袋で2000円弱と割高ではあるが
ちょっとした珍しさが面白いし追加購入を決意した。

18時においとましてまぐろラーメンへ。
数年ぶり。
しかし客がいない。一人も。
いつも行列をなしていたものだけれど…
やはり営業形態が夜向きなのだろう。
今はコロナ禍で20時までの営業としているようだが、
長い間、20時くらいから深夜の3時近くまでオープンしていたのだ。
ただ単純に、空いている分には助かりもする。
僕はラーメンの大盛りを、妻はラーメン丼を注文した。
ああ美味しすぎる。
唯一無二の味。
こんなに美味しいラーメンはない。
とびっきり濃い目のラーメン丼も…
見た目は残飯のようなのに旨味の塊。
ラーメン丼を食べると
ラーメン丼を注文しておくべきだったと後悔してしまう。
あっという間に食べ終わり席を立つ。
気づけば店内は満員になっていた。
なんだ今もやっぱり人気店じゃないか…。
このタイミングでマスターと奥さんが挨拶をしてくれた。
何年ぶりに来ても、必ず声をかけてくれる。
中学生の頃から通い始めて、とうとう結婚したし、
今度子供が産まれるんです、と報告できて嬉しかった。

店を出てバス停へ向かう。
まぐろラーメンを食べている時間は夢見心地で、
ほんの一瞬で終わってしまった。
体感的には一口だ。
恍惚として雨の中を歩く。

帰りのバスでは妻が寄ってしまった。
高円寺駅で休憩。
上島珈琲に入り、これからの話などをした。
購入品の中でベビーカーは重くのしかかる。
数万円する買い物…という費用もさることながら、
今からどの製品がいいものか調べなおして、
比較検討して、下見して…というタスクが、端的にいって面倒だ。
もらうのならば選択の余地がないから楽だった。

上島の会計は1000円。
昨日今日でそれなりに散財してしまった。
なにしろ久しぶりだからいいけど。
いいけど…やっぱ使いすぎたな。
荻窪着いてからさらにバス。
昨日と同じく歩くのを諦めて。
妻の不調に加えて雨だしバウンサーも持ちっぱなしだし。

帰宅は20時。
なんだかすごく疲れた。
洗濯物は乾いていない。
乾きそうなところへモノを入れ替えていった。
しばしくたばった。
スーパーマリオコレクション。
おおお懐かしいぜ。
ちょっとした効果音や音楽に感じ入る。
マリオブラザーズ3をプレイしてみた。
一面ごとがやけに短く感じた。
ボリューミーなゲームに知らぬ間に慣れしまってんだなあ。
続けてツインビーもプレイしてみた。
ベルを撃つと色が変わる仕掛けが懐かしくってたまらない。
懐かしさだけでプレイしているから5分で満足。

妻と交代して、僕は借りてきた本を読むことにした。
韓国の小説。四隣人の食卓。
共同体とか隣近所とか特異な生活とか、
いま僕が興味のある領分で満たされた作品と思われるのだけど、
2ページだけ読んでみてなんとなく気分がのらない。
そもそもあっちの登場人物名全然覚えられないし序盤はかったるい。
で、小説は諦めてもう一冊の本を読んだ。
団地に関する本。
面白い。
今でこそ古臭い昭和の象徴で、活気がなく、
孤独な高齢者の生ける墓場のような場所となっているが、
かつては全く逆で、団地中がまるごと家族のような結びつきがあり、
いつも喧騒にまみれていた……。
著者の経験に根ざしてもいる記述には団地の息遣いが感じられる。

21時過ぎ。動けない。
動けないが風呂には入りたい。
入りたいが動けない。
「ミュークルドリーミーがないから動けない。
ちあふるタイムがないからやる気になれない」
と呻くと妻がちあふるタイムの真似事をした。
その声とともに動いた。
「これで動かないと、
ちあふるタイムを否定してしまうことになるからな…」
「便利だなこれ」


入浴後、バナナジュース。
生のバナナ1本と
冷凍してあったバナナ1本をブレンダーにかける。
いつもは冷凍バナナは事前にやや解凍するのだが
今回は試しにそのまんまガリガリとやってみた。
ちゃんと砕かれジュースになる…が、
刃が傷つきそうだから今度からはやめておこう。
でも冷え冷えのめちゃうまバナナジュースに仕上がりはした。


23時からしばし一人の時間をもらった。
1時間ほどかけてトキノの推敲を進めていく。
推敲は文を書き進めるわけじゃないから
かける時間の割に停滞感に見舞われる。
でもこれで、2章までは完成した。
全体量の3割くらいか。


寝る前に風光るをちょっとだけ、
第一巻だけ読みきった。
これ面白くなるの、と妻。
幕末の時代の動きを追っかける面白さがあるよと答えた。
僕の感想を正直に言えば、
この漫画の基軸である主人公と沖田総司の
鬱陶しい掛け合いさえなければ面白い作品だ、と思う。
というか皆いいキャラしてるのに
主人公セイと関わるやいなやナヨナヨしい種無し野郎になるのが惜しすぎる。
最後までデレない土方が良心。


新たに借りてきた民話集を読み聞かせた。
スラブ民話集。
イスラム文化圏の国々の民話がぎょうさん載っている。
今日読んだのはちょっと凄惨だった。
神に祝福された美少女が
口を開く度にジャスミンと百合の花びらがこぼれる
というのは途方もなく素敵だったけれど
これに嫉妬した叔母は彼女を砂漠へと連れ出して
水と引き換えに彼女の右目をえぐりだす。
さらに同様に、左目もえぐり出す。
でまぁ最終的にはこの叔母の娘の両目もえぐり出されて
その目玉が祝福された美少女の方につけられて
王子様と結婚してハッピーエンド☆みたいな終わり方してるんだけど
叔母とその娘がどうなったかを思うと…。


2022年04月02日(土) 代官山ベビー用品、ダセえ渋谷、神保町パエリア

9時過ぎまで惰眠を貪ってやるぜという
昨晩の意気込みむなしく6時半に目が覚めてしまった。
肌寒いが晴れていて気持ちがいい。
だらだらと原神をやった。
今はもう螺旋をクリアするだけ。
しかるのち洗濯。
9時前に休日トースト。
OKストア行って帰宅、洗濯物干して10時。
風呂入って読書。
11時過ぎから飯作って11時半に飯。
焼きうどん。
毎度のことながら美味い。

12時に家を出て荻窪に向かう。
妻はあちこちの花を指差してはしゃいでいる。
「そうか、きみは春がうれしいんだ。
花が咲き始めたから」
「うんうれしい。春好き」
「こういう妻を持つと、夫は幸せかもしれない」
という僕の褒め言葉も耳に入れず、
妻はあの花はこの花はと矢継ぎ早に解説をたたみかける。
しかし僕は僕で解説の一切を耳に入れてなかった。


荻窪からは中央線で新宿へ。
山の手線で渋谷へ。
東横線で代官山へ。
久しぶりの代官山は、降り立った瞬間にもう
フレッシュな陽の気にあてられた。
知った街を知らない風に、うすのろに歩いて行く。

気まぐれに立ち寄ったunicoではカーテンと照明を見た。
売り場は変わらず魅力的だけれども
今では家に必要なものがなかなか揃っているので
以前ほどには惹かれずに済む。
店を出たところで不動産業者から電話。
換気扇の修理は次の水曜日となるようだ。
それならまだいいか。水曜日に決着がつくのなら。

洒落た道を通り抜けて歩道橋を渡り、
今日の目当てであるベビー用品店に入った。
マールマール。
店内の全品がとてつもなく可愛い。
デザインがいいし、
モデルに商品を着用させた写真も上手い。
くまを模したおめかし服が妻のねらいだったようで、
これはたしかにモノスゴク可愛かった。
とはいえ、新生児サイズにつき
着させるのはせいぜい2,3回だという。
それで値段は1万以上する。
この店は駅前であるし、
また後で来ようということで、いったんは出た。

続けてデンマークのキッズ服専門店に入った。
しかし僕は腹の調子を壊してしまい、
やむなくアドレス代官山でしばし休んだ。
遅れて妻もやってきて、
それから施設内の店にいくつか入ってから、
喫茶店に行こうと八幡通りに出た。
昔何度も利用した珈琲店があったはずだが見当たらない。
5分ほど探したものの、どうやら閉店してしまったようだと諦め、
まぁ代官山ならいくらでも店はあるからと路地に入り、
古い教会を抜けて狭い階段を降りたところで、
和ハーブティーというのを売ってる店を見つけた。
「入る?」
「入る」
店内は狭かったが、どうやら奥ではマッサージを施しているらしい。
どうやらマッサージが本業で、
肉体を総合的に健康にしていくにあたり
茶にも目をつけたということのようだ。
試飲ができるというから4つ試させてもらった。
はじめのブレンドが僕には衝撃だった。
漢方のような香りに反して飲みやすく、
口の中で噛むように飲むと豊かな甘さが広がる。
砂糖を入れているわけでもないらしい。
ブレンドに含まれているアマチャの茶葉が、
砂糖よりもずっと甘いのだそうだ。
そして身体が芯から温まる。
疲労が快復していくような心地にもなった。
続く二杯目はミントの風味が強く、好みではなかった。
三杯目はヨモギ。
茶なのにヨモギ団子の味がして面白かったが
ただただヨモギ団子が食べたくなる。
四杯目は一杯目と似通っていたが、甘さがない。
僕は断然一杯目推しだった。
だがちょっとだけ高い。
妻は次の週末に遊びに行く友達の家への手土産品として、
あまり高くない四杯目のティーパックを三袋買い、
さらに明日僕の実家へ行く手土産として、
一杯目のティーパックを十袋分買った。
「ネット通販はしてないんですか?」
「してない…んですが、リピーターのお客様には、
電話での注文を受け付けてはいます」
なるほど、それならばあるいはまた買ってしまうかもしれない。
そのくらい気に入った。


それからSNSカフェという世にも恥ずかしい店を通り過ぎ、
アドレスに面した交差点へ戻ってきて、
妻はタイル専門店に寄りたがった。
僕は外で待っていたが、妻は15分ほど吟味して、
店の人と語らってもいた。

どこのカフェに入るかは決まっていなかった。
昔と違い今は喫煙席を探さなくてもいい。
ある意味ではどの喫茶店でもカフェでもいいわけだ。
「もう、今日は、いいぜ。パンケーキ屋に入っても…」
僕の誘いに妻は乗った。
まったくいつ代官山に来てもパンケーキ屋には
若い客が大勢立ち並んでいたが
今日はうっかり入れそうだった。
果たしてノータイムで着席。
妻はキャラメルバナナにバニラアイスをトッピングして、
僕は黒蜜抹茶にした。
店員は一人で切り盛りしている。
はっきりいってこ汚いおっさんが…
一人でパンケーキを焼いて注文を聞いて配膳して会計している。
店内には多くのジャニーズグッズがあった。
こんな店だとは思いもしなかった。
しかしなんであれ、パンケーキさえ美味しければ問題ない。
実際美味かった。
しっとりふわふわする。
妻は幸せだ、幸せだと繰り返していた。
ずっと仕事が辛く、家にいるばかりの生活にも飽き飽きで、
それがこのバカ甘いパンケーキを食べたときに
数直線の真反対の多幸感に見舞われたのだろう。
今日は天気もよく、二階の席から見渡す代官山の町並みは
いかにもデートの風情で
くさくさした気分を吹き飛ばしてくれる。

向かいの店にはベランダのように外にせり出した
半テラス席とでもいえるスペースを備えたカフェが見え、
あの外に向かって席を設置した空間は
ぜひとも未来の我が家にほしいと思った。

結局マールマールで1万する新生児用の服を買った。
本棚にとっておけるという箱も可愛らしい。
いよいよ7月が楽しみになってくる。
店員さんから刺繍はいかがするかと問われたが
まだ名前が決まっていないからとその点は辞した。
どこもメルカリで売り買いされないように
いろいろ対策考えてるみたいだね、と妻は憶測していた。
「もちろん、ここの刺繍がそのためとは限らないけどね」
僕は直感的に、これはアリだ!と思った。
メルカリ云々を抜きにしても、
商売として正しいやり方をしていると直感的に思った。
マールマール、応援していきたい。

妻が体力に余裕ありそうだったので
やや足を伸ばしてこどもBeamsとやらに寄ったり、
Familiaというベビー用品店に寄ったりした。
見聞は深まる。
そして見れば見るほどマールマールの見事さが際立っていく。

今日は二十代前半にさんざん来ていたはずの代官山の、
これまで縁のなかった一面を満喫できた。
あと店が点在して生きているの、スバラシイ。
地の力のある街という感じだ。やっぱ好きだな。


東横線で一駅、渋谷に着いて、
こちらは一転ツマラナイ街に堕している。
それでも今日は割り切って、
スクエアという商業施設に踏み入ってみた。
繁盛している。
エレベーターはかなりの混雑。
10Fがライフスタイル雑貨だからと昇ってみると、
なんてことはない、フロア一面が東急ハンズだった。
今どきありがちなつまらねえ施設だなと心底軽蔑した。11Fは半分がTSUTAYAブックショップとスタバ。
もう半分が、なんて名前だったか、
たまに見かける和のデザインショップ。
こちらは洒落た雑貨がいくつもあった。
2万円ほどする提灯にはかなり惹かれた。
妻は赤黒い漆の豆皿に目をつけたが、
これから洒落た食卓は激減するからと諦めてもらった。

続けてヒカリエにも寄った。
ヒカリエはオープン当初に来て以来
ずっと不人気のイメージがあり
判官贔屓の心境で応援しているのだった。
ビル内を歩いているとすべてに
「何かのカンチガイで」とつけたくなる。
入っている店の一つ一つにはそれなりに愛着あったりする。
コンロンショップが潰れたのは残念だったけれども
相変わらずオッと思われされる品が
延々歩いていれば見つかりはする。
今回はたまたま見かけた三つ足のマグカップが可愛らしく、
…まるでナメック星の宇宙船のようだったけれども
とにかく可愛らしく、
妻は友人に買ってやるかずいぶん悩んでいた。
「1コ買ってあげようかな…どうしようかな」
「マグカップでセットにしないのか…」
「やっぱまずいかな」
「あげる名目による」
「持ち家祝い?」
「向こうは夫婦で家買ってるわけだから…」
「やなんだもん、私は離婚しろって思ってるくらいなんだから」
結局買ってはいなかった。


渋谷駅は長い工事を段階的に終えつつあり
従来の鉄鋼くささを廃した近未来的な姿を表している。
ものすごいダサい。
近未来風って一番ダセえからな。
光の放射とか敢えての黒とか
計算しつくされた幾何学模様とか
空間の使い方がことごとくダセえ。
ダセえ、ダセえと夫婦で毒づきながら渋谷を去った。


半蔵門線で神保町へ。
出口からものの1分で目当ての店に到着。
オーレオーレ。
妻はここのパエリアをとてもひいきにしている。
しかし来るのは10年ぶり近くなるか。
この店にはいわゆる「クセが強い」従業員がいる。
だが妻はその覚えはないという。
今日のそのオジサンが接客してくれた。
テキパキとオーダーをうかがいながら、ボケてくる。
僕は今も昔も相手にしない。
不快なわけではなく、
無理に付き合わないことでこちらなりの礼を示しているのだ。
ドリンクは僕はウーロン茶を、妻は店員に相談の上、
ノンアルコールのスパークリングワイン…
白ぶどうジュースにガスを入れたもの?を注文した。
フードは4品注文。
3品にとどめるつもりだったけれども、
店員の強い勧めに従ってアラカルトを足した。
まずはタパスの盛り合わせ。
タルタルソースでいただく海老、
クミンなどスパイスの効いたトリッパ、オムレツ、
マカロニサラダ、冷製ラタトゥイユなどいずれも美味しい。
レバーパテにはマスタードがよく合った。
家庭で食べない、店だからこそ食せる味というのがうれしい。
二皿目が店員おすすめの、マッシュルームのアヒージョ。
アヒージョといえばむやみに油まみれで
一口目より後はウェップとなるのが常だったが
今回は後味もよく過去最高のアヒージョだった。
何より、かるく焼かれたバゲットに
このアヒージョのガーリックオイルを浸すと実にたまらない。
たまらないからバゲットはおかわりをした。
追加の方は焼かれていなかったがそれでも十分美味しい。
ぺろりと平らげてしまう。
三皿目、子羊のロースト。
これも店のものが食べたくて仕方なかった。
分厚く柔らかいローストに、甘めのバルサミコソースと、
付け合せのグリル野菜が合うこと。
そして4皿目がパエリア。
店員さんが取り分けてくれた。
米は一部におこげをまとわせながらも、水分を多分に含んでいる。
トマトと魚介の旨味がたっぷり染み込んでいる。
美味しい。感服。
コロナを警戒して長居はしなかったが
総じて大満足だった。

会計は7000円弱。けっこういったな…。
でもいいのだ、たまにだから。

満腹感に心地良く夜風を浴びながら
神保町から九段下までを歩く。
日常的に目にする町並みとは打って変わって
今夜の神保町は美しかった。
ほんと日常嫌いなんだな。
でも日常あっての非日常だから、
とても日常を大事にしている方だとも自負している。

帰りの電車で、セトウツミを最後まで読み切った。
荻窪駅に着くまさにその瞬間に最後のページを読みきった格好。
それからバスで帰路。
環八をよぎるだけで数分待たされる。
歩いた方がマシだが妊婦連れでは仕方ない…。仕方ないのだよ…。

20時過ぎに帰宅。
くたくたのテイで、何はさておきシーツを取り込み
ベッドに横たわれるよう用意をした。
僕もしばし休んだ。
カービィボウルを完全クリアした。
いずれの面も、20年前の記憶で
どう攻略すべきか覚えているのは我ながら驚がくだった。
また一方で、当時どれだけ考えても
それ以上の最適解が得られなかった攻略法に、
今回アッサリ新ルートを開拓できたりして感動した。
まぁ単にやり直しできるから大胆な真似が試せるってわけですが。


入浴前に兄からメッセージが届いた。
今日実家に置いてきたというベビーカーが、
なんとそのタイミングで壊れてしまったらしい。
どうやら久しぶりに物置から引っ張り出したそれを、
こうして使うのだとレクチャーする動画を撮っている最中に倒してしまい、
それであえなく壊れたと。
であるならばいずれにしても頂戴して少し経った頃には壊れたろうし、
あっさり諦めはついた。
バウンサーはもらえるようだし十分だ。


およそ3週間楽しませてくれた読みくらべ民話集、今夜がラスト。
あとがきの後に収録されていた富山の民話を読んだ。
これだけ特別扱いされているのに中身は忘れた。


2022年04月01日(金) エイプリルフール、肌色、発想による問題提起

エイプリルフールを楽しんだ日って別にないな。
「この日ぐらいはやりすぎちゃってもいい」
という特別な日が、
「やりすぎのラインを見極める共同認識の確認日」
みたいになってる。
踏切線のあんまり手前だとつまらないし
踏切線越えたら顰蹙買うし、
ギリギリ中のギリギリだけが面白いけど
そこんとこ狙ってきたのねって作為が冷める。
もはや顰蹙買っても「やりすぎ」をした方がいいとすら思う。
 アップデートされた現代的価値観
とかいう安い幻想におもねらずにな。

でとりあえず耳に入ってきたのは
ネクストンの30周年記念企画。
先週あたりに樋上いたる起用でちょっと話題になってて
ONEリメイクをにおわせていたのが
今日になってMoon.リメイクの情報を披露してきた。
ありえそうでなさそうで…いいトコはついてきてる。
でもNintendoSwitchでとあったし、それは無茶だろうと思われた。
だいいちMoon.リメイクが売れるとは到底見込めない。
個人的にはまた鬱ゲーの時代が到来したら面白いと期待したいものだけど。

あと、サクラノ刻の発売日のお知らせ。
11月だそうだ。
ちょうど育休も終わって、てんやわんやの時期となる。
なにがなんでもプレイしたい作品ではあるが
タイミングは難しい。


肌色について。
肌色という色を日本人は名付けて当たり前みたいに使ってるけど
あくまで黄色人種ベースの、
もっといえば日本人にしか通用しない勝手な表現だよね、
という批判の仕方がある。
まぁ実際にそういう声を聞いたことがあるわけじゃないけど
少なくとも僕は高校ぐらいのときに思い至った。
で。
今日ふと感づいたことには、
哺乳類も毛を抜いていけばその多くは、
我々が親しむところの「肌色」をしていないだろうか。
桃色に近くはあるだろうが、白人や黒人の肌と比べれば、
ずっとあの「肌色」に近い気がする。

とそんな話を妻にしてみたところ、
本当にそうだろうかと、反証可能性をさぐってきた。
しかし僕にとってはこの場合、極端な言い方をすれば、
“事実がどうであれ、それは瑣末なこと”だ。
「日本人にしか通用しない勝手な表現」という批判への
さらなるカウンターとして
考えなしを諌める劇物になればいいのであって、
その役目は問題提起の時点でまっとうしている。

たぶん松本人志が、この憂き目によく見舞われていた。
彼のたぐいまれな認識能力によって
ある常識とされている物事から問題ごとが導出される、
その問題提起自体に意味があり、また面白いのに、
一部の人間から実際の事実関係を指摘する「マジレス」が届いてしまう。
それは「無粋」などという
逆説的にある美徳を確保してしまえそうな表現で済まされる性質ではなく、
ただただ、この手合は発言者の論法を読み取れていないのだ。
発言者は問題提起そのものの命題化をねらっているのに、
真っ正直に問題だけを見据えてかかるのはお角ちがい…なのだが、
この批判精神をただすのは難しい。
“理屈ぶった感情論”の持ち主だから
どの角度から攻めても彼の世界は閉じられている。
こういうやつ、ものすごいたくさん見てきた。


ぼくらはみんな河合荘。読んだ。
はじめはドタバタしてるだけで
全然ノレんくて
キャラクターにも白けてたけど
林さんあたりを契機に掛け合いがグイグイよくなってって
後半はメチャ面白かった。
黒川さんは格好いいし愛美さんも絶妙なバランスしてる。
8〜11巻は素晴らしかった。
あと湿りそうで湿りきらない。
安直な恋愛偶像劇にしてやるもんか…という意地を感じる。


妻は炊き込みご飯、
僕は卵かけご飯にした。
ほんのちょびっとごま油垂らしたフライパンに
卵入れてほんのちょびっとだけ熱を通してご飯へ。
味付けは醤油のみ。
美味かった…けどkろえなら生卵でもよかったか。
味噌汁がよく合った。
余っていたきゅうりの浅漬けも嬉しい。


風呂入って早々寝室へ。
民話を読み聞かせて寝た。


れどれ |MAIL