ヒルカニヤの虎



 早朝喫茶は夜の香り

土曜の関東出張にひっかけ、金〜日と東京でお笑いライブを見てきたよ。
東京シュール5の本ネタ公演が素敵に最低すぎて無駄に時間がかかりそうなので、先に犬の心オールナイトトークライブメモから。何回か寝落ちしたので記憶は曖昧です。

んで今日は2時間睡眠を押して小沢くんのラジオまで粘る。しかしおそらく途中で落ちる。

■犬の心オールナイトトークライブ 2010/02/27/Sat_24:00-@渋谷屋根裏

犬トークは初!なのに仕事等の都合でホテルに戻って着替える時間がなく、真夜中の渋谷センター街をビジネススーツで歩く羽目に。こわいよー!(※地方の人間にとって渋谷はジャパンで一番怖いところ)しかもライブハウスに行く格好としてもっともTPOをわきまえていない。肩身の狭いきもちでコソコソ入場。
客入れと休憩のBGMはくるり系統だった。あーなんかすごいひさしぶりに聞いた!

1部:犬2人でトーク。もう最初から最後までひたすら五輪の話。しかし塙さんはバンクーバーオリンピックを1ミリも見ていない非国民です(※忙しかっただけだよアンチじゃないよ)。でも知らなくても全然おもしろく、かえって興味深かった。押見さんのドはまりっぷりが。バイアスロンはスキー部と射撃部のつなぎが唐突すぎて盛り上がりにくい&応援しにくいらしい。あとスケルトンだかリュージュだかはプロと素人の秒数差が1秒しかない。押見さん「そんな競技はいらない」ひどい!
カーリングにはまりすぎてこれからどうしていいかわからない押見さん。カーリングのプロリーグ発足を提唱していました。あとはこくぼ選手の話とか、女子フィギュアの決勝とか。中盤で押見さんのきむよなvsまおちゃん話、今回の勝敗をわけたのは「恋愛経験の差」だと熱弁をふるう。そして自分が漫画家で世界フィギュアスケート物語を描くなら、という妄想捏造タイムに突入。設定:きむよなは上流の出で気位が高く、ジュニアの頃からずっと1番(※捏造)だけどまおちゃんを宿命のライバルだと思っている。一方のまおちゃんは天真爛漫でライバル視などしておらず(※捏造)ただスケートが好きなだけ。きむよなの演技も大好きで素直にすごいと思っている。しかし今回のバンクーバーでまおちゃんに初めて自我が生まれ(※捏造)、勝ちたいと思うように。しかし今の完璧なきむよなには勝てない。そして4年後の冬季五輪、紆余曲折を経てまおちゃんは勝つのです(※このへんから押見さんの完全な妄想)。会場中が見とれる完璧なスケーティングのきむよなに対し、まおちゃんのそれは人を笑顔に、楽しくさせるスケーティング。それはまおが誰よりもスケートを楽しみ愛しているから。まおの演技に客席は立ち上がって踊り出す――(※会場爆笑)。押見さんについてこのとき「あ、この人ちょっとおかしい(喜)」と思った。ボルテージの上がり方と入り込み方がハンパない。とりあえず押見さんは「ガラスの仮面」と「チェリープロジェクト」@武内直美先生を読めばいいと思うよ。そこに答えが全部ある。池谷さんと家城さんは揃ってあんどうみきのクレオパトラに「?」だったそうですが、え、フィギュアってそういうもんじゃない?(キャンデロロがいまだに忘れられない私)(女子なら陳露)(古い!)
あとスノボのしょーん・ほわいとは強すぎてお話にならないので、あいつだけパンツの前部分に穴あけといて手で隠しながらプレイさせたらいいんじゃないか、とも言ってました。ち●こ出ちゃったら負け。しかし犬の心2人の結論は結局「それでもホワイト勝つよね」。それはすごいな!

途中で押見さんと畑中しんじろうが入れ替わってトーク。しんちゃんやっぱすごい美形、あたりまえですが。そんなアイドルは登場してすぐ池谷さんにマイナーコードの人生相談スタート。家にいてもほとんどうつ状態で、踊ってる時だけが幸せなんだとか。おおおお重い!そしてしんちゃんはえらい大人や権力ある人がキライで怖くて怯えて挙動不審になってしまうらしい。他者理解の欠如に基づくコミュニケーション不全と切って捨てられそうな中2病でしたが(でも私はそれを悪いとは思わないよ)、さすがに池谷菩薩はすばらしかった。どんな人だって他人から嫌われるような人間性になりたくてなったんじゃない、だから全部をひっくるめて理解して認めて愛してあげなきゃかわいそう、とのお答え。他者理解のかたまりです。すばらしい。そういえば「自分がなんのために生きてるのかわからない」というしんちゃんの悩みに対して、池谷さんはきわめて認識論的な返答をしていた。自分や何かのために生きることが実は一番難しくて、だからまず他の誰かがいるから自分というものが存在できていることに気づかなければならない。要するに「他者に認識されなければ自分という存在は存在しえない」ということ。「?」なしんちゃんに噛み砕いてわかりやすく説明してあげる菩薩。芸人をやりながら大学を卒業した池谷さん、就職か芸人かで迷った一時期は精神的に落ちた。でもそのとき「押見さんが必要としているから自分という人間がいる、存在していられる」、というふうに預けたんだそうです。それでとても楽になったと。それはすごい勇気だよね。「誰かのために生きる」という奉仕の精神と、「誰かがいるために生きる」という倫理は実はまったく違う。私は後者の倫理を理解している人がとても好きだ。これは聞けてよかったなと思いました。あとしんちゃんはいろいろがんばって。
最後は2人でマイケルのBudsの最難関ワンエイトの猛特訓。でお昼のダンスライブで披露したダンスをやってくれて、1部終わり。客席かなりの熱狂。
え、これお笑いライブ?なんかおもしろかった。

2部:後輩レギュラー陣によるトークなど。ブレーメンの岡部と井下好井の好井のフリートーク。思ってたより岡部は考えてる人だった。好井はほんとにコテコテで、関西の話術と仕切りを渋谷で聞くトランス状態。おじいちゃんの牛の話とか、フリとオチがくどいほど関西味です。あとでトレンディエンジェル斎藤が出てきたけど、もうまったくトークの組み立てが違って、あの肩の力の抜けっぷりはある意味すごいなと思った。だって芸人が客前で普通の話を普通に喋ってんだもの。
そういえばここでは女子フィギュアの採点方法に焦点が当てられていた。きむよなに有利な採点方法でっていうアレ。でも伊藤みどりのトリプルアクセル全盛時代はまったく逆の論理だったし(ジャンプを飛べればそれでいいのか?という表現力軽視への疑義)、そこばっかり言ってもねえ。時代だよね。...しまった2部をほとんど覚えていない!とにかく中盤からトレンディエンジェル斎藤ナイトだったんですよ。でも私はおもろいハゲの最高峰を三浦マイルドだと思っているので(毛根の状態含め)、そんなにハマらないんだよね彼。強いて言うなら悲惨さが足りない。

3部:ここらへんだいぶもうろうとしてたので、休憩入ったかどうかが曖昧です。畑中しんちゃん以外はみんな今回で卒業ということで、卒業トーク。押見さんにかわいがっている順位をつけてほしいという井下好井、ブレーメン、シソンヌ、畑中しんちゃん。1番かわいいのはしんちゃん:予想外の返答が返ってくるから(押見さんは猫派)。2番はシソンヌのじろうちゃんだったかな?ほっとくといつまでたっても喋らない。でも後半のオンラインゲームの話でおもいっきりハネてた。彼はネトゲ廃人だったらしく、錬金術師だったり木こりだった過去があるらしい。私がゲームをまったくしない人間なので十全には理解できてないと思いますが、とにかく新鮮でおもしろかった。本当にバーチャルでもうひとつの世界があるんだね。戦争ゲームにはまっているじろうちゃん、自分がリアルの戦争に出てもいい戦力になると思っている。押見さんの結論「じろうちゃんかわいそうだね」ひどい!
あと好井が恋をしている話から皆の恋愛話→恋愛で怖かったこと。押見さんによる2股の彼女ズとの三者面談@喫茶店と、スター関根による彼女の父親の背中にモンモン&小指詰めにゾッとしました。あとシソンヌしのぶの車大車輪事件と、だれかの(だれだっけ)彼女の車から飛び降り事件もこわかった。じろうちゃんはヒステリックで、同居延長中の元彼女に彼氏ができたとき、まず包丁をじぶんの手の届かない高さの棚に置いたそうです。こわいわー。しんちゃんは3年どころじゃなく好きな人がいないらしい。がんばって!

最後に新レギュラーとの入れ替え戦。それぞれが候補の3組(後輩・同期・先輩)を挙げてきて計9組から3組を決める。たこあげを異様にいやがる押見さんがおもろかった。紙飛行機がいちばん遠くまで飛んだ2組と、舞台に隠した紙切れを斎藤さんに探させてそこから選ぶのが1組。最終組にはトレンディエンジェルも入ってた。結果、次からはササラモサラ・ハンマミーヤ・マヂカルラブリー・畑中しんちゃんがレギュラーです。トレンディエンジェル残念。しかしいいバランスの3組+1人で、これはこれでおもしろそう。ああでも9期のエリヤンしずるライスゆったり感時代を見てみたかったなぁ。東京のヨシモト若手にどんどんのめりこんでいく泥沼。
しかし最後の斎藤さん紙探しのくだりが長くてねえ、いや会場はウケてたんですが、私はああいう予定調和のイジリ(ハゲが理不尽にいじられる)があんまり得意ではないうえに舞台がほとんど見えてなかったので、結果寝てました。早よ終わらんかなと思いつつ。あれで斎藤さんが自分でおいしいと思ってしまっているのが、こっちに伝わっちゃうともうダメなんだよね〜。

で、終わってお店出るときもぼーっとしてて、雨だな〜と階段のぼりかけたときに誰かに引き止められて手を握られて素でびっくりする。なんやねん!?と警戒心むきだしで向き直ったら、池谷さんだ!ぎゃーー!!忘れてた、犬のトークライブはお見送り&握手があったんだった!朝6時なのにキラキラしとる!突然すぎて気の利いたことも言えず、もったいなかったです。19の犬@大阪いくのにー。しかしうれしかった。えへへ。

よだん:朝6時前の山手線に揺られて半ば立ち寝、ふと顔を上げたら吊革の向こうにでっかい人影。吊革より高い位置にある顔、ひっつめた髪…あれれ?ごめたんじゃない?……間違いなくごめたんだ!と凝視していたら、左目のまぶたにばんそうこう貼った五明さんとおもいっきり睨み合ってしまう。いやまったく悪意とかなかったんですが!失礼しました…。で二度見したら横にミルクラの竹内さんがいた。おおおおお先生!(※「おのれ」の)しかし時間が時間だし混んでるしスーツだしで声をかけるのもはばかられ、テンション上がったままホテルに戻る。土曜深夜に追って上京してた友人を叩き起こして報告。私「さすが東京、山手線に芸人おった!」友「...え、だれ?(超不機嫌)」私「グランジの五明とミルクラの竹内」友「誰やねん!!(マジギレ)」これ以上ないベタな返しです。テレビ出てない芸人をNotお笑い好きの友人が知るはずもないのですが、しかし舌打ちしなくても…。

2010年02月27日(土)



 憂鬱はまさにそう!

カリカ単独「魔王コント」土曜2回分とれた!万難を排して行く。
という勢いに乗って東京シュール5本ネタ公演後半。できるだけさらっといきたい。

■東京シュール5 本ネタ公演 2010/02/26/Fri_18:30-@全電通ホール

後半は椅子にまつわるユニットコント。その間に正規メンバーじゃない人たちのネタが挟まる感じで進みます。MCがポイズン阿部ちゃんとしずる池田で、とたんに会場中が不安定な磁場に。なんでお前がカンペ持ってんの?という先輩阿部ちゃん。対する後輩池田の暴言「思ってるより(MC)できてないですよ?」このあと阿部ちゃんの目を直視できない池田のくだりがおもろかった。阿部ちゃん「でもいつか2人でラジオやろうな」だからできてないんだってば!阿部ちゃん無駄にポジティブ。

・僕らのおじさん(@押見)
椅子を使ったパフォーマンス(モノボケ?)をする椅子のおじさん(池谷)と、仲良し小学生ズ(村上&林)と、出会い頭にいじめられる転校生(関町)@公園。小学生ズはおじさんが大好きで、椅子のパフォーマンスに大枚を払って見ている。関町はその構造がまったく理解できない常識人(ツッコミが常軌を逸していた)。でも数ヶ月後、小学生ズと同じくおじさんに夢中になっている転校生の姿が...。
かたつむり林のあほの子の演技がすばらしかった。正月の田所プロデュース以来、村上&林コンビはなんかほほえましい。関町の苛められっこ気質は天性です。池谷さんは、池谷さんです。そういえば押見さんの書くネタは中盤〜終盤でふわって飽和する瞬間がある。形容が難しいけど、わちゃわちゃと違って、カタルシスでもなくって、破綻ともいえない。なんか拡散に近い広がり方をして全体を把握しきれなくなる一瞬がある。あれおかしな感覚だなあ。
・コンビニ強盗(かたつむり林)は前半で書いたので略
・パイプいすの歴史(@田所)
全部ウソの話、という前提のもと、ストーリーテラー・カリカ林さんのすてきな美声で進んでいくパイプいすの成り立ち。会場から悲鳴があがるブラックなコントでした。長くなるので詳述しませんが、要するにパイプいすは欠損した人体(...。)に着想を得てつくられたってことです。これ池田さんアテ書きなのかなあ。吉田さんがいい味出してた。で、田所仁はどこにいきたいのかと(2回目)
・ドリームマッチ(インポッシブル)
でたー!アニメやまんがの主人公たちを戦わせるシリーズ。悟空vsドラえもん、ブタゴリラvsジャイアン、デューク東郷vs魔女宅のキキ、アンパンマンvsケンシロウなど。まずジャムおじさんを殺りにいったケンシロウの卑怯さが光っていた。あとキキの箒にこめかみをぶっ刺されたデューク東郷の死にざま。すばらしいなあ。しかしインポッシブル2人ともが致命的なセリフ間違いをしました。どないしたんや。
・お引っ越し(@吉田作)
これはまれにみるおバカ。シュール5で初めて「お願いだれかつっこんで!」と思った。プロレスラー(インポッシブル)が住む部屋に呼び出された引越し業者(池田)、運ぶ荷物はパイプいす1つ。でなんでかプロレスはじまる→下の階の住人(押見)が物音に心配してやってくる→問答無用のリングマッチ→隣の住人(家城)が物音に...以下略。ふくれあがるプロレスラーたち。押見さんが変な外人キャラ、女に間違われる関町。最後は家城さんのピンクのベルトをめぐるタイトルマッチになり、同期で遠慮のないかたつむり林がインポッシブルに本気の闘いを挑んで勝ち。家城さん、テンションが上がったかたつむり林にセリフ(とベルト)をとられてアドリブ「ファイヤー!!」絶叫→ノドつぶす。なんて気の毒。
・遠藤はやとの暮らしに役立つバラエティーショー
雪男の側頭部をトングでつかむネタ(ほかに言いようがない)
・Dior(@家城)
椅子の新作を見せる秋冬コレクションショー。モデルは池谷さん・阿部ちゃん・田所さん。家城さんは即興マイクで煽っていくのですが、お引っ越しコントでノド潰しててえらい辛そう。なぜかシャツインの池谷さんは前々コントのおじさんがやってたネタなど。家「悪夢のデジャブです!」期待通りの安定感、彼は裏切らない。阿部ちゃんは出だしから猛烈な攻めのモデル姿勢。家「あるぞ!モデルとしてあるぞ!」あんなにざっくり胸元を開ける必要性はどこにもない。ポカリイスエットからの親子ザル→人類の進化の流れに爆笑しました。田所さんはSっ気全開で、座りそうで座らないプレイ。しかし体型の問題でどうやってもモデルの立ち居振る舞いが決まらない。「‘ちょいとおまえさん’出ました!」これは視覚でみてなんぼだなー。
・カイジ
賭博黙示録カイジのガチ再現コント。5〜8巻のスターサイドホテルにおける鉄骨渡りをなぜか完コピしたかたつむり林・インポッシブル・遠藤はやとの4人。え、なんで!?めちゃくちゃおもろいけど!利根川を演じたかたつむり林の演技力は(正月の田所さんにくらべて)すごかった。あの子はいい役者になると思う。
・合コン(@村上)
最低でした(笑顔)イケイケの林さん・合コンマスター阿部さま・童貞関町と椅子3脚(女子大生・キャンナイに出てる)の合コン。これのせいで終幕開口一番の感想が「最っ低やな!」だった。いやいい意味でね。関町のパイプいす相手のエアーセックスが本ネタ公演の幕切れってどうなの。もう1回見たいです。

こんなもんだったかしら。また思い出したら補足する。

***

あ、そうだここでお知らせとして書いておこう。
今年始めに急に畳んだ本日記ですが、その折に不義理した方々には本当に申し訳ありませんです。
ほかのとこで作ってるフリーペーパーで「お笑いか芸人コラム書いとく?」みたいな話が出て、ちゃんと書くならモロかぶるであろうこの日記は消さなきゃ、という経緯があったのですが、結局「塙にお笑い任すと長い・くどい・マニアック」てことで保留になりました。ちっ賢明な判断だぜ。今は立ち飲みとか純喫茶とか書いとる。

もう日記は書きませんが、残しときたいライブがあれば不定期の備忘録メモとしてふらっと書きにきます。少なくとも直近のバナナマンとカリカは、必ず。

この期間にいろいろ人さまのレポを漁って読んだりして、近しい視点はもちろんメカラウロコの解釈もあって、おおーと思うことしきりでした。なんで今まで探さなかったんだ。そして自分が行けないライブでもレポを通して追体験できることのありがたさ。

2010年02月26日(金)



 僕達は希望の屑だから

本年3回目の東京シュール5、本ネタ公演行ってきました。
この公演は1月のシュール5プロデュース公演のときにお願いしてチケットを確保いただいたもの。いつも本当にありがとうございます!もとはライセンスで知己を得た方なのに、次会うのも5月のシュール5て。しかしほぼ出会い頭で1億分の8のライセンス(ファン)についてぶちあげる。あれはないわ〜

■東京シュール5 本ネタ公演 2010/02/26/Fri_18:30-@全電通ホール

雨の中よっこいしょとキャリーケースで乗り込んだ会場前、貼り紙「本日は囲碁将棋は出ません」。ちょ、おま、あほか!初生いごしょ漫才をどれほど楽しみに新幹線にゆられてきたと...!金曜交互のシチサンMC陣であるライスといごしょが同じライブに出られるわけないんですよ。そんなことは1月の時点でわかってた。だからそのうえで裏技使って出してくれると思ってたんだよ!
まだまだ観客が集まりきらない感じでのんびり開演、幕が上がったら東京シュール5全員がお揃いのチェックシャツでずらっと土下座。歌舞伎の口上のごとく順番に謝っていくんですけど(※いごしょ土壇場の欠席について)、いちばん最初の池谷さんが誠実に謝った時点で許してしまっていた。贔屓だね。しずる池田だったかが「チケットに囲碁将棋の名前を見つけたときは血の気が引きました」っつってて、そらそうだよなと同情したり。しずる村上の「このピンチをチャンスと捉えぇ!!」をはじめ、みなさん声の張りがすごい。特にカリカ家城さんは鬼気迫る表情と声量で噛みまくっておられた。ポイズンの吉田さんも噛んでたなあ。そのたびにフォローで米搗きバッタになるカリカ林さん。しずるの謹慎ネタと、阿部ちゃんプロデュース公演時のアンケート「金返せ」事件の蒸し返しで会場があったまったところで本ネタです。なんて長い謝罪会見。

※MCの関町・池谷によると、お揃いのチェックシャツは東京中のユニクロで関町が選んでかきあつめてきたもの。秋葉原でやっと全員分集まったらしい。まあそういう感じのシャツです。

本ネタ公演なので、まずは各コンビの初卸ネタ。
・POISON GIRL BAND
しりとり。阿部ちゃんはしりとりのルールを無視して言いたいこと=冬季オリンピック関連ワードしか言わない。言いっぱなしの阿部ちゃん→なんとか拾う吉田さん。バンクーバーはまれにみるいい語感。
でも一番笑ったのは本ネタに入るまでの掴みのゲスさ。マクラでだらだら喋る阿部ちゃんのポケットから出てきたのはファッションヘルス「パステル」の回数券。きのう行ったんだそうです。吉田さんに1枚あげようとする阿部ちゃん、なんという自由。注意されても「法律的には何の問題もない」という31歳の正しい主張。ちなみにきのう担当の風俗嬢は35歳だった(そこまで言わんでええ)
・ライス ※単独前なので新ネタにあらず
それいけしろっぺ。白いシーツをかぶってくねくねしている謎の生き物しろっぺ(関町)と、ダメサラリーマンけんたくん(田所)。非常に漫画的な、ドラ●もんと同じ世界観。会社で仕事を邪魔してくる嫌な奴をなんとかしてよ!てなことでしろっぺがポケットから出したのはコルトパイソン。かわりに大好物のブドウ糖をもらうしろっぺ。しろっぺはブドウ糖を注射器で注入して恍惚(ギリギリ)。けんたくんがよろこんで駆け出した先、舞台袖から銃声が。「ありがとうしろっぺ!あいつ動かなくなったよ!」でも風俗通いをバラされた憧れのさちこちゃんの誤解がまだ解けていない!同じくコルトパイソンでうまくいくというのでさちこちゃんのもとに駆け出すけんたくん(しろっぺはまだ何か言っているぞ!)「もう、しょうがないなぁ〜...」と、飛んでる鳥さんをつかまえてむさぼりくらうしろっぺ(完全アウト)。そこにけんたくんが大勢のおまわりさんに追われて駆け込んでくる。使ったあとに指紋をふきとって川に投げ捨てないとダメ、というしろっぺの忠告を最後まで聞かなかったけんたくん。「も〜、凶悪罪・銃刀法違反で15年ブタ箱に入って反省しなさい!」「そんなぁ〜」チャンチャン♪
...オチまで書いちゃった。ライスの根性のわるさと毒は見上げたもんだし大好きですが、彼らはどこに着地するんだろう。瞬間最大風速はもしかしたらカリカすらも上回るのに、構造の奥のやわらかいものがほとんど外に出てこない。構造だけを見せたいのかなあ。
・しずる
ど忘れ。ひさびさに会った旧友ふたりのあまりにも定かでない記憶。うん〜?なんかすごく親切だなあと思った。客に対して。シュール5の公演なのだから、ライスぐらいブラック毒まみれでいいのにな。それがしずるの本領だと思っている。
・犬の心
おもちゃ買って。「おもちゃ買って〜」「誕生日に買ってやるから!」主なセリフはこれ2つ。けんちゃん(池谷)がお父さん(押見)におもちゃをねだりながら舞台の袖から袖へ往復する。往復するたびけんちゃんの暴力性がましていく。池谷さん怖い!ひっぱる→小競り合い→けんか→暴力→マウントポジションときて、最終的にけんちゃんに銃口を向ける窮鼠・お父さん。でもせりふは「おもちゃ買って〜」「誕生日に買ってやるから!」。コミュニケーションとは実はこういうものでしかないのかも、などと思う。舞台袖から銃声1発、そしてもう1発。相討ちになったところでけんちゃんがおとなのおもちゃを欲しがっていたことがあきらかに。「バイブ買ってよ〜!」おいこらおっさん!マジメに考えた数分を返せ。今回は総じて年長組による下ネタが炸裂してた。
・カリカ
進路指導。以前の単独の乙女学園みたいですが、家城さんはわりとふつうに男子生徒。生徒待ちの林先生、たわむれにスーツを裏表にして給食のおばちゃんマンになってみる。そこに家城さん入室「他人に言わない自信はない!!」林「給食のおばちゃんマンに出会ったなう、じゃねえぞ!」時事ネタ。
で家城さんの悩みは進路とモテないことと、うんこが出過ぎること。こちらもさっそく最低の予感です。進路に対する林先生のキレのよすぎるツッコミ「不細工だから無理だよ」家城「差別です!あからさますぎて笑ってしまいました」林「不細工は笑うな!」
モテたいのにモテないのはなぜ?家城「いったい俺に何が足りないっつうんだろうなあ!」林「首から上が足りないんだよ」
で、ここから怒濤のうんこ展開。もう伏せる気にもならない。1日に20回ぐらい出る家城さん(邦衛モノマネ...?)、もしかしてこれから先の人生で出すべき未来のうんこが今すべて前借りで出てしまってるのではないか。家城「Noウォシュレット時代到来!」林先生「科学を冒涜するな!」先生は新しい可能性として世の女性の便秘問題を提起。そういえば保健室の若くてきれいなみどり先生も出ないって悩んでた。先生「世の若い女性のうんこが空間移動をしているんじゃないのか!?お前の肛門を通って出ているうんこはみどり先生のなんじゃないか!?」家城「エロい!」林「先生は興奮してきたぞ!」云々。...なんか書いてて脱力してきたぜ。でもおぼろげながらもセリフがそのまま記憶として残ってしまう、家城さんの稀有な言語センス。やっぱりカリカは別格です。そしてこうして順に並べてみるとわかる、カリカはダントツでシュールじゃない。


あ、そうだ順番は前後しますが、先に書いとこう。
かたつむり林のピンネタがすばらしかった。強盗に入ったコンビニが無人で、流されてしかたなく店員業務をやりきってしまうコンビニ強盗のコント。奇を衒わず基本を外さず、すぐれた演技力の上に成り立つ良質なネタでした。ユニットコントの間に挟まってたせいで、中盤まで「一人芝居」だと気づかなかったほど。かたつむりの破天荒な漫才にかわるものなんてないけど、でも今のかたつむり林には強くて優しい一本の芯を感じた。人は、一人の芸人はあんなふうにも変わりうるんだ。一人になった頃のAgeageをみて不安いっぱいになったことを思い出し、なんだか涙が出るほど感動しました。ネタとしてはまったくシュールじゃないのだが。でもピン芸人のネタであんなに拍手したのは初めて。

長い!もう前後で分ける。椅子にまつわるユニットコントは26日付で。

2010年02月25日(木)



 自分の限界をそこに見るから

なんばグランドキュートン本公演見てきたー。
聖バレンタインの夜、聖地・なんばグランド花月に単身突入。
NGK2階席を含めてほぼ満席だった気がする。男女比は1:1ぐらい。そしてなんだかすさまじい客席の一体感(特にキュートン演舞のとき)。歓声がすごくて、あらびき団流れのキュートンファンって多いんだなと実感する。みんな!せめてアホマイルドを覚えて帰るんだ!
席が中央4列目の通路横だったため(絶好のしんじ乱入スポット)、とても無傷では帰れまいと覚悟を決めていました。なのにしんじは前日リハで足首骨折、ギプスで登場。なんということだ!野獣待ちだったのに!
でもBコース・ハブ先生とどりあんずとふくろとじ(ともうひと組知らない若手)が東京から来てくれましたありがとう。総じて非常にハイレベルだったと思う。延々2時間半、笑い過ぎて疲労困憊。

あらすじ
1)開始5分:キートンさんのふさふさのケツ毛を至近距離で凝視
2)漫才とコントのブリッジネタ:Bコース・ハブ大先生の新ネタ(脳に寄生するキノコに知性を吸い取られ「兄弟舟」がど下ネタになっていってしまう鳥羽一郎)に女客ドン引き
  ※泣くほど笑ってたのは一部の男と私
3)中盤:ただやりたいだけのゲロネタに連続ビンタされたきもち
4)終盤:おりものシート「さらりえ」を額に貼って客全員がビームと叫ぶカオス
  ※メンバーの口で溶かされたキットカットを口うつし&髪や顔面になすりつけられないための護符(入場時に全員にくばられた)
5)大団円:NGKのホールいっぱいにさらりえが舞い、客と芸人がさらりえを投げつけあう醜態
6)そんな殺伐とした舞台の最後にバレンタインチョコを投げ込んだ女性客にときめいた

その他
・ブリッジのショートフィルム:本当にすばらしかった。どれもこれも全部よかった。なかでも「ハトモネア」と「溶接」が強く心に残っています。これは断固見るべき。
・漫才とコントはあんまり覚えてない。あ、キートンさんのエアーデーモン小暮には絶句しました。エアーあややを凌ぐ完コピ。聖飢魔鵺のMCのあたたかさに惚れた。
・ゲロネタ:おいしくいただきました。ふくろとじのパンツを上にあげるハンドパワーは馬鹿でよい。鬼奴のエヴァは「みんなよく待つなあ」と私も思った。くまだまさしは細マッチョを舞台の隅っこで。どりあんず平井は陶酔しながら納豆巻きを食う。最後の一言が余計だった残念!その相方はサーフボードを言葉攻めしながら亀甲縛り、自分で笑っちゃいかんよ。温かい目で見守った。ハブ先生は「熊野古道」で、ひとつ目の妖怪が卵をひとつ産み落として去っていきました。わっと湧く会場。ここで確信する、客席9.5割があらびき族だ(別にいいんですけどね)(敵ではないが仲間でもない)(鳥羽一郎のきのこで笑え!←根に持ってる)
・キュートンルーレットの前に「天国に行きたい」ネタだったのかな?これも非常によかった。こういう抽象的で絵的なネタはアホマイルドさん発信なのだろうか。天国と地獄に振り分けられるまえの笑顔が秀逸。
・キートンさんの蟻の門渡りはどこで見えちゃったんだっけなあ...
・キュートンルーレットの演舞で終わったらきれいだったのに(しんじ動けてないけど)、と途中思いましたが、キュートンニュースの後のさらりえ騒動がクソくだらなすぎてどうでもよくなりました。デコにさらりえ貼ったの初めて。

公演後、会場中に散乱するおりものシートを見た清掃のおばちゃんの顔面がこれ以上ないほどひきつってたので、もう二度とNGKでキュートンを見ることはないでしょう。これはもう聖地NGKに対する冒涜である。陵辱の限りを尽くしてくれたので、私は全然いいと思います。貴重な機会に参加できてよかった。しかしこれを快く思わない大阪人も実はけっこういる(例:センパイKさん夫妻)。NGKは一部「お笑い好き」のためでなく、休日のおじいちゃんおばあちゃんと孫、あるいは地方の団体客のための、普遍的な笑いのハコであるべきとの謂いも一理あります。まだおじいちゃんや孫を笑わせられない若手が上がっていい舞台ではないし、アングラサブカルの有象無象が侵食していい場所でもない。だってわれわれにはルミネやうめだ花月(現・京橋花月)以下があるから。
でもキュートンは、あれはあれで最大の敬意を払ったんじゃないかと思うんですがどうでしょう。

また全然違う話で、なぜ大阪という土地からキュートンが生まれなかったのか?笑いの聖地で私はそのことを残念に思い、悲しいとも思った。今の日本のお笑いのどんづまりは東京なんではないか。だって東京にはどこにも逃げ場がないから。どんづまりは何かを生む。東京への風通しがよすぎる今の大阪では、ああいう芸はもう育ちようがないと思う。東京に行くのがダメなんじゃなくて、東京に行ってソフィスティケイトされて馬鹿が馬鹿でなくなるのが悲しい。私たちはもう諦めることに慣れてしまって、でもいつか帰ってきてくれたらと願ってたりする。万が一ダウンタウンがNGKで漫才やったら、そんときはさらりえ投げてやる。


あ、元気です。

2010年02月14日(日)
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