クリーニング(3)
冬空に舞うため息の結晶は
なだめるようにしんしんとうたう
また新たな気持ちで
溜め込めばいいだけのこと
ただ、それだけのこと
2008年12月24日(水)
クリーニング(2)
冷蔵庫の奥に
ゆるく固めたはずの
想いがひからびている
クローゼットに住む
リボンのかかった空き箱は
もっともらしく時空を収納する
キーボードの隙間に潜むのは
見栄と嫉妬と嘘の屑
猫の毛だらけのステレオの裏側には
ああ大丈夫、何も見当たらない
けれど、それもつかの間
冷凍庫に眠る得体の知れぬ塊に
なんだったっけと首をかしげる
2008年12月22日(月)
交わらない世界の端っこで
仔犬を足元に遊ばせながら
この世の終わりを画策する
どんなに特訓を重ねても
彼に靴は当たらない
君の世界は交わらない
見上げた果てが同じ空を映していても
君の嘆きは届かない、届かない、
怒りなど何の役にも立ちはしない
君に伝えるべきだった
愛を持て、正しく生きよ
ポケットには生卵を
いくつか余分にしのばせておくようにと
2008年12月17日(水)
いれもの
すりむいたひざこぞうから
しゅわしゅわと宇宙が
もれ始め
あれよという間に小さくなって
やがて消えてなくなった
2008年12月05日(金)
彼女について
彼女は身勝手
そのくせ気が弱い
通帳の数字と
今日の占いにしか興味がない
子供が嫌いで大人も嫌いだ
電話には出ない
玄関にももちろん出ない
だから誰も来ない
世界平和を祈るのは
小学校6年生のときにやめた
彼女は彼女自身がかみさまで
ビルから飛び降りても
死なないと思っている
だけど飛行機には乗れない
愛なんて信じていない
でもときどきは切ない
夢を見て泣いたりもする
タバコは吸わない
傷口をかきむしる癖はやめられない
妄想が止まらない、咳も止まらない
最後に親に電話したのは、いつだったろう
2008年12月01日(月)