かけっこ

お行儀のよいコスモスに囲まれて
ひとつだけちょうだい、
と言った少女を想う


空は高く雲ひとつなく
遠くで聞こえる
トランペット吹きの休日


「ドレニシヨウカナ」
もう何ひとつ
天神様のいうとおりにはできなくて


振り切るように駆け出しても
すでに息は、
とぎれとぎれで





2008年10月23日(木)

カット

唯一、
無断で生まれ変わらない
確固たる人生の軌跡は
今、容赦なく切り捨てられ
となりのひとや
あっちのひとのそれと
いっしょくたに集められ
時には、ああ、
だれかに踏みつけられて
あのひとの吐いた息を
手のひらの温度を
降り注ぐ声を、しぐさを
未練がましく
横目でちらりと追ったところで
神の手が止まるはずもなく
残るのはいつだって
奇妙な香りに包まれた
スカスカのこころ
そうしてしまいには
新しい人生を祝福するかのような
無責任な笑顔に
美容室を追い出されるのだ

2008年10月04日(土)
↑ Top