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 お婿にいった四+カカのお話
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  カカシとテン子のど〜でもいいヒトコマ


  a sirial -暗部なテンカカ話-

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  二人の出会い

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  二人の“初めて”または物語の始まり
  ぱすてぃす〜前章
-18禁-
  ぱすてぃす
  びとぅーん・ざ・しーつのその後
  ぱすてぃす〜後朝 -18禁-

  猩々   おまけ -18禁-
  モジモジしている二人の一歩
  マラスキーノ 後日談
 ホワイトデー話

  らすてぃ・ねーる-12話
 ※4 に、テンカカ以外の絡みあり
  任務に出た二人
  カカシの過去を垣間見る

  恋女   後顧   おまけ
  ストーカー被害に合うテンゾウと
  嫉妬な先輩


  九夜十日
  イタチ里抜けのとき

  百年の恵み
  長期任務の小隊長を命じられるテン
  百年の孤独-6話
  初めての遠距離恋愛なテンカカ
  たーにんぐ・ぽいんと-8話
    テンゾウの帰還

   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
 テンゾウは……

 【1部】 だーてぃ・まざー-4話
 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
 【3部】 ぶれいぶ・ぶる7話
 【Epilogue】 そして、恋

  あふろでぃーて-5話 -キリリク話-
 くるみ


  a`la carte
  -暗部なテンカカとヤマカカの間話-

  春霞-4話
  暗部を離れたカカシとテンゾウ
  ちぇい・べっく
 -可愛いお嬢さん-
4話
  ※2,3に、ごく軽くテンゾウ女体変化あり
  久しぶりのカカシとの任務
  聖牛の酒-3話
  波の国任務の少しあと
  てぃままん-3話
  波の国と中忍試験の間

  月読-5話 -キリリク話-
 月読の術に倒れたカカシを心配しつつ、
 イルカ先生の存在が気になるテンゾウ

  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
  惚れ直すテンゾウ
 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
 du chef
-ヤマカカな話-

  再会-Reunion-  第二部





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2018年10月22日(月)
テキーラ・サンライズ 14)


 よくわからない敗北感に打ちのめされそうになりつつ、その夜は帰宅した。

 カカシさんの恋人探し、それはまぁ、いい。いやよくはないが、まぁ、いいとしよう。昔から、あれこれの噂の絶えないひとなのだ、今さらだろう、とも言える。

 相手が下忍だと言ったのは、ガイさんだ。前から噂としては流れてはいたが、確定したのはその発言がきっかけだ。
 だが、裏付けはない。そんな状態で、相手らしき下忍に該当する者がいない、ということになれば、ある程度、騒ぎにはなるだろう。
 そこまでは、百歩譲って、よしとしよう。

 ただ、カカシさんに近づいて情報を得ようとした他里の隠密ではないか、などという話、これはまずい。
 もしそんな噂が広まったら、ほんとうに他里から隠密だか暗部だかが、便乗して乗り込んでくる可能性もある。

 こうなっては、上司である三代目に事情を説明したほうがいい、と決心するまでに半日かかった。
 もっと早くそうすれば良かった。だが、まさかあの悪ふざけが、こんなことになるとは思ってもいなかったのも事実だ。

 里内警備を終えた足で、ボクは火影執務室に向かった。
 叱責はもちろん、謹慎も減俸も覚悟のうえだ。ただ、巻き込んでしまったゲンマさんやガイさんのことだけは、なんとか考慮してもらおう、そう決心して火影執務室の扉をノックした。

「入れ」
 言葉に応じて扉を開くと、三代目がデスクから顔をあげた。
「ああ、やっときおったか」
 笑顔を向けられて、言葉につまる。
「まあ、よい。テンコの正体を公表するつもりかの?」

 とんでもない、とボクは思わず首を振った。

「すみません。こんな騒動になるとは思っていなかったもので」
「今回のことは、そもそもカカシの発案なんじゃよ。事前に打診があった。ちょっと炙り出したい相手があるから、とな」

 ボクは言葉を失った。ゲンマさんは言ったではないか、別動隊が動いていると。
 ボクは暗部が動いていなかったことで、あれはカカシさんの独断だと思い込んでいた。が、そもそもカカシさんが個人的に誰かに何かを頼むことがあったとしても、独断で部隊を動かしたりするはずがない。
 最初があの茶番劇で、いろいろ調子が狂っていたとはいえ、そんなこともわかっていなかったのか、ボクは……暗部失格だ。

「あやつは根っからの忍だからの。不穏な空気には人の何倍も敏感なんじゃが」
 はあ、としか言いようがなかった。最初からカカシさんが関わっていたのなら(ゲンマさんもその可能性は指摘してはいたが)、漏れなくボクのことは織り込み済みだろう。
「テンコが出てくるかもしれない、とは、思っていたようじゃが、さすがにこんな騒ぎになるとは思っておらなんだようじゃの。けっこう人気者なのに己については、かなり鈍感での」
 フォフォと笑われて、ボクは返す言葉もない。

「大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫、とは?」
「いえ、カカシさん、いずれ上忍師になるんですよね。噂が影響したりなんてことは」
「それは問題なかろう。いくら下忍と言っても、そこまでバカでも無責任でもない。今回のことは下忍と中忍の一部で噂になっているに過ぎない。もちろん、火消し役も動いておる。そのうち収束するじゃろう」
 それから三代目は、ちょっと気の毒そうな顔をした。
「ただ、テンゾウには、可哀そうなことになるかもしれない、とは言っておった」
 ダメだ決定打だ……ボクはいますぐ暗部をクビになりたい。

「……根……ですか?」

 ゲンマさんからは一応、否定されていたのでためらいはあったが、思い切って口にした言葉に、三代目は口元を引き結んだ。

「……の、可能性もある。が、別の可能性もある」
 別、ということは……ご意見番、か……。
「いや、両方が別々に動いた、という可能性さえある」

 ……そういうことか。結局、そういうことか、とボクは悟った。

 だったら、その標的はカカシさんではなくて、ボクなのかもしれない。いや、カカシさんとボクの結びつきこそが、ターゲットとなっているのだろう。

 ボクとカカシさんに関して、暗部のなかでも、もちろん面白く思っていない者はいただろう。けれど、それは暗部のなかだけの話で、外には出ない。
 今回、カカシさんとボクの噂が、暗部の外にまで広がったのが問題なのだ。いや、外にまでというよりは、積極的に暗部の外に広めようとした、と言ったほうがいいかもしれない。
 
 ボクたちは“暗部”という、謂わば閉鎖された世界に生きてきた。
 が、カカシさんは、上忍師になるべく暗部を抜けた。
 暗部が楽だとは、もちろんいわない。だが、狭く閉ざされた世界ではある。何事も、その狭い世界のなかで始まり終わる。それが暗部だ。
 だが、カカシさんが暗部を抜けて上忍になったことで、ボクたちの歯車はゆっくりゆっくりずれていっている。

 ボクたちの付き合いという個人の問題にとどまっている分には、まだいい。だが、上忍として公の存在になったカカシさんには、きっと様々な方面からの思惑が絡んできているのだろう。
 そして、ある意味、カカシさんとは立場上切れたボクの立ち位置も、また微妙になってきているのだ。唯一の木遁遣いとして、そして唯一、九尾を制御する能力を持つものとして。

 楽しかったなぁ、と今更ながらに思う。あの日のバカ騒ぎ。
 何が可笑しいのか大笑いして、何が楽しいのか肩を組んで、わいわいと騒いだ。
 もう、あんな時間を持つことはないだろう。
 いや、一度あっただけでも、儲けものかもしれない、と前向きに考えることにした。

「いずれ、落ち着くであろうから、あまり気に病むな」
 まるで慰められるような言葉に、ボクは礼をして立ち去ることしかできなかった。

 妙にシンとした気持ちで、数日を過ごした。
 ルーティンとなっている里内警備を淡々とこなす。暗部のあるべき姿だ。

 噂のその後については気になったが、わざわざ探りに行くことはためらわれた。
 いつものカカシさんにまつわる噂同様、あれこれ尾ひれがついたりしつつ広まるにつれ、どんどん原型から離れていっているようだった。
 噂というのがそういうものなのかもしれない。それに何時もの常で、ある程度、拡散すると不思議なことに次第と収束に向かう。
 新しい情報が出てくるのでなければ、結局は飽きるのだ。噂とはそうしたものだ。だから、三代目も「気に病むな」とおっしゃったのだろう。
 
 この日は夜番だったので、申し送りをして帰宅したのは朝だった。
 人がみな、その日の生活を始める朝……ボクはこれから眠るだけ。
 ドアを開け、ため息をついて。

「お帰り〜」
「えっ!! な」
「お帰りって言われたら、ただいまでショ」
 靴を脱ぐ暇もなく、ボクは抱きしめられた。



2018年10月11日(木)
テキーラ・サンライズ 13)


 カカシさんとボクとの関わりは公になることなく、数日後、ボクの班は1週間の里外任務に出た。
 無事、任務を終え、深夜里に戻り、報告をして帰宅したボクを待っていたのは、ゲンマさんからの伝言だった。 念入りに封印を施されたそれは、戻り次第、某所で落ち合いたいということだった。

 封印が説かれるとゲンマさんがそれを感知できるようになっていたらしい。
 指定された居酒屋は初めて訪れるところで、それもそのはず、開店したばかりの店のようだ。
 特に何も言われなかったので、中忍姿で出かけた。居酒屋は繁盛していた。価格設定も安めで薄利多売をモットーとしているようだ。だからか店の半分ほどを一般の若者と下忍が占めていた。
 それよりなにより、ものすごい喧噪だ。うわんうわんと耳鳴りがしそうなほどで、それはそれで店の勢いになっているのかもしれない。ボクは意識的に、ある程度以上の音量をシャットアウトして、店内を見まわした。

 バーカウンターの端にゲンマさんの背を認め、テーブルの間を縫って行くボクの耳に、いくつかの会話が聞こえてきた。
 ことさらに潜めた、つまりは内緒話をしている忍同士の会話だ。こんな喧噪のなかで声を潜めて会話できるのは忍ぐらいだ。
 それでも中忍以上であれば、もう少しうまくカモフラージュをするだろう、ということは、下忍かまあ、中忍でもあまり力のないものか。
 などと、のんびり観察できたのはほんの短い間のことだった。

「結局、カカシさんの恋人って、いたのいなかったの?」

(え?)と思う間もなく別の声が答える。

「それ、あたしに聞く?」
「だよねえ」
「中忍になってるお姉ちゃんも、わからないって言っていたんだよ」

 今度は、別のテーブルから。

「だから、そんな下忍いないって」
「2期か3期上とかじゃないの?」
「ううん、うち兄貴が4期上のアカデミー生だったけど、そんなの上にも下にもいないって」

(下忍? いない?)
 そしてまた別のテーブルから。

「可愛い、ってのは主観もあるから、判断が難しいところだな」
「でも、少なくとも不細工じゃあないってことだろ? それに下忍の女子って、ホラ、任務の関係もあるから、割とみんな髪長めじゃん」
「だよなあ。身代わりとか潜入とかってなったら。変化するって手もあるけど」
「髪だけ変化して、無駄なチャクラ使ってどうするよ」
「だよなぁ。ベリーショートってなあ」

(ベリーショート?)

「カカシさんに近づこうとした他里の暗部らしい、って説もある」
「それが本当だったら、まずいじゃないか」
「じゃあ、ゲンマさんやガイさんも騙されていたってことなのか?」
「いや、俺の聞いた話ではガイさんはともかく、ゲンマさんは相手の真意を探ろうとしていた、とか」

(……まさか)

「ゲンマさんやガイさんに直接確認したひと、いないの?」
「できるわけないじゃない、上忍に特別上忍だよ」
「わたしらみたいな下忍に教えてくれるわけないじゃない」
「それもそうか……でも気になる」
「気になるよね」「ねえ」

 カウンターにたどり着いたとき、おそらくボクの顔はこわばっていただろう。青ざめてはいなかったとは思う、なんとか。

 よ、というふうに片手をあげたゲンマさんの隣に腰を下ろした。

 6人ほどが座れるカウンターに他に客はなく、なかではバーテンダーらしき男性が忙しそうにしている。
 どうやらこの店はドリンクをすべてこのカウンターで用意するらしく、彼は手を休めることなく生ビールだのサワーだのをグラスに満たす一方で酒の燗をつけ、お湯割りをつくっている。下忍もかくやの獅子奮迅ぶりだが、一般の里民らしい。愛嬌のある笑顔をボクに向けお絞りを差し出し、「なんにしましょう」と元気よく言った。
「あ、じゃあ生ビール」
「はい。生、1丁! いただきましたぁ!」
 後半は店内に向けて大きな声を上げる。
 この店は、注文を受けた者がこうやって復唱するシステムになっているらしい。だから、この喧噪なのだと理解した。静かに飲みたい大人には向かないが、わいわい騒ぎたい若者には、もってこいだろう。そして密談したい忍にも。

 ビアサーバーに霜の付き始めたグラスをセットし、ツーモーションでビールを注いだ彼が、トンとボクの前にグラスを置いた。ほどよい泡加減が、素晴らしい。
「どうぞ、ごゆっくり」
 それきり、次々入ってくるドリンク注文をさばくのに余念がない。

「で、聞いたか?」
「聞きました」
「今や時のひとだな」
 地獄の託宣のごときセリフをのたまって、特別上忍はニッと笑った。
「冗談でも、やめてください」
「もう少し、水面下で噂が広がってくれると思っていたんだが」
「今になって思えばですが、ガイさんが絡んできた時点で、それは」
「無理か」

 ボクたちの間に落ちる沈黙。合間に聞こえる、あれやこれや。
 
「当初の目的である、場をかき乱す、という目的は達成できたのだから、よしとするか。あとはうまくやってくれ」

 ゲンマさんが立ち去ったあと、ボクはビールを飲みながら、あちこちから漏れ聞こえてくる「カカシさんの恋人」という言葉を無意識に追っていた。
「お代わりいかがですか?」
 気が付くとグラスはカラになっており、それにもかかわらずボクの喉はカラカラだった。
「じゃ。もう一杯だけ。それで会計してくれるかな?」
「お代は、同席の方から頂戴しています。あと一杯分は、出してやってくれと」

 ボクの行動を読んでいたのか? 恐るべし、特別上忍。



2018年10月03日(水)
テキーラサンライズ 12)


「やあ、カカシはまだ里の外でな」とガイさんがおおらかに言いながら、なんだかのジュースをストローで吸い上げる。
ボクは、4人掛けのテーブルの、2席空いたひとつに座ったまま、ガイさんとゲンマさんを見比べていた。ちなみにゲンマさんはボクと視線を合わせない。
さすが特別上忍、ボクの描いた図面に唯々諾々と従いたくなかっ……たわけではないのは、ゲンマさんが「すまない」と視線を合わせないまま、ガイさんに聞こえない声で謝ってきたからだ。
アクシデント……か。

そういえば、そもそものきっかけもガイさんだった。何なのだろう、ガイさんが絡むと、何が起きてもおかしくないという気分になる。
だからと言って不快なわけではない。勘違いだったり、おせっかいだったり、時に見当違いだったりはあるものの、直感的になのか、さほどかけ離れた結論を出すことはない。
場合によっては、枝葉末節に囚われていることに気づかせてくれたりする、貴重な人材だ。
とてもシンプルで、だからこそ、とてもやっかい、それがボクのガイさんに対する評価だ。
上忍相手に評価などおこがましいが、一応、接してくる人間すべてに評価を下さないことには、暗部の仕事は務まらない。ある局面である人物が信じるに値するかどうかを決めるのは、普段の人間観察の結果にほかならない。


「そうか、君がカカシの恋人か」
うんうんと頷いている。ボクがテンゾウであることを知らないのか? ゲンマさんを見ると、幾分げんなりした顔で小さく頷く。知っているのか……。
「だがな。二股はいかん」
ガイさん、声が大きいです、カフェ中の客がこちらを見ないようにして、聞き耳を立てています、と言いたいが言えない。
「ゲンマと付き合いたいなら、カカシとキレイに分かれてからにしろ。それが人の道というものだ」
あまりに正論で、反論の余地がない。
「でも、カカシさん里の外だから」
「おおそうか。話す時間がなかったんだな。それは、困ったな」
全然困っていない笑顔で、爽やかに言い放たれた。
「君」
まじめな顔でガイさんに見つめられてしまった。
「君は下忍だそうだが、それだったら、わかるな」
キラリンと白い歯が光る。
「己のやるべきことを、だ」
わけもなくボクは頷いていた。この迫力に逆らえるのは、たぶんカカシさんぐらいのものだ。
「青春だな」と言い放つと、ガイさんは席を立った。ついでに伝票も持って行ってくれた。太っ腹だ。
これで、カカシさんの恋人は女性の下忍で、ゲンマさんに乗り換えようとしているらしい、という噂が形成された。

あまりに安直で、自分が考えた作戦だったにもかかわらず、正直ボクはげんなりしていた。
「まあ、でも。これで当初の目的は果たせたわけだ」
慰めるようなゲンマさんの言葉に、ボクはため息で答えた。
「噂というより、既成事実になってしまいそうな勢いなんですが」
「……確かに」

ガイさん乱入の効果は、すぐに表れた。
翌日、カヤ(本名)からの謝罪があったのだ。

「カカシさんの恋人は、女性の下忍だったそうです。根拠のない噂で隊長にご不快な思いをさせることになりすみませんでした」

ボクは頷きながら、この子は暗部にしては、少々素直過ぎるな、と考えていた。

今回の話も、噂が出所だ。ガイさんの言葉であるから信ぴょう性が高いと考えたのだろうが、あれも言ってみれば茶番だ。
ガイさんが、なぜ自分の班でもない下忍や普段から親しくしているわけでもない特別上忍のプライベートに関わったのか。
そこを疑ってみなければならない。

裏の裏を読め、というのは、そういうことだ。

あの日、ゲンマさんはたまたまガイさんと行き会ってしまったと説明していたが、それとても疑問だ。もちろんゲンマさんも、胡散臭く思っていたようだ。
ガイさんは何らかの動きを感じて、絡んできたのではないだろうか。
何事も見て観ぬふりのできない、実直で気持ちの熱い上忍だ。今回のカカシさんを巡る噂に、あのひとはあのひとなりに何か思うところがあったのかもしれない。

あとになって気づいたのだが、ガイさんはボクのことを一度も名前で呼ばなかった。にもかかわらず、ボクが「下忍」であることは明言した。
結果、カカシさんの恋人は下忍、という噂の信ぴょう性は増したが、その相手が誰であるかは、逆にあいまいなままになった。ただし、女性である、ということは明らかになった。
つまり微妙に浮上していたボクという存在が、きれいにそこからは排除された。

計算したうえでのことなのか、単なる直感なのか、わからない。
けれどガイさんが関わってくれたおかげで、里の噂はすっかり様相を変えてしまった。