カゼノトオリミチ
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おつかいの 帰りに気づく われわれは 雨の輪っかに 包囲されてる
傘の花 揺れて譲って 水滴が 散って咲くのが 思いやりなら
夕暮れの お使いとぼとぼ 水たまり 雨の輪っかが みんなまんまる
ふとみれば 水たまりには 雨の輪が みんなまんまる すぐに消えるね
雨の輪は ただひたすらに いつだれが 行き過ぎたって みんなまんまる
傘の花 駅へと向かう 人波に まるいリボンを つけてみおくる
母は聞いている
赤子が小さく泣いたなら
お腹がすいたのか
おしめを替えるのか
母の耳は休まない
雨降りの明け方にも
母は聞いている
ただいまも言わず
子供がバタンと閉めた
ドアの向こうで泣いてはいないか
夜更けの携帯の
小さな会話が
うふふと
かすかに聞こえたなら
母は安堵し目を閉じて
布団に顔をうめるでしょう
母は聞いている
いつだって
子供が遠く離れても
今日は晴れですか
ご飯は食べていますか
息づかいをきいている
母は聞いている
足音が聞こえる
歩いているのなら
それでいい
雲の向こうの
子らのしあわせねがいつつ
いつまでも
耳をすましている
natu
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