カゼノトオリミチ
もくじ過去未来


2010年06月24日(木) 赤い風船




風に吹かれて
振り返る

悲しくなんてない
ただ
めんどうなだけ

四角いハコのなかで
眠っていたいだけ

そして
ときどき

風に吹かれて
振り返る

そんなことも
あったかなぁ と

ふふ と笑って
また 眠る

夢の中では

糸の切れた
赤い風船につかまって

ふわり ふわり
高いところを 飛んでゆく

ダイスキな 水色の
空の近くへ
気ままに 旅するの

眼がさめれば
またチイサナ
四角い箱のなか







2010年06月23日(水) 銀色のリボン




夕焼けのベランダでは

さやさや 今日の
終わりの風が

そろそろ ビールでも
いかがですか と
ニノウデ くすぐる

今日
カナシイコトバを 拾ったよ

ビール ひと口
タメイキひとつ

ムネいっぱい
苦しくて
ぽろり

紫陽花いろに
涙が にじむ

すると
目じりのはしから
銀色のリボン

するする 伸びて

西へ西へと
流れていった

気づけば 優しい夕闇に
肩を 抱かれて

あたりには

音もなくうす灰色が
降り積もる

夜の闇は
すでにそこまで 忍び寄り

投げやりな
ビールを またひと口

風はいつも 優しいよね




2010年06月18日(金) 風のコトバ




さわと 朝の風が 吹き抜ける

庭の草花は 

風のコトバに耳を傾け

いっせいに さわと揺れる



もうじき雨が

ここまで来る って

紫陽花がポツリ



薄い太陽の光とか

みどりの葉のこすれる音とか

ズボンのすそに

触れたラベンダーの ニオイとか

そんなもの達の 隣に



すうっと寄り添っていたら

なんだかさらりと

暮らしてゆけそうに 思う



風の中で ワンがしきりに

ハナを ヒクヒク

お前にも わかるの

梅雨からの便りを 風に

探しているの






2010年06月08日(火) 雨の庭にて




ろくがつの

いちばん初めの 雨の日


ラベンダーが

湿った風に

ふるふる揺れて

蟻たちの

トンネル掘りも

今日はオヤスミ



チイサナ庭は

うす灰色に包まれて

しめやかな霧雨に

溶けてゆく

跡形もなく



春と夏の谷間に

雨が降る



ホタルブクロは

黙ってうつむき



紫陽花は知らん顔

パレットに

ドレスの色を集めてる

クモの巣の糸は

レースの襟飾り





natu