歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2009年02月27日(金) 声を掛けてもらうのは有難い

早いもので2月も残すところ後2日。2月は逃げると言いますが、あっという間に2月が終わってしまうような気がしてなりません。時間が経つのは早いものですが、思い起こせば、僕にとってこの2月はいろいろなことがあり、結構時間に追われていたような気がします。その理由の一つが4月からのことでした。

「そうさん、4月から新しい仕事をお願いしたい。」

今月初め、地元歯科医師会の上司の先生から言われた言葉です。突然な申し出に僕は戸惑いました。なぜなら、昨年末の時点でこの上司の先生からは4月以降もこれまでの仕事を継続してやるように言われていたからです。僕自身、その心積もりでいただけに今回の突然の申し出に驚いたのです。話が違うじゃないかと。即答を避け、時間をかけて考え、信頼できる友人、知人にも相談しました。その結果、僕は新しい仕事を引き受けることにしました。

4月という時期は年度の始まりということがあり、多くの企業、学校、組織で新しい体制、新しい試みが行われるものです。人事についても新しくなるケースが多いことでしょう。僕が所属する地元歯科医師会では、会長をはじめとした現在の執行部が3月で任期を終え、4月から新しい執行部の体制となります。この新しい執行部の体制ですが、4月からいきなり新しくなるわけではありません。年明けからいろいろと動きがありました。実際に会長選挙が行われ、新しい会長が選ばれた経緯がありました。会長が決まれば後は会長を支えるポスト、人事の割り振りということになるのですが、その中の人事の一つに僕が入りそうなのです。しかも、これまで僕が担当してきた仕事ではなく、新しい仕事が割り振りされることになりました。僕自身、全く初めて分野であり、この分野のことに関しては右も左もわかりません。一体何から手をつけていいものか?皆目検討が付かないのです。このことを訴えると

「前任者の○○先生が詳しく引継ぎをしてくれると思うので連絡を待って欲しい」とのこと。

不安で一杯な反面、僕としては新しい地元歯科医師会の仕事は一つのチャレンジの機会を与えてもらったようにも感じます。これまで行ってきた仕事はそれなりに愛着もありますし、もっと改善するための余地がありましたし、アイデアも持っていました。ただ、自分が気が付かないうちに様々な点でマンネリが出てくる恐れもあるのは事実で、そういった意味で全く新しい分野の仕事というのはマンネリを避ける意味で貴重な機会だと感じます。果たして僕がこの分野の仕事を果たせるのかどうか自信はありません。ただ、ひたすら勉強しながら少しでも新たな仕事に慣れ、地元歯科医師会に貢献できればと考えています。

実は、僕にとってこの4月は地元歯科医師会以外のことでも新たなことを始めることになっています。そのための準備を今いろいろと試行錯誤しながら行っています。自分できちんと務まるのかどうかはわかりませんが、いろいろ周囲から声を掛けてもらうことは非常に有難いことだと感じています。おそらくこれまで以上に忙殺されそうな日々が始まりそうです。しっかりと対応するためにも今から心の準備をしっかりと整えなければならないと感じている、歯医者そうさんです。



2009年02月26日(木) ためしてガッテン“口内炎スピード完治”を見て

時々、僕の日記でも取り上げているこの番組。口や歯のことも時々取り上げているのですが、昨日放映された内容は口内炎についてでした。内容を要約すると次のようなところだったのではないでしょうか。

・口内炎は口の中に傷がつくことがきっかけになるものと原因がよくわからないものがある。
・口内炎には口の中の常在菌と呼ばれる雑菌が関与している。
・口内炎は唾液不足である場合が多いこと。
・口内炎を治すには口の中の雑菌を減らすうがいが効果的であること。
・ビタミン不足による口内炎は全口内炎の10%程度であること。
・治り難い口内炎の中にはガンである場合があるため、専門医に診てもらった方が良い場合がある。

口内炎に関して、これまで“歯医者さんの一服”日記でも取り上げてきましたが、口内炎に関して言えることは口内炎がどうしてできるのか、そのメカニズムはまだよくわかっていないのです。昨日の番組の中でも、ストレスや免疫力の低下により口の中の粘膜に潰瘍ができ、口内炎になるとの説明がありました。

よく、病院に長期入院している患者さん、特に、抗癌剤の治療を受けている人の副作用の一つとして口内炎が挙げられます。これは、抗癌剤の影響により免疫の機能が低下し、口内炎が口の中に多発することによります。免疫と口内炎は密接な関係がある一例です。

ただ、どうしてストレスや免疫力の低下が口の中の潰瘍を作るのか?そのメカニズムはまだ不明なのです。僕が口内炎の原因はまだわかっていないと書く理由がここにあります。
原因がわかっていない以上、原因療法と呼ばれる真の治療法はありません。昨日の番組では、うがいが効果的であることが言われていましたが、これはあくまでも対症療法であることを知っておく必要があります。

対症療法であるが故、口内炎が治るには時間がかかることを理解しておく必要があります。昨日の番組のタイトルは“口内炎スピード完治”でしたが、これには僕は多少の違和感がありました。口内炎の原因がわからない以上、対症療法が中心の今の治療では口内炎の治りには時間がかかることを知っておく必要があると思うのです。

また、口内炎用の軟膏についてですが、昨日の番組では口内炎用の軟膏について塗り方に注意する必要があるとの説明がありましたが、これも対症療法であるが故です。口内炎用の軟膏に頼りすぎると治りが遅くなる傾向になってしまうことは確かにあります。
僕の治療経験では、口内炎で最も気になる症状が痛みであることを考えれば、痛みを取る意味で炎症を抑える目的の口内炎用の軟膏塗布は効果的だと感じています。急性の症状の時には口内炎用の軟膏は非常に有効です。
ただし、急性期を過ぎた口内炎に関してはうがい薬でうがいを励行し続けることがいいとは思います。これは昨日の番組の意見と同意見です。

昨日の番組では口内炎と思っていたらガンである場合があるので注意しないといけないと紹介されていましたが、ガン以外にも口内炎には注意しないといけない場合があります。
例えば、入れ歯を入れている人の場合、入れ歯が合わず入れ歯によって傷がつき、口内炎のようになっているケースがあります。この場合、いくら口内炎用の軟膏やうがいをしても治りません。入れ歯そのものを調整しないと治らないのです。よく高齢者で口の中の口内炎が治らないと言って歯医者を受診される人がいるのですが、実際に診てみると入れ歯が原因であることが多いものです。
また、口内炎の原因の中で特定の雑菌によるものがあります。ウィルスや一種のカビによる口内炎があります。この場合は、うがいをしても通常の口内炎用の軟膏を塗っても効果が少ないのです。専用の軟膏や場合によっては内服薬を服用しないと治らない場合があるので注意が必要でしょう。



2009年02月25日(水) リンクをしたら知らせて欲しい

僕はネット上に“歯医者さんの一服”というサイトを立ち上げ、駄文日記を公開して6年半になります。我ながらここまでよく書いてきたものだと思いますが、何人もの読者の方が存在し、僕の駄文を読んで頂いていることは事実です。実際にアクセス解析ログを見てみればそのことはよくわかります。実に有難いことです。

6年半日記を書き続けていると、時には僕の書いた日記を取り上げ、意見を述べてくださる日記、テキスト、ブログがあります。僕のサイトへリンクを張って下さるため、アクセス解析ログからリンク先がわかります。これら日記、テキスト、ブログの内容は僕の日記に賛同してくれるものもあれば、批判的な内容のもの、更に発展的に議論を展開してくれるものなどがあります。内容の如何に関わらず、リンクをして頂いたことに僕はいつも感謝しています。どんな内容であれ、僕の駄文に反応を示して頂いているわけですから。
かつて、2ちゃんねる系のスレットからリンクされたことがありますが、これは正直言って気持ち良いものではありませんでしたけども・・・。

さて、僕のサイトへのリンクに関して、僕は“歯医者さんの一服”の表紙に下のように宣言しています。


「歯医者さんの一服」はリンクフリーですが、リンク後、お知らせ頂ければ嬉しいです。

これはサイトを立ち上げた今から6年半前に書いたものですが、このことは今も変わりません。どんなサイトであろうと、僕のサイトにリンクをして頂くのは何の制限もありません。全く自由です。

ところで、僕自身、これまで何度も日記にリンクを張ったことがありますが、基本的に自分でルールを決めています。マスコミ系のサイトへリンクを張る場合には、事前に断わりは入れません。日記のネタ元を明らかにする意味でリンクを張っています。最近は、書いてある内容をそのまま引用していますが、その場合でも必ず出典を明らかにする意味でリンクは張ります。
これが個人が管理人であるサイトである場合には、事前にリンクを張っていいか問い合わせをします。いくらリンクフリーであったとしても、親しい友人であったとしてもリンクを張ることを報告します。
どうしてこのようなことをするか?それは自分がリンクを張られたらどうだろうかと考えた結果からです。もし僕がリンクを張られるなら、知らせてもらった方がうれしい。それならば、逆の立場で僕が個人のサイトのリンクを張るなら、報告した方がいいのではないだろうか?そんな思いから僕は個人サイトにリンクを張る場合には必ず断わりをいれるようにしています。

これは全く僕のこだわりであり、他の人に強制するものではありません。僕のサイトにリンクを張っていただくことに関しては、誹謗中傷の内容でないものである限り、いつでも歓迎します。
ただ、その際、リンクを張ったついでにリンクを張ったことを知らせてもらえれば、更に有難く、嬉しく感じます。小心者の歯医者そうさんの本音です。



2009年02月24日(火) 眠るように息を引き取りました

昨日、うちの歯科医院の郵便受けで届いた郵送物を確認していると、僕宛に一通の封書がありました。差出人はSさん。うちの歯科医院に来られているおなじみの患者さんでした。封書の封を開け、手紙を読んでみると、手紙には、Sさんのお母さんについて書かれてありました。

昨年、僕はSさんから相談を受けました。“自宅に母親が寝たきりになっているが、歯の調子が悪い。一度往診に来てもらえないか?”という内容の相談でした。かつてSさんのお母さんもうちの歯科医院に来院していたのですが、ここ数年姿を見かけることがありませんでした。“一体どうしたのだろう?”と思っていたのですが、Sさんによると自宅の庭先で転倒し、大腿骨を骨折。その後、認知症にもなり寝たきりの状態になっていたのだとか。

僕はスタッフの歯科衛生士と一緒にSさんの自宅に往診に出かけました。Sさんのお母さんは日当たりの良い自室で僕たちを待っていてくれました。予想していたよりも元気な姿で出迎えてくれました。

「本当だったら先生の所へ行かないといけないのだけど、こんな体なので出かけられないのですよ。来てくれて助かります。」
本当に認知症なのかと疑いたくなるくらいのきちんとした応対に驚きながらも、早速口の中を見てみると、欠けて鋭く尖っている歯が何本もありました。Sさんのお母さんの訴えは、この尖った歯が舌に触れ、痛いということだったのです。尖っていた歯はどの歯もむし歯が進行したために歯が破折したようでした。本来なら、むし歯を取り除き、場合によっては神経の処置を行いながら、詰め物を詰めたり、被せ歯を被せる。保存できない場合は抜歯しなければいけないケースだったのですが、僕は歯の鋭く尖った部分だけを往診用切削装置で削るだけにしました。

往診しなければいけない患者さんは体力が衰えています。体力のみならず免疫力も気力も衰えている場合が多いもの。通常の歯科治療は肉体的にも精神的にも非常につらいものがあります。本来なら良くないことかもしれませんが、往診での歯科治療は苦痛を伴わず、必要最低限の処置に留めかなければなりません。無理に本来の治療を行ってしまうと、治療により寝たきりの状態が更に悪化するリスクがあるからです。

ある歯科医の先生から聞いた話ですが、某病院の歯科口腔外科医が往診先の寝たきりの患者さんの歯の状態が酷く、何とか歯の状況を改善したく、病院へ搬送し治療を行ったのだとか。その結果、歯の状態は劇的に改善したそうですが、その後間も無くその患者さんは体調不良を訴え、亡くなられたのだそうです。歯科治療と死因との因果関係ははっきりしませんが、歯医者が治療を積極的に進めた直後に亡くなられたのは非常に皮肉です。寝たきり患者さんの歯科治療の難しさを物語っている一例です。

Sさんのお母さんの場合も僕は本人が訴えることを解決する処置以外は行いませんでした。すなわち、歯が欠け鋭く尖っていた部分だけを削り、舌に引っかからないようにすること以外の処置は行わなかったのです。Sさんのお母さんは僕の処置に満足され、頭を下げられました。

「これで何の心配もせず舌を動かすことができます。」

その後、Sさんからはお母さんに関して何の連絡もありませんでしたので、僕はその後順調に過ごされているものとばかり思っていました。ところが、今回届いたSさんからの手紙にはSさんのお母さんがつい先日亡くなられたことが記されていました。

先生には遠いところ、母のために往診に来て頂き有難うございます。あれから母は順調に過ごしていたのですが、昨年末から徐々に体調を崩し、先日、自宅で眠るように息を引き取りました。

人の一生はいろいろな最期があるものです。このようなことを書くと不謹慎かもしれませんが、自宅で眠るように息を引き取る亡くなり方は非常に幸せな亡くなり方のように思います。何も苦しまず、静かに自宅で亡くなられたSさんのお母さん。往診の時のSさんのお母さんの笑顔を思い浮かべながら僕は手を合わせました。合掌



2009年02月23日(月) 鼻炎と歯痛

先日、歯痛を訴えた患者さんが来院されました。何でも数日前から上の奥歯に違和感が生じたのだとか。そのうち徐々に噛むと痛くなるような感じとなり何か歯にむし歯ができたのではないかと疑い、うちの歯科医院を受診したのだとか。

早速、口の中を診てみました。患者さんが訴える奥歯は左上の奥歯だったのですが、特にむし歯は認めず、歯肉が赤くなったり、腫れたり、膿を認めることはありませんでした。極めて健康な歯ならびに歯肉の状態だったのです。歯を叩いていくと第二小臼歯と呼ばれる歯が最も痛がられ、その次に第一大臼歯と呼ばれる歯に違和感があるようでした。口全体を撮影することができるレントゲン写真を撮影しながら、患者さんに問診をしたのですが、その際、僕はあることを確認しました。

「最近、鼻や頬が重たい感じがありませんでしたか?」
「実は、先日来、近くの耳鼻科の先生の診療所で鼻炎の治療を受けています。」

撮影したレントゲン写真を確認しながら、僕は患者さんに伝えました。
「今回の歯痛の原因は歯ではないようですね。」
「えっ!一体どういうことですか?」
「原因はここです。」

僕がレントゲン写真のある部分を指差しました。そこは、左上の奥歯の根っこ付近。正確には上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる場所でした。
人間には解剖学的に頭の部分、脳の下部に空洞があります。大きく分けて4つの空洞があるのですが、これを専門的に副鼻腔と言います。中でも奥歯の根っこの近くにあるのが上顎洞と呼ばれる副鼻腔です。副鼻腔は鼻と交通しているのですが、それ故に鼻に何らかの炎症やばい菌による感染が生じると副鼻腔に波及することがあります。これが副鼻腔炎、いわゆる蓄膿です。鼻詰まりや鼻や頬が重たくなったり、臭い鼻汁が出たりするのが特徴です。通常はこうした症状なのですが、副鼻腔炎の中でも上顎洞炎の場合は、歯に異常を感じるようなことがあります。歯の中でも上顎洞と近接している上の歯の第二小臼歯、第一大臼歯と呼ばれる歯に症状が現れることが多いのですが、患者さんからすれば歯に異常があるように感じることがあるのです。

今回の患者さんはまさにこのケースでした。口全体のレントゲン写真にも左上の上顎洞の部分に若干異常が認められたのです。僕は、患者さんには口の中は全く問題がないこと、歯痛の原因が鼻炎から来ており、蓄膿になっている可能性があることを伝え、処置については耳鼻科主治医に依頼して欲しい。紹介状も書いたので耳鼻科主治医に手渡して欲しいと伝えました。

歯以外が原因で歯痛が起こることはちょくちょくあるものです。患者さんからすれば歯が痛むような感覚なので如何にも歯が原因だと思われることもあるようですが、自己判断することなく、まずはお近くの歯医者を受診して欲しいと思います。



2009年02月20日(金) 早口の自分に悪戦苦闘

先日、知人と出会い話をしておりました。この知人、趣味である楽器を弾いているのですが、時々自分の演奏を録音して聴くことがあるのだとか。どうしてそのようなことをするのか?尋ねると、自分では気がつかない点がいろいろとわかるのだとか。自分では冷静に演奏していたつもりでも、録音を聴き返すと変な力の入れ方やテンポの乱れ、自分の思い込みなどがわかるのだとか。より上手に演奏するためには定期的に自分の演奏を録音して確かめることが大切であることを語っていました。

この知人の語っていたことは僕もよくわかります。自分がこれで良いと思っていた行動、言動が他人から見れば決してそうとは受け取られないことがあるからです。主観と客観の違いは時としてかなりの相違が見られることは、賢明な皆さんであればよくご存知のことでしょう。

最近、僕が気にしていて改善しようとしていることがあります。それは自分が会話のスピードです。かつてお袋が僕に言っていました。

「気が付かないうちに早口になるから注意しないといけないよ!」

当時、お袋が言っていたことはよく理解できませんでした。なぜなら、自分が早口である実感が全くなかったからです。そんなに僕は早口で話をしているのだろうか?
公の場で自分が話している声を録音したり、ビデオ撮影している映像を見てみると、確かにお袋の指摘は正しいものがありました。僕は早口なのです。自分では全く気が付かなかったのですが、録音や映像には僕の話している会話の特徴が何の先入観もなく、客観的に記録されたものを確認すると、確かに僕は早口であることがよくわかりました。

人前で話をする際、NHKのニュースでアナウンサーが読むスピードがちょうど良いと耳にしたことがあります。僕も真似てみると、非常にゆっくりとしたスピードで原稿を読んでいることがわかりました。NHKのアナウンサーの声をそのまま真似て声を出していると、何だかまどろっこしい感じさえするくらいのスピード。原稿が手元にあるなら、NHKのアナウンサーよりもフライングして先に読んでしまうくらいでしょう。如何に自分が早口であるかを思い知らされました。

先日、ある公の場でこのNHKのアナウンサーのニュース音読スピードを意識して話をして見ました。当日はビデオ撮影されていましたので後日確認してみたところ、自分では非常にゆっくり話をしているつもりが、実際にはちょうど良いくらいのスピードで話をしていることがわかりました。
会話のスピードは状況によって変えなければならないとは思います。家族や友人、知人の場合、ある程度早口で話さないと会話のリズムが維持できないかもしれませんが、人前で話をしたり、公の場で話をする際には意識してゆっくり話をしないと自分の言葉が充分に伝わりません。

なるべくゆっくりと話をしなければ・・・とは思っているのですが、これがなかなか難しいですね。長年かかって身についている自分の癖を直すのは大変ですよ。



2009年02月19日(木) むし歯は確実に減少している

昨日、某歯科業界雑誌を見ているとある調査結果が出ていました。その調査とは平成20年度学校保健統計調査速報。これは毎年文部科学省から発表している調査で、毎年学校で行われている定期健康診断の調査結果を元に集計したものです。

この中で僕が注目したのは12歳児のDMF歯数の値でした。DMF歯数とは、平たく言えば、むし歯になった永久歯の本数のことです。12歳児というのは小学校6年生が該当し、乳歯が抜け落ち永久歯と生え代わった時期でもあります。子供における歯の衛生状態を知る指標の一つとされ、世界的にはWHO(世界保健期間)が目標値を定めている値でもあります。
過去の値は以下のようなものでした。ちなみに毎年データは公表されていますが、ここでは5年毎のデータを示します。

平成元年度 4.30
平成5年度 4.09
平成10年度 3.10
平成15年度 2.09

そして、今年度である平成20年度は1.54でした。
過去20年間で小学校6年生の永久歯のむし歯の数がほぼ3分の1に減少したことがおわかりかと思います。

このことは毎年小学校で歯科検診をしていても実感します。永久歯がむし歯であると判定することが少なくなりました。地域や学校間に多少の差はありますが、総じてむし歯は減ってきているように思います。このことは、歯医者をしていても感じます。最近、子供のむし歯で治療をする機会が減ってきました。子供の患者が多い歯科医院でもむし歯の治療で受診するというよりはむし歯予防のために受診するケースが増えていているようです。
うちの歯科医院でも子供の患者を治療する機会が減ってきました。元々、人口が少なく少子高齢化が進んでいる地区ではありますが、それにしても小学校でむし歯の治療勧告を受けて受診するような子供そのものが減ってきています。

子供のむし歯の減少は将来の大人のむし歯の減少にもつながります。大人になるにつれてむし歯の本数は増えていく傾向にあるのですが、子供時代のむし歯が減少すれば、大人になってからのむし歯の数も自ずと減少してきます。

かつて日本ではむし歯の洪水と呼ばれた時代がありました。今のように歯医者が少なかった時代、老若男女むし歯をたくさん持っている人が多く、限られた歯医者になだれ込むように受診していた時代があったのです。それくらいむし歯が多かったのですが、今では小学校6年生で永久歯のむし歯の数が平均で1.5本程度となったのです。
どうしてこのように減少したか?いくつか理由があるとは思いますが、やはり学校での定期検診による効果、そして、歯磨きをはじめとしたむし歯予防の実践が世の中に浸透してきたことが大きいでしょう。この傾向が今後も続くことを望みたいですね。



2009年02月18日(水) 急患は待つのが当たり前では?

「本当に失礼な電話でしたよ!」

発言の主はうちの歯科医院の受付さん。かなり立腹して様子でした。
後で話を聞いてみると、電話をしてきたのはお母さんらしい女性からだったそうで、子供が歯が痛いので診て欲しいとの電話だったのだとか。痛がっているので少しでも早い時間帯に診て欲しいと話していたそうです。
この日は予約が詰まっており、本来なら急患が入る時間的余裕はなかったのですが、歯が痛いということ、そして、少しでも早くという要望に答えようと午後のある時間帯に来て待ってもらうように伝えたのだそうです。すると、電話越しに女性とは別の男性の声で

「そんなんだったらええわ!」
との声が聴こえたのだとか。その声は子供か他の家族かはわからなかったそうですが、女性の方は再度電話をすると言って電話を切ったのだそうです。
電話をかけてきた女性の方には何も思わなかったそうですが、問題は電話の背後から聞こえてきた声。受付さんは、予約患者さんの合間の時間を何とか急患患者の治療のために時間を作ろうと苦労していました。それも少しでも歯の痛みを取るために役に立ちたいという一心からでした。そんな気持ちを踏みにじるかのような“そんなんだったらええわ!”の一声。
受付さんが怒るのも無理はありません。

これまで僕は何度も急患の患者を治療してきました。うちの歯科医院は予約制ですので、患者さんには決まった治療時間に来院してもらい、治療をする態勢を取っています。実際は想定していた治療時間内に治療が終わらないこともあります。治療上の問題や想定外の歯のトラブル、治療予定場所以外の患者さんの訴えもあります。どうしても確保していた時間内で治療を終えることができず、予定が押してしまうことも度々です。そのような中、予約外の患者さんの治療を受けなければなりません。予約外の患者さんには必然的に待ってもらうことにならざるをえません。

僕はこれは仕方の無いことだと思います。僕自身、予約外でいくつもの医療機関を受診したことがありますが、その際、突然押しかけるわけだから何時間待たされても仕方がない。診てもらうだけでも有難いと思います。他の患者さんがたくさんいる中で突然自分が受診してきたわけですから。無理は言えない立場だからです。
また、普段、自分自身が患者さんを待たせることがありますし、待つ理由もよく理解できるだけに、患者の立場になったからには待つことは当然だと感じるわけです。

同じことを全ての急患患者さんに要求するわけではありませんが、急に医療機関を受診する場合、待たされて立腹したり、感情を露わにするのは如何なものかと思います。命に関わるような場合は別として、基本的には急患として医療機関を受診する場合、いつまでも待つ心構えが患者さんには必要ではないかと思うのです。
医療側は決して急患の患者さんをないがしろにしているわけではありませんが、既に何人もの多くの患者さんを待たせているような状況の中で何とか時間を作り、受け入れようとしているのです。長時間待たされ、短時間しか診療をしてくれないことに不平不満を口にする患者さんは少なくありません。患者さんもいろいろと事情があるでしょうが、医療側も必死なのです。そのことをわかって欲しいと思います。



2009年02月17日(火) 時間がかかる教育の効果

個人的なことで恐縮ですが、本日、私は無事43回目の誕生日を迎えました。自分ではまだまだ若いつもりではいるのですが、客観的に考えれば43歳という年齢は立派なオッサン年齢であることは間違いのないところ。これから何年生きるかどうかわかりませんが、少なくとも43歳の1年間は、悔いのないように生きたいものです。

先週末、僕は久しぶりに大学時代の恩師の一人K先生と友人数人と会ってきました。既に大学を卒業して18年が過ぎようとしていますが、今回再会した友人の何人かとK先生とは大学を卒業して以来の再会。お互いに年齢は重ねましたが、同じ釜の飯を食べた仲間だけのことはあります。直ぐに学生時代のあだ名で呼び合いながら話が弾みました。酒を酌み交わしながら、話続けているうちに気が付けば、既に終電車は無い時間帯。それでも、会を行った呑み屋が友人の友達ということで、更に話は続き、お開きになったのは午前3時前。帰宅したのは夜明け前でありました。さすがにこの時の疲れは残り、1日では取れず昨日まで残っていたのは、やはり年のせいでしょう。

そんな楽しい一時を過ごした僕でしたが、改めて強く実感したことがありました。それは、教育の成果が現れるのは時間がかかるということです。久しぶりに集まった友人は皆歯医者でありましたが、母校の大学で講師として学生教育に従事している者もいれば、某病院の歯科口腔外科部長として活躍している者もいました。大規模歯科医院の経営者として辣腕を振るっている者もいれば、僕のように弱小歯科医院の院長として細々と歯医者を続けている者もいます。僕を含め友人たちはそれぞれの道でそれなりに社会貢献しているのです。
かつて僕たちはK先生の指導を受けた学生でした。K先生の歯医者としての実力、指導力は言うに及ばず、人間性に大いに影響を受けた僕たちは今でも恩に感じているが故に、今回のように集まることができたわけです。今ではそれぞれの道で第一線で活躍し、後進の指導に当たるようにもなってきたわけですが、このようになれたのもK先生のおかげだと言えるでしょう。ここに至るまでには18年という時間が経過しようとしています。

人材のことを英語ではhuman resourcesといいますが、直訳すれば人間資源、人間財産です。教育とはまさに世の中の役に立ち、社会に貢献し、後世に伝える人たち、human resourcesを養成することと言えるでしょう。非常に手間がかかり、時間もかかり、金もかかります。けれども、その効果は計り知れないものであり、後日、大きな果実となる可能性がある人材を育てることにつながります。
同級生の友人や僕たちが優れた人材かどうかはわかりませんが、呑み会で話している限り、皆、今の現状を憂い、どうすればもっと明るい未来を作ることができるか悩み、苦しみながらも希望をもって仕事をしている同志であることがわかりました。そんな仲間を持って僕は幸せですし、仲間を育ててくれたK先生の懐の深さ、そしてK先生の教育に改めて感謝したつもりです。

さすがに明け方までの呑み会は体に堪えましたが、またの再開を約束しつつ、それぞれが帰宅しました。快い疲労を覚えながらも明日からの活力を再びK先生と友人から得たような気がした歯医者そうさんでした。



2009年02月16日(月) 支払いは忘れた頃にやって来る

最近、周囲の知人、友人と話をしているといろいろと興味深い製品の話を耳にします。実物を見せてもらうこともあり、実際に見てみると非常に魅力的な物が多々あります。これら製品の価格を尋ねてみると、それほど高いわけではなく直ぐにでも購入できそうな値段です。“僕も買ってみて使ってみようかなぁ”とは思うのですが、今の僕にはそれができません。

その訳は、今の懐具合にあります。特に、問題なのがクレジットカードの支払です。年末、年始、僕はいくつかの買物をしましたが、そのほとんどをクレジットカードを使って買物をしました。ただでさえ出費が多い年末年始、少しでも経済的負担を分散しようとした訳ですが、咽喉もと過ぎれば熱さ忘れるわけでもないのですが、いつの間にかクレジットカードを使ったことが記憶の彼方に飛んでいっていたのです。そんな2月になってからクレジットカード会社からの通知が我が家に届きました。

“○月○日 口座から引き落とされます”

急に過去の記憶が蘇る瞬間です。そうだった!支払がまだだった!僕はクレジットカードの支払はなるべく分割をしない方法で、もし、分割する場合でも少ない回数で支払をする主義です。それ故、支払をしなければならない場合、1回の支払がそれなりの額になるのも事実。今月の場合、年末年始の支払が一気に重なり、かなりの額になっていたのです。どうしよう?今僕にできることは普段の買物を極力控え、出費を抑えることしかありません。本来なら、何か新しい収入があればいいのですが、そんな美味しい話は何もありません。ということは、自ずと自分の出費を抑えることしか選択肢がないことになります。買い控えです。少しでも節約したお金をクレジットカードの支払にまわし、支払の足しにする。足りない分は貯金を切り崩す。まさに懐が冬の時代に突入です・・・。

実際には、いくつかの付き合いがあり、ケチケチするわけにはいかないところがあるのですが、それにしても欲しいものが山のようにあるのに何も買えないのは苦しいものです。最初からわかってはいたのですが、クレジットカードがお金を支払ってくれるわけではありません。単に支払を銀行口座から後で引き落としされるだけ。買ったその場で現金を支払う必要がないだけで、支払が免除されたわけではない。わかってはいたのですが、実際の支払請求がやって来ると、その意味を思い知らされます。特に、クレジットカードの支払が高額になると、その意味が重く感じられる今日この頃。
2月、3月はなるべく大人しくしておきます、ハイ。



2009年02月13日(金) 叱られていた頃が懐かしい

僕は歯医者になってこの4月で18年が経過し、19年目に突入します。おそらくほとんどの方は歯医者になって19年目を迎える僕を見れば決して若い歯医者であるとは思わないでしょう。ある程度の経験を積んだ中堅歯医者と見るのが普通ではないでしょうか。僕自身、毎日が必死で働いてきたつもりですが、気が付けばいつの間にか新人歯医者とは呼ばれなくなり、中堅どころのポジションにいたというのが実感です。

この年齢になり、改めて気が付いたことがあります。それは周囲の誰かが叱ってくれなくなったということです。僕が某歯科大学の学生時代、大学院時代、研修医時代には指導をしてくれる教官いました。その教官は時には優しく、時には厳しく接してくれました。厳しく接した際には雷を落とすようなことも多々ありました。その都度、僕は自分の未熟さを肌で感じ、落ち込んだり、精神的に塞がったこともあったものです。その時の悔しさをばねに必死に食いついていったことは昨日のことのように覚えています。

今はむしろ僕は後輩を指導する立場となりました。これまで僕が経験したように指導をしているわけですが、いつの間にか僕のことを真剣に考えて叱ってくれる存在がいなくなってきたことに気が付きました。
ある意味、これは精神的には気楽です。誰かに叱られないかビクビクしながら仕事をすることはないわけですから、叱られることによる精神的ストレスはほとんどありません。

その一方、心の中では自分を叱咤激励してくれる存在を求めている自分がいるのも事実です。今自分が行っていることが正しいことなのか?間違っているのか?誰も指摘してくれません。全ては自分が行った結果で知ることになります。自分でしたことを自分で判断する。これが今の僕の立場ですが、このモノ言わぬ判定は、一見すれば気楽なように思えますが、実際は大変怖いものです。自分が気が付かない間に判定が下され、評価される。自分の何気ない行動が自分の一生を左右することさえある、この怖さ。
この怖さに比べれば、叱咤激励時のお叱りなんて怖いものに入らない。そのことに気が付いたのはつい最近です。

“叱られているうちが華”ということを何度も耳にしたことがありますが、そのことを強く実感し、懐かしく思う、歯医者そうさんです。」



2009年02月12日(木) 口の中の健診の勧め

先日、うちの歯科医院にある患者さんが来院しました。この患者さんは数年ぶりの来院だったのですが、特に自覚症状もなく、久しぶりに口の中を診て欲しい、定期健診を希望で来院されたのです。

実際に口の中を診てみると、むし歯はなく、歯周病の状態も多少の歯石が付いていることを除けば極めて良好な状態でした。レントゲン写真も撮影しながら、この患者さんの過去のカルテを調べてみると、数年前の前回来院時、ある親知らずを抜歯していたことを思い出しました。

“たしか親知らずの骨の中に埋まっていたよな。抜歯は時間がかかって大変だった。患者さんもよく頑張ってもらったよなあ”なんてことを思いながら、元々親知らずがあった場所も確認しました。まるで何もなかったかのようにきれいに治っていました。レントゲン写真でも確認しましたが、親知らずがあった場所は顎の骨がきれいに再生し、親知らずが埋まっていた痕跡さえ見えなかったくらいでした。
そんな状態をみて僕は安堵するとともに改めてあることを感じました。それは、長期的に経過を診ていくことでいろいろなことが見えてくるということです。

歯の病気は一度かかると患者さん自身で治すことはできません。専門家である歯医者が治療を行ったり、指導をしたりしながらむし歯や歯周病の治療を行っていくものです。抜歯などはその最たる例で、患者さん自身が自分の歯を抜くことはまずは無いことでしょう。
ただ、治療の後はどうかというと、これは患者さんに任されます。せっかくむし歯を治しても患者さんが歯を磨かなければ再びむし歯が起こるリスクは極めて高くなります。歯周病に関しては、きちんと歯磨きを続けないとどんどん進行し、結果的に歯がぐらつき抜けてしまう結果となります。
歯医者の治療は極端に言えばその場限りの治療である側面があります。患者さんの訴えに対して治療を行い、治療が完了すればそれで終了になります。ところが、患者さんの歯や口の中、それ以外の体全体は常に新陳代謝しています。同じように見えていても体の中は常に変化し続けているもの。当然のことながら治療を行った場所も体の新陳代謝の影響を避けることはできません。
患者さんを定期的に診ていくと、過去に歯医者である自分が行なった治療の経過や患者さんの体の変化がよくわかります。変化が体にとって良い方向に変化していれば、歯医者は何もせずに経過を見ていればいいだけ。もし、何か異常があれば状態に応じて適切な治療や指導を施せばいいのです。

このことは患者さんにとってもプラスになるはずです。定期的にかかりつけの歯医者にかかり、自分の口の中を診てもらうことは、自分では自覚できない微妙な体の変化や異常をチェックし、場合によっては治療を受けることができるからです。誰しもいつまでも健康であり続けたいものですが、自分では気を遣っていても自分が気が付かない、気が付き難い場所があるもの。第三者的な存在が必要です。歯や口の中に関しては、まさしくかかりつけ歯医者がそのような第三者的な存在となります。皆さんにおかれましては、是非ともかかりつけの歯医者を一人見つけ、定期的に自分の口の中を見てもらえるようにして欲しいと思います。口の中の健康は結果的に体の健康維持にもつながるものですからね。



2009年02月10日(火) 歯医者ではアクセサリー厳禁!?

昨日、ある患者さんの口全体のレントゲン写真を撮った時のことでした。写し出された画像を見て、僕は思わず言ってしまいました。

「しまった!またやってしまったよ。」

どうしてこのようなことを思わず口にしてしまったか?それは、画像の中にピアスの像が写っていたからです。

口全体のレントゲン写真というのはこのような写真です。




ちなみにこの写真は数年前の僕の写真です。単に歯だけではなく顎から耳の方まで写っています。もし、耳にピアスやイヤリングをつけていると必ず画像に写ります。金属製のピアスやイヤリングはX線を通さないため、白く写るのです。
しかも、このレントゲン写真画像は、ある理由のため耳付近だけでなく、歯の一部にもピアスやイヤリングの画像が写る仕組みになっています。耳付近であればまだしも、肝心の口の中にこれら画像が写ると読影の障害になります。きちんとした診断をすることができない可能性が出てくるのです。

ピアスやイヤリング以外にレントゲン写真撮影の失敗でよくあるのは、入れ歯です。口全体の写真を撮る際、入れ歯をはずしてから撮らないといけない場合が多いのですが、患者さんに入れ歯をはずすことを指示することを忘れ、入れ歯の画像が写し出された画像を見てから失敗に気が付くことがあります。そのような場合、取り直しをするのですが、いくらレントゲンの照射線量が体に与える影響が少ないとはいえ、レントゲン写真を取り直しするのはあまり気持ちの良いものではありません。

歯医者で口全体のレントゲン写真を撮影する際、必ずピアスやイヤリング、それから、首につけているネックレスといったアクセサリー類ははずしてもらうか、はずしたまま歯医者に出かけて欲しいと思います。今日の日記のタイトルのような“厳禁”というわけではないのですが、レントゲン写真検査の際、これらを着用していると障害となるからです。



2009年02月09日(月) 白衣姿に萌える方へ

週明け早々からこんな話は如何かとは思うのですが、何卒ご容赦のほどを。

昨日、某テレビ番組を見ていると、白衣姿の歯科衛生士を見て思わず感じてしまう、萌えてしまうという意見を耳にしました。冬になると歯科衛生士は白衣の上から紺色のカーディガンを羽織ることが多いのですが、この姿に萌えるとか、マスクの下の素顔が見たい等等、妄想の塊のような意見が続出しておりました。

どうしてこのように感じることがあるのだろう?愚考するに、患者さんの立場として、特に男性患者であれば、白衣姿の助手や歯科衛生士、看護師は非日常です。最近は、男性看護師も目にすることがありますが、看護師も大半が女性。助手や歯科衛生士となるとほとんどが女性です。このような職場というのは周囲を見渡すと限られているはずです。

しかも、女性らしいカラフルなファッションではない、白衣という白色だけの単色ファッション。白の色というと何ものにも汚れていない純粋なイメージを想像しがちなのは僕だけでしょうか?世の中、いろいろなストレス、雑念、汚れの多いことが多いだけに、白色のユニフォーム姿の、中でも妙齢の女性が接してくれる場所というのは、癒されるように感じる患者さんは少なくないはずです。

また、白衣の天使と言われるように患者さんに優しく接する態度も大いに関係あることでしょう。中には厳しく接する人もいますが、いずれにしても患者さんのことを考えての行為であることは間違いありません。患者さんの健康を守るという崇高な使命を帯びての日頃の仕事ぶり。

といったこと等が妄想を抱く理由なのかもしれません。

僕のようにもう20年近く白衣姿で仕事をし、周囲のスタッフが白衣姿であることを見慣れているものからすれば何も感じないのですが、多くの患者さんにとって白衣姿の女性は非日常であるはず。それ故に、患者さん中には思わず萌えてしまう人もいるのでしょう。
ただ、萌えているだけであれば許されるのですが、中には非常に勘違いしてしまう野郎がいるのは困りものです。何か呑み屋のホステスのように口説こうとしたり、住所や携帯電話、メールアドレスを尋ねたり、中には待ち伏せしたり、ストーカー行為のような犯罪行為をしてしまうような輩もいます。
患者さんのことを思い接している白衣の天使たちですが、あくまでも医療現場の話です。彼女たちにもプライベートがあります。どうか彼女たちのプライベートは守ってあげて欲しいと思います。いくら妄想してもらってもいいとは思いますが、どうか迷惑行為だけは控えて欲しいです。常に気持ちよく患者さんと接するためには、彼女たちのプライベートは非常に大切なものです。精神的にも肉体的にもリフレッシュするために必要不可欠な時間です。どうかそのまま見守ってあげて下さい。



2009年02月06日(金) 炎上と名誉毀損

昨日、見ていたインターネットのニュースの中にこのようなものがありました。以下、この記事からの引用です。

2月5日 読売新聞
著名人などのブログに悪意の書き込みが集中して閉鎖に追い込まれたりする問題で、警視庁は、男性タレント(37)のブログを攻撃した17〜45歳の男女18人について、名誉棄損容疑で刑事責任を追及することを決めた。
「殺人犯」などと事実無根の書き込みが繰り返されたという。警察庁によると、「炎上」と呼ばれる現象を引き起こす集団攻撃の一斉摘発は初めて。匿名を背景にエスカレートするネット世界の“暴力”に歯止めをかける狙いがある。
 警視庁関係者によると、18人は大阪府高槻市の国立大職員の男(45)、千葉県松戸市の男(35)、札幌市の女子高校生(17)ら。すでに自宅などを捜索してパソコンや携帯電話のデータを押収、近く同容疑で書類送検する。
 被害に遭ったのは、テレビのお笑い番組などで活躍していた男性で、18人は昨年1〜4月、男性が開設したブログ上で、少年4人が殺人罪などで実刑判決を受けた東京・足立区の女子高生コンクリート詰め殺人(1989年)に、男性が関与したといういわれなき中傷をした疑い。「人殺しが何で芸人やるんだ」「死ね、犯人のくせに」「てめえは何をしたと思ってるんだ」――などの書き込みが、この短期間に数百件に上ったという。
 きっかけは約10年前、所属芸能事務所が「足立区出身の元不良」とのうたい文句で男性を売り出したこと。その後、インターネットの掲示板に、男性を犯人扱いする書き込みが始まった。所属事務所は2002年、ホームページ上で「事件とは全く無関係」と告知したが、効果はなかった。
 男性のブログは中傷を消しても消しても、後から書き込まれる状態が続き、昨年4月、男性はブログを書き込み禁止にするとともに、「タレントとしての名誉が著しく傷つき、芸能活動に重大な支障が生じた」として、中野署に被害届を提出した。
 警視庁で通信記録を調べたところ、数十人が書き込みをしており、その中から執拗に悪質な書き込みを繰り返していた18人を特定した。
 ネット上での中傷被害は年々増加しており、警察庁によると、全国の警察への被害相談件数は07年、過去最高の8871件。08年も上半期だけで5482件に上っている。


何年も日記を書き続けているといろいろなことを経験するものですが、かつて僕も書いた日記の内容について言われのない誹謗、中傷を受けたことがあります。僕が書いた日記をきちんと読めばいいものを、表面的な部分だけを読んで変に誤解し、しかも、“歯医者さんの一服”とは全く関係の無い、某掲示板で勝手に書き込まれたのです。
この書き込みの書き手は全てが匿名で表面上は誰が書いたかわからないようになっていました。よくもこんな酷いことを書くものだと、僕はショックを受けると共に非常な怒りを感じたものです。

そんな僕の経験よりも更に酷いネット上の炎上。多くのサイトで炎上が繰り返されてきたわけですが、僕は炎上を見る度、何らかの規制が必要だろうと感じてきました。
インターネットには表現の自由は認められるべきだと思いますが、自由であるが故にそれなりの不文律もあるはずです。自由に自分の意思を書くなら、最低限の礼儀、ネチケットが必要なはず。それを全く無視し、しかも、勝手な思い込みで酷い言葉で誹謗、中傷を繰り返す言葉の暴力に対して、法的な規制しか手がないのではないかと感じてきました。

今回のニュースは、これら誹謗、中傷を繰り返す輩を名誉毀損で責任追及するという意味で画期的なことだと思います。顔が見えないからと言って、好き勝手に人様の誹謗、中傷を繰り返す輩は厳しく法的に対処しないとわからないように思えてなりません。
インターネット上では誰が誰だかわからないと思い込んでいる人も未だに多いようですが、今や誰が書き込んだかは特定することができる時代です。何を書いても誰が書いたかわからない時代ではないのです。
また、インターネットでは必ず記録が残ります。いくら消したつもりでもインターネット上には記録が残るのです。記録が残れば証拠になります。誹謗、中傷を繰り返す輩はこのことを知っているのでしょうか?知らないまま繰り返しているのであれば愚かとしか言いようがありません。

世の中、厳しく対処しないとわからない輩がいるものです。非常に悲しいことですが、これは事実です。インターネット上で誹謗、中傷を繰り返す輩はこの手の人間がほとんどでしょう。言論の自由は守らないといけませんが、今回のように度を越した誹謗中朝を繰り返す輩には警察権力が取り締まり、厳しく処するしか手がないように思います。誰もが快適で楽しく、有意義なインターネットを利用するためにも、誹謗、中傷を繰り返す無法者には厳しい態度で接する必要があるでしょう。



2009年02月05日(木) 婚活中の人へのエール

昨日、某新聞の読者投稿欄を読んでいると、ある歯医者の先生の投稿がありました。歯医者が書いていた投稿ということで、目に留まり思わず読んでしまいました。
書かれていた内容は、自分の見合いについてでした。当初、大学病院に勤務していたこの先生は、ある時期、新しい部門に異動になったのだとか。慣れない部門で非常に忙しい時期に家族に勧められ、お見合いをしたのだとか。当初は、直ぐに決まってしまうのではないかと恐れさえ抱いていたそうだったのですが、断われたり、断わったりしているうちに見合いの数を重ねていったのだとか。気が付けば10回以上見合いをしているうちに、今の奥さんと出会い。ゴールインしたのだそうです。

今の時代、婚活という言葉が流行しているが、自分の経験からしても結婚というのはなかなか大変なことだったと実感しているそうで、現在の多くの男女がなかなか生涯の伴侶となる人を見つけられず、苦労をしている気持ちがよくわかる。婚活中の方の健闘を祈るとの内容でした。

実は、僕もこの先生と境遇が似ています。今の嫁さんと出会ったのは見合いでした。この先生のように10回以上はしませんでしたが、仕事の岐路の時期に見合いを行っていたこと、そして、複数回の見合いの後、今の嫁さんと出会い、結婚に至ったことなどは僕の場合と大差ありません。

どんな仕事でも同じだとは思いますが、20歳代後半というのは仕事を覚え、集中したい時期でもあります。仕事にのめりこむが余り、意外と異性との出会いって多くないと思うのです。昨今、婚活なる言葉が流行っていますが、その理由の一つに男性、女性ともお互いに仕事が忙しく、出会いの機会が少ないのは事実でしょう。僕もそうでした。睡眠時間を惜しんでの仕事の日々が続いていた時期でしたから、女性と出会う機会には恵まれなかったものです。

それ故に、周囲が持ってきてくれた見合い話というは有難く感じたものです。釣書を書いて、スナップ写真を交換して、お互いの両親と共に同席して出会うという堅苦しさはありますが、限られた時間の中での人生の伴侶を探すという意味での出会う機会として、見合いというのはそれなりに優れたシステムであろうと思います。

そうはいっても、見合いであろうと恋愛であろうと決めては縁でしょう。自分がこの人は!と思う人と出会うにはコツなんてものはありません。ハウツーなんて方法はありません。神のみぞ知る世界、それが縁です。ただ、出会いがなければ縁もないわけで、そういった意味ではある程度異性との出会いを重ねないと縁はないということは言えるでしょう。

いずれにせよ、僕もこの新聞に書かれた歯医者の先生と同じで、現在、婚活中の人には良き人生の伴侶に巡り合われることを願って止みません。



2009年02月04日(水) 1番を取り続ける難しさ

最初に書く話は、お前の自慢話は読みたくない!”と言われそうですが、少しばかり我慢をして読んでください。

今の僕からすれば考えられないことですが、僕は小学校のある時期成績が良かった時期がありました。学校の試験点数では100点満点が当たり前で、一つでも間違えるようなら非常に悔しくてたまらなかったことがあったのです。周囲の友達からは“すごいなあ!”と言われていたこともあるくらいです。
そんな中、周囲の友達の一人が先生から褒められたことがありました。

「○○君は今回の試験で80点取ることができた。前回の試験から30点以上も点数が上がったんだ!」

この先生の褒め言葉に対して、僕は素直に喜べませんでした。なぜなら、これよりも良い点数を取り続ける方がずっと難しいことを先生はわかっていないのか?と感じたからです。
今から思えば、若気の至りとも言えることです。この先生は全ての生徒のことを見ていて、皆の良いところを褒めることにより、勉強に対するモチベーションを上げることに苦心されていたのですから。今となっては僕もそのことはよくわかります。

ただ、テストの点数に関しては今も思いは変わっていません。40点から70点、80点を取るのは意外と易しいもの。ちょっとしたコツと努力をすれば誰でも達成が可能なのです。ところが、80点から90点、そして100点を取るのは難しい。更にこの点数を維持するのはもっと難しい。
小学校以降、僕は落ちこぼれてしまいますが、テストを高点数維持していくことの難しさは大変難しいことは今も思いは変わりません。

今思うに、高いレベルの仕事をし続ける、維持することもこのテストの高点数維持と同じ難しさがあるはずです。
わかりやすいのがスポーツの世界。例えば、アメリカ大リーグで活躍しているイチロー選手は毎年好成績を残し続けています。側から見ていると当たり前のように活躍しているように思います。けれども、実際は人の見えない所で大変な努力をし続けているのです。常に人には理解できないプレッシャーと戦いながらです。その苦労は決して本人以外にはわからないでしょう。

大相撲の世界も同様です。大相撲の世界も成績によって階級にわかれており、十両以上の関取に上がるのは大変です。更に十両以上、幕内から小結、関脇、大関、さらに横綱になるには非常に大きな壁があり、横綱になることができる力士はほんの一握りです。更に横綱には勝ち続けなければならない、常に優勝争いに加わらなければならない立場でもあります。勝ち越しだけではだめ。長期休場、長期離脱するようでは引退しなければいけないのです。横綱のような頂点を極めている力士は日々大変な精神的圧力を受けながら、日々鍛錬に励んでいるのです。

高いレベルの仕事をし続ける難しさというのは医療の世界でも同じです。歯医者では一定の知識、技術、経験があれば患者さんの訴えの8割程度は対処できるようになるものです。ところが、残り2割の訴えに対しては大きな山があります。僕自身、そのような症例がありますが、いつも四苦八苦しています。時には誰かの助けを借りたり、専門家の相談を仰ぎながら対処したりするものですが、完璧な治療をするにはまだまだです。
更に、レベルの高い、医療業界でもトップクラスと呼ばれている治療を行っている人は更なる努力をし続けていることが容易に想像つきます。

何事も高い質の仕事をしている人は、人には言えない努力を積み重ねているものだと思いますよ。



2009年02月03日(火) 息切れしそうな借入金返済

昨日、僕宛に一通の葉書が届きました。表に親展と書かれた葉書は差出人が某金融公庫。案内が内側に書いてあり、紙と紙の間をはがして開封するタイプのものでした。中身を確認すると、そこには“融資金額残高等についてのご案内”というタイトルと昨年末時点の実際の融資資金額と融資残高が書いてあったのです。

融資残高を見て、思わずため息をついた歯医者そうさん。実際の金額をここに書くことはできませんが、完全に返済するにはまだまだ年月がかかる現実を改めてしりました。
この後、嫁さんにもこの葉書を見せたのですが、嫁さん曰く

「結婚前は歯医者って儲かる仕事だとばかり思っていたけど、実際は全然そうではないのね。一見すると派手に金を稼いでいるようだけど、内実はそうじゃないね。入ってきたお金のほとんどが経費や借入金の返済にまわるのだから。開業医は大変よ。」

設備投資というもの、一度投資を行えばそれで終わりかと言うとそうではありません。定期的な管理が必須ですし、時間が経過すれば新規に設備を替えることも必要です。
歯医者も同じです。毎日、患者さんの診療に使用している器具、器械は基本的に消耗品です。日頃、管理を行っていても、どこかでガタが来る時があるもの。思い切った設備投資が必要な時期があるものです。

うちの歯科医院では数年前からある装置と診療台をリニューアルしたのですが、これらを購入する資金を自前では持っていませんでした。そのため、某金融機関から借入したのですが、その返済が続いているのです。まだ何とか返済し続けているだけましかもしれませんが、長期間にわたっての返済というのは、何だか息切れしそうな感覚に襲われます。かと言って、遊んでいては借金は減りません。
本来仕事は、患者さんの健康を守る崇高な使命のもと、行わなければいけないもののはずですが、現実は厳しい経営状態がどうしても脳裏にちらつきます。

さあ、今日も働かないといけません。頑張りましょう



2009年02月02日(月) 住所に字(あざ)があってもいいじゃない?

様々な企業、会社、公共機関、学校などでは専用の封筒を作っていると思います。多くの書類を郵送する際、差出人を書く手間を省いたり、宣伝を兼ねたりする等の意味で、封筒の表に組織名と住所、電話番号、メールアドレスやホームページのURLなどが印刷されているものです。

うちの歯科医院でも専用の封筒を用意していたのですが、先日、この封筒の残りがわずかになってきたことがわかりました。従来、うちの歯科医院で使用していた封筒は院長名が親父の名前が書いていました。前回、専用封筒を作ったのが僕が親父と院長交代する前だったせいでしたが、この封筒を使い切るのに数年かかったわけです。そこで、現状に合わせて封筒の院長名を僕の名前に変更することにしたのです。現状に合わせるようにしたわけです。
封筒のレイアウトそのものは何も変更せず、院長名を変えて新しく印刷しなおす。僕は嫁さんにいつもお願いしている印刷業者に発注するよう伝えました。

数日前、その印刷業者から校正が届きました。院長名は僕の名前に完全に変更になっていました。これは問題なし。さあ、それでは早速印刷をお願いしようかと思った瞬間、僕はあることに気がつきました。それは住所の一部が微妙に違っていたからです。微妙に違っていた点は何かといえば、印字されていた住所に“字”が抜けていたからです。これまで使用していた封筒には“字”が付いていたのですが、それが今回新たに注文した封筒の住所には抜け落ちている。嫁さんに確認すると

「字は抜いたのよ」
とのこと。
「どうして?」
と僕が尋ねると
「だって、“字”が付く住所って田舎くさいじゃないの。前からうちの歯科医院の封筒の住所に“字”が付くのは気が向かなかったのよ。今回、封筒を新しく印刷しなおすって言うから、院長名を変えるだけじゃなく住所から“字”を抜いた原稿にしたのよ。何か文句ある?」

どうも嫁さんは“字”という住所に対して良い印象を持っていなかったようです。僕はといえば、“字”という住所に対しては何らこだわりを持っていません。確かに“字”という住所は都会にはなく、田舎に多い住所ではありますが、それはそれでほのぼのとした感じがしていいじゃないかと思っていたぐらいです。友人からはうちの診療所の住所を見て、田舎だと言われたことは何度もありますが、僕は全く気にならず、聞き流しているくらいでした。ところが、嫁さんはどうもこの“字”という住所が気になって仕方がなかったようです。

いろいろと話した挙句、出した結論は・・・・うちの歯科医院専用封筒の住所には“字”を抜くことになりました。嫁さんの意見に押された形ですね。僕は“字”がある方が正確な住所を記すことになるのでいいのではないかと言ったのですが、嫁さんの意見に一歩弾いた形です。

現在、うちの歯科医院専用封筒は印刷中で、今週にも届く予定です。住所欄には“字”が無い住所が載る予定です。新しい封筒がどんな封筒になるか?出来上がりが楽しみですが、住所には“字”があってもよかったんじゃないかと少しばかり心残りの、歯医者そうさんでした。


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