歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2007年08月31日(金) 0歳児の指しゃぶり

昨日、何とか治療ができるくらい体調を戻すことができました。まだまだ本調子ではありませんが、何とか少しでも体調を元に戻すよう心がけたいと思います。
さて、昨日いつものようにインターネット上でニュースを見ていると、このようなニュースが流れていました。

山梨県甲府市の某保育園の50代の女性保育士が、指しゃぶりをやめさせようと0歳の男児の指にからしを塗り、山梨県が「不適切」と同園に改善を求める行政指導をしていたそうなのです。同園などによると、保育士は昨年秋ごろ、0歳の男児の家族から「指しゃぶりがひどい」と言われ、独断で行ったようで、「男児は肌が弱く、指しゃぶりをすると荒れるので、矯正しようと思った。昔やったことがあり、効果があると思った」と話しているとのこと。

この女性保育士は良かれと思ってやったことでしょうが、歯医者として言わせてもらえば、0歳における指しゃぶりは何ら問題がありません。
どうして指しゃぶりが起こるかということになると諸説ありますが、概ね自分の精神状態を落ち着けるために行っている行為であることが定説となりつつあります。

僕の手元にある専門書によれば、1歳6ヶ月の子供のうち指しゃぶりの習慣のある子供が占める割合は19.2%、3歳児になると10.0%、3歳半になると7.8%と変化してきます。ということは、大半の子供たちは3歳くらいまでに指しゃぶりの習慣がなくなっているということになります。
今回の報道のように0歳男児で指しゃぶりがあったとしても、そのまま放置していても指しゃぶりが続くようなことは限られているということが言えるでしょう。

このことを知っておけば、0歳の指しゃぶりに対し、気長に構えていればよく、指にからしを塗るようなことをせずに済んだはずですが、女性保育士も子供の親も指しゃぶりのことについて理解していなかったようです。歯医者として残念でなりません。

かつては指しゃぶりを止めさせるために指しゃぶりをする指にからしを塗ることが行われていたものですが、最近の研究では、この行為は帰って精神的な傷を子供に残すだけだということがわかってきました。

指しゃぶりというとどうしても歯並びや顎の発達に悪影響を与えるのではないかと心配するむきもあるかもしれませんが、少なくとも乳歯が全て完全に生えてくる3歳〜4歳までは指しゃぶりの影響は受けないものです。4歳以降、指しゃぶりがある場合は歯並びや顎の発達に悪影響が出てきますから、この場合は指しゃぶりを止めさせる必要があります。

4歳以降も指しゃぶりを続けるような子供に対しては、指しゃぶりをしている時に決して怒らず、“指しゃぶりをしてはいけないよ”と優しく諭すことを繰り返すこと、そして、指しゃぶりを忘れさせるような遊びをさせたり、親が積極的に愛情を持って話しかけることが大切だとされています。決して強引に、無理やり止めさせるのではなく、本人に自覚させながら、精神的な安心感を与えながら、気長に時間をかけて止めさせることが大切なのです。4歳以降の子供であれば、親の言うことは一通り理解できる年齢でもあります。親がこれまで以上に子供に愛情をもって接すること。子育てをする親にとっては負担になるかもしれませんが、根気強く子供に優しく訴え続けることにより指しゃぶりを止めさせることは可能なのです。



2007年08月30日(木) ダウンしていました

昨日が休診で助かりました。
今週明けから体に倦怠感をおぼえていたのですが、倦怠感がひどくなり、体温調整が効かないような感じになってきたのです。一昨日には咽喉が痛くなり、“これはやばい!”と思っていたら、昨日はとうとうふらふら。幸いといっては何ですが、昨日は診療もなく、雑用も見当たらなかったことから一日中、寝ておりました。

昨日は下のチビの6歳の誕生日(ペ・ヨンジュンの誕生日でもあるそうですね)だったので、夕食の時には下のチビのお祝いだけは参加はできたのですが、それ以降は再び寝室へ。

今朝起きてみると、体調はかなり回復しておりまして、何とか仕事はできそうです。これまでよくわかっていたつもりでしたが、改めて健康の大切さをひしひしと感じた次第です。

日記に関してですが、明日の日記は休むかもしれません。今日の日記も体調不良のためにここまで書くのが精一杯でしたから。そうなった時には、悪しからずご容赦のほどを。



2007年08月29日(水) なぜ歯医者の麻酔は効かないのか?

今から10数年前、僕が某病院で研修医だった頃の話です。僕は歯科口腔外科の研修医だったのですが、研修期間のうち数ヶ月の間、歯科口腔外科を離れ、麻酔科で研修を受けていました。麻酔の指導医の指導のもと、全身麻酔をかけ、手術中の術中管理の実習を受けていました。この研修は、単に手術室で患者さんに麻酔をかけるだけでなく、手術前日に患者さんを訪ね、患者さんの問診をしなければなりませんでした。
翌日手術を控えた、ある50歳代の患者さんの部屋を訪ねた時のことです。僕は患者さんに問診を行っていましたが、その患者さんはこんなことを言われたのです。

「先生、私は麻酔が効かないと思いますよ。なぜなら、今まで歯医者で治療を受けた時、麻酔が効かなくて大変だったものですから。」

この患者さん、全身麻酔をかける直前にも同じことを言われたのですが、実際のところどうだったかといいますと、点滴による麻酔導入薬を注入した途端、深い眠りに入られました。手術前の患者さんの言われていたこととは全く正反対、見事に麻酔は奏功し、全身麻酔下での手術が行われました。

この患者さんに限りませんが、“歯医者で麻酔が効かない“と言われる方が少なからずいます。中には自分は麻酔が効かない特殊体質であるということを誇りに思っているような節さえあるようなところがある人もいるくらいですが、果たして、歯医者で麻酔が効かないということは本当なのでしょうか?

結論からいいますと、麻酔は必ず効くものなのです。効くからこそ麻酔は薬として広く世界中の国々で認証され、手術に不可欠なものなのです。それでは、患者さんが“麻酔が効かない”と言うことはいったい何なのでしょう?

このことを考える場合、歯医者における麻酔を考える必要があります。
全身麻酔の場合、薬は点滴から血液に入り、全身にくまなく行き渡ります。当然のことながら、脳の中にも行き渡り、記憶がなくなって眠りに入るわけです。血液を介しているわけですから、薬はロスもなく、脳の中に作用します。
一方、歯医者で用いる麻酔は、基本的に浸透させるものです。目的とする歯の近くの歯肉に麻酔の注射をしますが、注射液は血液に入るわけではなく、歯肉の下にある骨に作用させます。この注射液が骨を浸透し、歯に作用することにより麻酔が効くわけです。ということは、注射をした注射液の全てが目的とする歯に作用するわけではなく、ロスが生じるということなのです。
例えるなら、植木鉢に水をやる際、如雨露を使用して水をやるようなものです。植木鉢には水はかかりますが、植木鉢のみならず植木鉢の外側にも如雨露の水がかかってしまうようなのが、歯医者の麻酔といったところでしょうか?わかりにくい例えかもしれませんが・・・。

話を元に戻しまして、愚考するに、患者さんが“麻酔が効かない“と訴えていることは、本当に麻酔が効かないのではなく、麻酔が効きにくいということなのだろうと思います。
僕の臨床経験において、いや他の多くの歯医者も異口同音に言うのですが、歯医者で使用する麻酔は効きにくい状態、部位というのがあるものなのです。

以前にも書いた事ですが、炎症がひどい時には麻酔は効きにくいのです。例えば、むし歯が進行し、神経(歯髄)にまで達している時、患者さんは激痛を感じ、歯医者へ飛び込んでくるものですが、この時、原因の歯の歯髄の処置を使用と麻酔の注射をしても効きにくいことが多いのです。
注射液は化学的な成分組成の面でみると、酸性です。詳しいことは省略しますが、酸性の物質に注射液が結合しているような分子構造になっているのです。通常、体の中は中性ですので、中性の体に酸性の注射液を浸透させると、酸性の物質は中性と混じりあい、緩衝します。その際、酸性物質に結合していた注射液が分離し、注射成分が目的とする組織に入り込み、麻酔が効くというメカニズムになっています。
この麻酔薬、炎症がひどい状態の組織に麻酔注射を打つとどうでしょう?炎症がひどい組織は酸性状態になっています。そこに酸性の注射液を打ち込んでも注射液の本体が分離せず、注射液の成分が目的とする組織周辺に作用しないのです。要するに炎症がひどい場合は、体の中の化学的な状態の影響により注射液が作用しにくい状況になっているわけです。

また、口の中の場合、上の歯よりも下の歯、下の歯でも前歯よりも奥歯の方が麻酔が効きにくい特性があります。その理由は歯を支えている骨の密度です。
歯というのは骨に周囲を囲まれているわけですが、その骨の密度は上顎よりも下顎の方が密度が大きいのです。
歯に麻酔を効かせたい場合、歯の近くの歯肉に麻酔の注射を打つものですが、針先から出てきた注射液はどうやって歯に作用するのでしょう?それは注射液が歯の周囲の骨にしみ込むことにより作用するのです。骨の中にしみ込みやすくするため、歯の麻酔に使用する麻酔液の濃度は他の体の部分に使用する麻酔液よりもかなり濃度が濃くなっています。
以前、耳鼻科の先生に歯科で用いる麻酔液の濃度を答えたところ、その濃度の濃さに驚かれていました。それくらい、歯科で用いる麻酔液は濃いもので、歯科で用いる麻酔液を皮膚に作用させると、濃度が濃すぎ、場合によっては皮膚が壊死してしまうこともあるくらいなのです。
それはともかく、歯に作用させる麻酔液は実際のところは、歯の周囲の骨に浸透させ、骨からしみ込むことにより歯に作用させるわけです。ということは、骨の密度が大きければ大きいほど麻酔液が浸透しにくいということになります。上顎よりも下顎の方が麻酔が効きにくいというのは、下顎の骨密度が大きいためです。しかも、同じ下顎でも前歯よりも奥歯周囲の骨の密度が大きいのです。すなわち、下顎の奥歯が麻酔が効きにくい解剖学的特徴があるということです。

麻酔薬の使用に際し、ロスが避けられないこと、症状のある歯の状態、歯を支える骨密度などを考えると、患者さんによっては“麻酔が効かない”と感じる状況は大いにありうると思います。僕の経験では、むし歯に侵され痛みがピークに達している下顎の奥歯が最も麻酔が効きにくい状況のように感じます。

先日も、下顎奥歯のむし歯を放置して激痛が生じ、夜も眠れなかったと言われる患者さんが来院しましたが、この時も麻酔が効きにくい状況で苦労をしました。結局のところ、いつもよりも多量の麻酔液を使用し、最終的には、歯髄に直接注射液を注入することで麻酔を効かせましたが、患者さんは麻酔が効くまで相当つらかったことと思います。



2007年08月28日(火) 差し歯、被せ歯、詰め物が取れる原因とは?

日々、人様の口の中、歯の治療をしている僕ですが、不思議なもので時として同じ症状の患者さんの来院が続く時があります。ここ数週間でのうちの歯科医院では、被せ歯、差し歯、詰め物(以下、補綴物と略します。補綴物と書いて“ほてつぶつ”と呼びます)が取れたという患者さんの来院が続いています。

“夕食をしている最中、何か硬い物を噛んだと思ったら被せ歯だった”
“おやつを食べていた時、突然”ボリッ“という音がしたので、何かと思うと詰め物が取れていた”
“入れ歯を取り外した時に、入れ歯と共に差し歯が取れてしまった”
などなど、補綴物が取れた時の状況は人それぞれです。

それでは、これら補綴物が取れる時というのは口の中で何が起こっているのでしょうか?
まず考えられるのが、補綴物を歯にくっつけている接着セメントの劣化です。補綴物は天然の歯質に接着させて初めて意味が出るものですが、接着に用いられているのが接着材としての接着セメントです。接着セメントといってもいくつかの種類に分類できるのですが、これら接着セメントは、永久的なものではありません。長年の時間経過によって徐々に劣化してくるのです。劣化するとどうなるか?補綴物と天然の歯質との接着力が低下し、何かを噛んだり飲んだりした際、接着が崩壊してしまい、補綴物が脱落してしまうのです。

次に考えられるのが、むし歯です。せっかくセットした補綴物ですが、歯磨きを怠り、口の中が汚れたままであれば、補綴物と天然の歯との境目からむし歯が発生します。むし歯が発生し広がっていくと、歯質は脆くなっていくもの。補綴物の土台になっている歯の歯質も脆くなり、歯に強い力が掛かるとむし歯により犯された脆い歯質が崩壊。補綴物が取れてしまうのです。
僕の個人的な経験では、補綴物が取れる原因の中で最も多いのがむし歯ではないかと感じています。

それから、もう一つ可能性としてあるのが、歯の破折によるものです。これは神経を処置した歯に多く生じるケースです。以前、むし歯などが原因で神経を処置した歯は、脆くなる傾向にあります。神経、専門的には歯髄といいますが、この歯髄は単に神経だけではなく微小な細胞や血管からなる複合体です。歯髄があることにより、歯の新陳代謝が活発に行われるのです。歯というと一見すると何も変化がないようですが、実際のところは、ミクロレベルで数多くの微小な物質による新陳代謝が活発に行われているのです。
むし歯により痛みが生じ、歯髄を除去せざるをえなくなった時、確かに痛みを取り除くことはできるのですが、その一方、歯にとって貴重な新陳代謝が行われる貴重な部位を失うことにもなります。歯髄が失われるということは、歯の活性がなくなり、その結果として歯質が脆くなることを意味するのです。歯質が脆くなるということは、歯の耐久性がなくなることを意味します。歯髄があれば問題のないような歯でも、歯髄が無くなることで思わぬことで、歯が割れたり、欠けたりする確率が高くなるのです。補綴物が取れて直ちにくっつけなおしたとしても、土台となっている歯が割れていたり、欠けていたりしていれば、くっつけなおした補綴物は直ぐに脱落してしまいます。

補綴物が取れた場合、上記のようなことが主に考えられます。単にセメントの劣化が原因であった場合は、ただちに再度セメントを用いて接着すれば問題ありませんが、むし歯や歯の損傷が原因の場合、むし歯の治療や修復、場合によっては抜歯をせざるをえない場合もあるのです。

補綴物が取れた場合、皆さんにお願いしたいのは、取れた補綴物を捨てずに必ず歯医者へ持っていって欲しいということです。取れた補綴物を処分してしまうと、新しい補綴物を作らないといけません。上記の原因を考えると、取れた補綴物が再度使用できる可能性があるのです。どうか、補綴物が取れた場合、皆さんには自己判断で処分するのではなく、再度使用できる可能性があるとして、必ず歯医者へ持っていき、担当の歯医者に見せて欲しいと思います。



2007年08月27日(月) 有名人口元チェック 沢尻エリカ

今から20数年くらい前、僕が中学生、高校生の頃ですが、テレビを賑わせていた女性アイドルというと八重歯がトレードマークみたいなことがありました。八重歯といえば聞こえはいいものの、実際のところは上の犬歯の歯並びが乱れている状態ですが、そんな歯並びの乱れが女性アイドルのかわいさの基準の一つとされていたのです。松田聖子や河合奈保子といったアイドルはそんなアイドルだったわけですが、いまや八重歯がトレードマークといったアイドルはいないのではないでしょうか?

僕は歯医者という職業柄どうしても有名人の口元に目が行きがちなのですが、前歯を見ていると歯並びが悪いという有名人というのはあまりいないように思います。おそらく、歯並びが悪い有名人は少なくないことでしょうが、日本の場合、歯を削り、被せ歯を被せることにより、見た目の歯並びを整えるような場合が多いように思います。

そんな中、久しぶりに歯並びを見て、“オヤ?”と感じた有名人を見つけました。その有名人とは沢尻エリカ。井筒監督による映画“パッチギ”で主役を得てから名前が売れ出した若手女優で、いまや若手女優の中でも演技の上手い女優として将来を嘱望されている女優の一人なのだか。最近では、9月公開予定のクローズド・ノートという映画に主役として出演し、そのPRを兼ねていくつかのテレビ番組に出演しているようです。

僕はたまたま彼女が出演した某飲料水メーカーのコマーシャルのメーキング映像を見る機会がありました。いくつかの撮影場面と彼女の人となりを映した映像だったのですが、彼女の顔のアップ映像が映っていました。そこで、僕は彼女の口元を見たのですが、彼女の左上の前歯の歯並びが独特だったのです。具体的には、下の図のような歯並びだったのです。



真ん中から二つ目の側切歯という前歯が中へ入り込んでおり、真ん中の歯である中切歯と犬歯の間に重なっていたのです。

最近の女優にしては、珍しいケースです。先に書いたように、通常、口元の歯並びに問題があるような女優は、多かれ少なかれ歯を削り、詰め物や被せ歯を被せることにより見た目の歯並びを改善するようにするのが普通です。本来なら、歯の矯正治療を受けたほうがいいのかもしれませんが、歯の矯正治療は時間が掛かること、歯の矯正装置をつけた口元がテレビ画面を通して好ましく見えないような意識が世間にあることなどから、女優は自らの歯に手を加えることが多いように思います。

沢尻エリカの場合、左上の前歯の歯並びの乱れは、一見すると目立つようなものには見えないかもしれません。もっと目立った歯並びの乱れがあれば、歯に手を加えていたかもしれませんが、話し方やカメラワークによって彼女の歯並びの乱れはある程度目立たなくいえるようにすることは可能でしょう。
ただ、沢尻エリカのような主演をするような女優になると、どうしても顔のアップ画面が多くなる機会が多いもの。そうなると、時によっては彼女の左上の前歯の歯並びの乱れが目だってしまうことも無いとはいえません。近い将来、彼女が左上の前歯に手を加える可能性は充分にあるのではないかと思います。

まあ、このようなことは僕のようなしがない一歯医者が書いていても仕方がないことで、大きなお世話かもしれませんが、歯並びの乱れを嫌う有名人が多い中、沢尻エリカは歯並びも乱れがある女優として、今日は日記ネタにさせてもらいました。



2007年08月25日(土) 初めての広告

「そうさん、広告を出してもらえませんか?」

発言の主はNさん。Nさんとは僕が週1回練習に通っている某アマチュアオーケストラの事務局の方です。

来る9月の敬老の日、僕が所属するアマチュアオーケストラの定期演奏会が開催される予定で、現在、練習も追い込みの段階。先週末は一晩泊まりの合宿があったのですが、演奏の練習だけでなく、事務方の仕事も佳境に入ってきています。中でも、演奏会当日に配布するプログラムもそろそろ原稿を整え、印刷の段階に入っているのですが、最後の段階になって問題が生じてきたというのです。それは、プログラムが記載されたパンフレットの最後に掲載する広告が集まっていないというのです。
どこのアマチュアオーケストラの定期演奏会でも言えることですが、演奏会当日にお客さんに配布するパンフレットには日頃付き合いのある業者の方が好意で広告料を提供し、広告を掲載しているものです。僕が参加している某アマチュアオーケストラもそうだったのですが、今年、これまで付き合いのあった某会社の方から広告料の提供を受けられなくなったとのこと。そのため、パンフレットの広告スペースに空きが生じたのだとか。時間に余裕が無いことから、団員である僕に僕の歯科医院の広告を掲載できないか、問い合わせがあったというわけです。

これまで、うちの歯科医院は広告を出したことが一度もありません。開業して30年近くが経過していますが、“患者さんは丁寧な治療の積み重ねによる信頼で着て頂くもの”という親父のモットーから広告は出していませんでした。僕も親父の考えに賛成で、自分の歯科医院の広告を出さないかという依頼はあっても、これまで一度も広告を出したことがありませんでした。

そんな過去があっての今回の広告依頼だったわけですが、結論を書きますと、僕はうちの歯科医院の広告を初めて出すことにしました。理由は、日頃世話になっている某アマチュアオーケストラに対する恩返し的な意味合いからです。これまでお願いしていた、付き合いのあった会社から広告を断られたというのは、それほど景気がよくなっていない証拠でもあります。景気は上向きとは言っても、地場産業や中小企業などの多くは日々の経営に四苦八苦しているところが多いはず。少しでも無駄な出費は避けたいのが本音です。おそらく、今回某アマチュアオーケストラの広告の依頼を断った会社もそんな会社の一つだったと思います。
パンフレットの製作時間にタイムリミットがあり、思ったように広告が集まらない実情。そして、日頃クラシック音楽を楽しむために演奏の場を与えてもらっている某アマチュアオーケストラに対する義理を考えると、ここは一肌ぬいでもいいのではないかと考え、僕はうちの歯科医院の広告を出すことに同意したのです。

今日、うちの歯科医院の広告を出すための原稿の確認、打ち合わせがあります。練習の合間に行われるわけですが、果たして一体どんな広告になることか?そうさん歯科医院開業以来、初めての広告。自分でも興味津々です。



2007年08月24日(金) さらば、ロケット広場

関西になじみの無い人にはわからない話ですが、大阪の盛り場には大きく分けて2箇所あります。一つはJR大阪駅を中心としたエリア、もう一つは大阪市営地下鉄御堂筋線の難波駅を中心としたエリアです。地元の人は、前者のことを通称キタといい、後者のことを通称ミナミと呼んでいます。

大阪の盛り場の一つミナミの中で、多くの人の待ち合わせ場所として最も有名で頻繁に利用されていた場所がロケット広場でした。ロケット広場は大阪市営地下鉄御堂筋線の難波駅と南海電鉄なんば駅の間に位置しており、人の往来の激しい場所ではあるのですが、広場の真ん中に設置してあった日本初の実用衛星「N1ロケット」のレプリカロケットが目印となり、非常にわかりやすい待ち合わせ場所だったのです。

何を隠そう、僕にとっても非常に思い入れのある場所の一つでもありました。学生時代から友人同士の待ち合わせに頻繁に利用していましたから。

「○時にロケット広場で待ち合わせしよう。」
このような台詞を何度お互いに言い合ったことでしょう。
友人同士だけでなく、時にはアルバイトや仕事関係の人との待ち合わせに利用したこともしばしばでしたし、コンパや合コン、最近ではオフ会の待ち合わせ場所としても非常に重宝しておりました。もちろん、かつて付き合っていた彼女とのデートの待ち合わせ場所としても利用していました。

そんなロケット広場がこの度リニューアルされるというニュース。ロケット広場のシンボルであったロケットが撤去され、新しい広場になるというニュースが報じられているのを見て、一抹の、ニ抹以上の寂しさを感じているのは僕だけではないと思います。ロケット広場ができて30年近くが経過したといいます。多くの大阪近辺の人たちの青春の一幕にロケット広場が関わってきたことはまぎれもない事実です。何も言わなかったロケット広場のロケットですが、僕を含め多くの人たちの出会いを見つめてきたはず。そんなロケットが役目を終え、撤去され、金属ゴミとして処分される。
たかがロケットではありますが、30年近い月日はロケットをそれ以上の存在にさせてきたはずです。そんなロケットが無くなり、ロケット広場がリニューアルされる。
時代の移り変わりとしては仕方のないことかもしれませんし、実際にリニューアル工事は進んでいるのですが、何だか貴重な思い出が奪われるような気持ちがするのは僕だけでしょうか?できることなら、何らかの形でロケットを残して欲しいなあと願うのですが・・・。

いずれにせよ、ロケット広場、ならびにロケット広場のロケットには
“長い間のおつとめ、ご苦労様でした”と声を掛けたいと思います。



2007年08月23日(木) 懐かしいスライド作り

昨夜は診療が終わってからある先輩の歯医者の先生の歯科医院を訪問した歯医者そうさん。理由は、先輩先生が歯や口の健康について一般市民に講座をするためのお手伝いをするためでした。先輩先生はパソコンを使うことが苦手だったのですが、一念発起し、パソコンを使用して講座をすることを決心されました。僕は、先輩先生にパソコンを使ったプレゼンテーションの仕方を伝授するため、先輩先生の歯科医院を訪ねたわけです。
実際は、僕が診療の合間に先輩先生から預かった資料を電子化し、プレゼンテーションソフトで講演用のファイルを作り、このファイルをたたき台にして加筆、修正を加えながら講座用のファイルを仕上げていったわけです。

ある程度講座用のファイルが出来上がった時点で、先輩先生がふと言われました。

「それにしても便利になってものだなあ。一瞬にしてスライドの内容を変えることができるし、入れ替え、差し替えも自由。以前のようなスライド作りとは雲泥の差だね。」

僕も同じようなことを感じました。今ではテキストや写真、絵だけでなく、ビデオ映像も動画にし、プレゼンテーションソフトの元で再生することができますから。

先日、僕の手元に届いた某医療関係の学会雑誌を見てみると、学会発表の約束事の中にはプレゼンテーションソフトが入ったパソコンを持ち込むことが必須である記載がありました。
多くの先生がこれまでスライド保管に関し、スライドフォルダーが溜まる一方で保管場所に苦労していたのだが、今ではデータが全てパソコン管理できるので非常に楽になったと異口同音に指摘しています。

以前はそうではありませんでした。今から十数年前、僕は大学を卒業して大学院へ進んだのですが、最初にさせられた仕事の一つが先輩の先生の学会発表の準備でした。中でもスライド作りは大変骨の折れる仕事だったのです。文書の場合、ワープロで作成した文書を拡大コピーし、原版としました。当時のワープロは自由にフォントやサイズを変えることができなかったからです。また、表やグラフはグラフ用紙を利用し、太さの異なるサインペンやレタリングマシーンで作った文字を貼り付け、原版としました。これら原版を暗室でスライド用フィルムに撮影し、現像したフィルムを元に青焼きしたフィルムをスライドにマウントしたものです。
大学院2年目になると、この作業が一変しました。マッキントッシュ型パソコンの出現により自由にフォントやサイズを選択し、ギザギザ文字にならないアウトラインフォントを印刷することができるようになったのです。表やグラフも表計算ソフトやグラフ作成ソフトと熱転写型プリンターによりパソコンで作成できるようになりました。原版作りがパソコン一つできるようになったのです。
その後、プレゼンテーションソフトの普及とフィルムレコーダーにより、パソコンの画面を直接スライド用フィルムに撮影することができるようになり、これまでの青焼き一辺倒のスライドから背景がカラフルなスライド作りが可能となりました。
そして、パソコンとプロジェクター、そして、プレゼンテーションソフトの改良によりスライドそのものが不要となり、今やプレゼンテーションはパソコンとプロジェクターだけで行うことができるようになったのは多くの人が知るところです。この間、わずか十数年。

深夜、家路を急ぎながら、技術の進歩とその恩恵を受けていることを改めて感じた、歯医者そうさんでした。



2007年08月22日(水) 指の無い患者

歯医者にとって、患者さんが診療室に入ってこられた時は常に目を光らせなければなりません。何気ない患者さんの所作、ふるまいなどが思わぬ体の生理状態を表していることがあるからです。
歯医者は患者さんの口の中や歯の治療を施すわけですが、治療中、患者さんの体に何か異変があれば、それに対しきちんと対応できるように常に態勢を整えなくてはなりません。ところが、実際に治療中に突然患者さんの体に異変が起こると、いくら歯医者といってもあせってしまうもの。適切な対応ができず、後手にまわってしまう可能性があります。“何か事があっても落ち着いて行動できるようになるためには、普段からの心がけが一番です。治療を始める前に、患者さんの体の状態や言動をあらかじめ観察しておくことは、いざと言う時のための心の準備のために必要不可欠なことだといえるでしょう。

治療前から何気なく患者さんの様子を見ながら治療を始めるわけですが、治療している最中、思わず驚いてしまうこともあります。
先日のことでした。Yさんという患者さんの治療を行うにあたり、レントゲン写真を撮影する必要に迫られました。僕は患者さんにレントゲン写真を撮影することを話し、レントゲン写真を撮影しようとしたのです。
通常、歯科におけるレントゲン写真は口の中に入れて撮影するタイプであるデンタル型のものと、口全体を撮影するパノラマ型の二種類があります。最も頻繁に行うタイプのレントゲン写真撮影は、デンタル型のフィルムを用いたものです。このフィルムは普通、撮影したい歯の裏側にフィルムを位置決めし、撮影するのですが、位置決めをした後、フィルムがずれないように患者さんの指で固定してもらいます。
通常、上の歯の場合は、左側の歯は右手の親指で、右側は左手の親指、前歯はケースバーケースでどちらかの親指でも構いません。下の歯の場合は、左側の歯は右手の人差し指で、右側は左手の人差し指で、前歯はケースバーケースでどちらかの人差し指でフィルムを固定します。どうして上の歯の場合は親指を、下の歯の場合は人差し指を用いるかは、僕自身よくわかりません。大学の放射線学の講義で習ったことをそのまま実践しているだけです。上の歯であろうが下の歯であろうが左右どちらの歯のあろうがどの指でフィルムを押さえても構わないように思いますが、長年の習慣で患者さんには上記のような指示を出していますね。
歯医者によってはインジケーターといってある種の固定装置を用いてフィルムを固定する場合もあり、その場合は患者さんの指は必要としない場合もあります。
うちの歯科医院ではデジタルレントゲン撮影装置を使っていますので、コードつきのCCDセンサーを使用しているのですが、それでもこのセンサーの固定の仕方についてはフィルムと原則は変わりません。患者さんの指で固定してもらい、レントゲン写真撮影をしています。

Yさんは右上の奥歯のレントゲン写真撮影を行う必要がありました。そこで、CCDセンサーを固定してもらうと思い、僕はYさんの左親指でセンサーを固定してもらうと言おうとしたのですが、僕は直ちに止めました。
その理由は、Yさんの左親指がなかったからです。僕はとっさに左手の人差し指でセンサーを抑えてもらうように伝え、何とかレントゲン写真を撮影することができたのですが、後日、僕は治療の合間にYさんに左手親指のことを尋ねてみました。Yさん曰く

「10数年前、草刈機で草を買っている時に過って指を切断してしまったのですよ。」
とのこと。

うちの周囲は田畑の多い田園地帯で、多くの人が農業を営んでいます。農作業に勤しんでいる人が多いわけですが、こうした農作業中のトラブルの中に指の切断事故が少なからずあるのです。うちの歯科医院に来院する患者さんの中にも何人か指の一部がない患者さんがいます。親指であったり、人差し指であったり、中指であったりするのですが、ほとんどの人が農作業の中での仕事中に指を切断してしまったそうなのです。指の切断の場合、少しでも早く専門の医者に接合してもらえれば指が元に戻る場合が多いのですが、近くにそのような専門家がいないことから手遅れになり、指が無いままの人がいるのです。
僕自身、長年当地に住んでいますが、指が無い人が意外と多いことに気がついたのは、歯医者で実際に仕事をしだしてからです。それもレントゲン写真を撮影しようと、レントゲンフィルムを固定してもらおうと患者さんに指で固定してもらおうと言おうとした際、指が無い患者さんが少なからずいることを実感したのです。

ただし、Yさん、あくまでも前向きです。

「まあ、指の一本なくてもちゃんと生活していけますからなあ。今ではもう慣れましたよ。よく、やくざが何かへまをした時に小指を詰めますやろ。一見すると怖いように思うものですけど、小指なんてね、普段使うことはほとんどない指なのですわ。小指がないことを自慢するようなやくざがいるみたいですけど、もしそんな奴がわしの前にいたら、わしは自分の親指見せて言いますわ。『わしみたいにできるんか、お前は!』なんてね、ハッハッハ・・・。」

Yさんの言うことを聞いていると、確かに小指の無いやくざは面目丸つぶれかもしれません。



2007年08月21日(火) 抜歯をしないのが良い歯医者か?

「前に通っていた歯医者で“この歯を抜歯しないといけない”と言われたのですが、抜きたくないのです。抜かなくていいようにお願いできないでしょうか?」
日々、診療しているとこのようなことを言われる患者さんがいるものです。

患者さんの気持ちを考えるとわからなくもありません。親からもらった大切な歯を抜くということは誰しも気持ちの良いものではありません。“歯を抜きたくない、残しておきたい“と思うのは無理もないことです。
歯医者の側から見てみると、患者さんに抜歯をすることを勧めるにはそれなりの理由があります。いろいろなケースがありますが、基本的に抜歯をしなければいけない場合は、歯を残すことが歯や口の中、強いては体全体に有害な場合、もしくはリスクがあると考えられる場合です。何も問題の無い健全な歯を抜くということは余程でない限りありません。以前にも書きましたが、俳優や女優が役作りのために抜歯をするとか、歯の矯正治療のために抜歯をするといった場合に限られると思います。ただし、歯の矯正治療の場合の抜歯は、歯並びを整えるという意味で問題がある歯を抜歯するという意味合いはあるかもしれませんが。

患者さんの口の中を見て、レントゲン写真を撮影し、歯周病やむし歯の進行具合、歯の破折の有無などを調べると、どうしても問題のある歯を無理して残すと、当該歯どころか他の歯や歯並び、咬み合わせなどに悪影響を残すと考えられる場合があるのです。
例えば、ある奥歯がぐらぐらになってきたとします。実際に診てみると、その歯の根っこの周囲の骨が吸収されています。歯周病が進行していたのです。そのような場合、抜歯をしないと隣の歯にも歯周病が広がる可能性が出てきます。そうなると問題の歯のみならず隣の歯も将来的に歯周病が進行し、動揺してくることが予想されます。そのような場合、問題の歯を抜歯することで、隣の歯への歯周病の進行を防止する必要性があります。無理して残すことが、結果的に他の歯へも歯周病を波及させる結果となるのです。

このような場合、僕は患者さんには必ず現状を説明し、問題の歯を抜くということよりも、他の健康な歯を守るという意味合いを強調します。被害を最小限に食い止めるために抜歯をするということを説明するわけです。抜歯することは誰しも直ぐには受け入れられないもの。患者さん自身、問題のある歯に目が行きがちですが、抜歯の目的が他の歯を守るためにということで患者さんの視点を少しでも広く持ってもらうようにすることが、抜歯の理解に繋がるのではないかと僕は考えます。

そうは言っても、抜歯の最終決定権は患者さんにあります。歯医者が抜歯の必要性を根気強く説明しても、抜歯を拒否される方もいるものです。そのような場合、僕は敢えて抜歯はしません。将来を考えると、問題のある歯のみならず口全体に悪影響が出ることはわかっていながらも患者さんの意思が抜歯を望まないのなら、それは仕方のないことだと思うからです。今後、当該歯のみならず他の歯にも問題が生じてきたとしても、それは仕方のないことだと諦めます。

実際のところ、問題のある歯を敢えて残すことで、後に後悔をされている患者さんの割合は結構な割合でいるものです。

「『だからあの時、早く抜歯をしましょう』と言ったのに、今頃後悔してもなあ」
と、歯医者としての本音を言いたくなってしまうことが多いですね。



2007年08月20日(月) 同じ写真を見ているはずなのに・・・

先週、嫁さんとチビ二人は嫁さんの実家に里帰りしていたのですが、毎日電話やメールで連絡を取っていました。嫁さんの実家あたりも非常に暑かったようで、毎日寝苦しい夜が続いていたとのこと。先週のある日などは、全国での中でも最高気温に近かった気温だったそうで、嫁さんも実家に帰ったもののバテぎみであることを言っておりました。

実家に戻った嫁さんからもらったメールの中に、チビたちの写真が添付されていました。どこかの施設で遊びに行っていたようで、楽しそうな様子が見えて取れたのです。
“暑い毎日が続くけども、冷房が効いているような室内で楽しそうに遊んでいるじゃないか?”僕はそのように感じたものです。

この写真を僕はお袋に見せてやりました。普段、一緒に暮らしている孫がこの1週間はいません。最初のうちは、何かと騒がしいチビたちから解放されてほっとしているような所もあったのですが、そろそろチビたちがいなくて寂しいだろう。ここはチビたちの元気のいい写真を見せてやって安心させてやろうと思ったのです。

チビの写真を見せてお袋の反応は意外なものでした。
「○○ちゃん(上のチビのことです)、元気にしているの?何だか体調を崩しているのか、元気がなさそう。この写真を見ていると何だか頬がこけて痩せているように思うのだけど。」

僕はもう一度チビの写った写真を見てみましたが、どう見てもチビたちが痩せているようには見えませんでした。元気よく楽しそうに笑っている表情のように見えたのです。どう考えても、お袋が言うように元気がなさそうには見えませんでした。そのことをお袋に伝えると

「そうかしら?写真のこのあたりを見てごらん。今までふっくらとしていた頬がやつれているように見えるよ。」

「これは写真の解像度の関係で暗くなっているだけで、痩せているようには写っていないよ。結構楽しそうに笑っている顔つきをしているじゃないか?」
僕はお袋に言ったのですが、お袋は納得した顔をしませんでした。

お袋と僕が見ていた写真は全く同じ写真なのですが、それが見ている人によって全く違ったものに見えていることに僕は改めて驚きを感じました。通常の写真と異なり携帯電話の写真ですから多少の解像度の悪さは否定できませんが、チビの様子が手に取るようにわかる写真であったことは事実です。そんな写真が見る人によって正反対に解釈することができるのか?
僕はつくづく客観的に見ることの難しさを感じざるをえませんでした。愚考するに、普段一緒に暮らしているお袋にとって、チビたちいない状況というのは非日常です。自分にとって何よりもかわいい孫がいない寂しさ、早く帰ってきてほしいという気持ちが日に日に増し、そのことが写真の見方まで左右し、影響を与えているのではないでしょうか。

この手のことは多くの人が経験していることだと思います。絵画や映画など全く同じ作品を見た時、見ている人の精神状態、思い込み、人生経験によって受け取り方が異なるものですし、同じ人でも、繰り返し見ているうちに見え方が異なってくることもあるものです。

僕の仕事である歯医者の仕事でもそんなことがあります。ある先生の見方と別の先生の見方が異なることがあるのです。これは歯医者としての技量、知識、治療経験の影響が強いわけです。よく歯医者が症例検討会と称し、過去に自分たちが経験した治療を他の先生に見てもらい、意見交換をすることがあるのですが、このような機会は先生同士の視点の違いが明確に現れる機会でもあります。同じ患者さんの写真、レントゲン写真、模型、治療経過などを確認しながら過去の治療について検討するということは、お互いの視点の違いを見る上でも有意義なことですし、自分に足りなかった点を把握する貴重な機会でもあります。

同じものを見ているのに、受け取り方が人によって異なる。客観的に見ることって難しいものだなあとしみじみ感じた、猛暑にバテ気味の歯医者そうさんでした。



2007年08月17日(金) 電話再診

今日の日記タイトルである電話再診は、聞き慣れない言葉かもしれません。

昨日の日記の話とも関係するのですが、病院や診療所、歯科医院などに通院している患者さんが電話で自分の体調のことや健康相談をしてきた場合、相談に応じた医者、歯医者は患者さんに対し再診料を請求することができます。すなわち、通院している患者さんが電話で担当の先生に相談事にのってもらった場合、無料ではなく有料だということです。電話による再診のことを、医療業界では電話再診と呼びます。

手元にある僕の地元県の保険診療の手引きという解説書には、電話再診に関して以下のような記述があります。

当該保険医療機関で初診を受けた患者について、第2診以後、当該患者またはその看護に当たっている者から直接または間接に、治療上の意見を求められた場合に、必要な指示をした時には、再診料を算定できる。

電話、テレビ画像等と通した再診(聴覚障害者以外の患者に係る再診については、ファックスまたは電子メール等によるものは含まない。)については、患者の病状の変化に応じ療養について歯科医師の指示を受ける必要がある場合であって当該患者またはその看護に当たっている者からの医学的な意見の求めに対し治療上必要な適切な指示をした場合に限り算定できる。


電話再診に関しては、全く見ず知らずの人に対しては保険請求をすることはできません。医者、歯医者は、一度は必ず患者さんを診察しなければいけないのです。初診をした患者さんに対してだけ、電話やテレビ画像を通じての相談に対し、電話再診を請求することができるというわけです。

電話再診という言葉のとおり、患者さんからの問い合わせは電話、テレビ画像等を通した問い合わせの場合、電話再診を請求することができます。電話には固定電話だけでなく携帯電話も含みます。最近の携帯電話は携帯電話同士でテレビ電話もできるようになっていますが、このような機能を使用して担当医に相談をした場合、電話再診の対象となるわけです。
ただし、ファックスや電子メールに関しては、耳の不自由な患者さんの場合のみ電話再診は認められるのですが、そうではない人の場合認められません。最近、多くの病院、診療所、歯科医院では自院のホームページが公開され、そこで掲示板などがありますが、そこでの相談については、担当医は電話再診を請求することはできません。インターネットを通じた電話再診は認められていないのです。

電話再診に関しては、当然のことながらその場で患者さんに一部負担金を支払ってもらうことはできません。電話で相談をしてから患者さんが来院した時に、電話再診分も同時に請求することになります。
僕自身、何度か電話で相談に応じた患者さんに関し、電話再診を請求しています。もちろん、患者さんにはそのことを充分に説明し、納得して頂いた上で請求しているわけですが、患者さんの中には、電話再診のことをご存知ない方もおり、意外に思われているようです。

僕の日記を読んで下さっている方の中には、何らかの病気にかかり、通院をしているような病院、診療所、医院、歯科医院がある方もいることでしょう。通院治療中、不測の事態が起こり、受診したいものの何らかの事情で受診できず、担当医に電話でアドバイスを受けることがあるかもしれませんが、これは無料ではない、有料のサービスであることを肝に銘じて欲しいと思います。



2007年08月16日(木) 無料ではない専門家への相談

うちの歯科医院では昨日でお盆休みが終わり、今日から診療再開です。連日暑い日が続きますが、この暑さを凌ぐのはかえって冷房を利かせた診療室の方がいいかもしれません。それにしてもこの猛暑、いつまで続くのでしょう?

僕は歯医者を前面に押し出したサイトを開設しているため、見ず知らずの方から歯や口の健康に関することや歯科治療に関する相談を受けることがあります。これまで何度も書いていますが、僕はサイト上ではこのような相談にのることは基本的にはしないようにしています。実際に相談者の口や歯を見ていない状態で相談にのることは、僕の能力を越えているからで、きちんと診断し、適切なアドバイスをすることができないからです。
それでも、時としてメールや掲示板で相談をされる方がいます。本来なら、自分のモットーを理解してもらい、丁重にお断りすべきなのですが、せっかくメールや掲示板で書かれている方に対する遠慮もあり、原則論だけを書いて返事をするようにしています。

何度かそのようなことをしてきたのですが、最近になって感じたことがあります。それは、相談者があまりにも気軽な気分で相談されているのではないかという疑問です。
僕の個人的な考えですが、体の異常や治療に対する相談というのは、基本的に有料ではないかと思うのです。体に変調をきたせば、誰もが何か気になるもの。原因がすぐわかるものであればいいのですが、中には専門的な知識、経験がなければわからないこともあるのです。このような場合、その道の専門家が自らが得てきた知識、経験をもとに相談にのり、適切なアドバイスをすることは非常に有意義なことであると思うのですが、そのことに対する評価が世間では低すぎるのではないかと感じます。その道の専門家は、それなりに時間をかけ、自分に投資を行い、自己研鑽をしながら今の地位を得てきているのです。決して無駄に時間を過ごしてきたわけではありません。そんな専門家が相談にのるのです。いくら気軽に尋ねやすい雰囲気があるからといって、相談が無料であるということを前提であるというのは如何なものかと僕は思います。その道の専門家に相談にのってもらうからには、それなりの対価を払う必要があると思うのです。井戸端会議での相談事とはわけが違います。

よく、税理士や弁護士、医師、歯科医師などが無料相談ということで相談を受けることがありますが、この場合、相談者からは無料で相談にのることは確かです。ただ、実際に相談にのっている専門家はどうしているかといいますと、相談の場を設けている団体から相談を受けた時間分だけ給料をもらっているのです。僕が所属する歯科医師会もそうです。僕も立場上、市民に対して相談にのることがあるのですが、わずかながらも歯科医師会から費用弁償という形で給料を頂いています。この事実をどれくらいの人がご存知でしょうか?

解決を図るのに専門的な知識を要するような場合、専門家に気軽に相談することは有難いことだと多くの人が感じているのはよくわかるのですが、専門家に相談する気軽さにあぐらをかいている人が多すぎるように思います。
インターネット上での様々な相談サイトが流行しているのは、気軽に相談できるが故だと思うのですが、本来、専門家がかかわる相談というものは、決して無料ではないことを知って欲しいと思います。



2007年08月15日(水) 軍隊に行った者と行かなかった者

「皆さん、生きていますか?」
と言いたいぐらいの暑い日が続いております。正直言って、僕もこの暑さにかなりまいっております。今日までうちの歯科医院ではお盆休みですが、普段冷房の効いている診療所で仕事をしているせいか、冷房をしない自宅で暑い夏を過ごすのは非常につらいものです。そんなことを言っていると、炎天下で仕事をしている人たちには非常に申し訳なく思うのですが。

おそらく62年前の今日も暑い日だったのではないかと思います。昭和20年8月15日は、日本がポツダム宣言を受諾し、太平洋戦争が終結した日です。このようなことを書きながら僕に実感がわかないのは、僕が戦後生まれだからです。戦争を知らない世代だからですが、昭和6年生まれの僕の親父にとっては特別な日のようです。普段、あまり話をしない親父ですが、8月15日に近くなると戦争のことを必ず口にします。先日もこのようなことを言っておりました。

「わしは太平洋戦争を体験したけど、軍隊には行っていないんだ。軍隊に行っている人と行っていない人との違いは大きいものなんだ。」

太平洋戦争が始まった当初、日本は戦争を有利に進めていましたが、終盤になると形勢が逆転。日本へアメリカ軍の飛行機が多数来襲し、空爆を行い、多くの人々が犠牲に合いました。広島、長崎には原子爆弾が投下されました。沖縄では地上戦が繰り広げられ、多くの人たちが自決に追い込まれたりしています。日本の国が焦土と化したのです。
親父が少年時代を過ごしていた大阪も空襲で被害を受け、毎日食べる物にも苦労をしたといいます。それでも、親父は言います。

「太平洋戦争当時、わしを含め周囲の人たちは、今の時代では想像がつかないくらいのつらい生活を過ごしてきたと思う。けれども、当時、軍隊に行った人はもっと残酷で悲惨だったはずだ。一定の年齢に達していた男は軍隊に行かなければならなかったんだ。その中には働き盛りの人や将来有望視されていた人が数多くいた。そんな人たちの多くが戦死し、帰らぬ人となったんだよ。残された者たちはつらい思いをしたとは思うけど、命というのはあってなんぼのもの。命が無くなったのでは何もできやしない。お国のために命を落としたというけれど、命が無ければ、この世で何かをなすことはできないんだよ。そんな軍隊に行った人に比べれば、わしの苦労なんて大したことはなかった。」

「戦争は二度と起きて欲しくない。今、世界中で紛争が絶えないけども、わしはそんなニュースを聴くたびに思う。どうして、人間って殺し合いが好きなんだろうと。日本でも誰かが“美しい国”なんてことを言って、憲法の改正を行おうとしているけども、今の日本の繁栄は憲法の制約によって成し遂げられたところがある。わしは、今の憲法のどこが悪いのかと疑問に思う。これから多くの人たちが徴兵され、軍隊の一員として戦場に駆り出されるようなことがあってはいけないし、そのようなことがないような世の中にすることが軍隊に行かなかったわしの使命だと思う。」



2007年08月14日(火) 全国で異なるNHKニュース

今週の前半はうちの歯科医院ではお盆休みです。うちの周囲は田舎なので患者さんやスタッフの家庭ではお盆を利用して里帰りしている家庭が多いのです。夏の暑い時期でもありますから、体力面も考慮し、8月13日から15日まではいつもお盆休みを頂いているのです。
先週末から昨日まで僕は嫁さんの実家へ出かけておりました。嫁さんの実家は中国地方の某所にあるのですが、お盆の時期には嫁さんはいつも実家に帰っております。僕も一緒について行っているのですが、最近では二人のチビたちも一緒。家の中で退屈そうにしている彼らの気分転換も兼ねて嫁さんの実家へ連れているのです。嫁さんとチビたちは今週末まで田舎に帰っているのですが、僕は仕事の関係で一足早く自宅に戻り、こうやって日記を書いているというわけです。

さて、嫁さんの実家に行きNHKのテレビニュースを見ていると、いつもあることに気がつきます。NHKの定時ニュースは、時間の前半は全国や世界のニュースを報じているのですが、後半は地方のニュースを報じています。普段、僕は関西に住んでいますから、NHKテレビニュースの後半は常に関西地方のニュースを見ているわけです。ところが、嫁さんの実家ではそうではないのですね。嫁さんの実家でのNHKテレビニュースの後半は中国地方のニュースなのです。当たり前といえば当たり前ですが、僕はこのニュースを見た時に嫁さんの実家と僕の自宅とが全く違う生活圏にあるのだなあということを感じます。

これは何も嫁さんの実家で感じるだけではありません。先々週末、僕は東京へ行ってきたのですが、そこでのNHKテレビニュースでは後半には首都圏のニュースを流していました。しかも、ニュースを報じているアナウンサーは全国のニュースを報じているアナウンサーがそのままです。今ではもう慣れましたが、東京方面を初めて訪れNHKニュースを見た時、僕はこの事実に少々驚きました。なぜなら、僕が住んでいる関西では、ニュースの後半はアナウンサーが変わっていましたから。このことが当然だと思っていた僕にとって、東京ではそうではない事実。些細なことかもしれませんが、普段の生活で何気なく見慣れている光景が異なることは、僕にとって一種のカルチャーショックでもあったのです。

この話を嫁さんにしていると、嫁さんも同様のことを言っていました。嫁さんは中国地方の某所で生まれ育ち、僕と結婚してから関西に来たのですが、結婚生活当初、NHKニュースを見た時に、ニュース後半が関西のニュースであることに違和感を覚えたといいます。自分が生活している環境が大きく変わっているということを実感した一つの出来事だったというのです。地元を離れ遠くの土地へ嫁いだ事実がNHKニュースでもわかったらしいのです。
結婚して10年以上経過した今では、さすがにそのような違和感は無くなったそうですが、違和感がなくなるまでには多少なりとも時間が掛かったということを告白しておりました。

普段何気なく見ているNHKのテレビニュースですが日本各地では微妙に違う事実。日本という国は自分が住んでいる土地だけではないことを感じますね。



2007年08月11日(土) 厚生労働省職員による振込詐欺?

僕の所属する地元の歯科医師会にはファックスの連絡網があるのですが、昨日、そのファックス連絡網に流されてきたものに下のような内容のものがありました。


最近、厚生労働省職員を装った以下のような不審電話の情報が寄せられていますので注意願います。

(1)「厚生労働省社会医療センター(又は厚生労働省医療保険センター、厚生労働省社会保険局)ですが、医療保険特別補助金○○円の請求期限が今日までなので請求手続を行ってください。」

(同様のケース)
「高額療養費の申請手続きが行われていません。銀行/郵便局のATMに行って電話をしてください。すぐに振り込みます。」
「医療費控除の還付金があるので、銀行/郵便局のATMに行って電話をして下さい。すぐに振り込みます。」

厚生労働省では、このような請求手続の依頼は行っておりません。このような電話があっても、銀行口座等の個人情報を教えたり、金銭の振込を行ったりすることのないようご注意ください。


振込詐欺の一種です。これまでは葉書の通知による形式が多かったように思うのですが、最近は直接電話をかけてくるようなケースが多いようです。
オレオレ詐欺も同じなのですが、突然思わぬ人から電話がかかり、金を振り込まないと大変なことになると言われると、動揺してしまう心理を巧みについた詐欺だといえるでしょう。

それにしても、厚生労働省職員からの電話なのに、どうして銀行や郵便局のATMに行って電話をしないといけないのでしょう?また、医療保険特別補助金や高額医療費、医療費控除などの請求手続きというのは、冷静に考えれば厚生労働省が個人に通知するようなことは絶対にありません。厚生労働省の役人が美味しい話をあかの他人に教えるようなことはないはずです。

振込詐欺もいろいろと変化してきているようですが、“銀行や郵便局のATMへ行って“なる文言を見たり、聞いたりした時は、まずは相手を疑ってみるべきですね。



2007年08月10日(金) 忍び寄る魔の手 痛みの無いむし歯

「最近、奥歯の歯と歯の間に食べかすがよく溜まるので診てほしいのです。」

そう言ってうちの歯科医院に来院されたのはHさん。以前は何もなかったのに、ここ数週間、食事をすると食べかすが溜まるそうで、その都度楊枝で食べかすを取り除いているのだとか。
“これは何かあるのではないか?”そう感じたHさんは、うちの歯科医院に来院されたのです。

Hさんの口の中を診てみると、確かに右上の奥歯の歯と歯の間に食べかすが挟まっていました。どうして食べかすがはさまっているのか?注意深く挟まっていた食べかすを取り除くと原因がわかりました。それは奥歯の歯と歯の間に大きな穴、すなわち、むし歯があったからです。歯の内部に大きく広がっているむし歯でした。
僕は直ちにレントゲン写真を撮影してみました。通常、Hさんのような大きなむし歯であれば何かしらの症状があってしかるべきだからです。歯がしみたり、痛みを感じたりすることがあるはずなのですが、Hさんに確認したところ、全くそのような症状は無かったとのこと。
レントゲン写真を撮影すると、その謎は解けました。それは、奥歯は神経の治療が施されていたからです。奥歯の咬み合せの面にはレジンと呼ばれるプラスチック製の白い詰め物も詰めてありました。Hさんに尋ねてみたところ、数年前に奥歯がしみるということで別の歯科医院で神経の処置を受けたようなのです。

かつて歯医者ではない知人がこんなことを言っていました。

「歯に神経がなければどんなにいいだろう。歯に神経があるから痛みを感じるし、むし歯ができて歯を削る時にも痛みが生じるから。」
そんな知人に僕は答えました。

「神経があるから歯は助かっているんだよ。神経というとどうも痛みを感じて嫌なイメージがあるけども、歯にとっては実に有難いものなんだよ。神経があることによって痛みを感じるということは、歯に何か異常があることを体に知らせているのだよ。痛みというのは体に異常がある警告信号のようなものなんだ。痛みがあることにより、人間は体の異常を察知し、何らかの手当てをしようとするわけだ。ところが、痛みを感じないようになったらどうだろう?一見すると痛みから解放されるように思いがちだけど、体に異常が起こった場合、何も気がつかないリスクが生じるんだよ。気がついた時には手遅れなんてことがありうるんだ。歯に神経があるということは非常に有意義なことなんだね。」

今回のHさんのようなケースは有る意味、幸運なケースだったいえるでしょう。痛み以外に歯と歯の間に食べかすが溜まりやすいという状態が感じられたために、何らかの異常が歯にあるのではないかと思われたからです。ところが、この場合も、歯の神経が生きていれば、歯に痛みが生じることにより歯に異常があることがわかったはずなのです。ところが、かつてHさんは神経の処置を受け、歯に神経が無い状態でした。そのため、歯と歯の間のむし歯が大きくなっても痛みを感じないために気がつかなかったのです。

僕は直ちにHさんのむし歯を治療し、並行して歯磨き指導を行いました。その際も、歯の神経の治療した歯の歯磨きの大切さ、定期検診の重要性を何度も伝えたつもりです。

神経の処置をした歯というのは、健康な歯よりもむし歯や歯周病といった歯の病気に罹るリスクが高くなると言えるでしょう。痛みを感じないために歯の異常を察知できないリスクです。もし、以前に神経の治療を受けた経験がある人ならば、定期的に専門家である歯医者の検診を受けられることをお勧めします。忍び寄る魔の手はすぐそこまで来ているかもしれませんからね。



2007年08月09日(木) 学徒動員なんていい加減なものだった

ここ数日、親父は自宅の居間の机の上で何やらこそこそと書き物をしておりました。暑い最中、外へ出かけるのも汗をかくだけですし、76歳という年齢を考えると家の中でデスクワークにいそしむのも悪くはないだろうと思いながら、横目で見ていた歯医者そうさん。昨日のことでした。

「書けたぞ!」
と言うや否や
「一度読んでくれないか?」
と僕に言ってきたのです。

僕は早速親父の書いたものを読んでみました。タイトルは、“K鉄道電鉄の社員だった私”(仮題)

K電鉄とは今の関西の私鉄であるH電鉄の前身の会社です。H電鉄は今年創業100年を迎えるそうですが、会社創業100年を記念し、広く市民からH電鉄に関する思いを記したエッセーを募集していたのだそうで、親父はそのエッセーコンテストに応募するために自らのH電鉄に関する思いをしたためていたのです。

実際に親父から差し出された文章を読んでみると、そこには僕が生まれて初めて知った親父の青春時代のことが書かれていたのです。

親父は、昭和6年生まれなのですが、今の小学生時代から中学生、すなわち当時の国民学校時代に太平洋戦争を経験しました。戦争体験者だったわけです。太平洋戦争が始まった当初、日本軍は連戦連勝で国中が湧き上がるような雰囲気があったそうですが、太平洋戦争の終盤になると、戦争が明らかに不利になってきた状況が子供ながらにもわかってきたといいます。いつの間にかアメリカ軍による空襲も始まり、いつ何時空から焼夷弾が落ちてくるかわからない不安に駆られたのだとか。
国民学校の様子も一変したといいます。学校の授業がなくなり、運動場には食料不足解消のため、サツマイモが植えられたとのこと。親父を含めた同世代の生徒も、授業を受ける代わりに近くの工場で動員されることになったのです。所謂、学徒動員です。親父も学徒動員のためにある工場で動員されたというのです。その工場とは、K鉄道会社。今の関西のH電鉄会社の前身の会社の工場だったのです。

親父を含めた同級生たちは学校を離れ、毎日近くのK鉄道会社の電車工場へ働きに出かけていたのだとか。身分もK鉄道会社の社員となり、社員証をもらったとのこと。そのため、K電鉄は無料で乗れたそうなのです。

朝早くから夜遅くまでK電鉄会社では所定の部署で働いたそうですが、その部署の上司であったK電鉄会社の社員が実に紳士的だったとのこと。当時の先生は今とは異なり、実に厳しい先生が多かったそうですが、学校から離れたK電鉄の工場で親父たちを指導し、監督していた上司は実に親切で思いやりのある男性だったそうです。物腰が柔らかく、丁寧に工場での仕事ぶりを教えていた姿に親父は感心したのだとか。

「今から思えば、当時のわしらが任されていた仕事というのは、小学生がしても差し支えないような仕事ばかりだったと思うよ。そらそうだろう。鉄道のように多くの人を乗せて走る車両の工場で仕事をするには、長年の知識と技術を会得しないできないもの。それは我々の歯医者の仕事も同じだよな。それを学徒動員とはいえ素人同然の小学生にさせるわけにはいけないんだよな。K鉄道会社の人たちの本音としては、いくらお国のためだとはいえ、学徒動員の生徒たちを受け入れるということは大変な苦労があったと思うよ。そんなことをおくびに出さず、丁寧に仕事を教えてくれた当時の上司というのはよっぽど人ができていたと思うんだよ。おそらくその上司はもう亡くなっているとは思うんだけど、太平洋戦争時代に青春を過ごしてきたわしには、そんな大人に巡り合えて幸運だったと思う。」

太平洋戦争当時、生徒や学生だった者も戦争のために駆り出された話はよく耳にしていましたが、親父もそんな学徒動員に駆り出されたとは初めて知りました。学徒動員というと非常につらい話を聞いたりしたものですが、親父にとっては一人の上司の存在が非常に励みになり、目標になったようです。殺伐とした時代であったはずなのですが、そんな時代に希望を持てた親父は幸運だったのだなあと感じざるをえませんでした。

「それにしても、学徒動員とは聞こえはよかったかもしれないけど、いい加減なものだったよ。こんなことをする国は戦争に勝てなかったはずだよ。」



2007年08月08日(水) 東京メタボリック症候群

昨日の日記でも書いたように、先週末は東京へ所用で出かけておりました。ここ数年、東京方面は何度か足を運んだことはあったのですが、東京23区内に出かけたのは久しぶりでした。10数年ぶりでしょう。
普段、関西の田舎に住んでいる僕にとって東京の変貌ぶりは驚くばかりです。以前から東京というのはいろいろな意味で大きな町であることは感じていましたが、今回の訪問では更にその感を強く持ちました。さすがに多くの人が集まり、経済がダイナミックに動き、文化の一大発信基地です。
特に驚いたのが、高層ビルの数です。近年、東京は高層ビルの建設ラッシュだということは耳にはしていましたが、実際に見てみると確かにそうでした。最初に降り立ったJR東京駅の駅前には八重洲口側に大きなビルが建設中でしたし、丸の内側には今年4月にオープンしたばかりの丸ビルが見えました。
その後、タクシーに乗ったのですが、タクシーの運転手曰く

「高層ビルの建設は驚くほどのスピードですよ。私もついていけないほどです。」
「汐留の某高層ビルの建設によって東京全体の風向きが大きく変わった」
なんてことも言われていました。“
本当かな?“なんて思っていましたが、汐留方面に出かける最中にその高層ビルを見てみると、“そうかもしれない”と感じた次第。

お台場、汐留、六本木など東京23区内の高層ビル建設ラッシュはすさまじいとしかいいようがないくらいです。かつて東京タワーが見えていたはずの場所から東京タワーの姿が見えなくなってきたくらいです。経済の専門家の多くは、これら東京の高層ビル建設は一種のバブルだと評しています。確かにその指摘は当たっているかもしれません。高層ビル建設はそれなりの需要があって初めて建設されるべきものだと思いますが、それにしても、今までも多くビルがある以上に高層ビルを建設して、
“果たしてペイできるのであろうか?”
“高層ビルとしての機能をフルに発揮できるのだろうか?”
と思ってしまいます。

箱物を作るのはいいのでしょうが、箱物を利用するのは人間です。箱物は人間が使いこなすことにより輝きを増すものです。仏作って魂入れずではありませんが、東京の高層ビル建設ラッシュには高層ビルを建設することだけに熱中し、その後の高層ビル活用にビジョンがあるようには思えないのです。
東京は全国各地から、世界から人や富が集積する大都市ではあります。常にダイナミックな動きがあるが故に文化の一大発信基地でもあります。当然のことながら町の中に新陳代謝が満ち溢れているのが常ですが、それにしても、高層ビル建設ラッシュには行き過ぎのところがあるように思えてなりません。

今の東京の高層建設ラッシュは何者も止めることができない状態に陥っています。建設中のビルは空高く伸びて建てられていますが、そこまで背伸びしなくても良いのではないかと感じた歯医者そうさん。必要以上に背伸びをした結果はどうなるか?ハッピーエンドとはいかないケースが多いように思うのですが・・・。

例えるなら、今の東京は何か町全体がメタボリック症候群に陥っているようなところが否めないのです。メタボリック症候群を予防するためには日頃からの生活習慣の見直しが不可欠なのですが、一体誰が東京の生活習慣を改めることができるのでしょうか?
十数年ぶりの東京都内を訪れ、高層ビル群の建設ラッシュを間近で見た、おのぼり歯医者そうさんは、東京の今後に一抹もニ抹も不安を感じてしまいました。



2007年08月07日(火) 東京へ行ってきました

先週末から昨日まで、僕は家を留守にしておりました。所用である場所に出かけていたのです。その場所とは、東京です。

東京方面は、ここ数年何度か足を運んでいたのですが、じっくりと東京都内、特に23区内を見たのは10数年ぶりといったところでしょうか?その感想を書きたいといったところですが、帰宅したのが昨夜遅くでした。疲労困憊で帰宅するや否や倒れこむように寝てしまいました。ということで、このことに関しては明日の日記で触れたいと思います。

今日は短縮バージョンでございます。悪しからずご容赦の程を。



2007年08月04日(土) 犬にかじられた入れ歯

急患で来院したのはYさん。Yさんは長年うちの歯科医院に通ってこられている患者さんなのですが、若くして歯周病のために全ての歯を失い、総入れ歯を装着しています。時々、総入れ歯が合わなくなったということで調整のために来院されるのですが、Yさんの総入れ歯は総じて順調で、僕からみてYさんの口の中に非常になじんでいるように思えました。既に総入れ歯を作って10年以上経過しているのですが、入れ歯が割れることもなく、使われていたのです。

先日、そんなYさんが急患として来院されたのです。

「先生、お忙しいところ申し訳ありません。入れ歯が壊れまして修理してほしくて参りました。」

入れ歯は人工物です。人工物と呼ばれるものはどんなものでも永久にもつものはありません。何らかの理由で破損してしまうことは大いにありうることです。Yさんの入れ歯もなじんでいたとはいえ、作ってから10年以上経過していました。

“材質面で限界にきていたのかもしれないなあ。”

そんな思いをしながら、Yさんが手渡した総入れ歯を見て、僕は思わず“おやっ”と思いました。総入れ歯の壊れ方が特殊だったからです。
通常、総入れ歯が壊れる時には入れ歯にヒビが入ったり、割れたりするのが多いのですが、Yさんの入れ歯は前歯の人工歯が何本か取れたり、欠けたり、臼歯部には何かの歯型のようなかじられた痕が何箇所も残っていたのです。

「Yさん、この入れ歯の割れ方は特殊な壊れ方だと言えるのですが、一体どうなさったのですか?」

Yさん曰く
「犬にかじられたのですよ!」

「・・・・・・・・・・・・」

Yさんの話によれば、Yさんのお宅では家の中で犬を飼っているのだそうです。Yさんは入れ歯をはずす時、保管箱に入れ、高い戸棚の中に保管するそうですが、ある夜、呑み会があったYさんは泥酔して帰宅し、入れ歯をテーブルの上に置いたままソファーの上で寝てしまったのだとか。翌朝、目覚めたYさんは、入れ歯をはめようとしてテーブルにおいていたはずの入れ歯を探したところ見つからなかったとのこと。どこに落としたのだろうかと思い探していると、目の前に飼い犬が何やらかじっている姿が見えたのだとか。一体何をしているのだろうと思い、何気なく見てみると、何と飼い犬はYさんの入れ歯をかじって遊んでいたのだそうです。

僕は、とりあえずYさんの入れ歯に合った人工歯をみつけて入れ歯にくっつけると同時に、かじられた痕をレジンと呼ばれるプラスチックで補いました。入れ歯の修理を行ったのですが、それにしても、犬にかじられた入れ歯を修理した経験はあまり記憶にありません。

「これからは入れ歯はいくら酔っていても犬の手の届かぬところに保管するようにします。」

苦笑いしながらYさんは診療室を後にされました。



2007年08月03日(金) いつ夏休みの宿題をしますか?

昨日、小学校の林間学校のような宿泊行事に参加してきた上のチビが帰ってきました。
某所で二泊三日の林間学校だったわけですが、最近は便利になったいうべきか、サービスがいいというべきかわかりませんが、親もチビの林間学校の様子が手に取るように把握できたのです。
というのも、林間学校の様子が時系列で、ほぼ同時進行でインターネット上で公開されていたからです。上のチビの小学校では、学校全体で情報公開に積極的なのですが、その情報公開の一環としてインターネットによる情報公開に力を入れているのです。各学年ごとにブログがあり、そのブログには各学年の行事が詳細に掲載されているのです。
今回の上のチビの林間学校も出発から学校へ到着するまで詳細に、写真、解説付きでアップされていたのにはびっくりしました。どうも担当の先生がいるようで、その人が丹念に生徒たちの様子を写真に撮り、モバイル用のパソコンで編集してインターネットを通じて、学校のサーバーにアップしているようなのです。これら模様はパスワードが無いと見る事ができない仕組みになっていますが、生徒たちは保護者にパスワードが公開されており、パスワードを入力すると、見る事ができる仕組みになっています。
至れりつくせりといった状態です

そんな林間学校から帰ってきたチビは、帰ってきて開口一番
「今回の林間学校のことは作文に書かないといけないんだよ。夏休みの宿題が増えたよ。せっかく夏休みの宿題が終わったというのにねぇ。」

夏休みの宿題。今や僕にとっては懐かしい響きですが、夏休みの宿題を如何に仕上げるかということで悩んできた人は少なく無いのではないでしょうか?僕の周囲に確認してみると、かなりの人たちが夏休みの宿題を夏休みの後半に仕上げていたようです。夏休みという一ヶ月以上の休み。1学期が終わり、暑い夏を迎えついつい気が緩んでしまい、夏休みの前半は遊んでしまった。ところが、夏休みも後半に入ると、し残していた宿題があり、急いで宿題を仕上げるというパターン。

僕は小学校、中学校、高校の夏休みの宿題はいつも夏休み早々に片付けていました。これは母親の影響が強かったからだと思います。母親は夏休み前に常に夏休みの計画を立てるほどの教育熱心で
「学校の夏休みの宿題は7月中に終わらないといけないよ!」
と口癖のように言っていたものです。
そのため、夏休みが始まったばかりの前半は、僕は常に学校の宿題をたくさん解いていたような記憶しかありません。その時はうっとおしく感じていたものですが、実際に宿題を早々に終えてしまうと、気分的に非常に楽で、友人たちが夏休みの後半に宿題に追われている時には、のんびりと過ごしていたような記憶があります。

こんなことを書くと、僕はいかにも優等生のように思われるかもしれませんが、その反動とも言うべきでしょうか、今の僕は期限のある仕事はいつもぎりぎりになるまで仕事をしないという習慣になってしまったのです。
本来なら、期限までに余裕のある日程を組んで臨めばいいのでしょうが、どうもやる気がでないのです。言い方が適切ではないかもしれませんが、どうも尻に火がついて初めてエンジンがかかり、仕事をするようなことになってしまっています。
“いつもこれではいけないなあ“と思っているのですが、この習慣、なかなか治りません。

タイムリミットがある仕事として有名なのが作家だと思いますが、多くの作家は時間に追われ、編集者に急き立てられるようにして原稿を仕上げると聞いています。僕はこの気持ちよくわかります。時間制限があって始めて気合が乗ってくる感覚というのがあるのですね。
ところが、作家の中にもいろんなタイプの人がいるようで、僕が好きな池波正太郎などは常に余裕を持って作品を編集者に手渡していたのだとか。編集者を待たせるようなぎりぎりのタイミングで作品を書き上げることはしなかったようです。うらやましい限りです。

チビには“宿題は早く仕上げないといけないよ”と言っておきながら、自分を振り返ると自分の言っている言葉に説得力がない事実。
少なくとも夏休みの間は、僕も早め早めに仕事をしていくようにしないといけないなあと感じた、歯医者そうさんでした。



2007年08月02日(木) 僕が必ずカルテに記載することとは?

最近、毎日の診療以外に雑用、頼まれ事が多いように思います。何もすることがない暇を持て余すよりはましだとは思うのですが、それにしても一つの用事が終わったと思えば、二つの用事があるといったような感がする今日この頃。僕の鈍い頭では一体何をしなければならないのかわからなくなってしまうことが多いように思います。

自分の記憶力の無さにはほどほど自分で呆れてしまうのですが、自分の欠点をカバーするために行っているのがメモ書きです。一日単位、一週間単位、一ヶ月単位といったように何をいつまでにしなければならないかを自分の手帳に書き込みます。
手帳が手元に無い時は、手元にあるメモ用紙か計算用紙に書いておき、後で手帳にまとめるという作業をしています。
いろいろと頼まれごとを聞いているつもりでも、記憶が残っていればいいのです。ところが、かつて、頼まれごとの記憶が忘却してしまうことがあり、迷惑をかけたことがありました。これでは僕に対する信頼がなくなり、信用されなくなってしまう。
危機感を覚えた小心者の僕は、忘れないうちにメモを取っておき、書くことによって忘れやすい記憶を少しでも覚えておくように、もし忘れたとしてもメモを見ることにより思い出すことを日課としています。

実は、このことは普段の診療でも行っています。それはカルテを書く時です。
僕は、患者さんの症状、主訴、治療、投薬した薬、検査結果などは全て遅滞なくカルテに記載していますが、それ以外に次回の患者さんの治療予定を必ず記しているのです。

本来なら、患者さんの顔を見たり、思い出せば、治療に関することは全て記憶に残っていなければならないのが医師、歯科医師としての義務です。僕もそのようにしているつもりではあるのですが、毎日何人もの患者さんを立て続けに治療していると、患者さんの治療計画が咄嗟に思い浮かばないことがあるのです。前回の治療で話していた治療計画と、当日の治療の内容が変わっているようでは患者さんの不信感を招きます。もちろん、思わぬことで治療計画は変わることがあり、その都度柔軟に対応しなければならないのですが、当初立てていた治療計画は覚えていることが前提です。
間違いがあっては大きな医療トラブルにも繋がりかねません。一種のリスク回避のために僕は毎回治療が終わるたびにカルテに次回の治療予定を記載しているのです。

このカルテへのメモ書きは僕の研修医時代の先輩の先生から学んだものです。その先生は、患者さんの治療内容を記したカルテの最後に必ず以下のようなことを書かれていました。

“Next ○○治療”

記憶力に自信の無い僕は、先輩の先生の習慣を見習わなくてはと強く感じ、以来今に至るまでカルテには次回の治療計画を書くようにしています。

次回の治療予定を書く習慣の是非は議論があるところかもしれませんが、少なくとも僕にとっては患者さんとの意思疎通をはかり、お互いの誤解を避けるためには必要不可欠なことだと考えています。

次回治療予定をカルテに記載する習慣は、今後も続けることでしょう。



2007年08月01日(水) 5年間有難う サイト開設5周年

早いもので今日から葉月8月です。いつもなら暑い夏真っ盛りであるはずなのですが、ここ数日は昼間は暑いのですが猛暑というほどではなく、夜は熱帯夜とは程遠い、比較的過ごしやすい気温、ともすれば寝冷えをしてしまいそうな夜です。

さて、平成14年(2002年)8月1日、僕のサイトである“歯医者さんの一服”がインターネット上に開設されました。日記をメインにした“歯医者さんの一服”。5年間、ほぼ毎日日記を書き続け、今日無事にサイト開設5年という区切りを迎えることになりました。

“歯医者さんの一服”は、文字通り歯医者のことをメインに歯医者が日頃考えていること、歯や口の健康に関する知識、独り言等を綴った日記です。
先日もある知人と話をしていたのですが、その知人曰く

「歯医者にはできるだけ関わりたくないよ!」

これが多くの人の本音だと思います。できることなら避けたい歯医者。けれども、口や歯の健康を考えると関わらざるをえない歯医者。そんな歯医者を少しでもなじみのあるものにしたい、歯医者に対する違和感を少しでも払拭できればと思い、微力ながらも日記を書き続けてきたのが“歯医者さんの一服”日記だったのです。

今から思えばいろいろなことがあったなあと思いますが、正直なところあっという間に過ぎていった5年間だったように思います。
5年以上前、毎朝、日記を更新することが僕の日課になるとは夢にも思いませんでした。また、何事にも三日坊主の僕が日記を続けることができるとは思いもしませんでしたが、何とかここまで日記を書き続けることができたのは、ひとえに読者の皆様のおかげです。誰かに読んでもらい、時にはメールを頂いたり、掲示板に書き込みがある。このことが僕が5年間日記を書き続けることができた最大のモチベーションとなっています。読者の皆様には、ただただ感謝あるのみです。

これからどれくらい日記を書き続けることができるかわかりません。日記を書き続けるということは非常に労力のいることです。現に僕の日記書き友達だったサイトは、この5年の間に諸事情で閉鎖をしたり、自然消滅をしたりしています。僕もいつ何時そうなるかわからないのですが、今のところ何とか日記を書き続ける余裕はありそうです。

駄文ばかり書いている“歯医者さんの一服”日記ですが、これからもよろしくお付き合い下さい。宜しくお願い致します。


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