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2013年05月24日(金) |
酵母も猫も元気です! |
5月の心地良い気候の中、レーズンから起こした自家製酵母はすくすくと育ってくれた。難しい作業はなく、マニュアルに忠実にしたがってやればちゃんと出来るものの、酵母起こしからパンが食べられるまでに一週間、とにかく時間がかかる。朝起きて、まずレーズンと水の入ったボトルを振ってふたを開ける。それを3日間。レーズンが全部浮いて泡がでたら1日置いて、そこに粉を入れて中種を作る。これが思ったようにぶくぶくと膨れてくるのが楽しい。冷蔵庫に入れて会社から帰るとさらにぶくぶくと膨れている。また粉を足して膨れさせる・・・。
そんなこんなでオーブンから芳ばしい匂いが湧き出して、熱々のをはふはふいいながら食べる瞬間は味よりもとにかく達成感に満たされる。
まぁ、一度酵母の中種まで作ってしまえば、5日に一度酵母のメンテナンスをして、あとは思い立ったらすぐにパンが焼ける。
仕事・試験勉強・酵母に尽きた忙しいウイークデイの終わり、金曜というのにどっぷり残業をしてしまい、精魂尽きて家に着いて、バッグの中の鍵を探っているとあの4匹の子猫ちゃんのお母さんに出くわした。まだ近くにいたのだ!気付かれないようにそっと後をつけてみると、その先には4匹の子猫ちゃんが元気に遊びまわっていた。すっかりどこかに消えてしまったと思っていたのに、新居は目と鼻の先、隣家の裏の叢だ。この家の人はおそらく気付いていない。わたしの家の窓からだけ見えるところだ。こんな風に人知れず、駐車場脇の叢に産み落とされて、他人の敷地の端っこですくすくと育つ命、なんていじらしいのだろう。
美味しいパンが焼けて、子猫ちゃん達が元気にしてることもわかって、思いっきり走り出したい気分で、散歩にでると、キレの良い夜風が肌に心地良かった。
2013年05月21日(火) |
アイアンマンのバトル |
結局無難なことだけをして、重くて苦しい問題に触れなければ、世間の反感など買わずに済むのでしょう。その課題について考えているから、発言するし、その中で失言もする。橋本さんの失言に女性達がプラカードをもって抗議してたりする映像を見ると、さめざめしてしまう。先日、あのマーガレット・サッチャーの伝記映画"The Iron Lady"を観た。引き込まれるようなテンポの良さのない映画で、彼女自身のめくるめく波乱に満ちた生涯もこのテンポでは淡々としたものに見えてしまったのだが、わたしはこれを観て、少なくともサッチャーという人に強い共感と反感の両方を覚えた。しかし、それは全て苦渋の決断をしなければいけない立場の人であったからで、彼女が国を良くすることに無関心に生涯を送ったのであれば、彼女の死の知らせを聞いて飛び上がって喜ぶような人もいなかっただろう。
"With all due respect, sir, I have done battle every single day of my life"
あの映画のトレイラーに拾われていたセリフ。戦う人に逆風はつきもの、あるいは逆風あっての戦いなのでしょうけど、個人的には毎日ニュースでやるほどのことか、と思っています。
洗濯ものを取り込もうとバスケットを持ってきたら、先客がいた。見えなかったことにして、そのまま洗濯ものを放り込んだら、それがすごく楽しかったみたいだ。
2013年05月18日(土) |
Pain de quatre-couleurs |
映画「遥かな町へ」の中にあった家族の朝食のシーン。少年のトマが無邪気に食べていたパンに憧れて、真似してみた。カンパーニュにオランジュ・ママレード、フロマージ、ヌッテラとコンフィチュール・ドゥ・フレーズを乗せた。端から食べて甘い甘い・・・と来て、甘くないフロマージでお口直しして、最後にまた甘い、という味(笑)。人生の酸いも甘いも噛み分けた大人には、ちと甘すぎまする。
窓の下で朝のうちにじゃれあっていた子猫達が午後からぱたりと姿を消した。鳴き声ひとつ聞こえない。近所の人達も可愛い、可愛いと見に来て、危険を察知した親猫がどこかに運んでいったのでしょう。数日間あんなに賑やかに5匹の猫がじゃれあっていた草むらはもぬけの殻で、わたしは心にぽっかり穴が開いて、淡い恋心を抱いていた人に去られたような気持ちになってしまった。
どこかでか細い子猫の鳴き声がする、と数日前から思っていたが、今日家の前の駐車場脇の草むらにお母さん猫と4匹の子猫ちゃん達がみんなで日向ぼっこをしているのを発見した。子猫ちゃんは多分生まれてほんの数日。ノラなのに4匹も子供を産んだお母さん猫は、体力を奪われているだろうが、おなかをすかせた子猫達におっぱいをあげなくてはいけない。無闇に自然に手出しをしてはいけないと解っていても、あまりにも不憫に思えて、お水とほんの少しの食べ物を置いておいた。部屋の窓からのぞくと、近所の人が可愛い、可愛いと近寄って見に来ては、誰か飼ってくれる人が現れればいいと話して帰っていく。
クロエちゃんは彼らが気になってずっと窓から離れない。明日食べられるのかなんの保障もなく、自分の体力で打ち克てない病気になったら死ぬしかないノラは、それでも強く生き抜いて、4匹も子供を産んだ。食べるものにこまらず、暖かい寝床も保障されているクロエちゃんは、避妊手術を施されて、子供を産むことはない。人が新しい命を愛でるように、どんな小さな動物だって、子供を産んだら母性が芽生えて強い力が湧き出してくるような感覚があるのではないか。窓の外の子猫ちゃんに釘付けになっているクロエちゃんはなにを思っているのだろうか。
「クロちゃんもあんな風に子猫ちゃん産みたかった?」
聞いてみたが、答えはない。産みたいという感情はなくても、子孫を残すことで健康が維持されるのはどんな動物も同じだ。人間と動物の共生がうまくいかないことで、罪のない動物達が自然の営みを遮断されてしまう。このノラのようにちゃんと子孫を残してもいつ捕獲されてしまうかわからない。切なくなってしまう。
週末に彼らを写真に収めて里親探しをすることにしよう。
2013年05月10日(金) |
10,000 ways that won't work |
高い目標を掲げて努力するということは、それだけで尊敬に値することだ。それなのに、その理想が現実とならないからといって、精神を病んで、結果的に人より堕ちて、人から蔑まれる、あるいは哀れまれる人になってしまっては本末転倒だ。
親友の婚約者が、PhDの取得がうまくいかず、鬱病になってしまったのだそうだ。数ヶ月前、嬉々として婚約指輪を見せてくれて、申し分なく幸せだと言った彼女が、いまは大きな不安を抱えて、日々をやりすごしている。わたしは彼女の話を聞いてあげることしかできない。
理想が現実にならないことで、気を揉むべきではない。電球を発明したトーマス・エジソンは、
"Thomas Edison failed more than 10,000 times when trying to create the light bulb"(電球を創るのに1万回失敗した)
と言われたことに対して、
"I have not failed. I've just found 10,000 ways that won't work"(失敗したのではありません。わたしは1万通りのうまくいかないやりかたを発見したのです)
と反撃したそうだ。だいたい、1万通りのうまくいかないやりかたを発見するほうが、たった1つのうまくいくやりかたを発見するよりもよほど容易い、そういう物事でなければ、それは"目標"にもなりえない。うまくいかなかったら"発見"と、うまくいったら"成功"と思えばいい。理想や目標は、それくらい前向きで明るい気持ちで追いかけるべきものなのでしょう。
2013年05月08日(水) |
June Bride |
数週間前のこと。たびたび"今度一度食事でも"などと独り言をつぶやいていたインド人の同僚が、わたしの年齢を知ってひっくり返ったらしいので(笑)、"もしいい人がいたら紹介してあげよう"とオファーした。彼は頭もいいし、誠実で、なによりお坊ちゃま育ちの素直さがある。日本に来て数年。仕事一筋で一切の出会いがなくとてもさびしいのだという。友人に彼のことを話すと是非とも紹介して欲しいとのこと。それならみんなで食事に行こうか、と彼に伝えにいったところ、なんとなんと・・・
「ありがとう。でもちょっと遅かった。僕結婚することにしたの」
と言うではないか!話が飲みこめず唖然とするわたしの目の前に、インディアンガールの写真まで出してきた。よくよく聞いてみると、あの数週間前のわたしとの会話の後、本国の彼の両親の紹介で出会った女の子と、skypeで会話を交わし、結婚を決めたということらしい。動物は匂いで惹かれあうというという説を信仰しているわたしとしては、実際会いもせず結婚を決めるなんてことは考えられない。なによりも、欧米で教育を受けて、日本で働いている彼が、もろにインド人のオールドファッションのような方法で結婚に至るというのが想定外だった。もうお互いラブラブで、時差を乗り越えて、1日3時間はskypeで話しているのだとか。ジューンブライドだというからあと1ヶ月か。自分の理想に合った人を探すのではなくて、運命をあてがわれた相手と理想を築いていくというのはおおよそのインド人の結婚観のようだ。雨の日も、風の日も、病める時も、健やかなる時も・・・一緒にこつこつと良い関係を築いていくって素敵ですね。
(写真:今日の話題に合わせたわけではないが、夕飯に作ったレンズ豆のカレー、マイルドな豆の味にスパイスのパンチが効いてて美味しかった〜!)
GWもおしまい。色んなことが起きて、しかも試験勉強に追われていて、これといって遠出もしていないというのに、ものすごい長旅から帰還したような気分。もう1週間くらい休みでもいいな。
昨日は気心知れた友人と恵比寿で落ち合って、ゆったりと午後を過ごした。友人の案内で入った代官山の"裏路地の裏の裏"くらいの深いところに佇むガレット屋さんは、若い女主人と犬一匹で甲斐甲斐しく経営していて、それはもうわたしの理想を絵に描いたような光景だった。興味が沸いてしまって、あれこれ聞いてしまったのだが、ビジネスのこともあれこれと惜しみなく話してくれて、いい勉強になった。彼女と犬の関係性もなんだか胸にジンとくるものがあった。ひとりで商売をやっていくって、自由気ままでいいところもあるけど、裏をかえせばうまくまわらない時だってひとりなんだもの。"母子家庭"と呼んでいたけど、子供を食べさせなくてはいけないということが生き甲斐で、その子がくれるやさしい時間が働く原動力となっているのでしょうね。
他愛ない日常の話から人生の話まで、沢山しゃべって、美味しいものを食べて、束の間の愉しい時間でした。
(写真:お土産にもらったル・ブルターニュのガレット。Very Butter!!な味でした。さすがです)
2013年05月04日(土) |
きゅうりのガスパチョ |
家に来た人がプレーンヨーグルトを置いていった。たまにパンやケーキの生地に入れたりするぐらいで、ヨーグルトってどうもそのまま食べない。あとは、きゅうりも食べちゃわなきゃっ、と検索して見つけたきゅうりのガスパチョのレシピ。こんなシンプルなレシピなのにすごく美味しい! ヴィネガーとにんにくがこれまた食欲をそそるね。ミルで轢いた3色の胡椒(これはわたしの生活必需品)と窓辺で栽培したイタリアンパセリを添えて。偶然が生んだ、素敵な出会いでした。
プレーンヨーグルトに付いている粉砂糖を見てこんな話を思い出した。日本語の出来ない同僚に、わたしの知人が、お菓子に入ってる乾燥剤をシーゾニングと思って、お菓子に振りかけて食べてしまったという話をしたところ、彼は、お菓子についてる小さな封によく"Do not eat"って書いてあるので、ヨーグルトに付いてる砂糖もつい最近まで捨てていたそうだ。
空が澄んでて、洗濯物がカラリと乾いて、気持ちよくうたたねできて幸せ。でもそんな日々の中でもそれなりに嫌なことや悲しいことが起きて、心にぽつんと黒いシミが出来たような気持ちになったりする。喜怒哀楽を誠実に受け止めて、向き合っていかなければ、人は成長しないように思う。でも佐藤伝さんが提唱するように、そういう重いことは日中おてんとさまの下でやって、夜は良いことだけに思いを馳せるのがいいでしょう。最近はそういう"感情の管理"がうまくできるようになってきたみたいだ。
わたしはベッドに入ってもどうしても不安や心配ごとがフラッシュバックしてきてしまう時、アルバニーの星空を思い出すことにしている。パースから長距離のドライブでひたすら南下して、夜にアルバニーに到着した時はもうどっと疲れきっていたけれど、漆黒の夜空に輝く満点の星があまりにも美しくて、最高に幸せだった。Jがひとつひとつ星を指差して、南十字星を教えてくれた。その夜ベッドに入って眠りに落ちる時、
"この先に何があろうとも、わたしはこの星達に守られている"
そんな気持ちになった。オーストラリアの不安定で頼りない日々の中で、澄んだ美しい空がいつもわたしを励ましてくれた。だからアルバニーの星空を思い出すと、"わたしは絶対大丈夫"と思える。