FELINO     rin

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同じ時間を過ごし始めて、3日。


ともは毎晩、私の部屋に帰ってきていた。


朝5時半〜夜6時が勤務の私は、22時頃にはうとうと…

夢と現実のまどろみの中でともを待つ。


22時過ぎ、leccaのTSUBOMIが鳴りひびく。


「おぅ」


「おつかれさま」


「寝てたか?」


「ん、うたた寝してた」


「そうか、今日は家に帰るわ」


「…そか」


「ゆっくりな、おやすみ」


「おやすみ…」


通話を切ったあと唐突に、くるしくなった。


強烈なさみしさが襲った。


涙が、とまらなくなった。



私は、四六時中べったりが苦手だ。


彼氏と半同棲したい、とか思ったことはない。


むしろ週に1度会うくらいがちょうどいい。


ずっとそう思っていたし。実際それが心地よかった。


はずだった。



頭で思う自分の姿と、涙がとまらない自分の姿。


このギャップに戸惑った。おどろいた。


頭ではなく、心が求めてた。


「会いたい」



4日目の夜、泣き疲れた私は安心して眠りに落ちた。

ともの腕の中で。
2011年08月29日(月)


「ともさん」


「さん、いらないよ」


「ん?」


「ともでいい」



どきっとしたじゃないか。



割り切った関係、なんてつもりはなかった。


私も、ともも、同じものを抱えてた。


長い間、あたり前にあったものをなくした、痛み。


痛みを癒す、リハビリ。



ともと同じ時間を過ごすほどに

疲れ果てた心が、少しずつほぐれていくのがわかった。


同時に、心のどこかに他の誰にも触れられたくない

とも専用の場所ができ始めていたことも。
2011年08月28日(日)


ともさんの車で流れた曲をふたり同時に口ずさむ。


「歌、好きやろ」


「うん」


「やっぱり」


「ともさんも好きでしょ?」


「うん、今度カラオケいくか 笑」


「いこー♪」


「次、いつ休み?」


「明後日」


ともさん、突然笑い出す。


なぜ、笑う…(・ω・)


「いや、いっしょやったから…笑」


そんな些細な「偶然」がつづく。



ふたりでフリータイム。


たくさん歌った。好きな歌をたくさん。


風味堂の"愛してる"を聞いて涙ぐんだ目…

私は見ないフリをした。
2011年08月27日(土)


私にとって結婚とはなにか。


割り切って考えていたわけではない。

自分の意志で決めたはずだった。


でも、一つのことに捕われていたと気づいた。


両親や祖父母がよろこぶ、結婚。


それが基準だった。



突然決めて、全てを一気に動かして、周りを巻き込んで…

結局、すべてを白紙に、、


本当に身勝手で、最低なことだ。


でも、自分に嘘をつけないとこまできてしまっていた。


私は彼を裏切った。


どれだけ謝っても許されることじゃない。

その事実は決して消えない。


それでも、前を向くことを許してくれた。


彼は最後まで私のことを責めなかった。

立ち止まっていた私の背中を押してくれた。


そして、最後に伝えてくれた。


「俺も絶対しあわせになるから。

 お前もしあわせにならんかったら、許さない」
2011年08月26日(金)


「忘れられないやつ、っている?」


そう聞かれたのは、

私がみつにさよならした一週間後のこと。


タイミングが良すぎる。。


聞いた張本人、ともさんは職場のメンバーだった。


その日のともさんは

5年つきあった彼女から突然「別れたい」とメールが届き、

ひと目で「なにかあった?」と私に言わせるほど動揺していた。


仕事が終わってから、私とともさんはカフェにいた。


ぽつぽつとお互いの恋愛遍歴を話しながら

他愛ない話をして数時間…


「そろそろ送ってくわ」


「大丈夫なん?」


「そんなん言われたら連れ回してしまう」


「いいよ、連れ回して 笑」


別れ話のために彼女を待っている間、

私とともさんは不思議なほど自然にいっしょにいた。


次の日、職場で会ったともさんは

少し充血した目で「おはよう」と笑った。
2011年08月25日(木)


また、ここで。


かくこと、ことばにすることは

私にとって大事なことだ、と

かくことから1年近く離れて気づいた。


web日記を1つ、SNSを3つ、ブログを1つ、ツイッターを1つ


6つのコミュニティを使い分けていた私が

その全てから遠のいた理由はひとつ。


自分に背を向けていたから。


大学時代に追いかけていた政のことも、

社会人になって4年つかず離れずだったみつのことも

エンピツやmixiで日記を綴っていたときは

自分とたくさん向き合っていた。



私は去年9月に婚約して、

今年12月に嫁ぐことが決まっていた。


でも、半年足らずで全てを白紙に戻した。


いや、半年足らず…ではなく

半年もかかった…という方が正しいのかもしれない。



4年間ずっと傍にいたみつと離れることを決めた去年の8月。


みつといっしょになれないのであれば、

私は地元に戻って結婚しよう、と。


そして、元彼である幼なじみと婚約したのだ。


地元に帰るために転勤願いを出し、

1年後の式場を予約し、ドレスを決めて、、


全てが着々と進んでいた、はずだった。


けれど、婚約を決めた直後、私の心だけが歩みを止めた。



「忘れられないやつ、っている?」


そう聞いた横顔から、私は目が離せなくなった。
2011年08月24日(水)




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