酒場と野球と男と女
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2011年10月16日(日) |
みぃんなオトナだぁ〜の巻。 |
つい先日は、末娘の20歳の誕生日。
いよいようちの家族、みぃんな「オトナ」になったわけですな。
通っている大学の友達から、お祝いのプレゼントとともに、
メッセージの書かれた色紙を貰ったようで。
「ほら、可愛いでしょ、みんな字、綺麗だし」
と、やや自慢げにうちのカミサンに見せ、
モグが覗き込んで見ようとすると、
「パパチンには、見せない。絶対、何か言うし…」
と、隠そうとするもんで。
「何も言わんから、まぁ見せてみ」と取り上げ、
(確かに、保育を専攻する子たちだけに、丁寧な字で、
イラストもきれいだし、デザイン感覚もなかなか……)
と眺め、「いいじゃん、いい友だちじゃん」
と言おうとしたときに気がついてしまった。
【HAPPY 20歳! お誕日おめでとう!】
(ん?)
「あれっ?これ、変だぞ」
「まぁた、パパチン何か嫌がらせ言うし、だから…」
「いやいや、これ、ほら”お誕日”になってる。”生”が抜けてる」
「えっ?あ!ほんとだ。気がつかなかった」
カミさんも、覗きながら、
「急いで書いたんだよね。まぁいいじゃん」
と、末娘を慰めるように言い、家事に戻った。
モグは、その「お誕日」という字面と「オタンビ」という
語感が妙におかしくなり、
「オタンビかぁ。んんん、このぉ、オタンビコナス!」
「♪オタンビのあ〜なぁ〜たぁ〜(三時のあなた、風)」
「オタンビは、福助!」とか調子に乗って何度も連呼。
アホなオヤジと最初無視してた末娘も、やや段々険しい顔に…。
(やばっ、そろそろ手仕舞いだぁ)
と思った瞬間、
「いいかげんにしなさい!」と
キッチンから、カミさんのピシャリが。
「ホント、ちょっとのことを、いつまでもしつこいよ」
「ハイっ、スミマセン」と素直に頭を下げる旦那・モグ。
何となく、嫌〜な空気が漂い始めたリビング。
晩飯の支度を終え、食卓の皿を並べ始めたカミさんが、
穏やかに、言うのだった。
「まぁ、J(娘名)ね。この色紙、宝物になるね。
何年経っても、何十年経っても、誕生日を迎える
タンビに、この日が来るタンビに、
色紙を見るタンビに…」
(おいおいおい、何度”タンビ”って!)
「……あらっ、あたしが言ってるわぁ。ゴメンね、アハハハ…」
高笑いのカミサン。
顔を見合す末娘とモグ。
食卓に再び明りが灯りましたとさ。
2011年10月15日(土) |
まだ、やってます、の巻。 |
あれっ?
もうカンバンかと思ったのに。
まだやってんの?
いやぁ、そろそろ閉めようかなと思ってたんでゲスがね。
まぁちょいと「キマグレン」で、へぇ。
(知らないから、流すだけ)あ、そうなんだ。
いやぁ「斎藤ゆうちゃん」で、終わっちゃってさぁ、
何なんだよう!何が「昔、石原。今、斎藤」って、
中々うまいこと「言うちゃん」なぁってさ。
思ってはいたんだけどね。
いやぁ相すみません。
(お返しと分からずさらりとかわされ、ムッとし)座っていい?
へいどうぞ。で、何しましょ?
そうねぇ、ゆうちゃんの続きでもいいけどさぁ、
ちょいと、艶っぽいのはないの?ええっ?
……艶っぽいの、ですかぁ、いやぁここんとこねぇ…。
トンとご無沙汰ってやつ?ですかぁ?
何かあるでしょうよぉ。モグの大将ならぁ。ひとつぐらい。
…へぇ、まぁ、ひとつぐらいでしたら、まぁ、でへへ。
ほらぁ、あるんじゃない。
そこんとこうま〜く、ちょうだいな、ええっオイシイとこ。
いつの艶よ?ええっ?いつ艶?
へぇ、まぁ、旬は旬です。
旬艶?艶旬?いいねぇ、語呂がいいやぁ、
しゅんのつや、つやのしゅん。
小唄のひとつでも呻りたくなるってもんさ…。
♪しゅんの〜〜つやなら〜聞かせてたもれ〜〜
いやぁ、たもれなんてもんじゃぁ…。
もういいからさぁ、早くお願いしますよ、ねぇ。
そうでゲスかぁ?では、艶、一丁、入ります。
よっお!待ってました!成田屋!播磨屋!ツタヤ!カイヤ!
カイヤって、もう誰も知らないでしょうよ。川崎麻世、うわっ!
ほらぁ〜そんなこんなで、もう制限一杯越えそうじゃない?
いやぁお客さんが、カイヤなんて言うからぁ…。
せめて「ミリヤ!」とか若い人向けに言ってもらえれば…。
「ミリヤ」って何?えぇ?若い?人気の?歌唄い?
知らないよ、そんなの。んんじゃ、わかった、違うやつで。
いよっ!ツタヤ!シマダヤ!サイゼリヤ!マスダヤ!
…何だか、全く艶っぽくないですわぁ。食いもん屋ばっか。
つべこべあべこうじ言わんと、早くやってよ!艶!艶!
あべこうじ、いらんでしょう。そんなの入れるから…。
艶!旬の艶!旬の艶!旬の艶!旬の鱧!旬の鱧!
あれっ?お客さん、艶が鱧になってまっせ?
あんまり、艶、艶言わせるから、もうくたびれて、
すっかり骨抜きにされましたわ……。
お後がよろしいようで。
(作:渡良瀬夏雄「旬の艶」)
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