私の雑記帳
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2013年05月30日(木) 「おのれナポレオン」粗筋4(終)

(4)


今まで従僕姿しか見せていなかったマルシャンが、
髪をきちっと整え、メガネをかけ、スーツ姿
(演劇ぶっく6月号P.21左下の写真のです)
で登場。

ヴィクトールに
「お待たせしました。
私がマルシャンです。
いただいたお手紙を拝見しました。
モントロン、アルヴィーヌ、アントンマルキ、ハドソン・ロウ。
懐かしい名前が並んでいて、嬉しかったです。」

「陛下が書いてくださった推薦状がありましたので、
今は会計検査院で働いています。」

とざっと自己紹介。


「あの方たちが語ったことはみんな本当です」

「だが、アルヴィーヌが言った通り、それがすべてではない。」

真相を話すと言い、長くなるから
「温かいうちにカフェ・オ・レでもお飲み下さい。」だか、
「飲みながら聴いてください」だか言う。 ←ここも大切なポイントです。



ここまでにこやかに話していたマルシャンが、
顔をあげ、声を張って
「すべてはここから始まりました」と
高らかに言うと、
軍服姿のナポレオンが登場。

ここからは、
今までに私たちが見てきた場面のダイジェストになる。

セントヘレナでの、軍服姿のナポレオンが総督に
「この島は余には小さすぎる。」
「余は籠の鳥に過ぎない」と言ったところからスタート。


総督に「緩慢な死よりも・・・」と息巻いたところのあと。


これは新たなシーン。
マルシャンを呼んだ陛下が言う。
「余は死ぬことにした」
「だが、余は自殺はしない」
「誰かに殺してもらわなければならない」

「マルシャン、泣いているのか?」

島での有り余る時間をかけて、
ナポレオンが計画した死への作戦を、
マルシャンは乞われて手伝ったのだと言う。


ダイジェストなので、話の流れの中で、
モントロン、アルヴィーヌ、アントンマルキ先生、ロウ、が
登場してくる。
ただし、みんな20年後の姿をしてる。


モントロンでは、

マルシャン「モントロンが陛下の財産目当てだったことは
 知っていました。
 モントロンが酔った勢いで教えてくれました。」
モントロン「俺から聞いたのか?!」
マ「そうですよ。」
モ「全く記憶にないな(覚えがないなだったかも?)」
マ「あなた、陛下の事言えませんよ」
モ「確かに!」(舌をペロッと出す
 +最後2、3公演は客席ピンポイントでにこっ&ちゅっ
  の投げキッスって言い方でいいのでしょうか?)

マ「脱出計画についてもモントロンから聞いていました」
モ「俺から聞いたのか?!」
マ「それが偽りであることも」
モ「自分が嫌になるよ」(情けないよ、な苦笑いの表情)

という会話がありました。


20年前の最後のシーンで総督が抱いていた疑問。
毒薬辞典のこと。

これはナポレオンの指示で、
マルシャンが島の人に頼んでフランスから送ってもらった
ものだった。


ヒ素での毒殺は、初めはモントロンに持ちかけてみたけれど、
反応が鈍いので、アルヴィーヌに計画を変更。
マルシャンが「陛下がパリに戻りたがってる」と吹き込み、
毒薬辞典をアルヴィーヌの目にとまるところにおき、
続いてヒ素も置いた。


先生を誘惑したのは、
ワインの中にヒ素が混ぜられていることに気づいたから。
男色をしかけたのはマルシャンの方。
それで先生を陛下から離れさせた。


アルヴィーヌが島を去った1年後、
陛下の体内にまだヒ素が残っているうちに、
陛下に吐酒石を与えるよう先生に進言したのは
マルシャンだった。

「先生が何かと言うと吐酒石を与える」のを
知っていたからだと言うと、
先生が軽い調子で
「吐酒石は何にでも効くんだよぉ」と言い、頷く。


毒薬辞典の謎に気付いたのはロウで、
マルシャンは4人を集め、
残ったヒ素を5等分して持っていることにした。

確かそう話しているところで、舞台前方に、
上手から、モントロン、アルヴィーヌ、ロウ、
アントンマルキ先生と横一列に並んで立つ。

ここは、一番最初に皇帝陛下が登場するとこと同じく、
天海アルヴィーヌだと4人の身長がほぼ揃うんですよね。
しかもここでは、舞台前方、横一線に立つ。
圧巻でした。
という写真が、演劇ぶっくに載ってます。

そこでは、今後ナポレオンの死に疑問を抱く人間が
現れた場合は、自分たちがその人の口をふさぐと決めた。


そして現れたヴィクトール。

モントロン曰く、
「俺たちは真実を少しずつ話し、君をたらい回しにした。」

君はそれぞれの家で出された飲み物を飲んだよね。
とも言う。
「出されたものは飲まないと失礼にあたるからねぇ」と。

5人が飲み物を進めたときの言葉を一人ずつ言っていく。

そろそろのはずだけど、と、ヴィクトールを見る4人。


「ナポレオンの死に疑問を持たなかったら、
前途有望な医者になれたのにね」とか、
「あの世で陛下がお待ちですよ」とか声をかけたあと、
ヒ素が足りなかったんじゃないの?とか、
賞味期限が切れてたんじゃないか?とか言い合ってる。
いや大丈夫なはずだと話しているうちに、
ヴィクトールは硬直し、泡を吹き、倒れたらしい。

こと切れた瞬間、多分効果音が入り、
音が消えた瞬間、見つめていた4人が息をつく。

マルシャンに促されたアントンマルキ先生が脈を取り、
頷く。

「みなさま、ご苦労様でした」と言うマルシャン。

遺体は私が処理しますと言いながら、
長椅子を片付ける。


4人はあちらこちらに散らばりながら、
モントロンが20年経っても陛下に振り回されるとはね。
と言うと、
マルシャンが今日のことも陛下は予想していて、
織り込み済みでした、と言う。

ここで後ろに座っている(途中からはずっと座っていて、
そこでいろんなことを言い、最後の言葉を言い、息絶えるのも
そこで)ナポレオンが
「いずれ余の死に疑問を持つ者が現れる。
その時、4人は協力してそのものの口をふさぐだろう。」
などと言う。


ナポレオンの言葉が終わると、上手花道でマルシャンが
「陛下からの今日のお駄賃です。」と
言いながら、4つの封筒を出す。

「どうせみんなろくな人生を送っていないはずだから、
喜んでもらってくれるだろうと陛下はおっしゃっていました」
と言いながら、4人の真ん中に立つ。

最初に「いただきますよ」と言って受け取ったのはモントロン。
封筒を開き、額面を見て、紙を指ではじき、にやり。

「あたしも」とアルヴィーヌも受け取る。

「じゃあ、わたしも」とアントンマルキ先生も受け取り、
マルシャンがロウを見ると「ふん!」とそっぽを向く。
「無理すんな、ジジイ」とモントロンに言われるけれど、
受け取らない。
アルヴィーヌに生活はどうしてるの?と訊かれると、
軍隊からの年金があるから、と言う。



5人の立っている位置から            *
ロウが「そうか、わかったぞ」と言い、
それぞれを指さしながら、チェスの駒の名前を
言っていく。

「ルーク(自分=ハドソン・ロウ)、
クイーン(アルヴィーヌ)、
ナイト(モントロン)、
ビショップ(アントンマルキ先生)、
ポーン(マルシャン)」
(順番は違うかもしれません)

「我々はチェスの駒だったんだ。
ナポレオンが動かすチェスの駒だったんだ!」

この言葉を聞いて、全員が
後方に座っているナポレオンを見る。

このとき舞台の床には、
チェス盤のごとき碁盤目のラインが
陰となり出ている。             **



店があるからこれで、と去りかけるアルヴィーヌに
モントロンが声をかける。
「繁盛してるのか?」みたいなことを訊くと
「おかげさまで」。
「今度遊びに行くよ。」
「ワインをごちそうするわよ。」
「ヒ素入りだけどね」
と言い去っていく。


これで皆さんと会うこともないと思うけど。
と言って去って行こうとするアントンマルキ先生。

モントロンが
「大事なことを教えてやろう。
ナポレオンの死に疑問を抱く人間は一人じゃないってことだ」
そう言うと、
先生を追い越して去っていく。

溜息をついて、先生も去る。


残されたロウが去ろうとするとマルシャンが
「あなたには感謝しています」と言う。

イギリスで真実を話すこともできたはずだから。
そうすればイギリスを追われてパリで暮らすことも
なかっただろうと。

すると、「英雄には英雄にふさわしい・・・・」と
いつもの言葉を言う。

するとマルシャンは、総督がそうしてくれるだろうことも
陛下は予測していたという。
「同じ軍人だから」と。

「最後にあなたのような人に会えて幸せだったと
陛下はおっしゃっていました」
と言うと、
「ナポレオンが、そんなことを・・・」
と泣き声になる。

そこにマルシャンが封筒を差し出すと受け取る。

「では、失礼します、皇帝陛下!」と高らかに言うと、
ファンファーレが鳴り、ナポレオンが左手をあげる。

舞台前の階段を降りかけて足を止め、
持っていた封筒を破ろうとしながら
「くたばれ、ボナパルト」。
でも、封筒はマントの内にしまい、
去っていく。


あ。この4人が去っていくのは、
舞台の前階段から、下手側縦通路を通り、
横通路に曲がり、下手横ドア外へ歩いて行くのでした。



総督を見送ったマルシャンは、
ふぅと息をして、
メガネを取り、胸ポケットにしまう。

くるりとナポレオンの方に向き直り跪いて、
「これでしばらくはゆっくりお眠りになれますね」
と言うと、ナポレオンの最後の言葉になる。


「われわれ人間は夢と同じもので織りなされている、
はかない一生の仕上げをするのは眠りなのだ。」
(W・シェークスピア「テンペスト」プロスぺローの言葉より
 小田島雄志訳 白水uブックス・シェイクスピア全集)

「チェックメイト」

舞台背後の窓には、二つの目が映し出されている。


暗転。


【Fin.】


2013年05月29日(水) 「おのれナポレオン」粗筋3

(3)


じゃあ犯人は誰?ということになる。

総督が、
ナポレオンをパリに帰したくない人物で、
パリからの手紙のことを信じているのは誰だ?と言い。

「誰ですか?」というアントンマルキ先生に、
「察しの悪い奴だなぁ」と言いながら舞台奥へはけていくモントロン。


ロウ総督は、アルヴィーヌだと断定。

上手花道の階段前に座っていたアルヴィーヌは、
泣き笑いで力なく
「手紙は嘘だったんですね」と言う。

「どうして殺そうと思ったのか?」と訊いたのは、総督?先生?

アルヴィーヌは「もちろん愛していたからですわ」と言う。

「飛躍しすぎていてよくわからないんだけど」と
アントンマルキ先生に言われて、
陛下に魅せられたときのことを話し始める。

ここで、ブンチャッチャ♪ブンチャッチャ♪と
少し変な調子のギターを弾きながらのモントロンと、
打楽器のお二人が登場。

テレビでも流れた、陛下とアルヴィーヌのフラメンコのシーンです。

モントロンから陛下の愛人になるように言われていたのだけれど、と。

二人きりのダンスパーティでの、
陛下のダンスがとても素敵だった、との言葉が続き。

ギターがフラメンコの前奏に変わり
(ここのストローク、コード進行が、
丸投げの「ミートスパゲティ」によく似てた。笑)、
陛下とアルヴィーヌが踊り始める。
ここの最後が、アルヴィーヌの言う「ボンボヤ―ジュ!」
天海さんのときは笑いがどっと起き、拍手!ということもありました。

そして、私は陛下の子供を産んだ。
名前はジョセフィーヌ。
短い命だったけど。
みたいな話だったと思います。

このあたりでモントロンはギターを
打楽器の方に渡し、下がりなさいと指示。
モントロンだけがそこに残ります。


ある日陛下が、
パリから手紙が来た。パリへ帰るぞ。
と言息せき切って話してくれた。
手紙も見せてくれた。
陛下がパリに戻りたい気持ちを誰よりもわかっていた
自分は、「おめでとうございます!」と言うしかない。

嬉々としている陛下は
「パリに戻ったら妃に・・・」と言ってくれた。
でも。

「パリには私の居場所はない」
「だからパリには行かせない」
と話し。

モントロンに、何故話してくれなかったの?と問うと、
言ったらお前は陛下に話しただろう?と言われてしまう。


ここでロウ総督が挙手「はい」

「はい」と指さすモントロン。

総督は「毒殺は毒薬辞典から?」と質問。

初めは毒殺を考えていたのではなかった
と話すアルヴィーヌ。

ここからは再現シーン。

モントロンに陛下を殺害してほしいと、
紐を渡して頼む。

陛下を殺して、遺言状を書き換えて、
財産をいただきましょう、と
持ちかける。

でも、モントロンは「そのことはもういい」と言う。

「お願い!殺して!!」と懇願し続ける妻の姿に、
「とーしたんだ?!」と言うモントロン。
理由はわからないけれど、
自分の女房が陛下を殺して!と言ってる。
悪い気はしなかったと話す。


決行の夜。
陛下がアルヴィーヌに、
もう寝るからモリエールの「病は気から」を読んで、
と言う。
モントロンには下がれと言い。
モントロンは下がったふりをして、物陰へ。

読み始めてすぐに寝てしまった陛下を
ベットに横にし、枕で顔を抑えたアルヴィーヌ。
陛下はジタバタし、はねのけ、
「死んじゃうじゃないの―!」
「性癖ではすまされませんよ」と言ってる。

そのあとは、絞殺未遂→撲殺未遂→再びの、絞殺未遂、
と再現されていく。


絞殺のシーンでは、そのたびに、
陛下は首にひもを巻き付けたまま
(野田さんは自分の首の前のところに手を入れている)、
モントロンは陛下のすぐ後ろにいて、
その両端を力いっぱいひっぱっているように見せながら、
必死の形相で、一緒に舞台を走り回る。
客席寸前の舞台の端まで走ってきてました。
モントロンが陛下が走って行く方向に、
いつも紐を引っ張っているように見せながら走って行くのは、
とても大変で難しい、二人の息が合わなければできないこと
だったろうと思います。

この直後のモントロンはいつも肩で息をしてました。
シーンとしてもそれでよく、でも、
あの方にとってそれは珍しいことかと。


撲殺未遂の方は。
同じくモリエールを読むアルヴィーヌ。
読みながらモントロンにそこにある鈍器で
陛下の頭を殴れとジャスチャー。

わかったと頷き、燭台?をさも重そうに両手で持ってきて、
いかにもそれが当たったかのような音を
舞台を踏みならす音で表現してたモントロン。

ワザが炸裂してたと思います。いろいろと。


肉体訓練を欠かさなかった陛下は
「いつしか強靭な肉体となっていた」(byモントロン)ので、
一度気を失っても、意識を取り戻してしまう。
しかも、何をされたのかを覚えておらず、
へらへらと笑ってる。
「なんだっけ?」
「ま、いーか!」とか。

モントロンが「ほんとに覚えてねーのかよ!」と言うと、
その剣幕に陛下は
「あ?(私は)また何かやらかしましたか?」みたいなことを言ったり。

陛下が復活するたびに、その復活の仕方と、
モントロン夫妻のうろたえ方や
陛下と夫妻とのやりとりが面白くて、
笑ってしまうシーンになっていましたが。

本当に殺したいわけじゃない二人は、
二度目の絞殺未遂のあと、
陛下に「あ゛れ゛ぇ?」と言われるたびに、
怯えて、陛下とは目を合わせられず、
そっぽを向き切れてもいない表情をしていました。
肩を委縮させて。
陛下は二人の間に立ち、二人の手を握って、
首絞めた?と訊いてる。
茶化してるというか、ふざけてる調子で。

陛下はふと思いつき(きっとお見通しだったのでしょう)、
マルシャンを呼び、お風呂に入ると言って、
去って行った。

あとに残された二人。
最後の絞殺未遂のとき、
モントロンに「おまえも手伝え!」と言われて
片方の端を持ち引っ張ったアルヴィーヌ。
倒れる直前に自分の方を向かれて、目が合った。
最後に手を握り、訊かれた。
それらを思い出してか、
陛下がいなくなるとすぐに、
「ごわい゛!」とモントロンの肩に抱きつく。
ここも笑いのシーンになってた。


そんなわけで、
「陛下は並大抵のことでは死なないとわかりました」
(でしたっけ?ここも笑いどころでした)
とアルヴィーヌ。

そこで。
毒薬辞典をたまたま見つけ、
そこに書かれている
ヒ素で少しずつ弱らせていく方法を、
ワインにヒ素を入れるやり方で実行した。

「でもよかった。陛下が死ななくて。」
「チプリアーニには悪いことをしたけど、自業自得よね」
と泣き笑いのアルヴィーヌの頬を、
ズカズカと近づいた総督がビンタ!

内野さんが自分の手を振り上げた手で叩いて
音を出してました。

「妻に手荒なまねはしないでもらいたい」とモントロン。

何で叩いたんですか?と訊くアントンマルキ先生に、
「わからん!」
「よくわからんけど・・・よくわからん」
自分のしたことに呆然としている総督。

泣きながら走り去る(いったん後ろ奥へはける)アルヴィーヌ。



ロウ総督の下した命令は、
チプリアーニの件は不問。
ただし、陛下のそばに置いておくのは危険なアルヴィーヌは、
パリへ送還する。
陛下には体調を崩したからだと言っておくように。
というものでした。

モントロンはおれも一緒に帰国していいか?と訊きますが、
お前は最後までナポレオンの世話をしろ。
それが償いだと宣告された。


娘を抱き、帰国の途につこうとする、
マントを着たアルヴィーヌが正面奥から登場。
舞台下手の花道の方に去って行く途中、
マルシャンと潮干狩りに行く陛下とすれ違うものの、
一言「達者でな」と言われただけ。
悲しみの中、アルヴィーヌは去って行きました。



アントンマルキ先生が、
しかしナポレオンが実際に亡くなったのはその1年後で、
だとすれば、本当の死因は何なのか?
殺したとすれば犯人は誰なのか?と、
これからのことをイントロダクション。

アントンマルキ先生の言葉を継いで、
モントロンがナポレオンの亡くなる数日前からの出来事を
話し始める。
「ようやく陛下が亡くなったときのことを話すときが来たね」
(でしたっけ?んーーーー、言葉が重なってて変ですぅ-_-)


マルシャンに手伝ってもらいながら、
よたよたとベットに向かう陛下に歩み寄るモントロン。

モ「お加減はいかがですか」
ナ「あまりよくない」
マ「ずっとこんな調子なのです」
モ「なにか欲しいものは?」
ナ「・・・(少し考えて) フランス」
モ「それはご自分でなんとかしてください」

ここも笑いどころになってました。
テレビで流れたゲネプロ映像にありましたね。


ベッドに横になった陛下。
アントンマルキ先生が診察にやってくる。

診終わったところでモントロンが先生に
「本当のところはどうなんですか?」と尋ねると、
「あまりよくないですねぇ」と、
薬は一時しのぎだと、もう長くはないと話す。

そして。
ア「吐酒石を与えてみましょうか。胃がすっきりするでしょうから」
モ「としゅせき?」 
   ↑
 中のお方はいつも丁寧に発音しておられました。

マ「陛下はその味があまりお好きではないのです」
ア「レモネードに溶かして・・・」

ということになり、先生とマルシャンは
吐酒石入りレモネードの用意に行く。

陛下の状態が落ち着いているので、
ベッドそばの椅子でうたた寝をするモントロン。
   ↑
 このうたた寝のコクリコクリが、
 上半身の傾き方と言い、揺れ方と言い、
 すごくうまいんです、シャルルさん。

夜中に目を覚ました陛下がが「誰か―!」と声を出し、
モントロンは目を覚まし、
「私がおります」と近づきながらマルシャンを呼ぶと、
マルシャンがレモネード入りのグラスを持ってきました。


グラスを受け取ると、マルシャンに首で下がれと合図する
モントロン。

「レモネードを呑みますか?胃がスッキリしますよ」
と訊くと、
いただこう、と言う。


ここからはモントロンの見せ場でございます。

「こんな時が来るとは思わなかった」と言い、
いまこそ積年のナポレオンへの恨みを晴らそうと決意。

椅子に腰かけ足を組み、グラスをぶらぶらさせながら、
「人にものを頼むときはそれ相応の礼儀ってものがあるでしょう。」
と言いだす。

陛下は「何言ってんだ、お前?」

陛下に近づいたモントロンは、
陛下の頭をぺしっ。

「モントロン!」と怒鳴られると始まった、
モントロンのナポレオンとの過去の話。

9歳のときにナポレオンに家庭教師をしてもらった
少年は自分だと話し、
「私は誰です?」

陛下が「ナントカカントカ伯爵の息子のなんとか」
と面倒くさそうに言うと、
モントロンは「ちが〜う!」

17歳のときに中尉になって対面したけれど
覚えていなかったナポレオンの言葉に
とても深く傷つけられたと話し、
「私は誰だ?」

陛下が「モントロン中尉」というと、
モントロン「ちが〜う!!」

アルヴィーヌと結婚した時ナポレオンから役職を罷免
されたと話し、
目をむいて「おれは誰だぁ?!」と陛下に迫るモントロン。

陛下が大きな声で
「めんどくせー男だな」と言い
(この言葉は、2回目の誰だ?のあとだったような気もします^^;)、
お客さん大笑い。


「おれは誰だ?」コーナーが終わり(笑)、
片手にグラスを持って
陛下のベットの横に立つモントロン。
ベッドから下り向き合って
「思い出しました」という陛下。

素のような笑い声になりながらモントロンが
「いいや、思い出してない」と言うと、
「そう、思い出してません」みたく陛下は正直に言う。

ここもお客さんは笑ってる。
いつもわかんなかったですよね、
モントロンが笑いだすとそれがあまりにも
素で笑ってるようで。

「い〜んだよ、お前はそれで!」とモントロン。


そして、モントロンの、
グラスを持っての、マジックのようなパフォーマンス
のお時間でございます!

わざと唇を噛んだりしながら、
グラスをくるりと一回転。
すかさず入る陛下の「それこぼれてると思うよ」

聞こえなかったかのように、グラスを振り回してる。
そして、グラスを持ったままの、
アン・ドゥ・トロワでピルエットの2回転or3回転。
シャルルさんは、お客さんから拍手をいただいていました。

公演再開後は、このあと、
グラスの中味を天に放り上げ、グラスで受け取るというマイム
も加わっていました。

マイムの辺りでしょうか。
陛下はここまでじらされて、
そんなことをするのは遺産が欲しいからだろうと言いだし、
枕元に置いていた遺言書を書き換えて、
「ええぃ、持ってけ、ドロボー!」と床に叩きつける。

そのことに気づいたモントロンは拾い、
中の文字を見つめる。

だからレモネードをちょうだい、という陛下にグラスを差し出す。
(遺言書に気を取られてるままに、腕だけ少し伸ばして渡す)

咳込みながらぐびぐびと飲み干した陛下は横になる。


一旦はどうでもよくなっていた遺産が手に入ったと
話すモントロン。

「遺産と引き換えに手に入れた1杯のレモネードで、
ナポレオンは眠った」
の言葉とともに、モントロンは去っていく。



次に現れたのは、
アントンマルキ先生とロウ総督。

二人でベッドの陛下の顔のそばまで行って、
覗きこんでる。

ロウ総督がこちらの声は聞こえているのか?と訊くと、
先生は「聞こえているのかいないのか?」と答える。

総督が席を外してくれないかと言うので、
先生は下がる。


ベッド横に持ってきた椅子に座り、
総督はナポレオンに話しかける。

皇帝まで上りつめたのに
今はこんな簡易ベッドに横たわって死を迎えるなんて、
哀れなものだなと呟く総督。

やがてイギリスにもどり、遠い将来年老いてから、
私が周りに自慢するのは、
あなたと、あのナポレオンと、チェスで対戦したことだと
言う。

たった一度の対戦だったけど、
ナポレオンの打つ手は素晴らしかった。
「私は完膚なきまでに打ちのめされた」

あとから、あのナポレオンと私は対戦したのだと
「感動に震えた」とか、「涙を流した」とか言いながら、
感慨に浸っていた総督に。

「感動に震えたんだ〜」とナポレオンの声。
えっ?!とたじろぐ総督に、
起き上がりながらさらに
「泣いたんだ〜」と笑い顔で言う陛下。

肩で息をしながらも
「では、これからは皇帝陛下と呼んでもらおう」
と言われて頭に血が上った総督は、
なぜか陛下の首を両手で締める。


数秒のち「何をするんだ!」と
上手花道からすっ飛んできたモントロン。

総督をその場からひきはがすと、
首の形の両手のままの総督は
「首のサイズを図ってたんだ」と言い張る。

「帰れ!」とモントロンに言われて去りながらも、
「何色がいいかなぁ?」
「赤、黄色、ピンクなんかどうかな?」と言い続けたところで、
モントロンに「うるせー!」と一喝される。

ここも大笑いでした。


ベッドに横たわる陛下。

「そして、その日の午後、陛下は呆気なくこの世を去った」
と語るモントロン。

陛下は少し起き上がり、
「部隊・・・さがれー」と言って、
ぱたりとこと切れる。

ここで陛下が寝たままのベッドを、
ベッドの骨組みの形の銀色のシートで覆ってしまう
モントロン。



登場したアントンマルキ先生とロウ総督との3人でお話。

「最後は苦しまなくてよかったのでは」
というアントンマルキ先生。

総督が遺体を解剖すると言うと、
モントロンが「フランス人の感情を逆なですることになりませんか?」
と抗議。

総督はアントンマルキ先生に
「やましいところがなければ、解剖すればいいではないか」
と言う。


ここの話の展開の記憶が今ひとつ定かではありません。


総督が、アントンマルキ先生が吐酒石を飲ませたことを
ほんとによかったのか?と言い始める。
吐酒石は劇薬だろうと。

陛下の体内からヒ素は消えたと判断したから与えたんだと
言う先生に、
ナポレオンの体内に本当にヒ素は残ってなかったのか?と
念を押す総督。

二人のやりとりを聴いていたモントロンは仁王立ちになり、
「じゃあ、陛下はお前の医療ミスで死んだのか?」と言いながら
目をむいて先生を見ると、
先生は「えぇぇぇぇぇ〜〜〜っ!」と叫びながらおののき、
モントロンに「その目はやめろー!」と叫ぶとこがありました。

ここもその目はやめろーの寸前まで、
どこかのテレビ番組のゲネプロ映像にありました。

先生は「解剖しようじゃないか」と言いだす。
モントロンが「ほんとにいいのか?」と訊くと、
「やめますか」と翻す。


このあたりで、20年後の姿のアルヴィーヌが登場し、
舞台下手奥に置いた椅子に座っている。


モントロンは先生のせいにするつもりはない、と言う。
アルヴィーヌが陛下に毒を盛り
(アルヴィーヌがうしろで手をあげてる)、
先生が吐酒石を与え(処方し?)、
俺がそれの入ったレモネードを飲ませた。
「寄ってたかって、陛下を殺したんだ」(みたいなこと)と
言い切るモントロン。

すると、
「そして私がそのことを闇に葬る」と総督が言い、
二人はえっ?!と総督を見る。

「解剖は行う。ただし、死因はもう決まっている。
ナポレオンは胃がんで死んだのだ」
と言う総督に、
「もみ消すおつもりですか?」と訊くモントロン。
「英雄には英雄にふさわしい最後がある」と答える総督。

「それがいいかもしれない」と呟くアントンマルキ先生に、
「お前が言うな」と総督の方を見たままのモントロンが
突っ込みを入れる。

「では解剖を」と総督が言い、
3人は舞台からはけるのですが、
アントンマルキ先生が多分下手花道にはけたあと、
舞台後方へ歩いて行く総督の足が止まる。

先に同じ方向へ歩いていたモントロンが
「どうしました?」と訊くと、
「毒薬辞典」と呟く。
あれは誰が島に持ち込んだんだろうと言いだす。

モントロンは自分ではないと言う。
アルヴィーヌも私じゃないと言ってた。
「では誰が?」

モントロンが
「そんな小さなことはどうでもいいじゃないか、探偵さん」
と声をかけ、そのまま二人は下がる。
総督は納得のいかない顔のまま。


この3人の会話の途中、マルシャンが、
ベッドの覆いを外すのですが、ベッドにはもう誰もいない。
マルシャンは簡易ベッドを片付けてしまう。



一人残ったアルヴィーヌが舞台中央を前に歩いて来ながら、
冒頭導入部同様に、
舞台の一番前にいる(ことになってる)ヴィクトールに
「これがナポレオンの死についての(真相の?)すべてです。」
と話しかける。

アルヴィーヌが立ちあがった瞬間から、
舞台の上は20年後のパリ。

マルシャンは従僕の姿のまま、
一度片付けた長椅子を再び舞台の一番前に置いて下がる。

鼻の前で人差し指を左右に振りながら、
「でも、すべてではないとも言える。」

ヴィクトールに、マルシャンを訪ねてごらんなさい、
と言うアルヴィーヌ。
今はずい分と羽振りがいいみたいですよ、と。


2013年05月28日(火) 「おのれナポレオン」粗筋2

(2)


シーン変わって(多分)。

早速ですが。
んーーーー、この辺りちょっと記憶がシロイです^^;


きっと、公演中止前は
モントロンとアルヴィーヌ、アントンマルキ先生が
「チプリアーニの話をしよう」と畳みかけるところが
ここらにあったはず。
とても演劇的で大好きだった、そこ。

そのあと、モントロンとアルヴィーヌは下がる。
舞台にアントンマルキ先生が残る。

陛下は?
それを考えるとここじゃないような?
だけど、この下に書いたことは続きとしてあったはずで
とうわけで、いささか順不同かもしれません。
悪しからず、です。


陛下の診察をするアントンマルキ先生。
耳鳴りや光への過剰反応などを話す陛下。

先生は「普通はそれは加齢によるものなんですが」と言うと、
陛下「加齢臭?」(笑うとこ)

でも・・・と、
これだけ症状が揃うと別の原因が考えられる、
と話す先生。

何ですか?言ってください。と陛下が詰め寄るので、
ヒ素による中毒症状に似ているんです、と言っちゃう。

「余は・・・毒を盛られているのか」と愕然とする陛下。

先生は、この前「毒薬辞典」を見つけたんです。
ここには徐々にヒ素中毒にして
死に至らしめる方法が書いてある。
とも言う。

その場は結局、余の周りにはそんな奴はいないと
はねつけ、マルシャンと潮干狩りに行ってしまう。



先生はその話を総督にして調べてほしいとお願いしたけれど、
芳しい反応がない。
そこで先生は、陛下の料理人チプリアーニに
しっかり見張っててくれと頼んだ。
チプリアーニは報酬を要求。
先生はお金を渡す。

ところが翌日、チプリアーニが突然の変死を遂げる。
症状は明らかに急性のヒ素中毒だった。

当然総督府も調査に乗り出し、
総督は前夜のチプリアーニの行動を調べたと先生に話す。

調査の結果、料理人であるために町へ買い物に出かけられる
チプリアーニは町のはずれにある水車小屋の未亡人と
恋仲(そう言ったと思う)だった。
その未亡人も今日、チプリアーニと同じ症状で急死したことを
掴んでいる。
昨夜おそらく、臨時収入の入ったチプリアーニは未亡人のとこへ出かけ、
美味しいものを食べ、酒盛りをしたのだろうと思う。
酒はここから持ち出したワインで、
何本かを一気に飲んだから、急性ヒ素中毒になったのだろうと
考えられると話す。
ということは、ここにあるワインにはヒ素が入っているということだと。

このとき別件で陛下に近づけない先生は、
総督にそれとなく陛下にそれを話してほしいと頼む(多分)。



ランニングから帰って来た陛下に総督は、
ワインは食事のときにコルクを開けた方がいいのでは、
と話す。
日頃の二人の関係からして、
陛下は素直な言葉は言わない。

総督は、部下に毒を盛られるなんて哀れだなと声をかける。

ここはまず、陛下が暗殺は皇帝にふさわしい。
本望だと答える。ジュリアス・シーザーもそうだったと。

総督は、シーザーは絶頂期に突然殺されたんだ。あなたとは違う。
と、陛下に言葉を投げつける。

その他いくつかの言葉もあり陛下はだんだん苛立ち、
緩慢な死ではなく、一瞬の(かな?)死を自分に与えろと、
総督に言う。

で。
総督がそんなことはさせない「全力でお前を守る!」
(絶対に死なせない)と宣言してしまい、
しまった!の顔をするのはここの流れなんですが、
なあんか薄い白っぽいグレーな記憶です。
二人のやりとりの一部が曖昧

でかい総督ににじり寄られ、
陛下は総督の足を三度踏んで去って行ったと思います。



じゃあ、毒を持っているのは誰なのか?
との話になった総督とアントンマルキ先生。

ヒ素はこの屋敷にあった。
1ヶ月前ネズミが大量発生し、モントロンが町にヒ素を買いに行ってる。
誰でもそのヒ素は使えた。と。
ワイン倉庫の鍵を持っているのは3人で、
その一人はモントロンだと言う。

ということで、二人が初めに疑ったのは副官のモントロン伯爵。

ここの話をしているとき、
モントロンが舞台に出てきて、下手後方に椅子に座り、
薄暗がりの中で、下手ステージシートの人たちに向かって、
「あんなこと言ってるんだぜ、あの人たち」とジェスチャーで
示し、最後に「まいるぜ。」のジェスチャーをして後ろに
はけてくのです。
ステージシート下手、そこの席になったとき、
中の人のオタさんたち(自分含む)は
固唾を飲んじゃうところでした(えへ)。



まずはアルヴィーヌに、
モントロンが陛下の毒殺を狙う可能性や理由があるか
と訊くと、ある!と断言。
理由は、陛下をパリに帰したくないからだと言う。

パリに帰るというのは?
と訊くと、そういう計画があるからだと彼女は言う。
パリの支援者たちとの連絡手段は手紙だと言うので、

手紙をすべて検閲している総督は「あり得ない」と呟き、
大きな声でムキになって、
総督「そんなこと出来るはずがないんだ!」
アントンマルキ先生「落ち着いてください!
どうしてあなたは陛下の事になると平常心を失うんですか?!
さっきまでかっこよかったのにぃ・・・」
ここもお客さんがどっと笑ってました。

「だって、アタシはこの目で手紙を見たんです。」
陛下が見せてくれたんだから、と言い切るアルヴィーヌ。

なんで、それを我々に話すのか?と彼女に訊くと、
自分も陛下をパリに帰したくないからだと答えた。

アルヴィーヌは話し終ると、
きっとモントロンだ。モントロンに訊いてみて、と言ったと思います。
(ちょっとあやふや)



ここから、モントロンさんの見せ場の1つです。

「俺のナポレオンとの歴史は古い。
長くなるけどいいか」(みたいなことを言った)と前置きし。

9歳のとき外交官セモンヴィル伯爵
(史実では母親の再婚相手のようです)の息子として
コルシカで暮らしていたシャルルは、
砲兵隊のナポレオンに家庭教師をしてもらった。
言ってることはわけがわからなかったが、
天才にはよくあることだ。
初めての父親以外の大人の男の人と過ごした1ヶ月は
大切な思い出だった。

17歳のとき、9歳以来憧れていたナポレオンに
中尉として対面。
しかし、
覚えてない。そんな姑息な手を使わず、戦で名をあげろと
言われ、ものすごく傷ついた。

アルヴィーヌと結婚した時、
それが気に入らなかったナポレオンは、
モントロンのベルツブルグ大公国全権公使を罷免、
パリから追放する。
あとから社交界のパーティで
陛下が目をつけていたアルヴィーヌを
シャルルに取られたからだとわかった。

そして、ナポレオンがセントヘレナで幽閉されると知り、
財産目当てで馳せ参じ、側近に加えてもらった。

ナポレオンは自分のことなど覚えていなかった。と言ったり、
ヤツは万に一つもおれのことは覚えてない、と言ったり。
その都度、そんなことを言い添えてました。


セントヘレナに来てからのモントロンにとっての誤算は、
1つはアルヴィーヌが陛下に本気で惚れてしまったこと。
「もっとドライな女だと思ってたのに」


もう1つは、ナポレオンが、
エキセントリックな性格はそのままながら、
腑抜けのようになっていたこと。
だからモントロンのいいなりにできた。
側近を一人ずつ排除して行けたのもそのためだ。


実際に排除していく再現シーンの最後、
そのターゲットはアントンマルキ先生へ。

先に出てきた、アントンマルキ先生が
陛下のお側に行けないと話していた理由がここでわかる。
陛下が嫌いな男色をマルシャンにしかけたというものでした。
これには裏があるのですが、この場はそういうことで。


だから、
「おれのナポレオンに対する忠誠心はまやかしだ」
ときっぱり。

毒を盛ったことを訊かれると、
「それは俺じゃないな」。

アントンマルキ先生「犯人の告白じゃなかったのか!?」


総督がパリからの手紙の事を訊くと、
モントロンは
それが可能かどうかはあんたが一番よく知っているはずだ、
と言い返す。
だったら手紙は嘘か?というと、
確かにあったが、
陛下が喜びそうなことを自分が書いて渡していたんだ。
陛下が哀れでね、と告白。


そのシーンでの、
陛下が喜んでモントロンに手紙の内容を話すとき、
ものすごく冷たい顔してそっぽ向いてる表情(特にその時の目!)と、
話し終った途端にこやかに優しい口調で「よかったですね」と
いうところは、かなりお気に入りでした。
陛下が今から船が来る海を観に行く!と言い張るので
「船が来るのは1か月後ですよ」となだめるその口調と。

海に向かって手を振る陛下を
「やつの姿は涙なしでは見られなかったねぇ」と
せせら笑って言うモントロン。


だから、ヤツは自分の夢の中で生きているだけなんだ。
わざわざ殺す必要なんてないんだ。

財産なんてどうでもいい。
今のおれは一日も早くパリに帰りたい。
「これが偽らざる、今のおれの心境だ」。
(このセリフ、ここじゃなくて、上かも?)




2013年05月27日(月) 「おのれナポレオン」粗筋1

(1)

物語はナポレオンの死から20年後から始まります。

ナポレオンの遺体が
埋葬されていた南海の孤島セント・ヘレナから掘り起こされ、
フランスに返還されたその少しあと、
ヴィクトール(実際には登場せず)という名の青年が、
今はそれぞれパリにいる、
ナポレオンがセント・ヘレナ島に幽閉されていた時に
側にいた人たちを訪ね歩くシーンから始まります。

まず訪ねたのは、
アントンマルキ先生、
シャルル・モントロン、
アルヴィーヌ・バサロの3人(の順で)。

それぞれ20年後の姿で登場しますので、
ここのモントロンはやさぐれver.であり、
アルヴィーヌは安酒場の女主人姿。

3人は「ようこそ」などで始まるそれぞれとの会話分、
その間を置きつつ順番に舞台に登場し、
舞台先端に置かれた長椅子に座っている
ヴィクトール(実際には誰もおらず)に
ナポレオンとの思い出、
在りし日の"私(にとって)のナポレオン"を
話していく。


3人は別々にヴィクトールに会っている。
ヴィクトールは先に会った人から聞いた話をもとに、
そのことやその先を訊きますから、
観ている私たちには
舞台にいる3人の言葉は掛け合いのように繋がり、
会話を聞いているかのようになる。

ここはとても演劇的なシーンだと思いました。
テレビでは一人ひとりの再現映像をつなげていくか、
3映像を重ねて処理するのかな?
ああいう同時進行にはならないと思う。


話の中、
アントンマルキ先生が、
ヴィクトールは小さい頃セントヘレナ島に住み
ナポレオンにかわいがられていたこと、
今は医者だということを、
彼の言葉を受ける形、
「そうですか。〜〜〜なんですね」で私たちに伝えていく。

そのあといきなり、
ナポレオンはヒ素により毒殺されたのではないかと
ヴィクトールが切り出す。
ヴィトールの子供の頃の思い出に残る、
ナポレオンに見られたヒ素中毒とも取れる言動についてや、
フランスに返還されるときに掘り起こされたナポレオンの遺体
の状態から考えられることを問う。
という形で、アントンマルキ先生が
ナポレオンの死の謎についての現在の考察を説明していく
(ことになる)。

つい声を荒げるアントンマルキ先生。


次にモントロンを訪ねると、
ヴィトールのことを覚えていると言う。
こんなに小さくて、陛下にかわいがられていたね、と。
モントロンはナポレオンの死のときに
そばにいたのは自分だと、
臨終の様子を自分で再現もしてた。
陛下の最後の言葉は
「部隊、下がれ」
だったと話してた。


3人目に訪ねたのはアルヴィーヌ。
陛下がいかに自分を愛してくれたか、
自分は陛下の子供を産んだのだと話す。


公演中止前、ここのモントロンとアルヴィーヌの言葉の
繋がり方が素敵でした。
別々の空間にいるはずの二人が、
お互いがいかに皇帝陛下を愛していたかを競うように
言葉を畳みかけていく。
相手をののしったり、せせら笑いながら。
複雑な関係性や気持ちを反映しつつも、
愛憎ありありで。
公演再開後は残ったセリフもありましたが
そのボリュームが減らされていたところであり、
公演中止前のそれ、本来のそれが大好きでした。


アントンマルキ先生が声を荒げたことを歳のせいにして謝り、
ナポレオンの遺体を掘り起こしてフランスに返還するとき、
当時の関係者が集まったのに、
もっとも多くの遺産をもらったモントロンは来なかったと話す。
怪しくないですか?と。


「それで俺のとこに来たのか」とヴィクトールに言うモントロン。
セントヘレナに行けなかったのは、
「お恥ずかしい話、行く金がなかったからだ」とあっさり。
今は安下宿に暮らしてる、女たちに食わせてもらってると、
「いわゆる"ジゴロ"。いけませんか?」と笑いながら。
こんな経済状態でセントヘレナに行けるわけがないと。

あなたが殺したんでしょう?と訊かれたようで、
笑いながら「そう。俺が殺した。」と言ったあと、
嘘だよと、「おれは殺しちゃいない」と否定。


アルヴィーヌも「私でもないわ」と言い、
アントンマルキ先生が「そして私でもない」。


アルヴィーヌがヴィクトールに、ハドソン・ロウを訪ねたか?と訊く。


3人退場。
ここまでが3人による冒頭の導入部。
おもしろかった!大好きです!!

このシーンでは、忘れちゃいけない、もう1つ。
この作品では、上手がモントロンサイドと言われていました。
それはそうなのですが、特に、
モントロンは登場後のこの最初の場面で、
自分が話すときもそうでしたが、
それ以上にアントンマルキ先生やアルヴィーヌが話すときは、
上手に置いてあるベッド周りにいました。
上手ステージシート側に顔を向けて。
ベッドや上手花道への階段に座って、
髪をくるくるしてたり、撫でつけてたり。
ベッドの横にしゃがみこみ、シーツを撫でたり。
ときどき、二人の言葉に
正面を見てニヤッと笑ったり、
相槌打ってたり。
しかも、あの色気ダダ漏れのやさぐれver.。
私はそこに座ったことはなかったのですが、
それはそれうもう。
だったことは、記しておこうと思います^^



そして腰の曲がった老人のハドソン・ロウがガウン姿で登場。
今からなにか破壊的なことが起こりそうな、
重々しい音楽が流れると、
ロウの回顧が始まるようになってた(と思う)。

ロウは、ナポレオンの死後イギリスに戻ったとき、
英雄を劣悪な環境で死に至らしめたと責められ、
イギリスを追われ、今はパリで暮らしているという。


セントヘレナでのことを話し始めると、
アフリカンな太鼓の音がして、
後ろ向きになったロウがガウンを脱ぐと軍服姿。
袖口を使って引きぬくようにして、
一瞬での変化を手伝うのはマルシャン。
あそこはむしろ、黒子的な役割だと思います。


ロウ総督は声色を変え、腰をぴんと伸ばし、胸を張って、
颯爽としてる。
ここからは20年前のセントヘレナ島。

舞台奥の窓の外に見える風景でも、
その時はどこにいるのかを見せていました。


まずは、ロウ総督がナポレオンに初めて会ったときの話へ。

アントンマルキ先生、モントロン、アルヴィーヌも
20年前の服でそれぞれのセリフから登場してくる。

モントロンはほつれや綻びのある、埃まるけの軍服姿。
あの青いオスカルみたいなのです。
そして、陛下の過去の輝けるあれこれを話し、
要は敬意を十分に表すように言う。
支配するやり方もあるけれど、
うまく相手に合わせて友好的にやる方法もあるだろうと言う。

実直なイギリス人はもちろん、なにをばかな!的な反応。

でも、ロウ総督はナポレオンに会うのを楽しみにしていた。
あくまでも、捕虜を支配する立場として。

フランス人3人が今でも皇帝陛下に接するように振る舞い、
ロウ総督にも同様にしてほしいと要求されて、
少しの戸惑いとともに笑いだし、断ると言う。

ナポレオンの登場が近いと、一列に並ぶ3人。
モントロンが「あなたもここへ」と言うものの「断る!」。
アントンマルキ先生に「今日だけは」と言われ、
モントロンと先生のダブル指さしで「ここへ」と促され、
しぶしぶ立つ。


プレビューの初日、ここでまず「おぉっ!」と思いました。
4人の身長がほぼ同じ。
高い壁のようになって揃うのです。

ここでようやく野田ナポレオンが登場。
テレビ(MX Tokyoでのゲネプロ映像)でも流れた
「急げ。潮が満ちる」のシーンで、
ナポレオンは一瞬で奥へ。

高い壁の前を、小さい人が小股でちょこちょこと走りぬけていく。
それだけでオモシロイ。
この視覚的効果は抜群でした。


潮干狩りに行ったようだと話した
フランス人側近3人は海岸の陛下のところへ。



一人取り残されたロウ総督は、
去り際のアルヴィーヌに肩に掛けられたガウンを
再びきちんと着て、
舞台は20年後のパリに戻る。


ヴィクトールに、ゆっくりしていけるのならいくらでも話すと言い、
次に話し始めたのは、
ナポレオンたちが住むロングウッドの屋敷周りを塀で囲み、
地元の人たちとの交流を遮断したことだと話す。

その話の途中からまた、ガウンを一瞬で、
やはりマルシャンに引き抜いてもらって脱ぐことで、
舞台は20年前のセントヘレナ島になる。


ここまでで、
4人がそれぞれにヴィクトールに何度か、
出した飲み物を「どうぞ」の言葉で進めている。
これが物語最後に大きく繋がってる。



ここでしっかりとナポレオンが登場。
家の周りを塀で囲んだことをロウ総督に猛烈抗議する。
小さい男が甲高い声でまくしたてる。

ロウ総督はナポレオンを捕虜として支配したかった。
モントロンがこのあたりのどこかで、
総督はナポレオンをとても怖れていた、と言ってました。
だからこそ、支配したかったのでしょう。

だから塀で囲んだことを抗議するナポレオンを、
徹底的にはねつける。


また、ナポレオンは「余は捕虜ではない」
自ら投降した「イギリス軍の客人である」
客人は丁重にもてなすものだと言い張る。

すると、総督から、
イギリス軍がナポレオン一人のために
どれほどのお金をかけているかを説明されて、
その金額の膨大さにナポレオンはほくそ笑む。

うふ♪って肩をすくめて笑う野田ナポレオン、
かわいいんですよねー(笑)


次にナポレオンは、
ロウ総督が「ボナパルト将軍」と呼ぶことに抗議。

ロウ総督はすでにあなたは社会的には皇帝じゃない。
捕虜なんだから呼び捨てでもいいくらいで、
あえて「ボナパルト将軍」と呼んでるんだから、
とはねつける。


何もかもを拒絶されて、
「じゃあー、余はぁー、この屋敷から出なぁい。」
で始まる子供がすねるようなことを言って、
そのくちょうはどんどん本気の口調になり、
バン!とドアを閉めて家に入って行く。



翌朝なのか数日後なのか。
モントロンがロウ総督の元へ。
ボナパルト将軍はどうしているか?と訊くと、
散歩中だと言う。
「部屋からは出なぁーい」と言っていたのは
何だったのだ?と問う総督。
モントロンは「ああいうお方ですので」と、
だからどーした?的なあしらい方で答える。
あなたも大変ですなぁとモントロンに同情する総督。


モントロンは、ナポレオン宛の手紙がすべて開封され、
検閲されていることに抗議する。

モ「抗議の手紙を書かなければなりませんね」
ロ「どうぞ、どうぞ。」
モ「その手紙も検閲されるわけですね」
ロ「もちろん」
モ「では、無駄なことはやめておきましょう」

そんな会話があり、
「物分かりのいいフランス人もいるんだね」と言われる。


次に、イギリス政府から支給される予算では、
自分たちは暮らしていけないと訴える。

ロウ総督は毎週のパーティをやめたらどうだ?と言うだけ。
「私たちには欠くべからざる習慣なのです」と
遠慮がちに言ってみたけれど、歩み寄ってくれるはずもなく。

「物分かりのいいフランス人はこのあたりで。失礼!!」と言って
モントロンが去りかけると、
総督がベルサイユ宮殿から持ってきたものを
島の人たちに売ってはいかがか?
価値がわからないだろうから二束三文にしかならないだろうけど、
食費の足しにはなるんじゃないの?と提案。

モントロンが去ったあと、
彼らは実際にいろんなものを売ったのだと、
ロウ総督が話す。
そんなみじめなナポレオンが見たかったのだと、
高笑いで去っていく。



アルヴィーヌが語る皇帝陛下の一日は
ここであってますか?

「お目覚めは6時。でもすぐにはお起きにならず・・・」

「しばらくするとマルシャンを呼びます」

「食事は・・・よく見るとあまり噛んではいらっしゃらなかったようです。
戦地での生活が長かったので、・・・・・」

「そして食事の後は肉体訓練!」

というアレです。

午後の肉体訓練のところでは、
アルヴィーヌお二人はそれぞれの形で、
訓練を強化しておられました(笑)



続いて、同じくナポレオンの一日の
政治的な側面、とはいっても、
もはやナポレオンの空想の世界に過ぎないのだけれど、
それをモントロンが説明。
空想の内閣人事を発表したりするシーンが続く。

モントロンは警察大臣。



そのあとはアルヴィーヌがトルコ風のガウンを持って登場しての、
陛下が見たいと言った、モリエールの「町人貴族」でしょうか?
(あくまでも質問でございます。笑)

ママムーシというのはトルコの兵士のことだそう。
(別項、引用のところで少し書く予定です)

モントロンとアルヴィーヌが演じるそれ。
二人は素人くさく演じてみせ、
「ドキドキさせないで。もういいよ」(要旨)と言われる。
だいたい、なんで途中からなんだ?と訊かれ、
それは「陛下が面白いところだけでいい、とおっしゃったからです」
とモントロン。
「どうせモリエールには大した筋などないから」と言われたからだと話す。
「言ったね〜」と陛下。

ここの「どうせモリエール〜」の言葉の
野田ナポレオンと山本モントロンのユニゾンは、
揃うほどにわくわくしました。

いっときちょっとずれたりもしてたんですけど、
最後の方の公演では丁寧にきちんと合わせていたように
聞こえました。


陛下にマッサージしてくれと言われるアルヴィーヌ。
ピアノを弾いてとも言われ、
もう弾ける曲がない。何か弾いて。のやりとりの中で、
ナポレオンはベートーベンを嫌いで曲を聞いたことがないことが
話されていく。

マッサージとピアノの両方をやってと言われて、
アルヴィーヌがすごく困る様子をコミカルに見せていくところ
でもありました。

モントロンは椅子に座って、
ベット際のアルヴィーヌとピアノの両方を左右に見たあと、
「たいぶあるなぁ」と言って眺めてるだけ。


ピアノの前にいるアルヴィーヌに近づく陛下。
モントロンに去るように言い、
モントロンは「パリの社交界で数々の浮名を流した妻」と
「女性には全方位的な愛を示す陛下」との当然の成り行きを
話してから去っていく。
最後に、
「アルヴィーヌに陛下の愛人になれと言ったのは、この俺なのだから」
と言い添えて。

ここの最後のモントロンの声は、
自嘲の笑いが混じりつつ、ドスが効いてましたね。


ピアノを弾くアルヴィーヌを抱きしめる陛下。
パリに戻ったら妃にするからというのに、
バカなことをと言い返す。
陛下と陛下の最初の妻ジョセフィーヌに嫉妬するアルヴィーヌとの
言わば痴話げんかはここ。



次のシーンは多分、陛下とロウ総督のチェスの対戦を
中心としたところ。

対戦の前に、
陛下が「アントンマ〜ルキ♪」(軽やかにかわいらしく)と言い、
チェスと実際の戦いの違いがわかる?と訊いてるシーンが
ありました・・・よね?
「(それは)天候だよ〜^^」と言い、
陛下が沖縄風イントネーションで説明してたのはここです、よね?


陛下と総督の対戦を思いつき、仕掛けたのはアントンマルキ先生。
ナポレオンがチェスの名手で、
側近には勝てる者がいない。
同じくチェス好きのロウ総督に、対戦しては?と持ちかける。

下手花道から「チェスの歴史」(洋書)を読みながら
出てきた総督は、名前が聞こえて、
LA-1のお客さんに「ちょっと持ってて」とその本を預けて
舞台に上がられてました、毎回。
本の名前は、その席に座った友が教えてくれました。
(ありがとうございました!)

あくまでも皇帝陛下と呼んでほしいナポレオンと
そうしたくないロウ総督。
陛下が勝てばロウ総督は「皇帝陛下」と呼び、
総督が勝てば陛下はその呼び名を諦める、ことにした。

新聞や雑誌などに載ったチェスのシーンはここです。




とっととさっさと(笑)次の手を打つせっかちな陛下に対して、
総督は熟考型。
なかなか次の手を打たない。

その間、陛下はモントロンに、
もし君だったら次はどんな手を打つ?と訊いたり、
この展開は1976年のイタリア戦役のときの
分断作戦のようだと言ったりする。

総督の手を次々に予測する陛下にいら立った総督は、
分断作戦と言えば、と
ワーテルローの敗戦のことを言い出して、
陛下を挑発。

慌てるモントロン、アルヴィーヌ、アントンマルキ先生。
ここらの3人の「ちょっとあれ何?」的なわちゃわちゃは、
見ていておもしろかったです。
そういうとこもお上手でいらっしゃいました、お三人さん。

総督の挑発はどんどんエスカレートし、
モントロンが総督に近づきかけると辛うじて制すものの、
結局、陛下は立ちあがり、歩き始め、
最後に握っていたチェスの駒を床に叩きつけることに。

直後我に返り、
君の挑発には乗らない。目の前に戦いに専念する。
と静かな声で陛下がいい、
そのあとの駒の動かし方全部を一人で説明。
「チェックメイト」を宣言する。

「おめでとうございます」と言う3人。
そこにぼそっとものすごく小さな声で総督が
「タッチ・アンド・ム―ブ」だと言いだす。
さっき陛下が投げた駒を再び手に取ってからの動かし方が
反則だったと言い張った。
チェスに反則負けのルールはないから
そこからやり直すだけだとアントンマルキ先生が言ったものの、
総督はそれを拒否。
その場を去ろうとすると陛下が声をかけ、
「実戦なら君は負けていた。
実戦に反則負けはないから。
今日の一戦がチェスだったことを、神に感謝したまえ」と、
おそらくは素の声で言った。

「このとき、ナポレオンを心底殺したいと思った」と呟く総督。
"おのれ"の一例ですね。


2013年05月04日(土) 「おのれナポレオン」観劇




5月4日の夜、池袋の東京芸術劇場で「おのれナポレオン」を観た。
三谷幸喜の舞台は前から観たかったのだが今まで1度もチケットが取れたことがない。しかし今回は大好きな内野聖陽と山本耕史が出ると聞き尚且つ天海祐希に野田秀樹である。こんな豪華な顔ぶれの舞台、見逃したらもう2度とこんなチャンスはないと思い必死でチケットを確保。中央より後ろの上手寄りの席だったがチケットが入手できただけでも有難い。
舞台の感想は今更ながら期待通り面白かった。演劇について語れるほどの知識も無い素人なので感動してしまうのかもしれないが。とにかく面白い作品、ライブを堪能した。

内野聖陽は仲代達矢を連想させ、芸達者な役者の姿を見せてもらった気がする。天海祐希は映像ではそれほど凄いと思ったことはないが流石は宝塚、舞台映えして輝いていた。やはりこの人は舞台で一番映えるタイプなのだと思う。THE演劇人であるところの野田秀樹、舞台も観たことがなく何一つ知らないこともあり注目して観たのだが、なるほど今回の舞台だけで言うのもおこがましいけれどこういう人であったのね。こんなに有名なのに映像は僅かに大河を見たのみなので、舞台を見ない限り演劇人としてどんな人か殆ど知り得なかったので良い機会に恵まれた。ただし今回は役者としてのみだが。

ちなみに今回のナポレオンの役柄の印象は、その無邪気な振る舞いから全然関係ないけどNHKの人形劇「新三銃士」の年若い王様ルイ13世(声は山寺宏一)を連想してしまった。

山本耕史も想像以上に舞台栄えがして素晴らしく期待通りでした。父が生きていたら「磐音(NHK「陽炎の辻」)を生で観て来たよ」と話しただろう・・。

今回そういう国とか時代だからだろうけど「ベルサイユのばら」を連想してしまった。一世を風靡した宝塚のイメージもあるのかもしれない。

やはり舞台は生ものだとしみじみ思う。脚本、演出、役者の良し悪しとか出来不出来も含め、生で見てこそ伝わるものがあり、これを映像化したものだけ観たのでは良さは全ては伝わらない。まぁ言うまでも無くそれが舞台というものだろうけど。

有名な人達のものはなかなか観られない。観に行くまでは色々と大変だったけど、そこそこの位置で観られてよかった。
5月9日のライブビューイングも可能なら見たいけど、当地ではそれも叶わない。夏にWOWOWでやるらしいのでその時までお預けかも。(それも我が家では見られないので知人に頼むのだが)




今井朋彦は声がいい。聞きとり易くよく通る。調べてみたらこの人も文学座で、なるほど上手なわけです。浅利陽介は「キッズ・ウォー」から見ていたけれどまさか舞台で観る日が来るとは感慨無量、事前にブログもちょっと見ていたのでわくわくしながら舞台を観ることが出来ました。

とにかく、才能のある舞台人達の創り出す舞台を観て楽しんだという幸せな舞台観劇でした。


pearl〈パール〉 |MAIL

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