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2005年06月06日(月)

一日一ファック


昨日と今日と明日。毎日の繰り返しのリズム。同じことの繰り返しの日々。それは退屈で平凡で少し物足りないけど、深く考えない。あたりまえだから。
しかし、日常を覆すような出来事は、いつだって突然やってくるのだ。予告なんてあるはずもない。



 朝7時30分、携帯電話のアラームが鳴る。7時30分から5分刻みに8時まで延々鳴る。私がそのアラームに気がつくのはいつもラストコールの8時か、調子の良い時で7時55分。特に低血圧ではないけど寝起きが悪い。理由はわかっている、毎晩寝酒を飲みすぎなのだ。
 ピーピー、ピーピー、ピーピー!、ピーピー!!
(アー、まじうるせー・・・)
 だんだんうるさくなっていく音にイラつきながらやっと目を覚ましてアラームを止めた。寝起きは悪いがここからの行動は意外と早いのだ。のそのそと布団から抜け出しまずは洗面所。歯ブラシに歯磨き粉をたっぷりのせた口の中に突っ込む。
 シャコシャコシャコ・・・
「・・・!」
 げーっと吐き出した。
「・・くそっ、ファック!」
 歯磨き粉と洗顔フォームを間違えた。2つ並んだ歯磨き粉と洗顔フォーム、形状も色も形もまったくに過ぎている。今月に入ってから間違えたのは2回目だ。前回は歯磨き粉で顔を洗った。まったく泡立たないことに疑問を感じない自分に腹が立った。
 歯を磨きなおして洗顔をすませ、顔全体に化粧水を念入りにたたく。ドモホルンリンクルの「よーく叩いてください」というCMが脳裏に焼きついたその日から私は化粧水はよーく叩くようにしている。乳液、美容液をつけて軽くメイクをして長い髪をブローする。起きてからここまで15分。なかなかスピーディだ。
 初夏のコーディネートを心がけた、白い7分丈のシャツにモスグリーンのプリーツスカート、控えめなゴールドのパンプスにベージュの大きめなかばんをもって家を出る。8時30分。布団から出て30分で家を出るのも、いつも通り。
 駅まで徒歩10分の道のりをMP3プレーヤーを大音量にして歩く。今日の選曲はgreen day。ロックを聴いて目を覚ますのは、月曜日の朝の憂鬱を振り払うにも大変効果的だ。
 MP3の音量を小さくして、バカみたいに混みあった電車に乗りこみ、私の働く会社の駅に着くのに15分、さらに駅から歩いて5分で会社に到着。制服に着替えるのに5分。そして、始業5分前にデスクに座る。ああ、イヤになるくらい、計算しなくても、予定を立てなくても、寸分狂わずいつもの日常どおりだ。一日一回は心の中で「ファック!」と叫んでしまうのも今日は朝から出た。30分後にはそんな私の世界が大きく動き出すことも知らずに、静かにパソコンの電源をオンにした。2004年の、初夏の月曜日だった。





      

SAKURA