しろにじ創作倉庫



エゴイスト

2006年09月22日(金)

ひとを想うことは罪深いことなんだって

わたしが子どもだった頃

大人たちが言ってたわ。

わたしは 誰かを悲しませたり

誰かを恨んだりしたくはないよ。

でも エゴイストになれなくちゃ

恋なんてできない。

どこかで自分に嘘ついて

どこかで誰かを騙してる。

ねえ、知ってる?

偽るっていう字は人の為って書くんだよね。


ヴィジョン

2006年09月10日(日)

私は一人、永遠に一人で、

今までも これからもずっと一人なのだと。

それはある種の予感にも似た思い。幼い頃からの儀式。

風の強い夜 毛布にくるまって

将来のヴィジョンを思い描くたびに

私はいつも一人だった。

それが暗示するものを そうとは知らずに大人になってきたけれど、

きっと 旅人にも定住者にもにもなれず

どこにも居場所を見つけられず

それでもどうにか生きていくのだと。

ああ、その寂しさを不思議と厭わなかったのは

人は誰もがそういう存在だと 幼い自分は知っていたから。

常に得られないものを求める 人は寂しい生き物だから。

でも、その寂しさが 震えるくらい私は好き。


悲劇なんかじゃない

2006年09月02日(土)

日々繰り返される痛ましい出来事
キャスターは繰り返す
悲痛な顔をして
これは悲しいこと 起こってはならないこと
この悲劇を避けるために 我々は何ができるでしょうか

われわれ?
あの人たちの言う我々って 誰と誰?
きっとその中に あたしはいない
顔のない視聴者だもの
数字だけにすらなれやしない

垂れ流されるニュースは ことさら悲劇性を強調するけれど
あれは悲劇なんかじゃない

悪人が善人に変わって
被害者は加害者に変わって
だけど明日にはまた それが入れ替わる

雛形通りのからっぽの言葉
からっぽの哀れみ
あたしは知ってる
痛みは麻痺していくことを

世の中のカラクリと根深い原因
それを知ったところで どうしようもないってことを

全ては 起こるべくして起こった必然

だからーーー
あれは悲劇なんかじゃない
絶対に 悲劇なんかじゃないんだ

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