2023年01月24日(火) |
終活中毒 / 秋吉 理香子 |
SDGsな終活
余命わずかな女性を見つけて、結婚し、看取り、遺産をいただくのが僕の本業だ。病院で働くのは、ターゲットを探すため。
最期の終活
一人暮らしの高齢者宅を狙って、架空のリフォームを契約し、法外な値段を請求する。
小説家の終活
後輩の小説家が亡くなって、形見分けでワープロを貰った。 そこには未発表と思われる小説が残されていた。
お笑いの死神
芸人として成功する前にがんで余命宣告されてしまった。 最後にお笑いのP1グランプリに 何としてでも優勝したいと思った。 伝説の死神が観客席にいたが、それは幼い頃に生き別れになっていた父親だった。
2023年01月16日(月) |
人はどう死ぬのか / 久坂部 羊 |
メディアばかりでなく、フィクションの世界でも、医療がらみのジャンルでは、明るく楽しく感動的な物語がもてはやされています。ハッピーエンドのドラマを見て、視聴者が現実の医療もこのように素晴らしいものだとは、まさか思わないでしょうが、それでも心の準備を怠らせ、いざ自分が深刻な病気になったとき、深い絶望と怒りを味わう危険がたかまります。 本書では、悲惨な現実や辛口の指摘を書きましたが、それは危機管理として、心の準備をするために必要だと思ったからです。実際に医療の限界や矛盾、不条理をみききした者として、不愉快な事実であっても、それは率直に伝える義務があると思っています。
ー あとがきより ー
一月前に主人を亡くしたので、死を現実のものとして経験した。 正直に言って終末期の医療に絶望した。 以前読んだ本の「大往生したければ病院と関わるな」である。 でも仕方なかった。
この本に書かれている病院で死ぬことの現実を目の当たりにした。 尊厳死協会に入会していたのにだ。 尊厳死受容の医師も現実にはおられるのだから、決めつけることはできないにしても、いまのコロナワクチンの是非論にも通じる気がする。
感想としてはよくぞ書いてくださったと、感謝しかない。
私自身、どんな最後を迎えるのかわかりませんし、上手に死ぬ自信もありません。あれほど在宅死を勧めていたのに、自分は病院で死ぬかもしれません。 最後の最後まで治療にこだわり、チューブや機械につながれて、尊厳のない状態で死ぬ可能性もあります。そのときは嗤っていただいて結構です。たぶん、その嘲笑は私の耳には届かないでしょうが。 結局、だれしも一回きりの死は、自分自身の死を死ぬ以外にないということです。 少しでも多くの方が、そのときをうまくやりおおせることを、心から願っています。
2023年01月10日(火) |
食堂のおばちゃん / 山口 恵以子 |
嫁姑でやっている はじめ食堂
一 一子 (にのまえ いちこ)
一 二三 (にのまえ ふみ)
一子と、ホテルで修業した夫の孝蔵が佃に洋食店を開いたのが五十年前、孝蔵が急死し、一子と息子の高が家庭料理の食堂にチェンジしたのが三十年前、その高も亡くなり、嫁の二三がデパートを退職して食堂のおばちゃんに転職したのが十年前。はじめ食堂の歴史は結構長く、存外波乱に満ちている。
キャリアウーマンとまではいかなくても、仕事をしながら気楽な一人暮らしでこんな食堂の常連客になっておいしいものを食べたい(願望)
2023年01月05日(木) |
忘却のための記録 / 清水 徹 |
1945−46 恐怖の朝鮮半島
爆撃、襲撃、復讐、暴行、略奪、強姦、極寒、飢餓、病気、そして死…。1945年、北朝鮮。ソ連兵から逃げる日本人家族の過酷な引き揚げを、少年の視点で描く。
私の母が満州引き揚げ者だったが、母は何も語らなかったので夢中で読んだ。
収容所で父を亡くすも、母と三人の子供はよくぞ帰国された。 あとがきの家族のその後を読んで 涙が出た。
母の場合は 引き上げてからの人生も過酷だった。
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