読書記録

2021年06月28日(月) 52ヘルツのクジラたち / 町田 その子

 
 52ヘルツのクジラとは、他の鯨の声とは全く違う高い周波数で鳴くため、その声はどのクジラにも届かず「世界で最も孤独なクジラ」と呼ばれている。

52ヘルツのクジラは1989年に発見され、今も生きていて毎年発見されるそうです。
 
貴瑚は実父が死んだあと母と再婚した義父からトイレに閉じ込められるなどの虐待を受けていて、頼みの母には無視されていた。

だから貴瑚は52ヘルツのクジラのことを知り、これは自分のことだと思う。
わたしの声は、誰にも届かない52ヘルツの声だったんだ。


義父が病気になってからは介護をさせられていて、ある日同級生の美晴に出会い、アンさんという男性(実は女性だった)に救われる。
昔、祖母が住んでいた大分の家に引っ越して、そこで自分と同じような経験を持つ少年と知り合った。
その少年に自分と同じ虐待の匂いを感じ、その少年を「52」と呼ぶことにした。

最終はその少年と一緒に住みたいと願うが、それは親権の問題もありすぐに叶うことではなかった。





2021年06月24日(木) 落花狼藉 / 朝井 まかて

 
落花狼藉とは花が散り乱れること。また、花を散らし乱すこと。転じて、物の散り乱れるさまや散り乱すさまのたとえ。女性や子供に乱暴を働くさまにもいう。

 

花仍は吉原にある西田屋の女将。
幼い頃 主の甚右衛門に拾われた花仍は、店の娘分として育ったのち、甚右衛門の妻になった。
甚右衛門の十三年越しの願いが叶い、お上に傾城町を作る許しを得て『吉原』という町を作っていく。
お上はなかなかにしたたかだし、度重なる火事にも会い,売色という商売の難しさも乗り越えていく、花仍と甚右衛門の物語。

花仍と甚右衛門の夫婦愛の描写がほとんどなかったのが少々残念。



2021年06月13日(日) 白医 / 下村 淳史

 

 水木雅隆、27歳元ボクサー、全身にガンが転移している。

新倉真葵、27歳女優でALS。

川村富子、53歳乳がんの肺転移。

曽我文江、89歳認知症でガン。(実際は92歳の兄が枕で窒息死させていた)

天心病院で医師による安楽死が行われているとして、神崎医師が裁判で裁かれていた。

結果は有罪。懲役二年。執行猶予三年。



誰もが苦しまずに死にたいはずだが、今の医療は生かすこと= 延命が主流。

私には希死念慮があるから安楽死大賛成なのだが、実行してくれる医師にどうすれば巡り合えるのだろうと。
医師の目線で安楽死を考えたことはなかったなぁ。







2021年06月07日(月) 黙過 / 下村 淳史

 黙過 : 知っていながら黙って見逃すこと (大辞林)


〇優先順位
ひき逃げで運ばれてきた患者は肝臓の遜色が激しく臓器移植しか道はない。
が この患者はすべての臓器を移植するというドナーカードを持っていた。

〇詐病
厚生省の事務次官だった父がパーキンソン病になり、長男が介護辞職して面倒をみていた。

〇命の天秤
わずか一晩で養豚場から妊娠している豚がいなくなった。

〇不正疑惑
有名大学の細胞研究所に勤める准教授が
人間として赦されないことでしたー
という遺書を残して自死した。

そして 前知識が必要なので必ず他の四篇の読了後にお読みください
〇究極の選択
最終章は 前の四篇とどこかでつながっていて医療ミステリーだった。



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