2019年06月25日(火) |
健康の結論 / 堀江 貴文 |
堀江さんはたくさん本を出版されてるようだが、私はタイトルに惹かれて初めて読む。 人生200年とおっしゃる。 そりゃぁ〜あれだけバイタリティに溢れた日々ならば、人生100年という普通人から考えたら倍の200年という表現も納得できる。 宇宙にも興味をもっておられるみたいだから、健康寿命を延ばして元気でいたいのだろうなぁと。 予防医療普及協会なんてのも本書で初めて知った。
病院は病気を治すところ、と思っていたが、そこからもう違っているのだ。
がん検診でたとえ発見できたとしても早期なら治るのだと。 突然死を防ぐためにもAEDの活用とか、脳ドッグとか、万病のもとともいわれる歯周病予防のための歯科健診とか。 とにかく症状がないときこそ定期的に病院へ行って検診を受けようと。 そうすれば健康な状態がよく分かって、異常があればみつけやすいとも。
自殺予防のことも書いてあった。 要は「防げる死は防ごう」ということ。
でも私が一番知りたい関節疾患や老化のメカニズムのようなことは一行もなかった。 堀江さんの辞書に老いるということはまだテーマにならないのだろう。
2019年06月20日(木) |
ほどなく、お別れです / 長月 天音 |
大学生の清水美空は就職試験に連敗中。 そんな中 東京スカイツリーの近くにある葬儀場「坂東会館」でアルバイトを半年ぶりに再開した。坂東会館には、僧侶の里見と組んで、訳ありの葬儀ばかり担当する漆原という男性スタッフがいた。漆原は、美空に里見と同様の“ある能力”があることに目を付け、自分の担当する葬儀を手伝うよう命じる。漆原は美空をはじめとするスタッフには毒舌だが、亡くなった人と、遺族の思いを繋ごうと心を尽くす葬祭ディレクターだった。
第一章は、歩道橋で転んで突然亡くなった身重の若い女性。 第二章は、病気で亡くなった5歳の女の子。 第三章は、自死した女性。
自分に霊感があることに気づかなかった美空だが、自分が生まれる前の日に亡くなった姉がいつも側にいたのだった。
不動産業者への就職を諦めた美空は、漆原の下で葬祭ディレクターになることにした。 そして最後は最愛の祖母が亡くなり、幼い姉とともに自分から遠く去っていくことを知るのだ。 ただ 魂はいつまでも残された者の心に生きている。
2019年06月11日(火) |
遺訓 / 佐藤 賢一 |
明治9年。沖田総司の甥で天然理心流の遣い手である芳次郎は、西郷隆盛の警護を命じられる。 大久保ら政府側との死闘を重ねるうち、人には力に勝る強さがあることを知る。 西郷共々最後のサムライたちを描いたもの。
西郷が洋行帰りの大久保らと意見が合わず、野に下るというか鹿児島に私学校を作ったあたりからの物語。 歴史のことは大まかにしかしらないけれど、西郷らが東北の庄内藩と親しいのは知らなかった。 会津を含め、東北は苦い酒を飲まされたのだ。
昨年の大河ドラマ「西郷どん」を 超詳しくドラマ化したようなものか。
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2019年06月07日(金) |
ボダ子 / 赤松 利市 |
タイトルになっているボダ子というのはボーダーラインのこと。 ボーダーとは境界性人格障害と呼ばれる深刻な精神障害のこと。 でも作品を読んでいったら、そんな障害を抱えた娘は親が作っていた。 タイトルにあるから当然娘が主人公かと思いきや、父親である大西浩平の物語。 そして架空の物語だと思っていたのに終章で何とこれは私小説らしい。 びっくりだ。
バブル時代 順風満帆に過ごしてきたはずの大西浩平の人生の歯車が狂い始める。愛する我が子は境界性人格障害と診断され。 震災を機に、ビジネスは破綻。東北で土木作業員へと転じ迫ってくる貧困。 波乱万象すぎる主人公。 娘は障害を餌にする男に騙され、自身もホームレスに転落していく。
でも世の中、大抵のことに裏があるように、今の政権を見ても分かるように、土木の現実は事実だと思う。震災復興という建前で大きなお金が動いてるのだから。
2019年06月02日(日) |
息子よさようなら / 李 佳 (りじゃ) |
台湾で生を受けた莉莉は捨て子として育った。 養父は優しかったが養母には虐待されていた。 夜間高校から大学に進んで、その後沖縄から来た留学生と出会い結婚した。 子どもを授かったものの、当時の沖縄は台湾人への差別が酷く、このままでは子供も差別を受けると思い、小学校入学を機に息子を手放した。 大学時代の友人の協力で千葉に移り住んだが、そこで実父の消息が分かり異母弟にも会ったのだ。 内戦で敗れた蒋介石が台湾に撤退した当時の物語。
賢いひとなのになぜか差別というか、パワハラを受けやすい人という印象。 文章の進め方はちょっと・・・という部分もあったし、タイトルも気に入らない。 「息子よ また会う日まで」としてほしかったなぁ。 でも表紙が素晴らしい。
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