○北夷の海 松田伝十郎
○東韃靼への航路 間宮林蔵
○遥かなる氷雪の島 近藤重蔵
今でも 樺太や択捉は遠い。 まして まだそれらがどんな場所かも見極めされていない頃なら尚更だ。 松田伝十郎は樺太が半島なのか島なのかを間宮林蔵とともに探検した。 その後 間宮林蔵は樺太に続く東韃靼がオロシヤに支配されているのか、そしてその奥は・・自分で確かめたい思いを抑えられなかった。 樺太を島として破線ではなくて自分の眼で確かめた実線として地図を完成させたのだった。
近藤重蔵は日本が島国で世界の情勢を何も知らないでいることの弱みを思った。西洋の事情を知れば知るほど、北方のロシアの南下政策に恐怖を感じ始める。ロシアに対する備えをしないと、北方の島々だけでなく蝦夷地への危機感を持った。 そのためには国後から択捉をわが国の領地として支配しなければいけないと言うのだ。
今もいろいろな探検家と称する人たちは多いけれど、間宮林蔵たちの行跡はそれとは大違いで国を思う気持ちとも合わさって崇高な足跡を残した。
作者がこの本を国後が目の前に迫る場所で執筆したことも、私にはかなり興味深いものになった。オホーツクの海と北の大地の臨場感やアイヌの人たちの描写も面白いものだった。
2009年02月16日(月) |
貧困の光景 曽野 綾子 |
この人は作家が主な活躍の方だと思っていた。 が 海外邦人宣教者活動援助後援会(JOMAS)に 勤めておられて、 海外 主にアフリカの僻地で神父やシスターとして働いておられる日本人の応援をされていることを知った。 貧しいアフリカの地にいくら援助してもたいていの場合が途中で権力者やその国の首長たる人たちがネコババするので、直接援助に出向いたりほんとうに援助が通ったかどうか直接現地に行って確認されている。
それにしてもいくら格差社会だとか派遣切りだとかいっても、日本の貧困とインドから西・中近東からアフリカの貧困は我々には想像さえもできないもののようである。 貧しいのはお金や衣食住だけではなく、水、燃料としてのエネルギー、 教育、医療、流通、道徳などあらゆるもののなかに貧しさがべっとりとはびこっていると作者は言う。 そして階級差別の貧困も一つの症状だと続ける。
この本を読んで私が普通に思ったことは作者の何がこういった活動に駆り立てるのだろうか・・ということ。 病院や教会でさえ 二階の床がかろうじて一階の天井になっている場所で寝袋で寝ながらの活動を支えるものは何だろう・・か。
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