夕方、職場の課長から電話があった。
内容は、健康審査会というところで、正式に復職が決定されたということだった。
病気で休職になると、職場復帰するためには、毎月一回開かれるその健康審査会で許可が下りなければならない。また、健康審査会ではどのような形で職場復帰するかも同時に判定される。 僕の場合は、職場復帰後半年間は半日以上8時間未満の時間で労働する、という条件が付いた形での職場復帰となった。
課長は「いやあ、よかったねえ」と言葉をかけてくれた。 「ありがとうございます」僕は答えたが、内心は複雑だった。
職場復帰するところまで回復したことは素直に喜ぶべきことだが、果たしてまともに仕事が出来るのかどうか、自分に自信が持てなかった。
職場復帰した初日のことを想像してみる。すると様々な不安が湧いてくる。 「まず誰に挨拶をしよう?」 「隣の人とはどう接したらいいだろう?」 「半日で帰る自分を皆はどう思うだろう?」 「大きな仕事を任されたらどうしよう?」 まるで切りが無い。
しかし、ともかくも、人生の再スタート地点に立てるところまで漕ぎ着けたことは間違いない。 不安に打ち勝つには、勇気を持ってぶつかるしかないのだろう。
そして努力する。生き抜くために努力し続ける。 ちょっとオーバーな言い方だが、そういう姿勢が必要になってくるだろう。
でもまあ、一番重要なことは「あっかるく、悩まないこと」なんだろうなあ。
職場復帰正式決定祝いに、どこかいいところで夕食を取ろうかと思ったが、やめた。大げさなことのようにせず、普通のこととして心に受け取るべきことだと思ったからだ。
とにかく、プレッシャーに負けないようにしよう。 あくまで自然体。 周囲の評価は気にしない。 それらを心がけていれば、自然と結果はついてくるはず、と思いたい。
2007年02月18日(日) |
結婚式は一つのケジメ? |
彼女に「結婚しよう」と言ったのは、果たしていつだったか、僕は思い出せない。もしかしたら、はっきりとは言っていないのかもしれない。ともかくも、僕と彼女の間で、結婚するという意志が固まったのは、ずいぶんと前のことだったと思う。
彼女との付き合いは長いが、結婚に至らなかったのは、僕に迷いがあったせいもあるが、結婚式をどうするかということについて考えがまとまらなかったことが大いに関係している。
まだ本気で結婚式を挙げようと思っていなかったとき、冗談まじりで結婚のことを話し合っていたときは、ハワイに行って親族だけの結婚式にしようとか、親族だけを集めて会食することで式の代わりにしようとか、なるべく楽な方法で式をしようと考えていた。
だが、友人の結婚式に出席したり、社会経験というか世間の目のことを考えるようになったりすると、やっぱり式は挙げなくちゃなあ、というように考えが変わってきた。
まあ要するに「ケジメはつけないと」という思いが強くなったということだ。
今年の9月、僕は彼女と結婚式を挙げようと思っている。
そこで、僕らは先月から毎週末式場を一つ一つ見学に回って見積もりを出してもらい、どの式場にするかを真面目に話し合った。
そして、とある式場にしようと結論が出た。 それほど立派な会場ではないけれど、普通に式を挙げるには十分と思ったからだ。
ただ一つ、食事がどの程度のレベルかということだけが懸念材料だった。
僕らはその見極めを付けるべく、今日、その式場で催される試食会に出席した。
行ってみると、思っていた以上に多くのカップルが参加していることに驚いた。皆、僕らと同じように自分たちが思い描く式にその式場がふさわしいか、真剣に考えているのだろう。
試食会の前に、簡単な模擬披露宴が行われた。
大きなBGMとともに扉から入場する新郎新婦、そして二人に浴びせられるスポットライト。
二人はしずしずとテーブルの間を歩き、会場の一番奥へ。
その後、キャンドルサービスとケーキカットなど、式にアクセントを付けるサービスに、僕らの目は釘付けになった。
模擬披露宴が終わると、いよいよ試食会が始まった。
今回の試食会で出されるコース料理は和食が基本。
僕らは料理の残らず平らげ、当日来てもらう友人達が満足できるかどうかを入念にチェックした。
考えた末に出した答えは「OK」。 特別おいしくはなかったが、かといってまずいとうほどでもない。
これで一人15750円も取るのは詐欺だとは思ったが、結婚式ならどこでもそんなものだろう。
試食会が終わった後、僕らは式の仮予約をした。
仮とはいっても、もう9割はそこにしようと決めている。
いよいよ結婚式に向けて最初の一歩を踏み出したわけだ。
式を行うにはやらないといけないことがたくさんあって、そのことを思うと嫌になるが、まあ少しずつ前に進んでいくしかない。
面倒なことをまた一つ背負い込んでしまったが、これは「割礼」みたいなものだと思って、諦めることにしている。
2007年02月12日(月) |
見てるだけ〜(家を) |
最近、某建設業者の営業の人が頻繁に僕のアパートに押しかける。
僕はまだ結婚もしていないし、家なんか買えるお金も持っていないし、営業されても困るのだが、マイホームに憧れを持っていることは事実で、「家なんか買いません!」と一言その営業さんに言って追い返せばよいものを、そのために、「ちょっと話だけでも聞いてみようかな」と思い、営業さんをリビングに通し、わざわざお茶を用意し、その営業さんの会社の売りを聞いてみた。
その営業さんは僕よりも若く、業界に入って二年目だそうだが、とても勉強していて、僕の質問に丁寧に答えてくれた。 お互いの趣味も合っていたせいか、話は長引き、1時間半ほども話をした。
営業さんは帰り際、近く内見会があるので、といって一枚の広告を置いていった。
その内見会場は、その会社の人が自分で設計して建てたもので、大変凝った作りであるらしい。
まあ、内見会に行くのはタダだから、と思い、僕は12日の今日、その内見会に彼女と一緒に行った。
内見会には思った以上に人がいて、若い夫婦が営業の説明を聞きながらしげしげと家の中を見ていた。
僕らも中に入り、あちこち部屋を細かくチェックした。
建設業者の人が自分で設計したというだけあって、内装や証明など、細かいこだわりがあるのがよく分かった。
僕らがそうやって見ている途中で、僕の家にやってきた営業さんがやってきて、僕らに随伴することになった。
営業さんはここでも詳しく僕の質問に答えてくれた。
じっくり見ている内にいつの間にか1時間ほども経っていた。
営業さんは帰り際、僕らに資料をどっさりくれた。
夢のマイホーム。とはよく言われる言葉だが、今日の内見会を見て、なるほどな、と思った。
自分たちだけの家、自分たちだけの空間、自分たちだけのやすらぎ。マイホームには、きっとそういうものがある。それを実感した日だった。
ただ、現実に立ち戻れば、僕に家が買えないことは分かりきっている。 それだけの貯金などどこにもないし、今年挙げる予定の結婚式で僕の貯金がゼロになることも、もう分かっていることだ。
僕は一生家を買えないかもしれない。多分、その可能性が高い。 でもそれは仕方ないことだ。 皆が皆、そんな裕福であるわけがない。 僕は家を買えない人間。そうであっても、それそれでいい。
ところで、先月飼い始めたペットのリン(フェレット)は、僕の見立ての通り、トイレをきちんとできる子だった。
飼い始めてから1ヵ月も経っていないので、まだ自分が飼われているということに気付いていない様子だが、元気で飛び跳ねているので、まあ別に心配することはなさそうだ。
お兄さんであるソラとも仲良くしているようだ。
リンはいつもふてくされたような顔つきをしている。 「フンッ!」と言っているような感じだ。
そこが憎たらしいと同時に可愛くもある。
ちょっとした物音にもビクッ!として逃げ回るのも、とても愛くるしい。
こいつが僕に慣れたらどんな風になるのか、今から楽しみだ。
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