「マリ、俺の傍を離れるなよ」




「はい」




「ホントか？」





びっくりしたみたいに言うから、
吹き出すのを我慢するのに苦労した。





強引なくせに、
妙なところで自信がない人だ。






思い出したくもないけれど、
コンビニの常連のじじぃが、
夜道でばったり会って、
「お仕事ですかー？？」
などと世間話をしていたときに、

まぁ大体が、以前から、
「マリアちゃん可愛いね〜可愛いね〜」
と連呼していたじじぃだったのだが、

あろうことか胸を触ってきやがって
あたしはびっくりしたけれども、
地が水商売みたいな女なので、
「いやだ○○さんたら〜」
と笑顔で逃げて、
そんな自分も嫌だったし、
予想以上のおぞましさが体から離れなくて、



母親と2人でくそじじぃがと連発して、
母親が、「とにかく忘れなさい」と言ってくれて、
大分気が楽になった気がしていたけれど、


社長に話して、
手を握ってもらったら、震えてきちゃって、
あぁ怖かったんだ、怖かった、と思った。





「俺がついてるよ」




なんてセリフは、
さすがの社長でも多少歯が浮いていたみたいだけど、
言ってくれる気持ちが嬉しくて、
まだ少し慣れない、
自分のより低い位置にある肩に、頭を預けた。






もう大分前に、答えは出てしまった気がするんだ。
だってあなたを知れば知るほど、
あたしの理想の人だから。





だから、
今回の騒動を、誠さんに言う気になれないんだ。
正直思いつけなかった。
泣きたくなるくらいの安心感はあっても、
守ってくれるという安心感がもてない。
むしろ逆で、今まではそれでよかったのに、
やっぱり手のひら返しちゃうわけ？と、
自分の「女」っぷりに嫌気が差すけれども。




後1歩を踏み出せない弱気さや、
また繰り返すことへの罪悪感や、
隠し事のやり繰りや、
自分の移ろいやすさへの嫌悪とか、
そんなものがもやもやとして離れない。






「一途」がどうして身につかないんだろう、
好きなのに、と思っていたけど、
あたしに限って言えば、流されやすい女だから、
「一途であること」が、既に、
相手のために出来ることなんだ、と気がついた。





もうちょっと時間が欲しいの。
週3回は必ず会って、泊まるのも自由な社長と、
月1回ゆっくり会えるか会えないか、の誠さんじゃ、
縮まる距離のスピードが違う。
社長と、もう随分長いこと一緒にいるような気がするのも当たり前。

デートに行ってみて思ったけれど、
結局あたしは、
あたしのままでいていいんだなぁ、と思った。



変に気構え過ぎなんだ。
好きと言ってくれる人の前で。
友達の前では、そのままでいられるのに、変なことだけど。




後実感したことは、
選ぶ日まで、そう遠くはないということ。
選ばなければならない日まで。





*************





今日は藤原君とカラオケに行きました。


って一見するといつものことのようなんだけど、
実は2人だけで行くのって初めてなんだよね！


盛り上がりを強要したり、
話題を制限しなきゃいけない寺島がいなくて、
実にのんびりっっ！！
すまん、寺島！



話題を制限、というのは、
例えば、ユミちゃんの話や誠さんの話は、
ヘタすると雰囲気が下がるし、
寺島はデリカシーがないのであたしがカチンとしたりして、
後々グチになったりするから、
極力避けるわけで、
そうなると話すことがない、となるわけで(笑)



好きな曲を好きなだけ歌って、
好きなだけ2人で笑い転げて、ご満悦です。
藤原君のましゃはサイコーです。
あたしの「時の流れに身を任せ」もサイコーだと思います(出た)




今日は火曜日。
あたしのバイトがない日なので、
今日も寺島がメールしてきた。



「お茶しませんか？」



どこのナンパ男なんだろう…。



残念ながら誠さんと談笑中でしたので、
丁重にお断りさせていただきました。


前に感じてた、罪悪感も焦燥感もゼロ。
ってか、帰ってくるまで忘れてた。


当たり前だよ、
だんだんと、他の人たちがあたしの日常に入り込んできている。
あなただけだよ、
あたしとの過去にしがみついてるのは。



…こんなことを書けるようになったんだねぇ…(しみじみ)
これからも大丈夫だわ☆
自信を持ってガンバろー☆

「まさかマリが俺の部屋にいるとはなぁ…」




あのスーパーでは思いもしなかったよ、と、
強い眼差しが緩む。



あたしのことをマリ、と呼ぶのは、
うまいな、と思う。





暇さえあれば、あたしの肩を抱きに来る。
あたしが寄っていけば、手を掴んで甲にキスをする。
3ヶ月ぐらい先の約束を、いとも簡単にする。



ふと目を覚ますと、
あたしの頬を指でつついている。
起こしたか、と無言で笑った後、必ずキスをする。




「マリ…」




何度目かわからないくらい呟かれるあたしの名前を、
あたしは、目をつぶって聞く。
名前を呼ばれても苦しくないのは、
あろうことか誠さんを含めても、久しぶり、だ…。




寝ぼけた頭で、社長のキスを受け止めていたら、
考えてもいなかったセリフが飛び出た。





「ね、社長？」





「ん？」









「あたしを離さないで」





「そんなことするか」





これくらいのセリフは、社長には効かない。














一度、社長はくりぃむしちゅーの上田さんに似てる、と書いたことがあるけど
上田さんには悪いけど、
本当は、上田さんを5段階ぐらい男前にしたような人。

このかっこよさをどう説明したらいいんだ？
と考えていたら、
社長がコンタクトを外して、眼鏡をかけた。

最近のマイブームです＜タイトル



ただいま帰宅(14：10)
そろそろバイト。



高校野球県大会が面白すぎて…行きたくないよぅ…
日大頑張っておくれ〜！！！





ドロドロ報告(時間がないので簡潔に)




・今日は社長の家に泊まって朝(昼)帰り



・実は先週の火曜にお泊り済み



・火曜の朝帰り道、寺島に遭遇



・予想通り、「どこ行ってたの」と質問攻め



・「社長の家でカレー食べて、遅くなったから泊まったんだよ。

カレーパーティーだよ」と言う



・多分信じている…と思うが、

久々電話した幸子ちゃんからは、「信じるわけない」と笑われる



・しかし、そもそも質問攻めする意味がわからない



・うるさいので「ユミちゃんのこと好きなんでしょ？」と聞いたら、

「ええ」と言ってたし



・ところで社長はサングラスが似合いすぎで、

多分うちの人と同い年のはずなのにかっこよすぎて腰砕け。



・そして社長、元気すぎ(謎)

藤原君と予想を立てた。






あたし　：　




「多分、俺が捨てたからこうなった…とか思うだろうね」





藤原君　：




「絶対言うだろうな。戻ってくるんじゃない？峰さんのときみたいに」





あたし　：




「あぁね、そういえば戻ってきたよね」




藤原君　：




「いろいろ言いそうだなぁ…社長のどこどこが悪い、とかさ」




あたし　：



「言いそう言いそう。あたしが自分を好きってなってないと安心しないんだよね。



でも、だからって例えばあたしがフリーになってもね。



付き合ったりは、しないんだよ」






そりゃぁわからない、

といつものように藤原君が笑って、

寺島の反応予測は終わった。






社長と飲みに行く日、
たまたま寺島が家に来て、


「気をつけてね」


とかなんとか言ってたので、
多分、今度会ったら聞いてくるだろう、
そこで隠しきれるかしら、という話からこうなったのだけど、


正直、後半の予測はどうでもよろしい。
週に1回必ず来るだけでも迷惑なのに、
戻ってこられたって余裕ないの！




やっぱり隠さなきゃね…。
うるさいだろうしね…。


ユミちゃんが、最初、
自分と前の彼氏を二股してたのも、
傷になってるだろうしね…。





まぁそんな寺島談義よりも、


とりあえず、



いろいろ含むところはあったようだけど、
こんな不埒なあたしを受け入れてくれた藤原君に感謝して、
夜の会議は終わったのでした。

誠さんの姿がガラスの向こうに見えたとき、
はっとする。


レジを挟んで会話していると、
泣きそうになる。



特に金曜日は、
久しぶりに誠さんが元気で、
「明日も頑張るよ」
と言って帰っていったから、ホッとした。



…元気になる過程に、
今回はあたしが入ってなかったことが、
ちょっと気になるけれど。



だからって卑屈になることはないんだ、
と最近は思える。
入ってなかった、っていうのも未確認事項だし、
ガラスの向こうから手を振ってくれるし、
今までどおり、あたしなりに愛を傾けていよう。
今までどおり、信じていよう、と思う。







…と、
最近は惚気てばかりおりましたが。
月野さんは、消えていなくなったわけじゃないんだよね(苦笑)

でも実際、連絡とってなくて、
メールとかしてもあたしの仕事の話とか、
何故か峰さんの話、なので、

うーん、この人は結局、
体が目的じゃなかったんだろうなーと思う。
欲しかったのは飲み友達、で、
あれはただ延長線上にあっただけなのだろうな、と。


結果的に、
寺島にズタズタにされたプライドとか自信とかは、
この人のおかげで復活した部分があるので、
感謝はしております♪



あの「二股宣言」も、
事実上終わったなー、とか思っておりました。

携帯を家に置いたままバイトに出て、
帰ってきたら、家族が、
「電話、マリに電話」と騒いでいたので、
「誰？」と聞いたのに、誰も答えなかった。



私が携帯を手にとると、寺島だった。
彼奴のこの家の居場所は、既にないらしい。




寺島が車で迎えに来てくれて、
お決まりのファーストフードに出かけた。

新聞で見かけたとき、
あいつは絶対に保存するだろうな、と思ったクーポンを寺島がくれて、
あたしは久しぶりに甘ったるいアイスを食べた。




不愉快なことはなかった。
またユミちゃんの話が増えてきたようだけれど、
笑って聞き流せるくらいの余裕が、あたしにあるから、
喧嘩にもならなかった。

「マリちゃんに負けないくらいに仲良くしないと」

というセリフは、不可解だったけど。




楽しくないわけじゃなかった。
背伸びをしなくていいのは、確かに楽だ。






だけど、だけど、だけど。







胸に残る、焦燥感は何だろう。









アイスを食べるくらいなら、カメラマンとビールが飲みたかった。

どうせ乗るのなら、カメラマンの助手席がよかった。

どうせ私の時間を割くのなら、カメラマンに、会いたかった。







要するに気分じゃなかったのだ。
「コミュニケーション。」を書きたいのに、
「under one umbrella」を書け、と命令される気分に、多分似ている。




それにしても、あたしは渇き始めている。
そんな自分に、ちょっと不安だ。



カメラマンとの時間が足らなさ過ぎる。
でも、前はこんなんじゃなかった。
会えないのは当然だった、お互い仕事だから。
それがわかっていた。だから会えなくてもよかった。
「渇く」なんて単語、思いつかなかった。




あたしは、道を踏み外しかけてはいない？
もう一度、確かめよう。
落ち着いて、あの人のことを考えよう。

この日記的には、あんまり書くことないのですが…



今日は嬉しすぎるメッセージが2通もあったので♪
書かずにはいられません♪




お兄さん、お姉さん(たった今勝手に認定ｗ)




ありがとー！！！






今日は本当にやる気がなくて

コンビニ前に、

「行きたくない行きたくない」と、

呪詛の如くつぶやいていた私でしたが



お兄さんのおかげで笑顔を取り戻せたし






カメラマンとどうなるのかな

その前にあたしは自分磨きしなきゃ

でもどうやんの？手遅れじゃない？

時間がない！


なんて焦っていた私を




お姉さんがやさしくあったかく包んでくれたので





明日からも頑張れそうです！！！







お返事をじっくりしたいので

お待ちくださいませネ(はぁと)






明日に

勇気が持てそうです。









カメラマンに、ずっと伝えきれていないことがあって

話し合えていないことがあって

それじゃダメだってわかっているのに

私は思い込んで、更に悪い結果を招くってわかっているのに

いざ顔を見ると言えなくて

うまく話せるか、伝えられるかも自信がなくて

甘えるしか出来なくって


それを受け止めてくれるあの人が嬉しくって

失ったらどうしようってまた怖くなって

結局言えなくて




失う事を怖がる自分も嫌で

好きじゃないんじゃないか、とか考えて

同時に

カメラマンのメールとかも気になったし

もう好かれてないのかも、とかも思って

身動きとれなかった。





でもねぇ私


思った以上に、カメラマンのことばっかり考えてる。


されたキスばっかり思い出してる。


近いうちに交わされるであろう約束に、

何の服を着ようかと、今から考えてる。





火曜日に会えたら、笑顔で話そう。

誠さんなら、大丈夫。

結局あたしは泣きませんでした。
会えなかったのは、
忙しかったり、体調が悪かったりだって、
わかってはいたから。


後、カメラマンが珍しく、
「仕事はどう？」
って聞いてくれたから。



「抱っこ」

って言ったらしてくれたから。




もういいんだ。







今日は峰さんが店にやってきた。
会話も本当増えたんだけど、
やっぱり今日も気分じゃないので、また今度。

なんかね、なんかね、嫌な予感がするんだよ。

久しぶりにあなたに会えるってのに、
怖くて、手放しで喜べないんだよ。


あたしってばどんだけ不安なんだろ？



いつのまに、あなたの温度に、依存しちゃったんだろ？



禁断症状ってこれのこと言うんだよ。


はやくはやく駆けつけて、
あたしにため息をつかせて。



幸せなため息をつかせて。








あぁ、そうだ、
寺島のフラッシュバックなんだ。



寺島が連絡を断つときがあった。
あのときの涙が蘇る。



不安で悲しくて心細くて、
寺島がわからなくて、わかりたくなくて。



やっと連絡がきても「ごめん」もなしで、
あたしがどんな思いをしてたかも知らずに、
わかろうともせずに、体を求めてきた、
あのときの寺島を思い出すの。




もう3年も前になるんだね。
あたしは21になって、仕事して、
18も年上の人と一緒にいる。



文字にしたらなんだか落ち着いた。
大丈夫、だよね。




顔見たら、禁断症状もなくなるんだ。
あたしってそういう女。

カメラマンは、
少しずつ調子を取り戻しているようで、
ご機嫌なメールがきてホッとした。


次に会えたら、
あたしは多分泣かなければならないと思う。


泣かなければ、
今回のことは乗り越えられない。
そんな気がする。


ここであたしがまた我慢したら、
具合悪くなるばっかりだから、
しっかり泣いて、
あの人に受け止めてもらおうと思う。





気がつけばもう2週間も会ってなくて、
すっかり惚気場と化しているブログの更新も気が乗らない。





この寂しさは、
寺島が会いに来てくれたって埋まらない。


だから、
心の底で寺島を望んでいるかも、と思っても、
別れようなんて思えない。




違うの違うの、感情が別物なの。




カメラマンにしか出来ない事がある。
だから好きなの。
カメラマンに、してほしいの。




あたしに安堵のため息をつかせることは、
あなたの胸だけなんだよ？

寺島と話してると、気が楽だ。
それは、寺島が変わったからとか、背景が違うとか、
理由もあるけど、
今更ながら、寺島と過ごしてきた年月の長さを思う。




寺島が私を頼ってきたとき、
こんな気持ちだったのか、と思う。


もし別れた原因が私の浮気で、
寺島が私のことをまだ好きだってわかってるなら、
言わないけどね。


ま、元恋人に言ってる、って事実は変わらないんだから、
五十歩百歩。



この人なら、ちゃんと話を聞いてくれる。
信頼と言っていいのかわからないけど、
多分そんなものが、
私と寺島にはあるのだ。




だからってカメラマンと別れるなんて道は思わない。



対等になったのだ、
昔私が望んでいたように。






でも、私と会うと、求めずにはいられない寺島や、
寝てる寺島を見てると泣き出す私がいることを、
どうしたらいいんだろう、と思う。



縁を切る事はもう試して、ダメだったから。
一人暮しでもしようかな、寺島に連絡しないで、とも思ったけど、
結局は無駄に終わっちゃうかもな、と思った。
仕事もあるし、そんな遠くへは行けないし。





あ、寝てる寺島って、変な意味じゃないですよ。
最近の彼奴は、昼寝にきてるようなもんだから。

待つことを覚えたとは言うものの。
最近のカメラマンの放置っぷりがひどい(かもしれない)



2日連続ドタキャンで、
1日目はすごく謝って、メールも重ねてくれたりしたけど、
2日目は「ごめんなさいやめときます」だけ。
理由は空腹だから、ですか。


今日もメールはなし、ですか。




…ふぅ。
追いかけるのは嫌だけど…
意地張って後悔もしたくないなぁ…。




いろんなことを考える(注：藤原君も巻き込まれています)←迷惑



寺島とのツーショットを見られたんじゃないか、とか。

(藤原君曰く、
尋常じゃないラブラブオーラらしい)　←自覚はゼロ


前の奥さんから連絡でも来たか？とか。



愛想はよかったけど、
いろんな積み重なった不満があるのか？とか。




まぁ、最近体調が悪いから、

落ち込んで、

あたしに構う余裕がないのか？とか。




でも…

でもさ…書いて思い出したけど…



伊藤前市長の事件のとき、
相当落ち込んだけど、連絡はくれたよね…




がっつりネガティブです(宣言することじゃない)




あたし、嫌われたんかなぁ…




心当たり、ないけどさ…






あぁ、ぐちゃぐちゃ言ってるけど、
あたし、結構あの人に会いたかったりする。
とにかく会いたかったりする。
でも、嫌われてたらと言えなかったりする。
杞憂かなぁ？









今日から新職場、でございまして。


「事務経験、ありませんよ」

「普通免許持ってませんよ」

「パソコンはタイピングだけですよ」

「作業着なんて持ってませんよ」


などなど、
面接のNGワード連発、な私を、


「人当たりがよさそうだから」


というだけで採用した社長(NOT所長だった)は、

初日から散々可愛がってくれた。



頭撫でるわ、喉触るわ(猫扱い)
早速「お前」呼ばわりだわ。
全然気にしませんけど。

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