綿霧岩
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めっきり涼しくなった。まだ暑いけど、頂点は越えた。これからどんどん涼しくなるのだろう。 秋は瞬く間に通り過ぎ、冬がやってくる。はず。 空はどんどん高くなる。 思いもどんどん遠くへ行く。
泣きたくなることがある。 ほんと、いつまでも青春なわたし。
いろんなものを見て、自分がなにを思うのか。 それがおもしろい。 結局観客というものは、自分を確認することになるのだ。
自分はどんな人間なのか。それを知りたいのだ。
パソコンを手に入れたばかりで、わからないことだらけだ。 それでも表面的な操作の仕方は少しずつわかってきたけど、パソコンの中身がどうなっていて、何がおこなわれているのか、わたしは何も知らない。 一生知らないままかもしれない。
パソコンを前にしていると、もう何もしたくなくなっても、やることが思いつかなくなるくらい疲れても、なかなか電源を切るタイミングがつかめない。 もういいや、おしまい、と思っているのにいざ終了となると暗いなにかが心をよぎるのだ。 こちらの都合で、一方的にはい、さようならということがなんとなく憚られる。 まるで対人間だ。
本は違う。 本はもっとわたしのペースで開いたり閉じたりできる。 わたしがさよならと思えばそこでさよならだ。そこにはなんのあとくされもない。 本の中身は、たとえ未読であっても、そこに紙があって文字があることをわたしは知っているし、気軽に触ることができるからだろうか。 もう二度と開くことがなくても。 書かれている文字は変わることなくいつまでもそこにある。わたしが読もうが読むまいが。 きっと、だから安心してさよならできるのだ。
自分が知らないあいだに変わってしまうかもしれない、ほぼ確実に変わるであろういきものとさよならをするのは、パソコンの電源を切るときと少し似ている。
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