ことばとこたまてばこ
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2007年10月20日(土) 紅まんじゅう

両手でおんなの頬をつつむようにして
ぬくく白いおまんじゅうをつつんだ
ほわわわんとぬくもりが掌に充満して
ぬくもりがびびびびんと腕に伝わって
全身に行き渡っておれの情感は瞬時途切れた
ぽんところり
ぽぽぽんところころり
眼から涙がころころと


これでは分裂するじゃないか

これは発狂の兆しではないか


たかだかおまんじゅうごときに!
たかだかおまんじゅうごこきに!
たかだかおまんじゅうごときに!


正気を保とうとおれはそばに座っていた
ヤングボーイの顔を全力で数十発ぶったたき
鼻からしたたる血をおまんじゅうにふりかけて
シューッ シューッ シューッ シューッ!


2007年10月13日(土) ぶつぎり言葉

「にっぽん」
「幾星霜」
「それではまた百万年後に」
「にっぽん地獄極楽」
「それでもなんでかあの果てへ、と」
「陽光」
「憧憬にっぽん」
「強火」
「流転」
「彼方」
「幾百年後」
「数百年後」


鼻をおごめかせて傷だらけのおほほっを叫ぶ

壮絶美

大阪に雨が降った。バイト後のへなへなおれ。へらへら歩く。目の前に雨上がりというのに未だ傘をさしているサラリーマン。やがてサラリーマンは傘から手を突き出して雨の確認。傘を頭から取除く。米国人のような肩をすくめるジェスチャーで、はっはーん、と小生意気な表情。どつきたい。

ざまあみさらせのすかたん、とおれはだれにともなく罵倒を。

おっぱいがいっぱい、と駄洒落を述べた奴におれは激怒した。
だからなんだというのか!たわけものがっ!つい頬がほころんでしまったではないか!うつけがっ!

弱さが持つ強さをきちんとわきまえていないおめえらにも非はある。

どうしようもない純粋

電車の中のこと。時間をかけて丹念にくるくる巻いた髪の毛、きらびやかに身を飾り立てた若い女人が座席に座るやいなやおもむろにハンバーガーをとりだした。チーズバーガーの匂い充満。そして周囲の乗客に咀嚼を見せぬように気をはらいながら口を隠して丁寧におしとやかに食べ始めた。食べ終えたあとにこれまた口を隠しながら、いとも愛らしいゲップ。紙くずを丁寧に真四角にたたんですうっ、と座席の下に捨てた。これがほんとのばか。あほ。どあほ。ひょっとこ。まぬけ。とんま。死んでもいいよ。ほんとにそう思ったよ。

気楽としてよろしく

チョッ、このたにし野郎めが!

私の名字は成瀬。だからみんなからはナルちゃんって呼ばれてるの。でも最近ナルシストの意味でナルちゃんと呼ばれてることに気づいたの。しょっく、しょっくよ〜。

この豚がっ、とののしられてあんまりの怒りに、うふんぶひんっ、と顔を真っ赤にして鼻をならせてしまったおれときたらまるで豚のようだったと思うな。

ちゃははははっ、ちひっ、ぷひひひひひひっ。

「電話」と「メール」の違い
電話は声、周囲の雑音などその場の雰囲気を受信者に伝えうるが、メールはただその文章でしか計れない。
例えば辛いことがあった人が泣いて泣いて泣いた後に電話で「帰りたい」とだけ言ったとする。
声の調子、声色、長さ。おそらくそこからああ、こいつ泣いてる、と推し量れるかもしれない。
だがメールだと真実「帰りたい」の4文字以上には伝わらない。もとい推し量れる情報量が圧倒的に足りない。
それを判ってはいてもついつい、軽く対応してしまいそうになるおれ自身が一番に怖い。


おれらが陰でうすのろとんまちゃんと呼んでいるやつに急に問われた。
「翳りのある1に、清廉潔白な1を組み合わせると何になるですか」
おれは自分自身が使ったこともないような単語をあろうことかうすのろとんまちゃんが使って、さらに前衛的なことを尋ねたことにおれは狼狽しながらも、見栄を張って「そんなのも知らないの」と今にもいいたげなすらりとした顔つきを懸命に。
「それは微笑みの2になるんじゃないの」と6秒ほど考え込んでしまったのち答えた。
うすのろとんまちゃんは呆れた眼つきで「ちがうよ。ざるそば猿すべりよ。さざんがきゅー」と言い、急におれに興味を失ってほろほろと去っていった。
意味が判らぬことを唐突に尋ねておいて即座に置いてかれたことにたいしての怒りもなく、文章の繋がりということを知らぬこのどあほうめといった軽蔑もなく、ただただおれはしみじみとした。羨ましいと思った。
おれはもっと自由になりたい、と思わされた。


日本特別教育セッション、という文字を見ておれは、日本特別教育セックスンと読み違えて狼狽したあと勘違いに気づいてセッセッと呼吸を整えクスクスと笑った。なにばかなことを。

ざく ざく ざく
お母さんが包丁で闇を刻んでいる
これは闇を払う音よ
めくらのわたしの闇に切れ目がはいるわ
ざくざくざくざくざく

オレンジばばあ

新しい彼が寝言で「ドニア」とだけ言った
そうだ、ニューカレドニアへ行こう

花の残骸を見て、夢の残骸を思った

乱れたわたしをたわしでこすって

あの黒い車は黒色をたなびかせて猛スピードで去っていった

瞼を閉じると眼球の奥から眠気がじゅるじゅるりと押し寄せてきておれは眠った

内臓をこねこねされるような写真に文章を出したい。


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