ことばとこたまてばこ
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2005年09月30日(金) 秋の幼子

人気の一切が無の場所、秋の狂瀾怒涛がさんざめく。

人に溢れ熱気に満ちた季節と入れ替えにうすら冷えた風が吹いて。
幼子は紅白粉で染めるに似た丸く赤い頬で、枯れ葉降り積もる曼陀羅の道路をほてほて踏み歩く。
烈火の如きモミジの葉は、ふっくら肉厚の幼子の手と一致している。
掌にのっているモミジは、やがて幼子にクシャリと潰された。
ぎゅっか、ぎゅっか、ぎゅっか。
幾度となく手を握りしめられてモミジは小さく縮こまった。
掌に置かれたひとつの真っ赤な塊。
眩く赤く。眩く赤く。眩く赤く。
真実赤い塊、幼子ぺらりとたいらげ、至極まずいよって顔しかめた。
疳の虫、幼子の指先より這い出る。
誰も聞くことの無い泣き声、縦横無礙に切なく響きわたった秋の空。



どん。


2005年09月29日(木) どぎゃん

翁の耳にハエがこちょこちょ潜り込む。
翁の口から赤茶けた銀貨がこぼれた。

どぎゃん。

翁とラビットが座っている。
ラビットが翁に目潰し。ぐわっ。

どぎゃん。

翁さ痛ぅて痛ぅて悶えて。
ラビットはその翁の涙を箱にいそいそと詰める。

どぎゃん。

灰が翁に降り重なりまるで現世の生物とは思えぬ灰色の顔。
翁はしわくちゃに微笑んで?

どぎゃん。


2005年09月28日(水) 蜘蛛の糸よりも細き音

音の洞窟を震わせる風の中、静謐が奏でる沈黙をおれは感じた
髪ははためき 鼻腔に風が潜り
泡沫の静謐を逃すまいと乱暴に抱きしめる 


胸にしずる静寂


陽炎のごとく薄く淡く
寂とした状態を保ちつつ消え去った

面を上げ 喉仏をさらし 空をあおぐ
空は依然として揺るぎの無き




揺るぎの無き


2005年09月27日(火) Perfect Music



おれの耳に吸い込まれる音楽はやがて空から降る。


2005年09月26日(月) 皺も口もなんだかいっしょ

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん。

商店街のどまんん中で、喉をも張り裂けんとばかり全身全霊で泣きわめく年端も峠を越した祖母。一杯まで開いた入れ歯もない口内は黒々とした穴がぽっかりのぞく。そんな涙に濡れる皺だらけの老婆が泣きじゃくる様子というのはどうにもこうにもやるせない。しっかりしろ!と細い肩をゆさぶりたくなってしまう。

かあちゃん、あんなに行儀に厳しかったあんただろ!そんなことすンなよ!と思ってしまう。

通り過ぎる通行人はおれたちを交互に眺めて何も読みとれない顔で一瞥を投げて去ってく。トンボの飛びかう空は夕焼けに真っ赤だった。

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん。

直接の泣き声は聞こえぬけれども、ぐわんぐわん頭を反射する。おれは何も聞けないはずなのにどうしてこんなに音が響く。うるせえなあ、うるせえなあ。世界よ、各方よ、ちったあおだまりよう。うるせえね、うるせえね。どんなに耳をおさえても、あぱぱぱぱぱ。たまらなくうるせえね!

かあちゃん、どーしてそんなに泣いている。
此のチョコボールが食べたい!

目の前の店に置かれたチョコボールをヨイヨイと震える指で差したかあちゃん。

チョコボール!?
チョコボール!
あらっ、チョコボール!?
チョコボール!
あっはははは、チョコボール!
チョコボォォォォォォォォォォル!!


これから夕焼け小焼けに照らされながらにこにことほほえむばあちゃんとお手手つないでみそ汁香り漂う妻待つ我が家に還ります。



かあちゃん、ご覧よ、あんなにトンボ飛んでる。

チョコボール口いっぱいほおばらせて、眼を細めながらもごもご口を動かせた。
かあちゃんの口まで目線を下げて口を読みとると何十年、幼い頃から見つめてきた口はこう言ってた。


ほんに秋ね。ほんにのぅ。


2005年09月25日(日) 肉の粉をおれたちは吸ってる

風がおまへを愛する
びゅうびゅうびゅびゅゆびゅ

狂おしく激しく愛されて
どどどうびゅうどうびゅううう

骨の髄に染みこむほどに愛されて
びゅるるるるうんるるるる

尋常ならざる突風に吹かれ はらわた飛ばされて
びびびびびびびびびびびびびゅ

耳も目玉も唇も毛も鼻も  彼方に
びびびびびびびびびびびびるゅ

体が裏返りになるほどの突風が破裂する



 
おまへの体はきりきりまい 木の葉のやうに更なる空へ吹き上がって吹き上がって
おまへの血は天空にて立ちこめる雲が吸い取り 真実黒い雨を地上へとざあざあざあ
おまへの身体は肉の粉となり 大気中に散らばって充満して拡散して さらさらさらさら




おかあさん わたしはとても


2005年09月24日(土) 添ったね

想うこと。



ひとつ。

ふたつ。




それだけでまったく、充分。

巌にすがりついて目尻に涙を溜めて。



アラベスク!手を差し出して!


2005年09月23日(金) 旅人

世界は君のものではない。しかしそれでもなお知りたいナと渇望して歩こうとする君の世界は疑いようもなく広がってゆきます。だんだんと広がりを見せる君の知る世界と、君のものではない初めより存在している真なる世界の距離はゆるやかに歩み寄ってきます。

それはまるで、そうさね、沈む夕焼けの周りにたちこめる闇のようにさりげもなく。
暗い藍色の夜に昇りくる太陽のようにさりげもなく。
やがて様々な森羅万象や生物を通じて、君の世界と真なる世界の互いが重なり合う瞬間が訪れます。


それは一生をかけたとしても決して周りきれぬ深淵たるこの世界を、無謀にも知ろうとする者へ、世界からの類い希なるご褒美。



それはスコールのように突然降ってくる。
それはあんまりにも幸福なびしょぬれ!


わずかばかりの濡れた感触の心地よさを忘れ得ぬ皆は、強欲なまでに世界からの褒美を欲する一抹の気持ちを心にひそめて旅に恋焦がせて。


2005年09月22日(木) 土の膣

地面に這いつくばっている。

今朝より逢魔が時も過ぎて、丑三つ時。

土が皮膚に染み込むほどに強い頬ずりを幾度となく。

領地を荒らされ猛り狂う蟻が
ふくらはぎ 首筋 関節と柔らかい身体の部分を強靱な顎で挟む。

鼻の穴に土が入り込む
土でしかありえぬ土の匂い ぢんぢんぢんぢん横溢する。

悶える我の動きで周りの草葉が揺れると
迷惑そうにテントウムシが羽ばたいて離れた。

口内も土にまみれた
苦くてしょっぱくて冷たい土の味 ぢんぢんぢんぢん蔓延する。

のっぽの向日葵 首を振りまわして太陽ばッかり追い続けててて。

ひどく信じられぬほど クソまずく寂とした 土の味と匂い。
あんまりにもあんまりに ちくしょうえらくドまずいぜ。

我は反吐と嗚咽を繰り返しながら 鼻水をすすり
這いつくばったままの姿勢で頭上を仰ぐ。

見えるは 見えるは 見えるよ
たっぷりとした頭巾雲を従える どこまでどこまでも突き抜けてゆく青ォ空ァ。


あんなにもあんなにも




遠い。




知っているものは 今確かに見ることができるものは
幾星霜もの間、無数の死をめとってきた母性の土。


その味はちくしょうえらくドまずいぜ。


2005年09月21日(水)

だれかとわたしであんたを守ったからとはいえど、なぜ?
なぜ?それを言うの?

何を言おうと
何を思おうと
何を感じようと
それがどうしたの?


どうといった有相無相から感ずることって貴重なようで実はゴミでは?


どこへ行こうと
どこを見ようと
どこを舐めようと
それをどうするの?



のど飴は肝を救いはしませんよ?

湿布は内蔵を癒しませんよ?

眼鏡は上腕二頭筋を鍛えませんよ?

空は何も濡らしませんよ?


2005年09月20日(火) 潮風が運んできた

知っていたかい ははは 気づいていたかい へへへ
見ようによってはなんだかいつも怒ってる ような
ぷっくりと厚いおめえの唇が もっとも ふさわしくも 似合う場所!


知っていたかい ははは 気づいていたかい へへへ
ころころン と ふとした拍子に落っこちてしまい そうな
かっくりとおっきなおめえの目ン玉が もっとも ふさわしくも 似合う場所!


カメラのファインダーを覗くおれの眼が これって眼福だわあとばかりに
おまえという存在が あまりにもしっくりと落ち着いてしまう その場所!



知っていたかい ははは 気づいていたかい へへへ



それはだね ひろいあの海 天国も見えます、驚愕の海なのだ
人の眼には見えない 白い手をした 音を知りえぬセイレエン
胸のぬくもり熱く 触れた者に情感のけいれんを呼び覚ます
かと思えば 荒ぶる男神にも負けず劣らずの剛胆をも示し
尚一層 その姿のとらえ具合は計り知れぬよ だから だから 海に似たるおめえ


知っていたかい ははは 気づいていたかい へへへ


2005年09月19日(月) 波のごとく押し寄せて

降る雨の一滴にも足らぬのに
頬を伝い流れるこの一滴は

なんと灼熱なのでしょうね


2005年09月18日(日) 敬愛するに足る体の部分

日本各国、世界各国、闊歩したこの二の足。

そんな足にぼくは敬愛の情を示さんがため、体を柔らかくするトレーニングを始めたのさ。
きゅっきゅきゅー ぎゅっぎゅっぎゅー んくんくんく
ほうら、ごらんよ。今ではくるくるとあんよが回るよ回る。ヨガのポーズなんてらっくらく。


さて僕はこれより僕の足に敬愛の情を示すよ。

君らがいなければ僕は世界を知らなかった。まこと感謝の意に耐えませぬ。
ありがとう、ありがとう。
ありがとう。
屈伸で自分の右と左足の甲に接吻を交わし、両脚を抱きしめながらうっとりとして頬を当てる。


2005年09月17日(土) 小銭に笑われよ 大金を笑え

奥までみっちり指つめこんで はなくそほじくりながら
せまりくるもうれつな便意 を こらえながらほてほてと路上を歩くよ

ほってほってほてほて
ほってほってほてほて


するとなにやら灼熱の塊を踏んづけた。
ぎゃあ 激痛に顔はしわくちゃ! ぎゃあっ 激痛に顔はしわくちゃあ!

いったいなにごと!
靴越しにも関わらずそくざに伝わるほどの熱なんてそうそうござらんよ。と思いながら足を踏み込んだ位置に視線を這わせる。



そこにはなんと 一円玉が落ちてた。



良かった!まだ骨の髄に金のありがたみが染みついてた!ほんとうんに良かったなあ。
痛む足をひきずってけんけんぱしながら ほほほほほほえんで帰宅。


2005年09月16日(金) 笑顔

聞くにもつけて哀れなる 二つや三つや四つ五つ〜
十にも足らぬ少年が発する ことごとくをも凌駕する



笑顔



歯の根どんなにも合わぬ 恐怖をはりつかせ
ているから ね  ほらこんなにも 



笑顔




無邪気なのはおれたちなのかも知らんね その至上の表情の裏に
潜むもの 疑いもしていないんだから ね ほらいまもこんなに



笑顔



終始むっつり いちずに沈黙を貫く あたらなんたる感情表現!
幾たび 冷ややかな感情による錬磨の末に ほら ね こんなにも




笑顔






笑顔




哀しくて まっすぐに幸福な


笑顔


2005年09月15日(木) ポケットに眠りを





眠れよ静かにあの地で



起きよ騒がしくここで





2005年09月14日(水) 書けども書けども二転三転に七転八倒 コブだらけ

とても幸福でとめどもなく溢るる涙に眼球も枯れ果てようかという程の絶頂
そんな痺れる幸福しか書きたくないのだ
おお さうだ 不運な出来事を一切合切、書かねばよいのだ
まったく私は粗忽者であるよ
よかよかよか この夜が明けた日からは
幸せの波を何度も何度も飽くることなく浴びるかのごとき至高の幸福だけを書こうか!




と誓うと過呼吸しか呼び覚まさぬ残酷な物語しか書けなくなる




触覚が大火傷によりて無くしためくらの物語をば奏でる
視覚が菜箸に貫かれたつんぼうの物語を紡ぐ
足を地雷に奪われた若々しく何も不可能なことなど無かった男の物語

そんな

世界で最高に我こそが不幸ですよと 絶望にうちひしがれたる人々の物語
これだ!これだ!これですよ!書こうぞ 是非とも書かにゃならぬ!
と誓うと今度は歯の根もうち震える甘さでできたる慈しみの物語しか書けなくなる


2005年09月13日(火) 歌舞伎町通り

街の窪み そはすなわち 人の足下
人が人を呼び寄せ 街もまた人を呼び寄せて
無数の人々の足下で 窪みはゆくりと生じる
つつっ と昨夜よりほんのわずかに視線の位置が狂ってる今宵


何ミリか下がりゆく日々になにを食すべきか との問いに
私って叫ばざるを得ぬ 得ぬのさね サンマ定食!と

純白の大根の汁を飲み干すと 風俗街の網膜を刺激する原色の原色の原色の蠱惑

街の窪み そはすなわち 人の足下
かかとで トントントトン トントントトン
スットトトン ストトットントン ドン
ドンッ 強烈なる衝撃にはたと気づけば
数日前よりさらに深い窪みの境地にいた


街の窪み そはすなわち 人の足下
だから ココチヨイ それに加えて イコゴチワルイ

うンきゃきゃきゃ、わたしって天才かもかもかも知らん などと思わせるに等しく
才能根こそぎ奪われてもかめへんよ、お好きに といった気怠い感覚もやってくる


トントントントン トン
そんなに人の足下を見つめるもんじゃないよ


2005年09月12日(月) 一夜限りの音無し子ちゃん

セックスの最中、それまで実にムーディーたっぷりしととに流れていたクラシック音楽が、スッパパパパンというハゲシー衝撃にいつしかラジオへと切り替わったらしく、演歌が流れている。

「ねーねーン、音楽変えてぇーン」
「ンッンッンッン ンンンンンッ」

おっとっとー、しまったぜ、こいつ聞こえないんだった。おっとっとー、どうしようかな。演歌じゃさすがに、なんか、うむむ、萎えちゃうわン乾くわよン。

「どどど、どうしたの どっどど、どうしたの おせっくすですよ!乾いてるよ!」

アララ、さすがに判るみたいね。


「ネェ・・・。音楽変えて欲しいなあ」
「アーーーーーハーーン、まかせておくれよ、おベイビイ。…これ?これか?? ? ???? まあいいやこれで」


あいたったたた、その方がタチ悪い、悪すぎる。それって「あいのり」のテーマソング!ちゅぼぼぼ!萎えちゃう!萎え萎え!おほほ、もう勘弁被るわ。ばいばいさよなら一夜限りの音無し子ちゃん。


2005年09月11日(日) どうして!

どうして まじ まじまじまじ どうして
あとになってから 泣いてしまうのだろう

写真にひとつ スッキリとほほえむおめえ

楽しそうな嬌声の横 陰鬱に足下眺めてて

変わりに変わり なお変わらざるをえない

イイワイイワ イクイクイク まるでうそ

ひとりのひとりによる 均衡を保つる苦労 

どうして まじ まじまじまじ どうして

どうして まじ まじまじまじ どうして


2005年09月10日(土) スルメにマヨネーズ

「永い間ありがとうございました」
とだけ静岡産のスルメにマヨネーズで書き置き残して君は去った。

なんだ!これは!いったいぜんたい、なんだ!これは!
スルメといったら火炙り後に塩だろう!ばっくるぶやらーっ!


なんつってー、妻に逃げられた惨めな我が身より眼をそらしてる。


おれはそのスルメを食する気も起こらない。しかしスルメとマヨネーズというものは腐りにくいものだ。
だからそれがどうにか腐るまでに存外な夜が待ちうせている。


一刻も早いうちに腐れよ腐れよと けして捨てもせず、
妙な願い事に 妙に力を込めて 妙に全身全霊を駆使して。


2005年09月09日(金) 森山大道を意識

路上に横臥することも、ゴミという汚辱にまみれて生きる覚悟も想像できぬと傷ひとつ無いルィヴィトンのバック抱えて言うおめえを写真に撮ってやろうと、おれは今宵も繁華街へ赴く。


2005年09月08日(木) 悔しさにこめかみ脈打つぜ



しまったなー

おれ

たいせつなこと の ひとつ 

ふたつ





しらねえや


2005年09月07日(水) 観音だから

この おかあさんの手をはなしたくないなーなんて

孫が何十人もいる我であるのに思う


2005年09月06日(火) 絶対にほとんど単純

愛ってなーに なんつってばからしい質問
投げかけながらひとり尻を振ってるおめえさん
なんだかちぃとばかし おどおどしすぎやしてないか


愛を逃さぬように その手をかかえていろ
愛をしめす声を逃さぬよう 耳をとぎすませていろ
愛の姿形を 疑いの余地もない境地へと刻め
空にも似た空虚な愛を 親しい友人の間に見つけて



泣いているおんなの手 ずっと離すんじゃねえよ


2005年09月05日(月) 告白

おめえというおめえの 気質は
きっと己以外のいのちも
うれしいや、と くやしいや、と 思わせうるほど
いのち以上に いのちをいのちたらしめんほどのちから
ほんとうに備わってるよ と信じられるから



おれは


おめえといるんだ


2005年09月04日(日) それは戯れ言と君は言う

ごめんなさいと
わたしって
いわないのけっしてほんとぜったい。


なんでってだてだって


くやしいのだし むかつくのだし 
そしてなにより
ぶたは鼻糞をほじくれないのだから。

あかかのくろろ、わきげをすっぱくただよわせておどろ。
ちゃちゃのきき、爪をなめらかにしたおててふりはらってにげよう。


2005年09月03日(土) 無造作に振り下ろされた拳に私の鎖骨は砕かれる

気まぐれにかまけて繰り出す渾身のストレートはサラリーマンの歯をへし折る。

にやにやと空を眺めていると頭上には鉄骨が落下している。

ぬらぬらするどう形容しようもない感情に駆られて携帯をぶちわる。

きもちEーおせっくす、なんてプチかわいらしきことなんかでない、がっがっと野蛮な性行為どうしようもない絶頂。

我が子と戯れにじゃーん けーん ぽーーーん さらりと出したチョキが両眼球を貫いて指先に伝わるにりにりとした感触。

ゼブラ油性マジックでぎちぎちに塗りたくる、もう汚れの落ちぬあなたの真っ黒な腹。

ぴゅあっぴゅあっぴゅあっ こんなにもボクって純粋 とぬかす輩にボディーブローはたまたエルボーいやはやラリアットおっとっと金的蹴り。

ぷはは、あの人って三段腹つまりそれってでぶ 2人の会話を見聞きしてしまい地上に存在するナイフ全てが私の心へ迫って。

どうしてか相手に敵対心しか抱かせぬほど、力を過剰にこめてしまう握手。

一条の光が私の首に差し込み、しこうして反対側から出てゆく、それってレーザーの貫通、血も光と共に出てゆく

インクを頭からかぶり鋭いペン先を腹やら腿やらにちくちく刺して、おー!まいごっど!と夜な夜な手を高々と約308回挙げるのは私の祖母。

樹海の中に落ちていた袋の破かれている使用済みコンドーム。この持ち主はあほだーったんだなー。たぶん生きーて帰ったなー。んでわーたしはーー。

魔界のドラゴンとファイトする。勝利の栄光ははたして閻魔大王であった。

理由は甚だ不明であるのだけれどもどーにもぷるぷるとこみあげてくるほほえみをたたえていると頬っつらを平手で横殴りにはたかれた。

歯が!歯が!歯が!はがけんじ! こんなことを考えてしまった以上ここでもう死ねばあかぬおれ。ぎゃあ。

うるうると泣きながら幼子をさらった。どうして?だって、わたしは水子だから。

あすこの曲がり角を左に行き、右方向にパチンコ屋があるからそこを真っ直ぐ行って、大通りに突き当たるので、また左に曲がって、真っ直ぐ行くと気の触れた真似事をしている馬鹿が踊っているので用心しながら左に曲がるとなんとこの場所にまた戻ってくる。お気をつけなされ。ゆめゆめも。

ハッゲシー摩擦に消える性器。

そんな冗談をおっしゃるとはまったく人の悪いお方だ!ハタハッハ!だってあなたはそんなにも賢くいらっしゃる。1足す2が5だとは到底我らが凡人には辿りつきえぬ境地。いやー、すっげーなー。スゲースゲーマジスゲー。すげげげ。



地を這うようにしてわたしは行くよ 行かねばいかん 荒野へ 陽光からその姿をもそらした2本の木が立つ 荒野へ。


2005年09月02日(金) どっらああああらああああらら!っびゅっびゅるびゅっびゅ! 楽しいね 嬉しいね

我が子はいま4歳。おんなのこ。大きな目を終始ぐりぐりしながら微笑ってる。とてちてた、とおぼつかない足どりで私の後をついてくるその様はとても愛くるしい。あんまり愛くるしいものだからだっこをして、ちゅっちゅっとくちづけをせずにいられない。

そのたびに我が子はちっちゃな八重歯覗かせ、ほがらかににっこりほっこり笑いながら
「びぎゃぁあああああ」
「ぐはあああああははは」
「どどどどららあああ」
土中よりぶち抜かれたマンドラゴラを思わせる濁点にまみれた叫びをあげる。声の力の入れどころも妙に外れていて、私が「ここは弱まる」と思うポイントで急にけたたましくヴォリュームをあげたり、下げたり。
誤解しないでもらいたい。けして嫌悪感から叫んでいるのではないのだ。だってほら、こんなに愛くるしー顔で笑ってる。えくぼ。ぺこぺこの頬。これが我が子の嬉し声なのだ。

生まれつき聞こえず、補聴器をつけさせることも強要していなかったせいか、他の人の笑い声を聞いたことがなく、比較する音声がないために自分にとってただひたすらいい気持ちになれる響きの声を出している・・・というようなことを医者から言われた。そういうものなのかしら、としばし考えて、そういうものかもね、とナットクした。


「きゃ」
「わあ」
「あはあん」
なんてヒラペタな嬉し声に慣れてしまっている私はいまだにびっくりしてしまう。けれどもある頼もしさを感じてしまうのも確かだわ。びゅあらららら!あらあら、なんだかんだ言いながらも私にも娘の笑い声が移りはじめてる。ばぁっびゅばばばばば。


2005年09月01日(木) 腐りゆく希望

アナタのとても素敵な蛆虫!

どうかお願いだ その蛆虫をおれの耳に分けてくれ
死んだことすら恥と思わぬ馬鹿とならぬように
どうかお願いだ 可燃ゴミなどいくらでも燃やすし、
お礼には 恒久の無限の幻の果てまでアナタを記憶に胸に意識に遺伝に残すよ


陽光が海を輝かせて 月光が狐の毛先まで照らして
一日一羽と折り続けた 広告紙の鶴の数が 十万に達した晩、
遂に蛆虫はわたしの耳の壊死した器官を喰らい尽くして
吟醸の音がなだれこんでくるはずであるよと さ

ああ ああ ああ
入る入る 入ってくる
煽動が直に響いてくる 蠢きが直に貫いてくる

ああ あ ああああ




チャッチャカ チャカ 

痛みに痒みはなけれど 身体の奥底より聞こえるこの音は
蛆虫の食事音 と同時に おれの思う食事音 

今日も鼓膜と箸がぶつかり合ってる


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