あたたかなおうち



 ディズニー

昨日、ディズニーシーに行ってきた。
祐ちゃんと、私の両親と。

以前、ラジオの投稿が採用されて
ディズニーのペアチケットをもらった。
私はそれを、両親にプレゼントした。


祐ちゃんは、私の両親と仲がいい。
前を歩くふたりを、にこにこして見ている。
母が子どものようにはしゃぎながら
父にしきりに話しかけている。
父はガイドブックを読みながら、うんうんとうなずく。

そっくりだと思っているのだろう。
祐ちゃんが私を見て嬉しそうに微笑む。



朝起きると、手紙が置いてあった。

『いつまでもいつまでも、
 華のお父さんとお母さんのように
 仲良しでいられたらいいね』


そうだね、祐ちゃん。
私たちもいつまでも仲良しでいられますように。



2004年10月31日(日)



 リップクリーム

肌が弱くなった。去年の冬からだろうか。
特に唇が荒れやすい。
ひびが割れて、血がにじむ。
昔は肌荒れなんて無関係だったというのに。

リップクリームを塗るようにしているのだけれど、
忘れっぽい私は持ち歩くことがなかなかできない。

また持ってくるの忘れたの?
祐ちゃんはあきれて言う。
うん…
私の唇は、がさがさというよりもぼろぼろだ。

ちょっとコンビニ行ってくるから待ってて
祐ちゃんが車を降りる。
飲み物でも買ってくるのだろう。
映画のレイトショーに出掛けるところだ。

帰ってきた祐ちゃんが私に袋を手渡す。
はい、プレゼント。
リップクリームだった。
私は口をあけて祐ちゃんを見る。
メンズしかなかったんだけどね。なくしちゃだめだよ
祐ちゃんが笑う。

単純な私は
これからちゃんと持ち歩ける気がする。

2004年10月28日(木)



 なくしもの

昨日はホワイトシチューにした。
寒い日が続いている。
もうすぐ、11月だ。

祐ちゃんが申し訳なさそうに、
指輪をなくしてしまったことを報告してきた。
私は、ついになくしたか、と思い、
いいよいいよ、と笑う。
祐ちゃんの身の回りを見れば、
なくすのは時間の問題だと容易に想像がついた。
机の上にも床にも、教材や資料が散乱した部屋。

かなり探したようだった。
子どものようにうなだれる祐ちゃんを見て、
私はなんだか切なくなる。
そんなに気にしなくていいよ
穏やかに声をかける。
それが余計にこたえるらしく
祐ちゃんは力なく頷く。

2004年10月27日(水)



 ゆめ

昔から、目指している人物像のようなものがある。

名前を聞いて、顔をふと思い出すときに、
必ず笑顔が浮かぶようなひと。


そんなひとになりたい。
そんな先生でありたい。

いつかなれたらいいな、と思う。

2004年10月26日(火)



 おかえり

祐ちゃんが実家から帰ってきた。
私は何も用事がなかったので、
電車で途中まで迎えにいった。

車に乗って、隣を見る。
運転している祐ちゃんの横顔が好きだ。

同窓会の話や実家の話を聞く。
祐ちゃんは楽しそうに、懐かしそうに話す。
私はうんうん、とかみしめて聞く。
私の知らない祐ちゃんの話がうれしい。

でも髪を切ったのには気づいてくれない。
少し寂しくなって、会話が途切れたときに窓の外を見る。

すると急に頭の後ろをぽんぽん、とされる。
驚いて振り返ると祐ちゃんが優しく笑っている。
あとでちゃんとほめてあげるから

気がついてたの!
と私は笑いながら言う。

2004年10月25日(月)



 地震

地震があった日、ちゅちゅを見ていた。

私の手の上で動き回っていたちゅちゅが
突然飛び降りて
まわし車を勢いよくまわし始めた。
本当に、とても勢いよく。

するとレンジの上のお皿がカタカタと音を立てた。
私は驚いて、すごいねちゅちゅ!と言った。

しかし、ふとおかしいと気づいてテレビをつけた。
画面には地震発生の文字がおどっていた。
私は唖然とした。

動物の本能は本当にあるのだろう。




被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
本当に辛いことと思いますが、どうか頑張ってください。

2004年10月24日(日)



 週末

祐ちゃんは今週末、地元に帰っている。
同窓会があるのだ。


祐ちゃんのいない週末を迎えるのは
なかなか久し振りだということに気がついた。
こういうときに限って、
ひとつもバイトが入っていない。


友達とのんびりランチをして、
午後は美容院で髪を切ってもらった。
いつもは自転車で通る道を、今日は歩いてみる。
いつもより念入りに部屋の掃除をして、
いつもよりゆっくりとお風呂につかる。


明日は祐ちゃんが帰ってくる。
髪型、気がついてくれるかな。

2004年10月23日(土)



 手のひら

バイト先と祐ちゃんの家はとても近い。
バイトのある日はたいてい祐ちゃんの家に帰る。

祐ちゃんは居間でうたた寝していた。
ここで寝たら風邪ひいちゃうよ、と
一度起こして、部屋に連れて行って寝かせる。
隣に座って、布団の上からぽん、ぽん、ぽんと
ゆっくりと軽く拍をとる。
まるで母親のように。

祐ちゃんが眠ったのを確認してから、
私も着替えて歯を磨いてくる。
電気を消して、祐ちゃんの隣にそっと潜りこむ。

布団があったかい。
手をつなごうとして、手のひらを合わせると
祐ちゃんが握ってきてくれて驚く。
眠っているはずなのに。
確かめてみるとやっぱり寝ている。

優しいなぁ、祐ちゃん。
私は、くすくす笑いながら
手を握り返して眠りにつく。


2004年10月22日(金)



 おうち

台風の夜を一人で過ごすのが嫌なので
祐ちゃんの家に行った。
メイと、その彼氏がいた。

祐ちゃんはメイの彼氏とルームシェアをしている。


私たちはみんな同じサークルに所属していた。
私とメイは仲が良く、
祐ちゃんとメイの彼氏も仲が良かった。

そしていつの間にか、こうしてみんなでここにいる。
仲の良い家族のように。


笑い声の絶えない、
ここが私のあたたかなおうち。



2004年10月21日(木)



 豪華に…

昨日は記念日でもなんでもないのに
フランス料理を食べることになった。

うどんが食べたくて、
雨の中、必死で行ったうどんやさんがお休みで
仕方なく隣のフランス料理店に入った。

家庭料理を出す小さなお店で、
お客さんは私たちしかいない。
祐ちゃんは研修があったのでスーツを着ていて、
私もコートを着ていたので社会人カップルに見えただろう。

前菜でフォアグラが出た。
二人とも生まれて初めて食べる。
…珍味だねぇ
…珍味だ

2品目に私はエスカルゴを選んだ。
あ、でんでんむし…
言わないでー
(笑)でも貝みたいなものだもんね
確かに貝みたいでとても美味しかった。

メインのお料理は牛肉の赤ワイン煮にした。
お肉が柔らかくてとろけた。
デザートも少しずつたくさん楽しめる。
幸せだぁ…
いちいち感激する私を見て、
祐ちゃんは目を細める。

帰り道、ひとつ傘でくっついて歩く。
ワインを飲んでほろ酔いの私は、
傘からはみ出しながらけらけらとはしゃぐ。
祐ちゃんは優しく私の手を引く。
いつのまにか車道側を歩いてくれている。

でももうフランス料理なんてしばらくいいからね、
祐ちゃん。


2004年10月20日(水)



 完敗

日曜日はお昼まで二人で寝ている。
昨日は夕方から私がバイトだった。

バイトまで図書館で祐ちゃんのお仕事に付き合う。
5時までには余裕で終わるから、
バイトの前にル・グレのケーキを食べよう

と祐ちゃんが言う。

私はそのケーキが大好きで
何より祐ちゃんと出掛けるのが嬉しくて
とても楽しみになる。

でも、思いのほかお仕事はたくさんあって、
結局終わったのはバイトの10分前だった。
お仕事だから仕方がない。
分かってはいても、目に涙が浮かんでしまった。

祐ちゃんはちゃんと気がつく。
泣いてるの?ごめんね、ごめんね
私はあわてて否定して、笑顔でバイトに向かう。


帰ってくると、祐ちゃんは本を読んでいた。
あっ
冷蔵庫の中のとって

と言われる。
これ?
オレンジジュースを取り出す。
違う違う
じゃあ、これ?
飲むヨーグルトを取り出す。
違くて違くて

奥に黄色い袋が見える。
あっ、これだね

手に取った瞬間になんだか分かった。
袋の中に小さな箱が入っている。

ル・グレのケーキが2つ入っていた。
お詫び。今日はごめんね。

こういうところにかなわない。
祐ちゃんは私を簡単に幸福にしてしまう。



2004年10月18日(月)



 二人乗り

金曜日の夜は、いつも少しだけデートする。

昨日は、ちょこっとだけカラオケに行った。
祐ちゃんが大学時代に働いていたカラオケ屋さん。
内輪の人たちばかりが集まる、小さなお店だ。
祐ちゃんがまだ学生だった頃は、本当によく遊びに行った。

祐ちゃんは歌もそこそこ上手だ。
良く通る声をしている。音程も問題ない。
なんでもこなしてしまう人だと思う。
それでも上手すぎないところに私は好感を持つ。

マスターと祐ちゃんは延々と思い出話をしていた。
今日のお金はいいよ、とマスターがいう。
また顔見せにこいよ、と。

自転車を二人乗りして、私の家に帰る。
おしゃべりしながら、
祐ちゃんの厚みのある背中を眺める。

段差があるからおしり痛いよ、
と祐ちゃんがやんちゃな声を出す。
でも痛くないようにしてくれることを私は知っていて
段差がちょっと楽しみになる。

2004年10月16日(土)



 手紙

祐ちゃんの家に泊まった。

私はとても疲れていて、先に布団に入っていたら
そのまま眠ってしまった。
朝、祐ちゃんの目覚ましの音で目が覚める。
おはよう、祐ちゃん。
背中にぴとりとくっつく。

私は寝ぼけながら、
お手紙書いて、とお願いする。
はいはい、と祐ちゃんの優しい声がする。

もう一度目が覚めると祐ちゃんはもういなかった。
テーブルの上にノートの切れ端が置いてある。
ほんの5行くらいの、たわいのない手紙。

祐ちゃんはとてもきれいな字を書く。
生徒のような気持ちで、それを何度か読み返す。

さあ、今日も頑張ろう。


2004年10月15日(金)



 寝顔

昨日も祐ちゃんがうちにお泊り。

祐ちゃんのお仕事は忙しい。
毎日くたくたで帰ってくる。

昨日のご飯はちょっと豪華に
ステーキ用のお肉を和風にじゅうじゅう焼いた。
ご飯を食べてお風呂に入ると
マッサージして、とお願いされる。
そのまま寝ちゃだめだよ、と念を押す。
コンタクトはずしてないんだから。
お仕事だって残ってるんでしょ。

言ったそばから祐ちゃんは寝てしまう。
うつぶせのままで。
もう何をしても起きない。
私は諦めて、隣で寝顔を見ながら背中をさする。
眠った祐ちゃんに勝手にたくさんキスをして。

そして、いつのまにか一緒に寝てしまう。

目が覚めると、もう祐ちゃんの姿はない。
ジャージとシャツが丁寧にたたんで置いてある。



2004年10月14日(木)



 すき

昨日は我が家に祐ちゃんがお泊り。
晩御飯はチンジャオロースーにした。

テレビを見ていて、ふいに祐ちゃんの方を向いたら
祐ちゃんは優しい目で私を見てた。
きゅっと抱きしめられて
「俺、華がいないと生きていけない」
と言われた。
優しい声で。
ふわりと祐ちゃんのにおいがする。

私は目を閉じ、
うん
と言った。

2004年10月13日(水)



 散歩

昨日、祐ちゃんの家に泊まった。

朝は一緒に出るようにしている。
7時前に出勤する祐ちゃんに合わせて
私も自分の家に帰る。
いつもは原チャの祐ちゃんが今日は電車だったので
駅までお散歩することにした。

湿った冷たい朝の空気がなんだか懐かしい。
大学生になってから、
こんな時間に起きることはほとんどなかった。

珍しく、祐ちゃんから手をつないできた。
ふざけて手を大きく振りながら、
老後もこんな風に過ごせたらいいな、と思った。


2004年10月12日(火)



 添い寝

昨日は祐ちゃんの家に泊まった。

祐ちゃんは夕方まで寝ていたので、
夜になっても全く眠くないという。

じゃあ私が眠るまで隣にいておくれ
と頼んで添い寝してもらった。

昔のことや今のことや
学校のことや家族のこと、
いろんな話をした。
修学旅行みたいに。

いつの間にか眠ってしまって、
ふと目が覚めて隣を見ると、
ミニーちゃんのぬいぐるみが寝ていた。
居間から、プレステの音が聞こえる。

私はなんだか笑ってしまい、
とても幸せな気持ちになって、
ミニーちゃんを抱いてもう一度眠った。

2004年10月10日(日)



 他者紹介 4

ちゅちゅ

生まれて初めて、ハムスターを飼った。
一緒に暮らし始めて2ヶ月になる。
きっかけは、盲腸で入院したこと。
病院の夜は本当に怖くて、
退院した日に祐ちゃんと買いに行った。

生き物をお金で買ったのも初めてで、
なぜか悪いことをした気分になった。

ちゅちゅは今日も元気に私の指を噛んでいる。


2004年10月06日(水)



 他者紹介 3

祐ちゃん

祐ちゃんは私の恋人だ。
新歓のボーリングで同じ班の3年生だった。
2浪しているので、5歳年上の先輩を
素敵な人だな、と思ったのを覚えている。

今年、祐ちゃんは小学校の先生になった。
朝早くから夜遅くまで、休みなしに働いている。
本当に楽しそうに。

祐ちゃんは、お兄ちゃんのような人だ。
何もかも包み込んでくれる。
優しく頭をくしゃくしゃしてくれる。


私の、
とても、とても大切な人だ。





2004年10月05日(火)



 他者紹介 2

メイ

メイとは大学で出会った。
入学してすぐ、サークルの新歓のボーリングで、
偶然同じチームになった。
それから、私の無二の親友になった。

メイは理学部だ。
私とは正反対の頭をしている。
でも、将来は保育士になりたいという。
私はそれを、とても素敵な夢だと思う。


親友なんて出来ないと思っていた。

私はいつも相談を受ける側で、
自分の辛さを見せることはできなかった。

でも、こうして何でも頼れる人に出会えた。



2004年10月03日(日)



 他者紹介 1

私の生活に欠かせない
身近な人たちを紹介していこうと思います。


まず、お父さん、お母さん。

大学に入ってから一人暮らしをしているので、
両親に会えるのは年に2回ほどだ。
私はかなりの田舎で生まれ育った。
実家は、近くにコンビニどころか自販機もない。

両親は、私を大切に大切に育ててくれた。
両親から学んだことは、計り知れない。

人を愛すること。
謙虚に生きること。
一生懸命生きること。

いつか私が親になったら、
伝えることができるだろうか。

2004年10月02日(土)



 自己紹介

名前  華
職業  大学3年生
趣味  料理、睡眠
夢   保健室の先生
同居人 ハムスター1匹

大学生活も残り1年半。


2004年10月01日(金)
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