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■ F1、2008年からスリックタイヤ復活か?
2005年07月05日(火)
F1を統括する国際自動車連盟(FIA)は先月、2008年以降のレギュレーションについて素案を明らかにしましたが、昨日あらためてその内容を各チームに通達しました。その主な内容は以下の通り。
●エンジンについてECUを標準化、FIAから配布する。 ●TCS等を禁止する。 ●ギアボックスも標準化しFIAが配布する。 ●現在よりダウンフォースを10%低減する。 ●メカニカルグリップを向上させるためにマシンをより幅広にする。 ●ドライタイヤをスリックに戻す。 ●タイヤメーカーを1メイクにする。 ●標準ブレーキを導入する。 ●テレメトリーを禁止する。 ●シーズン中のテストを計3万キロ以内に限定する。 ●他チームからシャシーを購入することを可能にする。
これらは主に「各チームの実力差を少なくする」「マシンの高速化を抑制する」「規格の統一化を図る」「コスト削減を図る」「オーバーテイクを増やす」などの狙いがあるわけですが、基本的に僕はこのすべての案に賛成ですね。
まず、ECUとはエンジンを制御するコンピューターのことで、これによって燃料噴射や点火時期、アイドル回転数など複数の制御を集中的にコントロールし、エンジンを最適な状態で運転させるシステムです。ECUを標準化すれば、下位チームでもトップチームと同等のエンジン制御ができるようになり、各エンジンのリスクが統一化され、純粋にエンジンの性能と耐久性で競われることとなります。
同様にギアボックス、ブレーキも標準化されることで、全チーム同じものを使うことになり、その点ではマシンそのもののポテンシャルをある程度統一化することができ、しかもこれらがFIAから支給されると言うことは、チームはギアボックスとブレーキの開発に時間と予算を費やす必要がなくなると言うことです。タイヤメーカーをワンメイクにするのも、標準化するという意味では同じことですね。
TCSはトラクションコントロールシステムの略で、簡単に言うとマシンが前に進もうとする力(トラクション)をコンピューターで制御する機構ですが、これを禁止すると言うことは、スタート時や加速時にアクセルを踏みすぎるとホイールスピンを起こすようになり、それを防ぐためには、ドライバーの力量が必要となってくるというわけです。またこのTCSも高価なシステムなので、これを禁止することでコスト削減に繋がります。それからシーズン中のテストを計3万キロ以内に限定するのも、テストに係るコストの削減に繋がります。
ダウンフォース(地面に押しつける力)を10%減らすことにより、マシンのグリップが少なくなるために結果的にマシンスピードは遅くなり、年々増していくF1マシンの高速化に歯止めをかけることができます。しかしマシンのグリップが減るとコーナリングしにくくなり危険になるため、マシンを幅広にしてテクニカルグリップを補うと言うことですね。
テレメトリーとは、マシンに取り付けられたセンサーによってエンジンの回転数、ギア数、水温、油圧、燃料の混合比など様々なデータが採取され、それをピットブースで受信することができる機構なのですが、それらのデータを逆にピットからマシンに送信することもでき、遠隔でマシンの状態をコントロールすることが可能になっています。これを禁止することによってピットから一切のマシンコントロールができなくなります。つまり、すべてドライバーの判断にでマシンの状態を変えていくことになります。
他チームからシャシーを購入することを可能にするというのは、マシンの開発予算が少ないチームでも他のチームからシャシーを購入することによって、戦闘力の高いマシンでレースに出場できるようになり、結果的にトップチームと下位チームの実力差が少なくなるようになると言うことでしょう。
さて、今回発表された新しいレギュレーション案の中で、特に僕が大賛成なのは、何と言ってもタイヤをスリックに戻すと言うことですね。F1はトップスピードを抑制する目的で、98年からそれまでのツルツルのスリックタイヤから、縦に複数の溝が入ったグルーブドタイヤに変わりましたが、僕は常々色々なところで、スリックタイヤに戻すべきだと訴えてきました。
グルーブドタイヤは言うまでもなくスリックタイヤに比べて地面との設置面積が減りますから、特にコーナリング時のテクニカルグリップが少なくなってスリップしやすくなってしまったため、多少のスピード差では追い抜きができなくなってしまい、結果的にオーバーテイクシーンが激変してしまうこととなりました。 しかし、スリックタイヤに戻せば、再びレースでは以前のような抜きつ抜かれつの白熱したオーバーテイクバトルが観られるようになると言うわけです。
やはりタイヤは唯一地面に接している部分ですから、そのタイヤに溝を入れて設置面積を減らしたグルーブドタイヤなんて、実にナンセンス極まりない発想だとずっと思っていましたが、なぜ98年から現在まで8シーズンもの間継続されてきたのか、不思議でなりません。ま、いずれにせよこのレギュレーションが採用されたら、2008年から再び見応えのあるレースが観られるようになるでしょうから、期待したいものです。
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